今夜も朝までパワフルまぁじゃん
デービーソフト
1988年1月発売
PC-8801mkIISR以降
6800円
ビデオゲームで「麻雀」は既に定番のジャンルだが、
エンターテイメントとして演出し切れているかというと疑問である。
これまでの麻雀ゲームのほとんどは
「リアルな対局のシミュレータ」か「脱衣麻雀ゲーム」であり、
それ以上の広がりがあるように思えない。
そんな中で俺様が最も麻雀を
エンターテイメントに昇華させたと感じるゲームソフトが
本作「今夜も朝までパワフルまぁじゃん」と、
その続編の「今夜も朝までパワフルまぁじゃん2」であった。
本作は麻雀を題材にしたゲームが複数収録されているバラエティソフトであった。
そのゲーム構成をご紹介しよう。
「ノーマル麻雀」
謎のおっさん“やまだ”と2人打ちで対局する普通の麻雀。
操作は全てのモードで共通だが、
テンキーに操作が集約されており、片手で気軽に遊べるのはいいね。
(牌選択の左右移動が早すぎて間違えて違う牌を捨ててしまう事があるけど)
“やまだ”に勝ったところで特に次の雀士が登場するわけではなく、
本当にノーマルに麻雀を打つだけのモードだ。
余計なものが一切無いモードだけど、対局中に少しでも牌を切るのが遅れると
「早く打てよ」などとヤマダにイチイチ言われるのがイラッとしたw
「エキサイト麻雀」
こちらは脱衣麻雀。このゲームはアダルトコーナーでは売ってなかったと思うが、
しっかりと麻雀ゲームのセオリーである脱衣を実装しているのは潔い。
対局相手は7人の女子。最初に誰と対局するのか選択する。
グラフィックは、どの子もそこそこ良く描けていると思う。
せっかくなので全員の脱ぐ前のグラフィックをご紹介しておくぜ。
対局は相手の点数は表示されず、プレイヤーが上がると服を一枚ずつ脱ぐ。
プレイヤーの点数が無くなるとゲームオーバー。
そしてもう一つの要素がパワーヅモ。
牌をツモるときにリターンキーを押しっぱなしにすると、
パワーゲージが上がっていく。
ちょうどMAXのときにリターンキーを離すと、
ツモる牌が良いものになる確率が上がる。
何度も使えるが、ちょうどMAXで止めるのは難しい。
さて、どこまで脱がす事が出来るのか検証してみよう。
ちえみでプレイし、6枚目まで脱がした。
おそらく次の1枚が最後というそのとき・・。
やった上がった!
・・と思ったら、半荘終了でゲームが終わる。
どうやら脱衣より半荘終了が優先される仕様らしい・・。
そりゃー無いよ・・。orz
「さすらい麻雀」
おそらくこのソフトのメインコンテンツ。
ストーリー仕立てで沖縄から北海道まで日本をさすらって
現地の雀士を倒して進む。
・・・あの日もたしか 雨が降ってたっけ・・・そうちょうど6年前のあの日・・・
オレは、学生街の雀荘で仲間と卓を囲んでいた。
仲間はオレの事を雀士と呼び恐れている。
オレとやると必ず負けるからだ。
そして、オレ自身も自分の強さに自惚れていた。
やがて雀荘に一人の男が入ってきた。
男はスーツに身を包み、劇画調の顔をしていた。
雀荘のマスターが顔を引きつらせていた。
「修だ・・・闇雀士修だ・・・」
修?やつが修か。
その男は日本全国を歩き回り、雀荘で1番強いやつと勝負して
まだ一度も負けたことのない男だった。
オレは興奮した。
こいつに勝てばオレは本当に強い男ということになる・・・
「この中で一番強いやつは、どいつだ」
その男がそういうと、「オレだ」と自惚れた3人が現れた。
もちろんオレもその1人だ・・・
ウワサは本当だった。
男はイカサマをしている様には見えなかった。
生まれながらのツキと鋭い読みの勝ちだった。オレは完敗した。
・・・・・・・「もう一度やらせてくれ」
オレがそう言うと男は目を光らせ、
「若造が、オレを相手にするなんざ10年早えんだ。顔洗って出直してきな」
男はゆっくり立ち上がり、店を出た。
オレは、その時から誰からも相手にされなくなった。
そしてその日からオレも全国をまわる雀士となった。
人はオレのことをこう呼ぶ
さすらい雀士と・・・
「さすらい麻雀」では、点数がマイナスになっても終わらず、半荘終わるまで続く。
最終的に相手の雀士より点数が高ければ次の土地へ進める。
ボロボロに負け続けても終わらないのでキツイ。
沖縄、長崎と勝ち進み、何とか3人目のいる高知まで進んだが、
まだまだ先は長いのでレビューのためのプレイはここまでにしておく。
「ポコ麻雀」
こちらは麻雀ゲームではない。
子供用の麻雀風絵合わせテーブルゲームを
デービーソフトの「うっでぃぽこ」のキャラクターを使って再現したもの。
ドラえもんの「ドンジャラ」などは普及したので知っている人も多いだろう。
麻雀より牌の種類も役を揃える枚数も少なく、
9つの牌で絵柄を揃える事を目指す。
ポンやチーなどの概念はなく、最後の1牌で揃うときは「あと1コ」と宣言する。
アタリ牌を自分でツモるか、相手が振り込むとアガリとなる。
3枚1組の牌の種類ごとに点数が入る。
また、特定の役が揃っていると追加で点数が入る。
どちらかの得点がマイナスになっても終わらず、
10ROUND戦って終了。
勝っても負けてもこの画面。
せめてどっちが勝ったとかぐらい表示してくれよ~。
手軽に遊べるし、麻雀バラエティソフトの中にこれが入っているだけで
可能性の広がりを感じさせてくれた。
麻雀ゲームをバラエティソフトにするという実験に感触を得たデービーソフトは、
1年後にさらに遊び心に磨きをかけた続編をリリースする。
今夜も朝までパワフルまぁじゃん2
デービーソフト
1989年1月発売
PC-8801mkIISR以降
7800円
ゲームを起動するとまず日時を聞かれる。
もし狂っていればここでパソコンの内蔵時計を修正できる。
なぜそんな事をするのかというと、
このゲームは時計によって変化する仕掛けがあるからだ。
例えば9月に起動するとタイトル画面に落ち葉が降り注ぐ。
こういう遊び心がワクワクを掻き立ててくれる。
前作同様に遊べるモードは、
「ノーマルまあじゃん」「エキサイトまあじゃん」
「さすらいまあじゃん」「ぽこまあじゃん」の4つだが、
色々とパワーアップされている。
まずはプレイヤーデータを登録する。
名字、名前、生年月日。
続いて顔面を登録する。
各パーツを9種類の中から選んで組み合わせる。
アバターのような設定概念をすでにこの時期に取り入れているのは凄い先見性だ。
「ノーマル麻雀」
モードを選択するとプレイヤーの今日の運勢が表示される。
これはプレイヤーデータと内臓時計をもとに割り出された運勢だ。
今回のノーマル麻雀は4人打ちにパワーアップ。
対局相手の3人は最初から決まっている。(全員おっさんw)
プレイヤーの顔は登録したものが表示される。
それぞれ自分の手順が来ると何かセリフが表示されたりして、
楽しげに演出されている。
二人打ちのときよりテンポは劣る。
今回は半荘終えるたびに勝敗数がカウントされるようになった。
「エキサイト麻雀 お姉さん組」
今度のお姉さんは8人。
ルールは前作と同じでパワフル自摸システムも健在。
脱衣は一工夫あり。
前作は服が脱げていくオーソドックスな脱衣だったが、
今回はお姉さんにより脱衣のパターンが変わっている。
お姉さんを全裸にするとクリア。
すると暗号を教えてくれる。
全員から暗号を聞いたらシークレットステージが開くらしい。
なお、この「エキサイト麻雀」はソフトベンダーTAKERUで追加データが販売された。
追加データを使うと「邪子ちゃん組」という新たな8人のお姉ちゃんと選択できる。
「さすらい麻雀」
「まってくれ…もう一度しよう」
“闇雀士”修は顔を引きつらせていた。
オレは静かに席を立った。
「オレと戦うなんざ10年早え…あの時そういったよな…
もう、あんたの時代は終わったんだよ」
オレはそう言うと店を出て、雨上がりの街へ歩いていった。
…そして、5年の月日が流れた…
最強の雀士になったオレは、あてのない旅をしていた。
「だれか倒れている」
道端の木陰に1人の女が倒れていた。
かなりやつれている様だ。オレは駆け寄り、抱き起こした。
「おい、しっかりしろ。大丈夫か!」
その女は髪型が変わっていたが、大阪の雀士、近衛さんだった。
「世界雀士…危ない…高戸も倒されたわ…次は、次はあなたよ…」
世界雀士?
あの修までが倒されたのか…
オレは今までにない胸の高鳴りを押さえきれなかった。
世界雀士とは何なのか?
なぜオレたちを狙うのか?
謎を解くため、オレは再び旅に出た。
もちろん、さすらい雀士として…
前回は日本を横断して雀士を倒し続けるだけだったが、
本作では世界が舞台となり、
サイコロでスゴロクのようにマスを進むようになっている。
ゴールまでのマスには楽しいイベントが用意されている。
はずれ牌以外を引き当て続けると掛け金がもらえるイベント。
役満限定で打つザコとの対局。
謎のクイズ。
どの列が右端まで到達するか当てる麻雀競馬。
・・などなど。バラエティ麻雀ゲームの本領発揮だ。
ゴールに到達するとその土地の世界雀士と対局する。
勝ったら次の土地へ。
このようにして世界を巡って世界雀士を倒していく。
「ぽこ麻雀」
「うっでいぽこ」の世界観で気軽に遊べる「ぽこ麻雀」も
前作からパワーアップしている。
こんにちわ、ポコです。
とつぜんですけど、今日は村のおまつりです。
楽しいゲーム大会があるんです。
なんてったって、村一番の人気者になるんなら
この大会で、優勝するのが一番
…でも強敵がいっぱい
だれでも参加できるから!
キミもいっしょに
やろーぜ やろーぜ
(うっでぃぽこの作画崩壊w)
今回の「ぽこ麻雀」はトーナメントの勝ち抜き戦。
対局相手もキャラが立っているぜ。
優勝したもんねーーー!
・・とまあ、こんな感じで麻雀をとことん楽しむバラエティソフトが、
「今夜も朝までパワフルまーじゃん」だったのである。
このゲームが現代に蘇る事は難しいかも知れないが、
この魂を受け継いだ麻雀ゲームが生まれてくる事を願ってやまないぜ。