
Genji
発売元:ホット・ビィ
発売時期:1988年8月
定価:7800円
対応機種:PC-8801
メディア:5インチFD(3枚組)

都に近い北山の奥が奇怪に光った。
人々は、これを“ひかりもの”と呼び
不吉な出来事の全長ではないかとおそれた。

それから後、都には災難が相次ぎ、
また、世紀末の教えや神の裁きを説く者も現れ、
人々の不安は深まるばかりであった。
そして、“ひかりもの”から11ヶ月後、1人の女が殺された。

朝顔(あさがお)
帝の血縁であり、美貌と才知の女。
自邸に近い桂川の河原で、犯された上、心臓をえぐられる。

この事件を重く見た帝は、表向きの捜査とは別に、
2人の信頼できる者に調査を命じた。
1人は帝の腹心の部下・左大臣。

もう1人は、帝の実の弟である、源氏中将。

源氏中将。
光源氏の君とアダ名される都第一の貴公子である。


源氏の屋敷、二条院のまえ。部下の惟光と、恋人の紫がいる。
惟光「調査結果を記録したい時は、ここに来て下さい。記録帳を用意しますしたから、
ここで記録と命令をしてもらえれば、すぐに記録を取ります。
また、何か困った時には、この惟光にお聞きになってみて下さい。
お役に立てることがあるかも知れません。」
紫「気をけてね。最近屋敷の周りを、変なお坊さんがうろついているというし…」

ゲームはシンプルなコマンド選択アドベンチャーゲーム。
テンキーの2と8で動詞を上下に選びリターンキーで決定。
決定すると続いて名詞を選択。
名詞は「誰に?」「何を?」といった感じで複数選択するパターンもある。
間違えて選んだ場合はESCキーでキャンセルできる。
ページ送りがある箇所は「▼」が表示されているのでスペースキーで送る。
動詞コマンドは固定で以下の通り。
移動、聞く、調べる、取る、見せる、使う、戦う、Do、戻る、記録
「Do」だけ違和感あると思うが、これは「エッチする」コマンド。
ただし条件の揃った相手じゃないと断られるw
画面の左枠には集めたアイテムが絵で表示される。
>聞く 惟光 事件の事
惟光「事件が起こったのは5日程前。現場は死体の発見された河原のようですが、
無理に連れ出された様子は無く、朝顔様が自分からそこへ行ったもののようです。
しかし、なぜそんな所へ行ったのかは分かっておりません。
役人達の中には、男と会っていたのでは?という意見があるようですが…
世間のウワサでは、あなたが…源氏の君が殺したのだとか、
奥様の葵様が誰かにやらせたのだと言われています。
役人も、その意見に傾きつつあるようです。」
>聞く 紫 事件の事
紫「朝顔様おかわいそう。」
>聞く 紫 坊主
紫「私、1度見たわ。とってもみすぼらしくて、おケサも衣もボロボロで、
ああゆうのをきっと乞食坊主っていうのね。
>調べる 持ち物
源氏は何も持っていないので悲しかった!
>調べる まわり見る
源氏は今、二条院の通用門の前にいた。
ふと見ると、門柱にまだ新しい傷がついている。
>調べる 惟光
惟光(これみつ)。源氏の腹心の部下で、よく働いてくれる男だ。
>調べる 紫
紫(むらさき)。数年前から一緒に暮らしている恋人だが、
遊び人の源氏が、なぜか、いまだに手を出せない女。
>調べる 門の傷
源氏「まるで鋭い爪ででもひっかいたようだが、何でこんな所に?
…鬼でも出たかな?」
>取る
あたりには取れるものなどなにもなかった!
>見せる
源氏は何も取っていないので悲しかった!
>使う
源氏は何も持っていないので悲しかった!
>戦う
惟光「何をするんです!」
>Do
紫「やっだぁ、こんな明るいうちから!私、これでもまだ処女なんですからね!
雰囲気がなくっちゃ、いや!」
>戻る
源氏は、もう一人の自分の声を聞いた…
源氏「本当に戻っていいのか?記録していない事は、全て夢になってしまう。
それでもよければリターン・キーを押せ!」
(タイトル画面に戻る)
>記録
惟光「どの記録帳に記録しますか?」
2つまで状態を保存する事が出来る。
>移動 朝顔邸

被害者・朝顔の屋敷。いま、この屋敷には、朝顔に仕えていた下女だけが住んでいる。
心無しか、青ざめている。
広い邸内に人の気配はない。他の召使達は皆、去ってしまったのだろうか。
向こうに1人の坊主がいる。
見るからにみすぼらしい姿の乞食坊主だ。
>移動 左大臣邸


源氏の正妻・葵の部屋。
葵(あおい)。源氏の正妻である。相当、キゲンが悪いようだ。
葵「最近は嫌なことばかり続いて…この間も、六条御息所に恥をかかされるし、
兄の頭中将は、家の名を恥ずかしめるような事をしてるし…」
庭に面した明るい部屋である。屏風の影に文机があり、その上に妙な物がある。
文机の上にあったのは銀の鈴だった。
葵「どうぞ。持ってお行きなさい。」
源氏は銀の鈴を取った。

葵「きゃっ!いきなり何よ!」
源氏は葵の着物を脱がしはじめた。

葵「そんな、あ、あなたったら…」

葵「あ、だめよ、だめだったら…はっ!」

葵「こんな事して、ゴキゲン取ろうとしてもだめよ!」
>移動 六条邸

六条御息所の屋敷に行くと、下女が出てきた。
やや疲れているように見える。
あたりは物静かな佇まいを見せ、人通りもほとんどない。
下女「六条様は、きのう出雲から戻られたばかりで、お疲れになっています。」

部屋に入ると、六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)が源氏を持っていた。
彼女も、年上ではあるが源氏の愛人の1人である。
源氏には、心無しか六条がやつれているように見えた。
その六条側の部屋の片隅に小さな箱がある。
小物箱のようだ。中にお守りが入っている。
六条「いつか、お役に立つ事があるかも知れません。お持ちになって下さい。」
源氏はお守りをもらった。
>移動 夕顔の家

源氏は、愛人夕顔の家に立ち寄ってみた。
このあたりには庶民の家が多い。夕顔の家もその一つである。

夕顔と会うのも久しぶりだ。
しかし久しぶりに自分の男が訪ねてきたというのに、
なぜか夕顔は困ったような顔をしていた。
夕顔。かつては頭中将の愛人だったというが…

夕顔「何をするんです!いけません、源氏の君!」

夕顔「私はもう、あなたのものではないのです!」

夕顔「実は私、ある殿方のものになったのです!ですからもう…」
>移動 頭中将邸

親友であり、妻・葵の兄でもある頭中将の屋敷。
目前に門番の詰所があるが、人の気配はないようだ。
誰もいない。門番はどこへいったのだろう。

邸内には頭中将(とうのちゅうじょう)がいたが、でかけるところだったらしい。
彼は事件の表の捜査の責任者でもある。
床の間に変わった置物がある。
源氏はこれまでこの部屋には何回も入ったが、こんな置物を見た事はなかった。
珍しい品物だ。唐天竺よりもまだ西の物だろうか?
上の方に3本の角を持ち、各々の先に宝石がはめ込まれている。

頭中将は源氏を置き去りにするように出かけてしまった。
後に残ったのは源氏と、さっきはいなかった門番の家来だけである。
どこかひねた卑し感じの男だ。
>聞く頭中将の事
家来「お出かけになりました、お帰りはきっと遅いでしょう。」
>聞く 行き先
家来「あなたに言ってもいいものか…それにタダじゃぁねぇ。」
>移動 二条院

紫「お疲れさま。」
惟光「何か分かりましたか?」
>見せる 惟光 耳飾り
惟光「それ、しばらく私に預けていただけませんか?
知合いに唐の時代に詳しい学者があるので、何か分かるかも知れません。」
源氏は耳飾りを惟光に預けた。
惟光「確かにお預かりします。結果を楽しみにしてて下さい。」
>聞く 惟光 頭中将の事
惟光「そういえば、頭中将様には妙なウワサがありますね。
頭中将様があの『ひかりもの』の起きた頃、
2、3日行方不明になったというものなんですが。
以前、あの屋敷に心卑しい家来がいると聞いた事があります。
そういう男には、これが一番です。」
惟光はそう言って、源氏に金を差し出した。
源氏は惟光から金を受け取った。
>移動 頭中将邸

>使う 金
家来「いやぁ、悪いですねぇ。何か催促したみたいで。
ありゃあ行方不明じゃなくて、北山の密教道場、金剛寺の阿舎梨を訪ねてたんですよ。」
>移動 北山

都に近い、北山の密教道場、金剛寺。
深い森に囲まれ、まるで別世界である。
人を食ったような顔をした阿舎梨だ。
阿舎梨「確かに『ひかりもの』のあった晩、頭中将殿はここに来ておった。」
源氏「何をしに?」
阿舎梨「それは言えぬ。仏にすがる者の秘密を簡単にしゃべる事は許されん。」
阿舎梨「『ひかりもの』か…ま、近づかん方が良い。」
>移動 二条院

源氏は二条院に戻った。
紫「あら、帰ってきたの?」
惟光「今日は、葵様の所に泊まるんじゃなかったんですか?」
>移動 左大臣邸

日もだいぶ傾いた頃、源氏は左大臣邸を訪れた。
屋敷に入っていくと、玄関先で左大臣と出会った。
左大臣「おや、ムコ殿。葵と一緒だったのではなかったのかな?」
>聞く 葵について
左大臣「部屋におるはずです。
さっき部屋の前を通ったら、葵の話声を聞きましたからな…ありゃ、すると葵は誰と?」

異様なものを感じた源氏は、左大臣と共に葵の部屋へ踏み込んだ。
そして、そこに信じられない光景を見た。
我が妻・葵が妖怪に犯されながら、みだらな喜びにのたうちまわっていたのだ!

葵「あなた…あなた…あっ、いい、いいわ、あなた、もっと!」
葵は源氏の名を呼び続ける。
葵には相手が源氏に見えているのだろうか。

葵「ああぁぁぁぁぁぁ…イク、イッちゃう!!」
葵は絶頂を迎え、その豊かな胸が大きくのけぞった!その瞬間…

葵「ぎゃああぁぁぁぁっ!」

妖怪の鋭い爪が葵の胸を突き破り、その心臓をえぐった!

葵を殺した妖怪は、死体を放し、片手に心臓をつかんでこちらに向き直った。
源氏が鈴を投げつけると、妖怪はそれをつかんで、外の夜の闇の中へ逃げ去った。

妖怪は逃げ去り、残ったのは死体となった葵のみ。
その側で左大臣が肩を落としていた。

翌朝、源氏は二条院に帰った。
惟光「大変なことになりましたね。」
紫「もう1つ大変なことがあるの。六条様がいなくなってしまったんですって!」

源氏は六条邸の前に来た。

下女「源氏の君、六条様が…」
邸内で源氏を迎えた下女は、うろたえ、青ざめた顔でそう言った。
きれい好きの六条らしく、部屋はきちんと片付いていた。
そんな部屋の片隅に、これだけは投げ捨てたかのように、鈴が転がっていた。
下女「何かのお役に立つのなら…」
源氏は(銀の)鈴を拾い上げた。
下女「何かのお役に立つのなら…」
源氏は(赤銅の)鈴を拾い上げた。
下女「…あ、そういえば先日、出雲で夜中に鈴の音を聞きました。
六条様の遠縁だという、蛭鬼家というお屋敷です。」

源氏は、行方不明の六条と鈴の謎を追って、出雲へ向かった。
都から北、若狭に出て、そこからは船に乗る。
若狭湾を出て西に進み、出雲に着いたのは、3日目の朝だった。
源氏は土地の者らしい男に蛭鬼家の事を聞いた。
男「えっ、蛭鬼家でごぜぇますか。
蛭鬼家ならば、ここから少しばかり山道を入った森の中でごぜぇますが、しかし……」
源氏「しかし?しかし何だと言うのだ?」
男「はぁ…蛭鬼家の周りの森を蛭鬼の森といいますが、
恐ろしい妖怪が住んどるっちゅう話でして…」

源氏は土地の者に教えられた通り、蛭鬼の森の中の道とも呼べない道を進んでいった。
あたりは木々が生い茂り、昼間だというのに、夕暮れ時のように薄暗い。

突然、近くのしげみがガサガサと音を立て、
源氏の行く手をさえぎるように、数匹の妖怪が現われた。
源氏は妖怪にお守りを投げつけた。
するとお守りは突然燃え上がり1匹の妖怪を灰と化した。その時…
「おぬし何者じゃ!」という声とともに1人の老師が現われた。

老師が現われると妖怪達は、まるで潮が引くかのように、
どこへともなく消えていった。
老師「おぬし一体何者じゃ。何しにこんな所へ来た?」
老師はまるで責めているかのように、そう言った。
老師「おぬし、もしや源氏の君か!ならばおぬしに渡さねばならん物がある。」
そう言うと老師は、六条の手紙を取り出した。
源氏は老師から手紙を受け取った。
老師「その手紙は、先日六条がここに来たとき、わしに預けて行った物じゃ。
もしも源氏というものが来たなら、渡してくれと言うてな。」
>見せる 銀の鈴
老師「呪いの鈴じゃ。たとえ相手が自分の力がとどかん程遠くにいても、
その鈴を身に付けている限り、必ず妖怪に殺される、
我が蛭鬼道呪術の1つ…鈴が妖怪を呼ぶのじゃ。
もっとも、相手が鈴を身に付けていなければ、何の効果もないが…
それはおぬしが持っていては危ない。わしに渡せ。」
源氏は鈴を老師に渡した。
>見せる 赤銅の鈴
老師「六条は、その鈴を…殺人術を使いたくなかったのじゃろう。
姿を消したのも、そのためかもしれん。
それはおぬしが持っていては危ない。わしに渡せ。」
源氏は鈴を老師に渡した。
老師「ここは危険じゃ。話は我が家ですることとしよう。ついて来るがいい。」

源氏は老師に連れられ、蛭鬼家にやって来た。
老師「あの娘は、この家の生まれでのう、まれにみる霊能力を持つ呪術者なのじゃ。」
源氏「しかし、六条は都の身分ある家の出身のはずでは?」
老師「養女にもらわれていったのじゃ。
全ては、15年前の『ひかりもの』から始まったことよ。」
源氏「さっきの妖怪は、あれは何なのだ?」
老師「あれは蛭鬼(ひるき)じゃ。
太古の昔、アマテラスの軍勢に敗れた古代イズモ族の怨霊のかたまりよ。」
源氏「私でも倒せるだろうか?」
老師「呪術使いでなければ、まず無理じゃ。
我が家に伝わっていたというアマノ剣でもあれば、話は別だが。」
源氏「アマノ剣?」
老師「蛭鬼退治に絶大な力を持つという妖剣じゃ。
だが、あれは今、六条が持っているはずじゃ。」
>聞く 手紙
老師「そうか、あの娘は2人も殺してしまったか。
殺人術を続けることの報いが大きいことは知らぬわけではあるまいに。
おそらく何者かに、強制的にやらされているのじゃろうが…
姿を消したのも、それが嫌だったからに違いなかろう。」
源氏「どこにいるのか心当たりはないか?」
老師「…阿舎梨なら、何か知っているかもしれん。」
>聞く ひかりもの
老師「15年前、この近くの山に『ひかりもの』が起きた。
その時その山で、一人修行をしていたのがあの娘じゃった。
そこで何があったのかは知らぬが、それ以後、あの娘は変わった。
神に会った、高貴な身分となる運命を与えられた、などと言うようになったのだ。
それから間もなくじゃ。
あの娘が、偶然、都の高貴な人の目にとまり、養女となったのは…
その後、わしは北山の阿舎梨に頼んで様子を見てもらっていたが、
みるみる出世したようじゃな。
おそらくは呪術を使ったのだろうが…」
源氏「阿舎梨?阿舎梨とは金剛寺の阿舎梨の事か?」
老師「ほう、知っておるのか。あの阿舎梨とは古いつきあいでな。
口も固く、頼りにもなる。」
源氏「確かに口は固い。何も聞き出せなかった。」
老師「阿舎梨に何か聞きたいのなら、この蛭鬼家の紋章を持って行くがいい。
これを阿舎梨に見せ、わしからの紹介だと言えば、
たいがいの事は教えてくれるはずじゃ。」
老師は源氏に、蛭鬼家の紋章を渡しながらそう言った。
床の間に手箱がある。その中に、手のひらに乗る程の小さなツボがあった。
源氏は小さなツボを取った。

源氏は平安京に帰ってきた。
惟光「大変です!今度は夕顔が殺されました!」
>聞く 惟光 耳飾りの事
惟光「分かりましたよ。100年程前、唐の国の楊貴妃が、
あの耳飾りを持っていたという記録があるそうです。」

夕顔の家の前。警備の役人が立っている。
役人「あっ、源氏の君、どちらへ行かれます!」
役人「先ほどこちらの者がお屋敷にうかがいましたが、
いらっしゃらなかったようですね。
どちらへ行かれていたんですか?」
坊主「また一人亡くなったとか。不幸なことの続く世の中です。」
源氏「なぜおまえは、事件のある所にいつも現われるんだ?」
坊主「坊主が死者のもとで祈る。不思議な事ではありますまい。」
見物人「何でも、そりゃあひどいありさまだとか。
鬼にでも食われたんじゃないかって話でございます。」
>移動 中に入る
役人「こ、困ります。勝手なことをされては…」

左大臣邸の玄関。
左大臣「ムコ殿、どうなされました?
そうですか、役人が邪魔を。ならばこれをお待ち下され。
どこへでも出入りでき調べることができるという、帝直筆の許可状。
あの日、葵が死んだ日にお預かりした物です。
その許可状があれば、役人どもも邪魔できますまい。」
左大臣は源氏に許可状を渡してそう言った。

役人「そ、それは帝の御印章!
…分かりました。どうぞご自由にお調べ下さい。」

夕顔の部屋に入ると、かつて夕顔だった物が壁に寄り掛かるように崩れ落ちていた。
その他、室内には頭中将の部下であろう男が現場調査を続けていた。
死体は胸が大きくはじけ、ぐしゃぐしゃの傷口をむき出しにしていた。
刀傷の類ではないが、葵の時の傷とも違う。その傷口に何か光る物がある。
>調べる 光る物
それはたくさんのごく小さな針だった。
傷口のはじけた肉の中に埋まったそれらの先端が光っていたのだ。
源氏は小さな針を数本、傷口から抜き取った。
床の間に箱がある。
中を見ると美しい絵の描かれた貝がらがいくつか入っていた。
貝合せという遊びに使うものだ。
源氏は貝合わせの貝を2~3個取った。

北山の密教道場、金剛寺。
>見せる 小さなツボ
阿舎梨「おっ、それは出雲の老師が作る丸薬ではないか!
のゥ、それをわしに分けてくれんか?どうも腰が傷んでのう。
いや、もちろんただでとは言わぬ。」
>使う 小さなツボ
阿舎梨「そうか!全部くれるとはありがたい。
では、約束じゃ。おぬしにこれをやろう。」
阿舎梨が差し出したのは1本の独鈷であった。
阿舎梨「この独鈷を使い、ノウマクサンマンダ バザラダンカンと唱えるがよい。
妖怪などたちまち朽ち果てよう。」
そう言いながら阿舎梨は、源氏に独鈷を渡した。
>聞く ひかりもの
阿舎梨「そんなに気になるか、『ひかりもの』が。ならば教えてしんぜよう。
あれが起きたのは、たぶん、たたり森の奥じゃ。この山の向こう側じゃが、しかし…
あの森は、妖怪の巣になっておる。近づかぬ方がよい。」
阿舎梨「しかし、おかしなものじゃ。おぬしと同じ事を聞きに来た者がおったぞ。
何でも今は嵐山の観音堂に寝泊まりしておる旅僧で、名は確か次元とか言うとったな。」

源氏はたたり森に踏み込んで行った。
うす暗く、どこか出雲の蛭鬼の森にも似て、確かに妖怪の巣らしい森だ。
源氏は奥に進もうとした。
と、突然、前方のしげみが大きな音を立てて、何かが飛び出してきた!

現れたのは、例の乞食坊主と、出雲で見た蛭鬼という妖怪だった。
坊主は蛭鬼に追われているらしい。
源氏「ノウマクサンマンダ バザラダンカン!」
源氏は真言を唱え、独鈷を蛭鬼に突き立てた!蛭鬼は凄まじい絶叫をあげ崩れ去った!

妖怪を倒した源氏は、坊主を振り返った。
初めて間近で見る乞食坊主は、奇妙なものを見るような目で源氏を見上げた。そして…

坊主「助かりました。」と一言礼を言っただけで、
源氏が何も言わないうちに、逃げるように去って行ってしまった。

嵐山観音堂。

観音堂の中。
聖観音像が壇上に安置してある。ここの本尊だ。
源氏は観音像をあちこちいじってみた。
すると、像の右腕が動きそうなことに気づいた。
源氏は思い切って、上を向いたその腕を手前に引き倒した!
すると、かなかな音と共に、正面の壇が左右に分かれ、
その下に、地下への入口が現われた!

それは、源氏が見たこともない品物で囲まれた、地下の隠し部屋だった。
源氏が入っていた入口の他、奥に扉がある。その向こうから水音がしている。

扉を開けると、そこで全裸の女が湯を浴びていた。女の方でも源氏に気づき、

手近に置いてあった武器らしいものを、素早く源氏に向けた。
女「源氏!どうやってここへ…」
源氏「おまえは誰だ!」
女「……次元。」
源氏「なに!女だったのか…」
源氏「ここは何だ!ここで何をしている?」
次元「見られたからには仕方ない。ここは時間局の簡易駐留所だ。
我々はテントと呼んでいるがな。」
>聞く 時間局
次元「この時代から、はるかに未来の世界の組織だ。
タイムマシンという過去や未来へ移動できる機械を使った犯罪を取り締まるのが、
その役目だ。
私はこの時代へ、時間犯罪者を追って来た派遣員だよ。
42世紀の世界で、1人の狂人が旧式のタイムマシンを奪って、時間の中に逃げた。
奴は妖怪を使って3人の女を犯し、殺すことで、
歴史を変えることができると信じている。
歴史を変え、新しい世界を造ることができると…」
源氏「歴史の中を自由に移動できるのか…あっ!
だとすれば、唐の時代へも行けるんじゃ?」
次元「唐代の楊貴妃が?そうか、この事件はそんな時域も関係していたのか。
…やっかいな事にならないといいが。」
>見せる 針
次元「そうか、奴め!」
次元「…いいだろう。大人しくしていろよ。」

少し待つと、次元が唐の女官風の姿で現れた。
源氏「何だ、その姿は?」
次元「これから唐に行く。おまえも来い。」

次元「これは小型の転送式タイムマシンだ。
体だけだったり、リモコンというのを使って帰ることができる。
そこにHIT SPACE KEYとあるだろう。そのキーを押してくれ。それでスタートできる。」

源氏は一瞬、気が遠くなり、気がつくとどこか知らない夜の庭園に立っていた。

次元「ここが楊貴妃の部屋だ。」

室内に入ると、楊貴妃はまだ起きていた。源氏達を見て、少し驚いたようだ。
楊貴妃「誰じゃ、そなたら?」
次元「夜分に申し訳ありません、これは異国から参りました学者なのですが、
どうしても楊貴妃様にお伺いしたい事があると申しますので、連れて参りました。」
次元は源氏を学者であるように紹介した。
源氏に質問させ、何かを引き出そうというのだろう。
楊貴妃「異国の?…まぁよい、申してみよ」
源氏は貝合わせの貝を、楊貴妃に差し出した。
楊貴妃「何と、素晴らしい。私は美しいものが大好きじゃ、
たとえ、どんなに呪われたものであってもな。」
>聞く 楊貴妃 妖怪退治法
楊貴妃「あれを退治するには秘薬・仙桃水と、魔を封ずる鏡・止霊鏡が必要。
壮精鬼は数年前、その鏡に封ぜられたのじゃ。
けれど、鏡は耳飾りと共に盗まれたまま、行方は知れぬ。」
楊貴妃「なれど、秘薬・仙桃水は残っている。欲しければ持ってゆくがよい。」
楊貴妃は、うす桃色の水の入ったギヤマンの小ビンを取り出した。
楊貴妃「その秘薬を壮精鬼にふりかければ、体から魂を引き剥がす事ができる。
けれど、あの鏡が無ければ…」
楊貴妃は秘薬・仙桃水を渡しながら、そう言った。

楊貴妃「そなたは、よい男じゃ。いずれまた参るがいい。」
次元「何、デレデレしてるんだ!帰るぞ!ホラ、さっさと、このSPACEキーを押せ!」

唐から帰ると、次元はもとの乞食坊主の姿に着替えた。
次元「さて、どうするかな。」
源氏「鏡も耳飾りも盗まれていたとなると、調査は振り出しか。」
次元「いや、妖怪を封じた鏡と、妖怪の耳飾りが一緒に盗まれ、
その耳飾りと妖怪が現れたんだ。盗んだのは時間犯罪者だ。
そして奴が今度の事件全ての真犯人だ。全ては『ひかりもの』から始まったんだ。
奴の目的は、月型のアザを持つ3人の女を殺すこと。
そのため、誰かになりすまして、この平安京に潜り込んだ。
だが奴は夕顔殺しで失敗をしたよ。
夕顔を殺したのは時間犯罪者自身だ。
夕顔の死体に刺さっていた小さな針は、ニードル・ガンという武器のものだ。
妖怪のものなんかじゃない。
夕顔殺しの現場には、犯人の出入りしたあとがない。
だが、あれは人間の犯行だ。とすれば一番怪しいのは、第一発見者じゃないか。」
>聞く ひかりもの
次元「あれは、奴の使う旧式のタイムマシンが、
この世界に出現した時に起こした発光現象だ。」
>聞く 月型のアザ
次元「朝顔と葵に月型のアザがあったことは確認した。
奴は、ある古文書に従って、そのアザを持つ女を狙っているんだ。
奴はある古文書を信じ、それに従って行動している。
その文面にはこんな文句が書かれている…」
そう言って次元は、その文面を語った。
次元「(日出ずる所、月のしるし持ちし3人の女あり。
この女ども日没する所にありし、まがまがしきものの精により汚し、そして殺せ。
その血を『神の首』に飲ませよ。3つの目を、全て、血の涙に染め上げたならば、
時は、永遠はその姿を変えるであろう。この地上に神の国を現わすために。)
この『神の首』というのは、詳しくは分からない。
どうも、3つの宝石をはめ込んだ置物のようなものにしいんだが…」

二条院に戻ると、紫の姿は見えず、惟光だけが源氏を迎えた。
あたりには惟光と源氏と次元の3人しかいない。
ふと見ると、惟光が金色の鈴を持っている。
源氏は惟光から鈴を受け取った。
>聞く 惟光 紫の事
惟光「そう言えば、さっきから姿が見えませんね。どこへ行ったんだろう?」
>聞く 惟光 六条の事
惟光「う、そうだ。
北山の金剛寺という所に現れたっていう知らせがさっきありました。」

北山の密教道場、金剛寺
>聞く 阿舎梨 六条の事
阿舎梨「少し前に現れたが、声をかけると逃げるように去っていった。
仏舎利塔のあたりで何かしておったようだが。
>聞く 阿舎梨 ひかりもの
阿舎梨「あれが起きたのは、たぶん、たたり森の奥じゃ。この山の向こう側じゃが、
しかし、あの森は、今は妖怪の巣になっておる。近づかぬ方が良い。」
仏舎利塔をしつこく調べたが、何も見つからなかった。
源氏はつまらなかったので塔を蹴ってしまった!
阿舎梨「何をするのじゃ!このバチあたりめが!」
仏舎利塔のまわりを調べると、
下草の茂みの中に隠すように置かれた1本の剣を見つけた。
源氏は剣を取った。
源氏「六条はこれを置きに来たのか?」

源氏はたたり森に踏み込んで行った。
うす暗く、どこか出雲の蛭鬼の森にも似て、確かに妖怪の巣らしい森だ。
源氏は奥に進もうとした。
と、突然、前方の茂みが大きな音を立てて何かが飛び出してきた!

それは出雲で出くわした蛭鬼という妖怪だった。
しかも、次から次へと姿を現わし、群れをなして迫って来たのだ!

源氏はアマノ剣を振りかざした。
剣は妖怪に反応して共振し、引き寄せられるかのように、
妖怪の体に切り込んでいった。
源氏「こ、これは!」
源氏は剣を一振りした。
いや、一振りしたつもりだったが、
気づいた時には全ての蛭鬼を薙ぎ払い、群れを全滅させていた。

森の奥。そこには頭中将に成りすました時間犯罪者と、姿を消していた六条がいた。
頭中将「源氏!どうしてここまで…そうか、裏切ったな六条!」
六条「………」
次元「そこまでだ、時間犯罪者!」
頭中将「時間局員か!…面白い、ならばあれを見ろ!」

そこに半裸の紫が、妖怪・荘精鬼に捕らえられ、気を失っていた。
六条の勢力のためか、荘精鬼はじっとして動かない。
頭中将「源氏、時間局員、面白いものを見せてやろう。
紫が、妖怪のなぶりものにされ、心臓をえぐられるところを、
じっくりと楽しむがいい!」
源氏「よせッ!」

次元「そんなことで歴史が変わると思っているのか!」
頭中将「変わるさ。この『神の首』の正体を教えてやろう。
これは特殊DNAパターンを起爆ロックとする時間子爆弾なのだ。
そして妖怪の性エネルギーを浴びた3人の月型のアザを持つ女の血が、
特殊DNAパターンを作る、というわけだ。」
次元「貴様、宇宙を破壊する気か!?」
頭中将「新しい宇宙を創造するのだ。そして私は創造神となる!
さぁ六条、荘精鬼に命じろ。紫を犯し、殺せと!」
源氏「やめろ、六条!」
六条「………」
頭中将「どうした、六条。早く荘精鬼に命じろ!
…源氏が死んでもいいのか?」
ニセ頭中将は、ニードル・ガンの銃口を源氏に向けた。
六条「‥‥い、いや!」
(やれるか?)
源氏は自分自身に問いかけた。

意を決し、源氏は突進した!
源氏の気合いに押されたニセ頭中将は一瞬遅れる…
その一瞬に生じたスキをついて次元が動く!

そして六条も…

次元の攻撃で時間犯罪者は胸を撃ち抜かれ、そして六条は、
時間犯罪者のニードル・ガンから源氏をかばいズタズタとなった。

六条「…源氏の君、ごめんなさい。私が愚かだったのです。」
六条の血に染まった胸元に1枚の鏡が覗いていた。
源氏「この鏡はもしかして…」
六条「そう…止霊鏡です。
早く、これを取って…私が死ねば、荘精鬼が暴れ出します。早く…」
源氏は六条から鏡を受け取った。
源氏が鏡を取ると、安心したように六条は息を引き取った。だが…
紫「きゃあああぁぁ!!」

六条の死で霊力の効果が消え、荘精鬼が紫を襲い始めた!
紫も同時に気づいたが、このままでは葵のようになってしまうだろう。

源氏は楊貴妃にもらった秘薬・仙桃水を荘精鬼に振りかけた!
と、突然、荘精鬼は紫を放して苦しみだし、そして…
妖怪の体から、その魂が抜け出し始めた!

さらに止霊鏡を妖怪に向けると、抜け出た魂は鏡に吸い込まれ、
妖怪の本体としての魂を失った体はみるみる溶けていった!

そしてその中から、本物の頭中将が姿を現した!

源氏「…終わったのか?」
次元「ああ、終った…」
源氏「無事か?」
紫「うん、大丈夫。でも、もう少しであんな化物に奪われちゃうとこだったなんて…
あ~ん、怖かったよぉ~!」
源氏「お前の役目も終わりだな。」
次元「ああ。どうやらこれで、未来へ帰れるかな…」

あの事件が終わってから数日。
全ては源氏と頭中将によって帝に報告され、
また頭中将が、あのような事になった経過も知れた。
それによると、あの『ひかりもの』の夜、北山金剛寺に泊まっていた頭中将は、
ふとした興味から夜中に金剛寺を抜け出し、見に行ったのだという。
そしてその途中、妖怪に追われ、森の奥へ逃げた。
そこで彼が見た『ひかりもの』らしき物体と、見たこともない姿の男。
その男が何か言ったとたんに気が遠くなり、その後は、全く分からないという。
とにかく事件は終った。
源氏は紫との正式な結婚が決まり、
血生臭い日々は、少しずつ過去のものになりつつあった。
そして今日、次元が未来世界へ帰るという。
惟光「頭中将様は、出家して仏門に入られるそうですね。
知らぬ事と言え、2人も殺してしまった罪をつぐなうために。」
>聞く 紫 次元のこと
紫「あの人、どこから来たの?何だか懐かしいような不思議な人だわ。」
>聞く 紫 鈴のこと
紫「あの鈴、だいぶ前に送られて来たんだけど、私、すっかり忘れてたの。
まぁ、それで命びろいしたんだけど。」
>移動 嵐山観音堂

次元「事件は終った。けれど結局、私は誰も救えなかった。」
源氏「次元…」
次元「朝顔も、葵も、夕顔も、そしてあの、あわれな六条も…」
源氏「次元、ひとつ聞いていいか?」
次元「ん、何だ?」
源氏「次元というのは、本当の名前か?女にしては妙な名だが。」
次元「…次元というのはコードネーム…この役目上の名前だ。
私の本当の名は、ムラサキ…と言ったら?」
源氏「え…」

ふいに次元の姿が消え、観音堂も影がうすくなっていった。
次元「源氏、私は、もう行かなければならない。
でも、その前に、おまえだけは、伝えておきたいことがある。
源氏、時間局本部がある決定を下した。
時間犯罪者により、この世界はズタズタにされすぎた。
このままでは未来に対し大きく影響してしまう。
それを避けるため時間局は、
この時代の前後1千年に渡り大規模な計画的修正を加えることにした…
この世界そのものを、ありえなかった架空の歴史にしてしまう決定を下したんだ!
…私にはこの決定を、どうすることもできない…
もう、その作業は始まっている。
もし、修正された新しい世界にお前が生まれたとしても、お前は今の源氏ではなく、
事件の事も、私の事も覚えてはいない。けれど私は…

次元の声はそこで途切れた。観音堂も跡形もなく消え去った。
(けれど私は…)
次元の泣くような声だけが、源氏の耳にいつまでも残った。

そして、婚礼の夜。

紫「んっ、あっ…あっ…源氏の君…ああっ!」
ふいに源氏は、意識が薄れていくのを感じた。
紫「あぁっ…んっ、あっあっ…」
源氏(歴史の修正が、始まっている…そうなのか?次元…)

紫「ああぁ~っ……源氏の君…」
源氏(覚えいるよ、別の世界に生まれても。紫の事。六条の事。
事件の事。この世界の全ての事。そして次元、お前の事も…)

GENJI STAFF
Scenario
TANKTOPY ISHIKAWA
Programmer
DAIGAN AIZAWA
Co-Programmer
NANDAKA TSUGANE
Graphic Design
HIROSHI YUMOTO
BINBO SHIMODA
BODYEROS KINOSHITA
Graphic Operate
DAEKSIDE KIKUCHIN
KOMIKE No1 TOKORO
BODYEROS KINOSHITA
BINBO SHIMODA
BGM Composed by
KAZUYOSHI YAMANE
BGM Data
DENJIRO KOHARA
Assistant Worker
KOBUHEI JAPAN
Directed by
NANYANEN
Produced by
PUBIS and PUBIC P
Presented by
GA夢
Copyright
HOT-B


「源氏物語」の登場人物や世界観を題材にしているが、
シナリオ自体はオリジナルになっている。
(つまり「源氏物語」のゲーム化ではない)
本作はアダルトソフトなのだが、
エロ目的でプレイするような内容のゲームにはなっていない。
また、平安時代を舞台としたエロゲーに
どこまで訴求力があったのかと言われると疑問だ。
とは言え、本作を普通のSFサスペンスとして売ったとしても、
そこまで強い売り要素も無く、
少しでもセールスを上げるためのアダルト路線だったのではないかと推測する。
同じ年に発売された「スナッチャー」や
「アンジェラス ~悪魔の福音~」と比較してしまうと、
本作はやや時代が古い感じの作りであった。
シナリオ自体はしっかりと構成されており、
特に次元と合流したあたりからの展開が面白い。











































































































素晴らしい夜景だ。












































































