88ゲーム回想録(61)「夢幻戦士ヴァリス」


夢幻戦士ヴァリス
発売元:日本テレネット
発売時期:1986年12月
定価:7800円
対応機種:PC-8801mkIISR以降
ディスク2枚組
ジョイスティック対応
FM音源対応

 


パソコン雑誌「ログイン」での企画「ゲームオリンピック」。
これは各ゲームメーカーから本企画用のゲームプログラムを集い、
競い合わせようというものだった。
ウルフチームではこの企画用に
「スケ番不良伝説というアクションゲームを作っていた。
ウルフチームとは、日本テレネット内の開発チームの名前である。
日本テレネットはこのプログラムの製品化を推進。
それが「夢幻戦士ヴァリス」となった。

 

雨がやんでる・・・いつの間に・・・?

嫌な天気・・・
そう言えば・・・昨日はあの夢見なかったな・・・

遠くから誰かに呼ばれる夢って・・・何の象徴なんだろ・・・
フロイトは何か言ってたっけ・・・?
!麗子!

雨宿りのついでに居眠りなんて・・・いかにもあなたらしいわね、優子。

麗子こそ、傘なんかさして・・・雨はもう降ってないわよ。

ああ、これ?いいのよ、別に。またすぐ降るんだもの。
・・・そうか、だったらもう少しそこで居眠りしてた方がいいかもね・・・
少なくとも雨には濡れないわ。家へは帰れないでしょうけど・・・

?・・・あなたこそ早く家に帰ったら?
だいたい方向が逆じゃない。なんでこんな所にいるの!?

挨拶に来たのよ、お別れのね・・・ちょっと遠くへ行かなきゃならないから・・・
もっとも、あなたとはどこかでバッタリ出会う事になるかも知れないけど、

一応は・・・ね。

?・・・何を言っているの?なんのこと!?

フフッ・・・じゃあね優子、さようなら。あなたの無事を祈ってるわ。

なによ、あなたがどこへ行こうと知るもんですか!
・・・でも・・もしあれが予知夢で、声の主が麗子・・・・・・
バカみたい、そんな事ある訳ないもの・・・。
・・・じゃあ・・・誰・・・?

 

ゲームが始まると、剣を持った優子が突然空から落ちてくるw
学校の前で着地すると、いきなりサイドビューのアクションが始まる。
オープニングで麗子とのやりとりがあった後の説明不足感凄い(^^;

ゲームはサイドビューで全方向スクロール。
ジョイスティックで操作可能。
十字ボタンで左右移動、しゃがみ、ジャンプ。二段ジャンプが可能。
攻撃ボタンを押すと剣を振る。


武器強化アイテムを取ると剣から弾が出たりする。
ただし、武器強化アイテムは取るときに体力ゲージが大幅に減る。
体力の少ないときに取ると致命傷だ。

ちなみに体力ゲージの横に「LEVEL」と書かれているものは、
RPGなどで成長度合いを表す「レベル」ではない。
体力ゲージの本数だ。
体力ゲージが尽きると、レベルを消費して新しいゲージが現れる。
レベル0でゲージが無くなるとゲームオーバーだ。

さて、このゲーム。
ゲームがスタートするなり、四方から敵がワラワラ湧き出てきて、
さらにバラバラと弾を撃ってくる。
優子は避けるしかないのだが、
ジャンプ中の制御も効かないので
敵の弾を避けるには敵が出現する場所から出来るだけ早く逃げるしかない。
また、敵の攻撃を受けると優子は左右どちらかに吹き飛ぶ。
吹き飛んだ先で足場が無く、そのまま落ち続けるなんて事もしばしば。
吹き飛んでいる間は操作不能なので、ストレスしかない。
とにかくゲームとして難しくし過ぎて面白さを感じない。

攻略としてはとにかくザコ敵から逃げつつ、
マップのどこかにいるボスを探し出すこと。

あとこのゲーム、BGMのクオリティがもの凄く高い。
小川史生さんの名曲を聴くためだけに定期的に起動してしまう。

理不尽な難易度の本作をプレイする原動力は何かというと、
ビジュアルシーンを見たいがためだ。
オープニング段階ではなぜ優子が戦わなければならないのか?
麗子はいったい何者なのか?
まったく明かされていない。
それも気になるし、何よりアニメのように描き込まれた
優子のまだ見ていないビジュアルも拝みたい。
そういう思いで苦行に立ち向かったのであった。
結局、エンディングまで到達した事無いけど。(^^;

 

同じ思いで苦虫噛み潰している諸君に耳寄りな情報。
このゲームでは、高い難易度を乗り越えるための裏技が4つ用意されている。
これを使えば絶対にクリアできるというものではないが、
少しは手助けになるであろう。

コンティニュー技
『GAME IS OVER』と表示されているときにF1キーを押す。

無敵技
ステージプレイ中にHELPキーを押すと15秒間無敵になる。
ただし、1ステージに1回しか使えない。

面セレクト技
タイトル画面でカナキーをロックし、
SHIFTキーを押しながらQキー+Zキー+Iキーを押すと、

1~10面の好きなステージから始める事が出来る。

最強装備技
ゲーム中にカナキーをロックし、
Tキー+Uキー+Qキー+@キーを押すと最強装備になる。

 

企画
WOLF TEAM

原作
林 浩樹

シナリオ
林 浩樹
三橋 幸雄

シナリオ協力
秋篠 雅弘

プログラマー
メイン
秋篠 雅弘
サブ
塙 克
協力
山本 雅康
穴沢 友樹
佐藤 修
飯塚 伸哉

音楽
ディレクター
小川 史生
作曲・編曲
小川 史生
システム設計
佐藤 修
制作
秋篠 雅弘
山本 雅康
穴沢 友樹
エフェクト
秋篠 雅弘
山本 雅康

グラフィック
ディレクター
林 浩樹
デザイン
林 浩樹
田中 剛
鳥海 弘
磯田 耕治

特殊効果
塙 克

タイトル
林 浩樹

協力スタッフ
デザインワークス
高橋 充
高橋 誠
喜安 大祐
椎野 真一
田中 剛
鳥海 弘

ワークス
吉嶺 豊彦
菊池 栄二
南屋 武広
保坂 亨
磯田 耕治

制作協力
福島 次郎
福島 和行
福島 勇二
伊藤 次郎
伊達 直彦
福島 孝
沓沢 朋子
越後 玉穂
渡辺 直美

プロデューサー
林 浩樹

制作
WOLF TEAM

著作・配給
日本テレネット


スタッフロールを見ると当時のパソコンゲームにしては大人数での開発に思えるが、
同じ人物が何度もクレジットされているので、
実質、開発実務を行ったのは16名ほどだ。
(それでも多い方だと思う)

夢幻戦士ヴァリス」を生み出したのはウルフチームであるが、
ウルフチームが会社として独立したのは
1987年11月の発売された「YAKSA」からであり、
ヴァリスシリーズは以後も日本テレネットタイトルとして続いていく。

制服を着た女子校生を操作し、
後半はビキニアーマーに着替えて異世界での戦いに投じる。
この内容はSNKの「アテナ」に類似しているが、
「アテナ」の登場は本作のわずか3ヶ月前であり、この一致は偶然だろう。
おそらく本作の世界観は1985年3月にリリースされた
OVA幻夢戦記レダから着想を得ている。


幻夢戦記レダ」は、17歳の女子高生・朝霧陽子が
異次元世界アシャンティに迷い込む。
やがてビキニアーマーに身を包み、異次元世界を救う戦士として戦う事になる。
大筋ではほぼ「夢幻戦士ヴァリス」はこれをなぞっている。
タイトルや異世界の名前まで文字っている(^^;
また、こうした構成のアニメは当時珍しく、
のちに類似したアニメを多数生み出すわけだが、
それをゲームとして最初期に模倣したのが「夢幻戦士ヴァリス」だったわけである。
これを見たゲームユーザー達も
「ああ、レダ的な世界観をゲームで遊ぶのね、わかりやすい」
となり、人気を得ていくのである。

本作は88版、X1版、MSX版が同時発売。
翌年1997年にはFM77AV版、98版、ファミコン版がリリースされている。
なおMSX版はビジュアルシーンがカットされている上、ステージは半分しかない。
ファミコン版は違う方向に難易度激高なので、
そちらの構成がどうなっているのかは未確認である。