88ゲーム回想録(30)「ファイナルゾーン」


ファイナルゾーン
発売元:日本テレネット
発売時期:1986年5月
定価:6800円
対応機種:PC-8801mkIISR以降

 


本作はウルフチームの開発したタイトルである。
ウルフチームはもともと日本テレネット内部の開発チーム名であった。
本作「ファイナルゾーン」と「夢幻戦士ヴァリス」を開発したあと、
ウルフチーム日本テレネットを出て独立した会社となる。
(独立したあとも同じビルに社屋を構えるなど、近い関係が続いていたようだ)

 

平穏だった世界に脅威が襲い掛かった。
太平洋上に浮かぶ孤島、マウカ島において、
ファラオ軍のファイナルウェポン「GN-16B」が配置されたのである。
その殺傷力は核兵器に匹敵し、発射されたが最後、被害はとうてい計り知れない。
事態を重く見た連邦軍首脳は、GN-16Bの完全なる破壊のため、
5人のスペシャリストを選出した。

彼らは人知れずマウカ島に潜入し、孤高の戦いへと身を投じる。
これが後に伝わる「FINAL ZONE」の幕開けであった。

 


カプコン戦場の狼」のようなゲームで、
5人の傭兵チームの中からユニットを編成(1~3人)して出撃。
プレイヤーはリーダーであるハワード・ボウイを操作。
あとのメンバーは勝手についてくる。
フルカラー縦スクロールの戦場を射撃&手榴弾という攻撃で進んでいく。
戦闘中は状況に合わせてフォーメーションを変えられるのが特徴。
とはいえ、その設計がちゃんとゲームとして完成していないのが実情。
まず特徴的な仲間だが、フォーメーションを守ってくれないばかりか、
敵の弾を避ける事をしないし、
障害物に引っ掛かってスクロールを止める始末。


▲仲間のモモコがテトラポットにハマって進めない光景(^^;

 

何度もプレイした結果“ユニットは1人が一番”という結論に達してしまった。(^_^;
また、敵は倒しても倒しても無尽蔵に沸いてくるし、雨のように銃弾をバラまく。
その銃弾のグラフィックは味方のものと見分けがつかない(苦)
プレイヤーは正面にしか攻撃出来ないのに敵は横方向に攻撃出来る。
さらに味方の武器は弾数制限があるという“ドS”設計。
残念ながら俺様は1ステージすらクリアした事がない(号泣)
どうやら武器はステージ中にとあるポイントに触れる事で追加出来るみたいなのだが、
ノーヒントだし、グラフィック表示も無い。
当時は俺様のまわりで
『先のステージはバグがあるので1MAPで必ず死ぬように設計されている』
という噂まで飛んだw

そんな超絶劣化版「戦場の狼」のような本作であるが、意外なところで評価を受けた。
それがのちに代名詞となるビジュアルシーンである。
最初のステージに出現する際に、メンバーが言葉を交わす。
それがアニメーションさながらに描かれたキャラクター達だった。

 


ザム・ズルク戦争も集結し、人々に平和とやすらぎが戻ったかにみえた頃、
新たなる脅威がせまりつつあった。
太平洋上に浮かぶ孤島マウカ島において
ファラオ軍の最終兵器“GN-16B”が配備されたのである。
これを憂慮した連邦軍首脳は、
この最終兵器破壊のため5人のスペシャリストを選出した。


ランディー・ハンセン、
PM戦線においてパワードスーツ相手にバズーカ1基で立ち向かった男。
カール・ジョウ、
インディアンの正統な血筋をひく。その鋭敏な感覚は野性動物のそれに匹敵する。
ダコタ・ボンバー、
貴族出身。あまりの残忍さゆえにマシンガンマーダーと呼ばれる。
リン・モモコ、
東洋系の美女。ナイフを使わせたら右に出る者はいない。


最後に、この4人を統括するのに最適な人間として、
特殊行動隊々長ハワード・ボウイ大尉が任命された。
そして…
これが後に伝わる『FINAL ZONE』の幕開けとなる。


166号司令の詳細を説明する。
オレは今回の作戦の指揮をとる、ハワード・ボウイだ。


ヘッ!“青き狼”か?笑わせるぜ、青二才のアンチャンがよっ!


おめぇ、ジョーとかいったな、言っていいことと、悪いことがあるぜっ。


あんたが有名なランディ・ハンセンさんかい?
ヘッ、堕ちたもんだな、こんなヤロウにへいこらしてよっ!


いいかげんにしてよ二人とも、ここは戦場なのよ!
さぁ、説明して、大尉さんとやら。


指令は、マウカ島深部に配置された「GN-16B」を破壊することだ。
全体行動は危険だと考えられる。
アンブッシュ(待ち伏せ)の可能性も高い。


ジョーカーを引いてしまった。


・・・・・・・・・・


今回のポイント・マン、私がさせてもらう。


はやまってもらっては困るな、ボンバー。


みんなわかってるのか?リーダーは彼なんだぞっ!


・・・・・・・・・・


けっ、勝手にしろっ!


まぁ…いいだろう。


これを見てくれ。海岸道路まで砂浜が続いている。
走破しにくい上に障害物も多い。敵の最前線だけに守りも堅固だろう。
作戦終了後ポイント2で全員合流する。
何か質問は?


で、ポイント・マンはだれがやるの?


…さっさと決めてくれ。


いつでもいいぜ、大尉。


頼まれりゃ、嫌とは言わねぇぜ。


よろしい。

※ここでメンバーを選出。


今回のポイント・マンは、オレ一人でやる。

 


今では珍しくない光景であるが、
当時は“アニメ調の絵がゲームで使われる”という事が有り難がられた時代であった。
本作はそんなアニメ絵演出の走りと言えるだろう。
SRの機能を使ったゲームが出始めたのもそのきっかけであったろう。
(本作はSR専用ソフト)
同年に登場した『ブラスティ』もその一つと言える。

そのアニメ的演出センスとビジュアル技術
そして忘れられないのがカッコイイBGMだ。
当時はタイトル画面からオープニングを見て、
ステージ1に出撃し、BGMを聴きながら絶命、渋いエンディングを見る…
という環境ソフトみたいなプレイスタイルを良しとしていた俺様がいた。(==;

ゲーム内容は褒められたものではないが、
ビジュアルシーンで人気を得るという点で手応えを感じた日本テレネット
後期パッケージがアニメ調のものに差し替わった事を見ても、その様子が伺える。

以後、ビジュアルシーンをメインに商品の魅力を構築していくという構成が
日本テレネットウルフチームお家芸になっていき、
それはPCエンジンでCD-ROMという最適なメディアによって
より活性化していくのであった。

 

企画
赤木 麻衣

原作
秋篠 雅弘

シナリオ
林 浩樹
秋篠 雅弘

メインプログラマー
秋篠 雅弘
前田 稔

サブプログラマー
佐藤 孝保
池亀 治

音楽監督
佐藤 修

作曲・編曲
恋瀬 信人

音楽制作
前田 稔

アートディレクター
林 浩樹

デザインワークス
内藤 弓子

キャラクターデザイン
林 浩樹

特殊効果
前田 稔

タイトル
前田 稔

サウンドエフェクト
前田 稔

制作進行
桑田 浩之

協力スタッフ
池亀 治
西田 文彦
大山 恵
羽成 正己

制作協力
福島 和行
福島 雄二
伊藤 次郎
伊藤 哲也
福島 孝
稲村 耕
福島 次郎
伊達 直彦
村上 純子
沓沢 朋子

プロデューサー
林 浩樹

制作
WOLF TEAM