ぎゆわんぶらあ自己中心派
(ゲームアーツ)
1987年4月16日/麻雀/6800円
1982年に週刊ヤングマガジンで連載されていた麻雀漫画、
それが片山まさゆきの「ぎゆわんぶらあ自己中心派」である。
個性豊かな雀士達が登場し、奇想天外な対局を繰り広げるギャグ漫画だ。
「近代麻雀」などの麻雀専門誌ではなく一般誌に麻雀漫画が連載された例は珍しい。
そんな「ぎゆわんぶらあ自己中心派」を初めてゲーム化したのが
PC8801版「ぎゆわんぶらあ自己中心派」である。
本作は4人打ち麻雀で、
雀士の顔が常に表示されており、
展開によって表情が変わったり、一言セリフが出たりするのも新鮮だった。
これまでの麻雀ゲームと大きく異なるのは思考ルーチンだ。
これまでの麻雀ゲームの思考ルーチンは、
賢い打ち方をするかどうかという観点でしか作られていなかったように思う。
だが本作は多数の個性豊かな雀士が登場する原作漫画を再現しなければならない。
単純に強い弱いだけの思考ルーチンでは不十分だ。
例えば好きな役があってその役を優先的に狙ったり、
自摸和了りにこだわって他者が和了り牌を捨ててもロンしなかったり。
ダジャレを言うために捨て牌をわざと特定の順番にしたり。
麻雀の強さとは違うベクトルでの個性をつけたのも前衛的だ。
ゴッドハンド氏の稲妻ヅモのような必殺技めいた演出も
これまでの麻雀ゲームでは考えられなかった要素だな。
このゲームでは“ツキ”という要素をプログラムで組み込んでいる。
ツキをオンにしてゲームを遊ぶと、和了り続けるほど配牌が良くなり、
振り込んでしまうとツキの効果がリセットされる・・というものだ。
「テーブルゲームは公平であるべき」という
固定概念を打ち崩した画期的な仕様だった。
ここで登場キャラクターをご紹介。
持杉ドラ夫
運A/血液型AB/技術A/総合ランクA
テクニックは一流。しかもツキがあるので非常に強い。
いろいろな手を使ってくる。
律見江ミエ
運A/血液型B/技術B/総合ランクB
運と勘にまかせてリーチをかける。
面白いように一発や裏ドラをのせてしまう。
中島ハコ
運C/血液型A/技術C/総合ランクD
ダマテンで狙い打ちすることが多く、たまにリーチをかけても、
ウスめの単騎待ちやペンチャン、カンチャン待ちが多い。
ジュンチャンやチャンタなどの役を好む。
謎のじいさん
運D/血液型AB/技術B/総合ランクC
テクニックは一流の方に入る。
特に相手の捨て牌からのアタリ牌を推定する能力はそれなりのものを持っている。
北家 拳士郎
運C/血液型AB/技術C/総合ランクC
拳士郎が北家になると高い役を指向するので、この時は彼に注意を向ける事。
鳴き麻雀を展開することはまず無いが、
役満を目指している時などには拳士郎といえども鳴く事がある。
タコ 宮内
運B/血液型O/技術E/総合ランク?
メンゼン感覚を欠いており、
さんざん場を乱しておきながら自分もノーテンということがよくある。
ゴッドハンド氏
運A/血液型?/技術E/総合ランクA
他家からアガリ牌が出てもアガらない。自分のツモによってのみアガろうとする。
店野 真澄太
運D/血液型A/技術B/総合ランクD
セオリー重視で、オーソドックスな麻雀の打ち方をする。
ピンフが好きで、攻守のバランス感覚に優れている。
強引な手作りや勝負をすることは滅多にないが、沈んでくるとツボにはまる。
オクトパシーふみ
運B/血液型B/技術D/総合ランクC
ホンイツの手牌がくるとすぐにバカホンに走る。
一色系が好きだが、多面張になると待ちや鳴き方が、
どうしたらいいかわからなくなり、とんでもない打ち方をすることがある。
貧乏おやじ
運E/血液型O/技術C/総合ランクE
ツキをなんとか自分のものにするべく、大物手を狙おうとする。
彼の家族もそれを望み、元の大金持ちになれる日を待っている。
迷彩 レディー
運B/血液型B/技術B/総合ランクB
意外性のある待ちを完成させる事を喜びとして、得点をとるよりも、
相手に振り込ませることを楽しんでいる。
迷彩が完成する度にみんなに見せて自慢する。
クリスチーネ・M
運C/血液型A/技術C/総合ランクC
アガリの役がだんだんと高くなっていくような打ち方をする。
ゲームモードは「フリー対戦」と「勝ち抜き戦」の2つ。
指導者の「あり」「なし」。
ドボンの「あり」「なし」。
一発賞の「あり」「なし」。
ウマの「あり」「なし」。
「実戦モード」or「指示モード」。
ツキの「あり」「なし」。
といったものが設定できる。
操作としては以下の通り。
キーボードのキーをたくさん使う操作設計。
このあたりはテンキーに集約しても良かった気がする。
あとプレイして気になったのは役がついてなくても和了れること。
そしてチョンボになり罰金が取られる。
これは麻雀ルール覚えたての俺様には辛かった。
続いて本作発売から約7ヶ月後に発売された続編をご紹介しよう。
ぎゅわんぶらあ自己中心派2 自称! 強豪雀士編
(ゲームアーツ)
1987年11月14日/麻雀/6800円
前作の「勝ち抜き戦」が進化し、
麻雀で勢力争いをする「タコ討伐戦モード」になった。
ただしこのモードは前作をドライブ2に入れないと遊ぶ事が出来ない。
メインのゲーム画面は一緒だが、
麻雀卓は全自動に進化w
あとなぜかキャラ紹介画面が無駄にワイヤーフレーム演出になっている(^^;
漫画を読んでないと理解出来ないと思うが、メンツにソニー君がいると、
配られる牌がベータ牌とVHS牌に変化するw
どちららかに絞らないと和了れない。
原作ではギャグでやってた事を実際にゲームにしちゃうんだから凄い。
ではキャラ紹介。
前作をドライブ2に入れれば前作キャラも選べるので、
総勢24名となる。
勝ち過ぎ金蔵
全自動の狼
ブラックザンク
クララ
カリフォルニアレディー
ソニー君
かおりちゃん
バッドハンド
献血のお由紀
ヤーメネーター
ハルタン星人
そして、2作目から1年1ヶ月後に登場したシリーズ最終作。
ぎゅわんぶらあ自己中心派3 望郷さすらい雀士編
(ゲームアーツ)
1988年12月16日/麻雀/6800円
特に本作ならではの要素は無し。
そればかりか「タコ討伐戦モード」が無くなり、
フリー対局のみになっている。
1作目と2作目を持っていると総勢34名の雀士と対局できるのがウリだが、
本作単品で買った人は割高過ぎて泣ける。
追加キャラも前作より2体少ないし。
ジニアス斎藤
早乙女牌
哭きのカバ
武田震源
カラポン
E.T.
ケケケの北郎
CHONCHON
片ちん大王
ババプロ
原作漫画の特徴としては他作品のパロディが多い事もあり、
ケンシロウ、ターミネーター、ガラモン、鬼太郎、クララ、
バルタン星人、小泉今日子、森田健作(なぜ本名?)・・など、
まるでオールスターゲームのような豪華さも魅力となっていた。
(今だったら版権や肖像権が問題になって作れなそうだけどw)
とまあ、こんな風に
麻雀ゲームのパラダイムシフト的作品であるわけだが、
ここで驚くべき事実を一つ。
本作をプログラムしたイエローホーン(小松田裕一)さんは、
本作開発時、麻雀のルールを知らなかった!
麻雀解説本を読みながらプログラムしたという。
天才かよ(^^;
ちなみにイエローホーンさんには実際にお会いした事があり、
そのときにサインを頂いた。家宝。