やっぱりセガが好き第103回「夢幻戦士ヴァリス」


夢幻戦士ヴァリス
日本テレネット(RIOTブランド)
1991年12月27日/アクション/8400円

 


夢幻戦士ヴァリス」はパソコンゲームから始まった
女子高生を主人公にしたサイドビューのアクションゲームだが、
PCエンジンのCD-ROM向けタイトルとして「ヴァリスII」をリリース。
パソコン版「夢幻戦士ヴァリスII」と同時期に別のチームで開発していたため、
パソコン版の移植ではなく、
世界観を共有するオリジナルゲームとして構成されていた。
女子高生が戦う世界観は、ボイス入りアニメーションによるデモシーンと相性が良く、
CD-ROMゲームタイトルとしての存在感を示す存在となった。
そうしてPCエンジンでは「ヴァリスIII」「ヴァリスIV」と続編が作られ、
最後には1作目のストーリーを補完する形で
夢幻戦士ヴァリス」のリメイク作がリリースされた。
(PCエンジンではその後「ヴァリス ビジュアル集」というのも出ていた)

さて、メガドライブではどうだったかというと、
1991年3月22日にいきなり「ヴァリスIII」がリリースされる。
半年前にPCエンジン版が発売されているので、
移植が一番やりやすかったからだろうか?
その年の年末に発売されたのが本作「夢幻戦士ヴァリス」だ。
流れ的にこちらもPCエンジン版の移植と思われがちだが、
PCエンジン版「夢幻戦士ヴァリス」は1992年3月19日発売なので、
本作よりも後の作品という事になる。

 


「変な天気・・・。さっきまでは晴れていたのに・・。」


「そういえば、昨日はあの夢みなかったな・・。」

 


「遠くから誰かに呼ばれる夢ってなんの象徴なんだろ・・・。」

 


「あら・・?もうやんでる。ホントに変な天気・・」


「雨宿りのついでに居眠り?」

 


「!麗子!あなたこそ傘なんかさして・・。雨はもうやんだわよ。」

 


「いいのよ、どうせまたすぐ降るんだもの・・・
そうか・・あなた、もう少しそこで雨宿りしていた方がいいかもね・・。
家には帰れないでしょうけど、少なくとも雨には濡れなくて済むわ。」

 


「・・・・?あなたこそ、早く家へ帰ったら?
だいたい、こんな方向違いの所になぜいるのよ!?」

 


「挨拶にきたのよ。お別れのね・・。
ちょっと遠くへ行かなきゃならないの。
もっとも、あなたとはどこかでバッタリ出会うことになるかもしれないけど。」

 


「・・・?何を言っているの?何のこと!?」

 


「フフッ・・そのうちわかるわ・・。じゃあね、優子、さようなら。
あなたの無事を祈っているわ。」

 


「なによ、ヘンな人!訳のわからないことばかりいって!」

 


「キャーッ!」

 


「誰か、誰か、助けてーッ!!」

-ヴァリア-
「優子、これを受け取りなさい!」

 

オープニングは説明不足に思えるパソコン版と比べると、
ちゃんと優子が剣を受け取るシーンを追加してステージ1冒頭へ繋げている。
またキャラクターデザインは
PCエンジンでのシリーズのものにリライトされているので、
イメージが随分と違ったものに感じる。
(と言ってもこのオープニングの中でもデザインにバラつきがあるけど(爆))

 


方向ボタンで左右移動、しゃがみ、上を見る。
Aボタンでスライディング、Bボタンで攻撃、Cボタンでジャンプ。


スライディング中も無敵では無いので滅多に使わないのだが、
スライディングしないと渡れない場所などがある。

上ボタンを押しながらジャンプするとより高くジャンプできる。

 


攻撃はジャンプ中やしゃがみ中でも可能。
上ボタンを押しながら攻撃すると魔法が発動する。
魔法は6種類で、スタートボタンでポーズメニューを開き切り替える事ができる。
(ステージボスを倒すごとに1種類増える)
魔法はMPを消費し、足りないと使えない。
それぞれ消費量が異なる。

EARTH QUAKE(消費MP:6)
空中にいる敵には効果が薄い。

ICE FEATHER(消費MP:8)
氷のボールを左右に2つ出し、そのボールが破裂して氷の羽根を8方向に飛び散らせる。

FLAME RING(消費MP:10)
数秒間、炎の玉が身体の周りを回転する。触れた敵にダメージを与え、敵の弾も防ぐ。

TORNADO(消費MP:12)
左右に竜巻を走らせる。竜巻は平行にしか移動しない。

GIGA THUNDER(消費MP:14)
天から稲妻を走らせ、画面上全ての敵にダメージを与える。敵の弾も消す。

DEATH FLASH(消費MP:18)
ボスを除く全ての敵を一掃する。

なお、魔法はイマイチ使えないものが多い。
ボス戦のサポートぐらいの気持ちで使うのが良いだろう。

 


カプセルを斬るとアイテムが出現する。
小回復、大回復、小MP回復、大MP回復、1UP、武器・・である。
この武器の入手が超重要である。
武器は以下の5種類が存在する。

BULLET
強化すると剣の先から連射可能な弾が出る。

LASER
強化すると剣の先から貫通力のあるレーザーが出る。

ALLOW
強化すると剣の先から敵を追尾する矢が出る。

CUTTER
強化すると剣の先から幅が広く攻撃力の高いカッターが出る。

GRENEDE
強化すると爆弾を投げる。

それぞれ同じものを取り続ける事で3段階まで強化可能。
どの武器がそのステージのボスに有効かを考えて進めば良いわけだが、
このシステムに罠がある。
違う武器を取ってしまうとレベルが1段階目に戻ってしまうのだ!
つまりボス戦直前で違う武器を取ると弱体化した状態で戦わなければならない。
このゲームでボスに勝つ一番の条件は武器をレベル3にする事なので、
武器の取得は計画的に行おう。

 




ステージ1のボスは暗黒王ログレスの配下、暗黒五邪神・地邪ガイーダ。
クリアするとFANTASM JUELYを手に入れる。

 


「・・いったい何が起こったの?
・・・夢・・そうよ、私、悪い夢を見ているんだわ。
もう少したてば、目が覚めてあのお店の軒下に立っているのよ・・。
きっとそうよ、そうに決まってる!」

 


「夢幻界へようこそ、優子。ヴァリスの戦士よ・・。」
「その声・・!!私を・・・私を呼んでいたのはあなただったの!?」

 


「そうです。私の名はヴァリア。
そして、ここは夢幻界というあなた方の住んでいる世界とは別の次元です。」

 


「いったい何のことなの?わからないわ!
ねぇ、これは夢でしょう?お願い、夢だと言って・・!!」

 


「突然の出来事で、すべてがあなたの理解を越えているでしょう。
でも、これは夢ではないのです。
人の心の中にある“明”と“暗”。そのバランスが崩れてきています。
現実界で起きている戦争などの暗い出来事・・。
それらは全て、人の心の“暗”に作用する“ヴェカンタ”という力のせいなのです。」

 


「ヴェカンタ・・・?」

 


「そうです。そして、その力を操っている張本人は
こことはまた別の次元、暗黒界を司る邪悪な王、ログレス!!」

 


「ログレス・・・?!」

 


「ログレスは“明”の力の源をファンタズム・ジュエリーという宝石の中に閉じ込め、
いくつかに砕き、配下の暗黒五邪神と呼ばれる者達に守らせています。
ログレスを倒すためには、バラバラになったファンタズム・ジュエリーを一つにし
“明”の力を解放しなくてはなりません。
もう私一人ではどうにもなりません。お願いです、優子。
あなたの力を貸してほしいのです。」

 


「・・そんな・・勝手すぎるわ!私には関係ないでしょう?
早く家に帰してちょうだい!!」

 


「何ということを・・戦士がヴェカンタの力に侵されているなんて・・・
向こうではすでに戦士が誕生したというのに・・・」

 


「これ以上の問答はあなたの中のヴェカンタを増殖させるだけ・・・
この先は、手にいれたファンタズム・ジュエリーがあなたを助けてくれるはずです。
このまま行って下さい、優子。」

 


ステージ2は氷の世界。
ステージ2からはヴァリススーツの姿で戦う事になる。

 

 


ステージ2のボスは暗黒五邪神・水邪ギーヴァ。
ステージ2クリア時はビジュアルシーン無し。

 


ステージ3は溶岩地帯。

 




ステージ3のボスは暗黒五邪神・炎邪ベノン。
ステージ3クリア時もビジュアルシーン無し。

 


ステージ4は岩山。

 




ステージ4のボスは暗黒五邪神・風邪アイザード。
ステージ4クリア時もビジュアルシーン無し。

 


ステージ5は神殿。

 


余談だが、武器の中ではこのALLOWが一番使いやすい。
レベル3にすると一度に5本の矢を放ち、精度高くホーミングする。
つまり避けに専念しながら攻撃できる。

 


ステージ5のボスは暗黒五邪神・雷邪ヴォルデス。
とうとう暗黒五邪神か絡むビジュアルシーンは一つも無かった。(^^;

 


ステージ6は森。

 




急に麗子が上から降ってきていきなり戦闘に。
ハッキリと麗子が相手側の戦士だと判明したシーンも無いままに戦うけど、
ここは戦闘前にビジュアルシーンを入れた方が良かったんじゃ・・。

 


「麗子・・・」
「助けられる覚えはないわ・・。早く・・とどめを刺しなさいよ・・。」

 


「麗子・・あなた、今、わざと・・・」

 


「何いって・・るのよ。あなたじゃあるまいし・・
私は戦い敗れた・・だから死んでいく・・
それでいいじゃない・・。」

 


「また、そんな・・意地っぱり!あなた本当はそんな人じゃないわっ!」
「なんで、あなた、そんなこと・・いえるのよ・・。」
「だって、私達、友達じゃない!」

 


「・・いつもいじめてたのに・・?そんな嘘・・つかなくていいわ。」

 


「嘘じゃないわっ!!少なくとも私にとっては大切な友達よ!」

 


「おっきな声出さないでよ・・・傷に響くわ・・
・・優子の両親は仲がいい・・?」
「えっ?ええ。」
「でしょう・・ね・・。あなたを見てるとわかるわ・・。」

 


「わたしは・・全然反対。家はバラバラ、友達もいない・・。
少しぐらいお金があったって・・・ちっとも・・楽しくなかっ・・た。
幸せそうな人を見ると・・・うらやましくて・・意地悪ばかり・・していたわ・・。
人を出し抜いて・・人の上に立って生きてやる。
そんなことばかり・・考えてたの・・・。」

 


「・・?・・麗子・・なにを・・?
麗子!もうこれ以上話しちゃだめ!お願い・・・!」

 


「だから・・ログレスの誘いにも・・のったの・・・フッ・・でも・・
本当は・・逃げたかっただけ・・。もう、どうでもよかったのよ・・。
逃げられるだけ逃げて・・とうとうこんな所で死ぬハメになった・・わ。」

 


「馬鹿なこと言わないで!きっと・・きっと私が助けてあげる!」

 


「・・泣いてくれてるの・・?私のため・・に・・?
じゃあ・・本当に・・友達になれたの・・かな・・私・・。」

 


「ええ・・ええ・・!今までだって・・これから先もずっと・・よ・・!」
「・・暗くなって・・きた・・わ・・あなたの顔が・・もう・・よく見えない
・・・さよう・なら・・ゆう・・こ・・あ・り・が・・と・・・う・・・。」

 


「麗子!麗子ーっ!!れ・・い・・なぜ・・?!なぜ私達がこんな・・!」

 


「愚か者めが!くだらん情なぞに流されおって!まぁ、よい。
そんな小娘などはじめからあてにしておらぬわ!
どうした?くやしいか?ならば、余の城まで来るがよい。
お前のいう、友情とやらの力がどれ程のものか見せてもらうとしよう
待っているぞ、ヴァリスの戦士よ・・気長にな・・フハハハハハハ!!」

 


「許さない・・・!お前は・・必ず・・私の手で・・!」

ボイスが無いので“間”をテキストで表現しなきゃいけないのはわかるけど、
“中黒”多様し過ぎなんじゃないかなぁ。(^^;
あと優子は特に友情パワーをアピールしてないけど、
ログレスは何を言ってるんだw


最終決戦となるステージ7はログレスの城。

 




ログレス登場。やはり特に会話なく戦闘が始まる。

 


ある程度ダメージを与えるとログレスはマントを脱いで本気を出す。
まあでも、最終ボスにしては地味である。

 


「・・夢・・」


「じゃない・・のね・・。」

STAFF

(企画)
菊池 栄二
三浦 猫

(キャラクターデザイン ビジュアル原画)
鍋島 修

(プログラム)
小宮 厚
田中 靖久

(デザイン)
甲斐 浩昭
墳崎 一也
澤村 宏志
佐々木 俊也

(音楽)
湯浅 稔
甲斐 浩昭

(宣伝企画)
吉岡 孝夫
大野 勝久
三浦 遊馬

(プロデュース)
湯浅 稔

(エグゼクティブ・プロデューサー)
福島 次郎
福島 和行
福島 雄二

(SPECIAL THANKS TO)
福島 孝
山本 雅康
小川 史生
五島 堅二
松本 孝明
小松 一
松澤 惣吉
五十嵐 章
大石 裕一
勘解 佳子

(株)ADファクター
太田 正
清水 信宏
溝上 明子

(株)創通エージェンシー
下坂 圭
(株)ビジネスサポート
ホロン・インダストリ(株)

(株)日本テレネット

 

PCエンジンで人気となり4作目まで作られたヴァリスシリーズだったが、
この当時、1作目をプレイするにはパソコン版かファミコン版を遊ぶしかなかった。
それらはすでに入手困難な上に難易度激高で、
ストーリーを補完するには難儀であった。
そんな1作目をリメイクして現行機で遊びやすくする事は必然であった。
やはり期待されるのはパソコン版では説明不足だったシーンが
改めてビジュアルシーンという形で演出し直される事で、
メガドライブ版もROMの小さな容量の中で
質の良いビジュアルとともに役目を果たせていたと思う。
難易度もサンドバッグ状態のパソコン版と比べると
ちゃんとクリアさせる気のある設計で、もはや別ゲームだ。

ただし、約3ヶ月後にリリースされるPCエンジン版は
ボイスが収録されているだけでなく、
メガドライブ版からビジュアルシーンがさらに追加されており、
完全版となっている事は否めない。
ストーリーを補完する意味ならばPCエンジン版を選ぶべきだと思う。

ログレスを倒した直後、
パソコン版にあったログレスと優子が思想をぶつけ合うシーンは、
メガドライブ版ではカットされ、PCエンジン版ではちゃんと演出されている。
その点をとってもストーリーの補完として十分ではない。

 

このあとメガドライブは「ヴァリスII」を題材としたタイトルがリリースされるが、
そのまま移植したのではもはや価値が見出だせないと思ったのか、
「SDヴァリス」というデフォルメのかわいさを売りにしたタイトルになるのである。