「鍵穴殺人事件」シナリオログ


鍵穴殺人事件
シンキングラビット
PC-8801
1983年10月
7800円

 


1982年12月に設立された有限会社シンキングラビットは、
パズルゲームの傑作「倉庫番」でデビューする。
そして翌年の10月に発売された2作目が本作で、
それはパズルゲームではなく、
推理ミステリーを題材としたアドベンチャーゲームだった。


スコットランドヤードに奇妙な依頼が舞い込んだ。
殺人予告を受けたので護衛をお願いしたいというものだ。
依頼者の名前はギルズ・ウィルコック
世間でも名の知れた資産家である。
早速、郊外にある彼の別荘へと急行して抜かりなく配置に着く。
殺人予告時刻は午前0時。
ウィルコック氏は二階の書斎で、
そして刑事である貴方は書斎のドア前で待機した。
別荘にいるのは「秘書」「メイド」「コック」「客」「使用人」、
そして、貴方とウィルコック氏の7人。
誰もが緊張した面持ちで時間が過ぎるのを待った。
予告時間の0時直前、部屋の中から銃声と悲鳴が聞こえた。
ドアは鍵がかかっていて開けられない!
とっさに鍵穴を覗いた貴方の目に見えたのは……。
(マニュアルより)

 


主人の部屋の前です。

基本的には動詞+名詞のコマンドをカナ入力で進める。
屋敷内はテンキーの2、4、6、8で東西南北に移動したり、
ウエ、シタといったコマンドで階を移動したりする。
手に入れた所持品は画面右に並ぶ。


大変だ。主人が倒れている・・・


本棚のある2階の西の部屋です。
踏み台を取ります。

「ヒント集1」読む
大事な動詞 トル、ミル、ツカウ、ウゴカス、キル、メクル、
モドス、クム、シメル、アケル、ノボル、ノゾク、オリル、
ミセル、キク、ヨブ、ノセル、シラベル…etc。

「ヒント集5」読む
証拠品は全部で20あります。
パスポート、カビン、カギ3ケ、ペンダント、ホウチョウ、ナイフ、
ドクヤク、カミ、ニッキ、カビン、ユビワ、フミダイ、ロープ、
ミズ、ピストル、ガウン・etc。

「鍵穴殺人事件」読む
もう出来たの?なに…いまやってる最中だって!?
頑張るように!!

 


ここはホールです。




ここは1階の書斎です。
花瓶を取ります。
花瓶を振るとカラカラ音がします!


こんなところにカギがありました!
カギを取ります。

 


西にある小さな部屋にいます。

 


バスルームにいます。


浴槽に栓をしました。
水を浴槽に貯めて水を汲みました。

 


ここは廊下です。




机のある小さな部屋にいます。
変な箱があります!!
コインを入れるような穴があります。
あっ!曲が流れ出しました‥
これはオルゴールのようです!
この曲はどこかで聴いた…そうだシンキング・ラビットのテーマ曲だ!!

 


ここは使用人の部屋です。


踏み台に乗って棚の上を見るとロープが置いてあります。
ロープを取ります。

 


2階の南側の部屋にいます。

 


ここはベッドルームです。


ベッドにフタがあります!


下に部屋が見えます。
ロープを下ろしました。

 


ここはリビングルームです。


釘抜きが落ちています。
釘抜きを取ります。

 


あっ!!主人の死体が無くなっている!

 


ここは主人の部屋です。


日記があります。
日記を取ります。


1950年9月5日のページが破り取られています!


こんなところに紙が落ちています・・・どうやら日記のページのようです。
紙を取ります。

 


とても古そうな時計です。


12時5分で止まっています。
針を動かします。
危ないっ!・・・針先が尖らせてある!
しかも毒が塗ってあるぞ!!
毒を拭いて針を戻しました。


あっ!暖炉の奥の壁が開きました!!

 


下へ続く階段があります。
ピストルを取ります。

 


ここは台所です。

 


ここはコックの部屋です。
包丁を取ります。


血がついています!
これは人の血ではありません! 


冷蔵庫を開けます。
大きな肉の塊があります。


あっ!中からカギが出てきた!
カギを取ります。


こんなところに階段があります。

 


地下室の前にいます。

 


ここは地下室です。
ガウンを取ります。

 


いまガレージにいます。
パスポートが落ちています。
パスポートを取ります。


釘抜きで床を剥がすと、主人の死体があります!!
間違いなく主人の死体です!
死因はナイフのようなもので腹部を刺されています!!
ペンダントが落ちています。
ペンダントを取ります。


ハート型のペンダントにSとRの文字が書いてあります。


主人の死体の下に白骨死体がありました!!


指輪をしている!!
指輪を取りました。


内側にJ.Sと書いてあります。


ここは秘書の部屋です。
変わった置物があります。


紙切れがあります。
紙を取ります。


ウェールズ地方の古い言葉で書かれてあるので読めません。


天秤を持っている天使の像です。


天秤に花瓶を乗せました。

 


タンスの向こうは階段になっています。
ペンダントが落ちています。
ペンダントを取ります。


何か書いてあります。

 

使用人を呼びました。


はい。なんでしょうか?
名前は?「私はハロルド・ゲインです」
年は?「えっと‥54歳です。」
血液型は?「血液型ですか?‥えーっとA型です」
仕事は?「この家の雑用をしています」
アリバイは?「自分の部屋で寝てました。」
家族は?「8年前妻が死んでから一人です‥。」
生まれは?「生まれはウェールズですが‥」
いつから?「ご主人がウェールズにいるときからお使えしております。」

紙みせる
「これは出生証明だな‥や、やっ‥
ジョン・ロリンズがウィルコックの息子だという証明書だぞ…!」

釘抜きみせる
「これは2・3日前にジョンに貸したままでした‥」

日記みせる
「これは確か主人のものだったと思います。」

ピストルみせる
「これは確か主人のピストルです。」

日記の紙みせる
「ううっ‥‥恐ろしい事だ…。」

前の秘書の名前聞く
「えーっと確かジェームス・シンプソンだったと思います。」

 

メイドを呼びました。


はい。なんでしょうか?
名前は?「私はメアリー・スチュワートと言います。」
年は?「いま23歳ですわ。」
仕事は?「普通のメイドの仕事です。各部屋の掃除やその他の雑用です。」
アリバイは?「自分の部屋にいましたわ。」
家族は?「両親はいません…たった一人だけ兄がいますが5年前かに行方不明なんです…。」
生まれは?バーミンガムです。」
いつから?「4年前からですわ。」

ペンダント1みせる
「そのペンダントはジョン・ロリンズに貰ったものです。
それに彼からこんなものを預かりました‥
(ナイフがテーブルの上に置かれる)
でもこれは何かの間違いです。彼はそんな事をするはずがありません!」

ペンダント2みせる
「先ほど言った通りですわ。それはジョンに貰ったものです。」

指輪みせる
「…………黙秘します!」

日記の紙みせる
急に真っ青になり今にも倒れそうです‥。


ナイフを見ます。
ナイフについている血はO型です!

 

コックを呼びました。


はい。なんでしょうか?
名前は?「私はマック・ピーターソンと言います。」
年は?「36歳です。」
血液型は?「血液型ですか?‥えーとA型です。」
仕事は?「普通のコックの仕事です。ここへは毎日通っています。」
アリバイは?「台所で後片付けをしていました。」
家族は?「妻と子供が3人おります。」
生まれは?「ブライトンです。」
いつから?「私が来るようになってから2年経ちます。」

包丁みせる
「これは私の包丁です‥肉を切る包丁です。」

カギ2みせる
「すみません。カギは私が隠しました。
ウィルコック氏は殺されたように見せかけて、
殺人者の手から逃れるつもりで一芝居うったのです。」

 

秘書を呼びました。


はい。なんでしょうか?
名前は?「私の名はジョン・ロリンズです。」
年は?「27歳です。」
血液型は?「血液型はB型です。」
仕事は?「ごく普通の秘書の仕事です。でも主人は秘密が多く私の知らない事も多くありました。」
アリバイは?「じ・・自分は部屋で寝てました‥。」
家族は?「母は3年前に死にました。父は私が小さい頃………。」
生まれは?ウェールズ地方です。」
いつから?「ここに来てから4年と半年になります。」

日記の紙みせる
「この秘書というのは誰の事ですか?私のイニシャルはJ.Rですから。」

ナイフみせる
「こ‥これは!?私のものです。実は私はウィルコックの息子なのです!
彼の遺産を狙っていました。でも出来なかった……
私は殺してません!!
こ‥このカギを‥‥」

 


ここは女中の部屋です。


毒薬を取ります。
どうやら強力なシビレ薬らしい。

 

再びメイドを呼びました。


はい。なんでしょうか?

毒薬みせる
「主人の部屋を掃除するときに時計の針にこれを塗るようにジョンから貰ったものです。私を疑ってるのですか。」

兄の名前きく
「はい。兄の名前はジェームス‥‥ジェームス・スチュワートと言います。」

本名きく
「ど‥どうしてわかったのですか!?
実は…メアリー・シンプソンと言います。」

指輪みせる
「‥‥すみません‥全てお話しします…‥
実は主人は私が殺しました。
もうおわかりだと思いますが、
ウィルコックの死体の下にある白骨死体は兄なのです‥‥。

兄は5年前に行方不明になったときウィルコックの秘書をしていました。
私は兄の手掛かりを探すために女中としてここに来たのです。
偽名を使っていたのはこのためです。
ここに来てから色んな事がわかりました……。
ウィルコックはかなり悪どい事をしてきたようで
恨んでいる人も沢山いるみたいでした。

スパイや人殺しもしているのです!
兄はそれをネタにウィルコックを脅迫していたのです……。
私は偶然ウィルコックの日記からそれを知ったのです。
そしてウィルコックが兄をどうかしようとしていた事も…。
それからしばらくして私はついに兄の死体を見つけたのです。
そうですウィルコックに殺されていたのです!
私は兄の復讐を心に誓いました。
そんなとき今の秘書のジョン・ロリンズも
ウィルコックに恨みを持っている事を知りました。

彼はウィルコックの実の息子なのです!
ウィルコックは生まれてまもない息子と母を捨てたのです!
彼は母が亡くなるときにその事を聞き、名前を変え、ここに来たのです!
実は父親に復讐するために!!
ウィルコックは有能な秘書が拾の息子である事は全く知りませんでした。
私は彼に近づきました。彼を利用するためです…。
うまく彼に近づいた私は、彼と結婚する約束をし、
二人と二人の将来のためにウィルコックへの復讐を彼に持ちかけました。
彼もかなり憎んでいたらしく、話もすぐに乗ってきたのです!
えっ?本当に結婚するつもりだったかって?
もちろんですわ。
彼には莫大な遺産が入るんですもの………。
そして私達の復讐を実行したのです。
まず私が主人に殺人予告状を終わりました。
案の定主人は高跳びを考え始めました………。
そこで‥
どうせ高跳びするなら二度と命を狙われないように
一芝居うって殺された事にしてはいかがですか…とジョンに言わせたのです。
主人はいい考えだと計画を立てました。
計画はあなたの目の前で殺されたように見せかけ、
秘密の通路を使って抜け出し、台所の抜け穴から脱出をする事だったのです。
コックの役割は主人が台所に現れると、
彼をガレージまで送り、カギをかけ、そしてそのカギを隠すことでした。
それから秘書のジョンがガレージから外へ送り出すようになっていました………。
そのチャンスを私達が見逃すはずがありません。
私達は準備を始めました…。
かねてから手に入れてあった毒薬を書斎の時計に塗り、
ガレージの板に細工をしました。
えっ?探偵がいるときに殺人などすると調べられてすぐ捕まるじゃないかって?
そんなこと簡単ですわ、殺して隠したあと
取り調べの時に主人は殺されるのを恐れて逃げたと告白すればイイのですもの。
コックも客も同じことを言うでしょうし、その証拠もたくさんあるでしょう……。
でもたった2つだけ誤算がありました‥‥。
一つは最後の土壇場でジョンが毒で痺れている実の父を殺す事が出来なくて
ナイフを落とし逃げてしまい‥
そのために私が主人を殺さなくてはならなくなった事…………。
そしてもう一つはあなたが優秀だった事ですわ…………。

END

Thank you for your adventure mind.
We admire you as an excellent detective.
We hope to see you again.

#1 KEY-HOLE MURDER
presented by soft office THINKING RABBIT co.,ltd.

stuff
Hiroyuki Imabayashi
Matsuhiro Ohno
Yasumasa Shinkawa
Koji Yamasaki
Kiyoko Imabayashi

Special Thanks
Kanji Inomata
Kensaku Arai
Hitomi Kamasu

※このあと自白がループ。
(読み飛ばしてしまった人向け?)

 

このシナリオログを書き終えて、
頭を抱えてしまった事がある。
ここまでの画像を見て頂いてわかると思うが、
このゲームは白黒の線画で構成されている。
・・と思っていた。
ところがゲーム中にコマンドで「イロ ツケル」と入力すると
面に色がつく事が判明したのだった。(^^;

 

ゲームは「ミステリーハウス」から続く建物の中を探索するタイプ。
本作がそれまでのアドベンチャーゲームと違ったのは、
本作の目的は殺人事件の捜査であり、
いつでも関係者を呼んで尋問する事が出来た点だ。
その構成は堀井雄二さんのポートピア連続殺人事件を思い出すと思うが、
ポートピア連続殺人事件」の発売は1983年8月。
本作の発売はその2ヶ月後の10月である。
当時の開発スピードから考えると、
参考にしたかも知れないし、偶然一致しただけかも知れない。

探索中のテキストは無味乾燥とした簡潔なものであるのに、
ゲームクリア後の犯人の自白となると
物凄いテキスト量で事件の真相が語られるのも新鮮だった。

このゲームをきっかけにシンキングラビットは、
ミステリーアドベンチャーゲーム
それもコマンド入力式に拘ったゲーム作りへと傾倒していく。

 


余談であるが、本作「鍵穴殺人事件」はリメイク作が作られる計画があった。
そのタイトルは「映画『鍵穴殺人事件』殺人事件」
作の内容自体が映画の中の話として展開し、
最後に映画を鑑賞して
いる主人公が事件に巻き込まれるという内容だったらしい。