『はーりぃふぉっくす 雪の魔王編』シナリオログ


はーりぃふぉっくす 雪の魔王編
(マイクロキャビン)
1986年1月/AVG/7800円

1984年12月に発売された「はーりぃふぉっくす」の続編となる
コマンド入力型AVGだ。
前作はマイクロキャビンが開催した「アドベンチャーゲームコンテスト」の
ストーリー部門入賞作を商品化したものだが、
本作が同じ作者の作品かどうかは不明だ。
前作でタイトル画面に表示されていた「ARROW SOFT」という名前も
本作では見る事は出来ない。
ただし、本作も前作同様に最初に作られたのがPC-6001mkII版である事から、
オリジナル版は同じ作者のものである可能性が高い。

ゲームは前作同様に動詞+名詞を日本語で入力して進める方式。


マップ移動と道中で出会う動物との会話が中心の構成で、
移動できる方向が画面上に常に表示されており、
カーソルキーをその方向に入れるだけで快適に移動ができる。
また、画面に常に子ギツネと少女マリが表示されており、
前作よりもキャラクター推ししている事がわかる。

 

さて、今回のシナリオログでは、読みやすさを優先し、
入力したコマンドは必要なときにしか記載しないものとする。
一部展開がわかりやすいように
ゲーム中には表示されていない補足テキストを追記している。
また、通過するだけの場所は省略して掲載しているので、
これから遊ぶ人はちゃんとマッピングして移動しよう。

 


長い長い冬がロムスの森を襲った。
体よりむしろ心を冷たくさせるような…。
寒さにうち震え、次々と倒れていく動物たち。
食べ物を探しに出掛けた母ギツネもまた…


ふと、心をよぎるのは一年前、自分を助けてくれた人達のこと。
あの人達にも危険がせまっているかも知れない。


母ギツネの死を悲しむ暇もなく子ギツネは旅立つ。
なつかしいシタンの町へ…。




ここはシタンの町。今は雪に覆われ人の気配もない。
>もちものは葉っぱが3枚あります。
>3回まで変身ができますね。

 


鳩さんがいます。
鳩「魔王の力が満ちていて誰もこの町を抜け出せないの。」
鳩「マリさんの事はサトミさんに聞くといいわ。」
鳩「犬さんは礼儀正しい者には優しいのよ。」
鳩「白鳥さんはとても義理堅いのよ。」

 


犬さんがいます。
>こんにちは
犬「ウーン、いい子だ。こんにちは。」
犬「お前の母さん、魔王に殺されたんだってなぁー。」
犬「キッドの村のテシさんなら、黒ギツネや魔王の事をよく知っているよ。」
犬「人間に化けないとサトミさんと話しできないよ。」
犬「この町を抜け出すには、
魔力を封じるお守りにフウインヨシリゾケと言わなけりゃだめだ。」

 


ムムッ。人影が見える。


さとみさんがいます。
さとみ「ごめんなさい。かわいいキツネさん、
あなたの言っている事がわからないの。」

>子ギツネは葉っぱを使って人間に化けた。
さとみ「まあ、上手く化けられるのね。
この前ロムス病が流行った時、黒ギツネの子をテシが連れてきたの。
でも、助からなかった…。
亡骸を元の山に運んだ帰りにあなたを見つけたって聞いたわ。」

さとみ「今年の冬、雪の魔王が強いのは、黒ギツネが守ってくれないからだって。」
さとみ「だから魔王に生贄を出さなけりゃダメだって。
黒ギツネを助けられなかったヘイグじいさんの孫のマリさんが犠牲になったの。」
さとみ「ショックでおじいさん死んじゃって、
残されたこの手紙をテシさんに届けたいのだけれど、私、町を出れないの。
あなた、マリさんのためにも届けてちょうだい。」
>「どっこらしょ、もったべさ。」と手紙を取りました。

 


向こうにマリさん?が見える。


掻き消すようにマリさんは消えてしまいました。
お守りがあります。
>「どっこらしょ、もったべさ。」とお守りを取りました。

 


>「封印よ退け!」と唱えました。
お守りの力で、無事町を抜けられました。
ここからは、パロの山です。

 


きつねさんがいます。
きつね「ガキンチョにこの先旅を続けるのは無理だ。帰んな!!」
きつね「魔王なんていない。黒ギツネが化けてんのさ。
神に近い存在なんで、そのまんまの姿じゃ都合悪いのさ。」
きつね「この俺様が退治してやるからこのバカげた寒さもじきに終わるさ。」
きつね「キッドの村ならこの先だが…テシってぇのは黒ギツネの名前だぜぃ。」

 


地蔵があります。

 


黒ギツネさんがいます。

 


お猿さんがいます。
タバコがあります。
猿「やっとかめだなやぁロムスのキツネさん。
おみゃーどぇりゃー力を持っとんだってなー。」

猿「威勢のえぇキツネいたがねぇー。
あいつ今頃こてんぱんにのされとるにー。はよー行って治してやりー。」
猿「あいつ物知りだて、色々教えてくれるにー。
魔王やっつけてこの冬終わらしてちょー。」

猿「リンゴあげるで持ってきゃー。キツネにはいらへんだろけどよー。
なんかの足しになるにー。」

>「どっこらしょ、もったべさ。」とリンゴを取りました。

 


きつねがいます。
ケガをしています。
>傷を舐めてあげました。
ペロペロ。
傷はみるみる治っていきます。
きつね「ぶったまげたなぁー!お前ただのキツネじゃないな。
噂に聞く二つ尻尾のばば様の孫だったのか…。
お礼に氷の城の入り方を教えてやろう。」
きつね「俺が戦った黒ギツネは、魔王と関係無いみたいだった。」
きつね「キッドの森に氷の城のカギがあるって話だ。」
きつね「氷の森に入るにはその他にキツネの呪文がいる。」
きつね「シンジツノスガタイデヨって呪文があるけど、
これは魔法で別な物に姿を変えている物に対して
葉っぱと一緒に使うものだからなぁ。」

 


湖があります。

 


湖があります。

 


タンチョウヅルさんがいます。
湖があります。
鶴「ひもじい。喋る元気もない。」
鶴「魚なんかみんな食べられちゃってて一匹もいやしない。」
鶴「雪の魔王は何年かに一度やって来る冬将軍だけど、
まったく今年の冬はおかしいよ。」

鶴「この湖の者は皆、飢え死にしそうだよ。
喋るだけでも腹が減る。もう行ってくれよ。」

 


白鳥「元気のいい坊やね。雪の魔王を倒しに行くんでしょ?」
白鳥「でも力だけで倒そうとしたらだめよ。」
白鳥「それにこの湖は何に化けても渡れないわ。」
白鳥「『アイノチカラトモヲヨベ』って困っている時は助け合うものよ。」
>白鳥にリンゴをあげた
白鳥「ありがとう。とてもおいしかったよ。お礼に向こう岸まで渡してあげよう。」


白鳥さんの助けを借りて湖を渡りきりました。

 


どうやら、あなたには自然の守護神である黒ギツネと同じぐらいの力があるらしい。
ここからはキッドの森です。

 


たぬきさんがいます。
たぬき「昔は嘘つきと呼ばれましたが、今はすっかりいい子になりました。
クストの山にいたタヌキです。」

たぬき「ここには、ナゼカ魔王の力が及んでいないから、
皆んなアテに出来ないのさ。」

たぬき「ウソの罰に追い出されても。やっぱり故郷の事は気になるし…
魔王を倒して欲しいから力の出る木の実をあげる。」
たぬき「左の方へ行くといいよ。ガンバッテ、チョンマゲ!!」
>「どっこらしょ、もったべさ。」とリンゴを取りました。

 


猟師さんがいます。

 


仏像があります。
>シンジツノスガタイデヨ


ボワァァーン


氷のカギがあります。
>「どっこらしょ、もったべさ。」と氷のカギを取りました。

 


ムササビさんがいます。
ムササビ「オオワシを狙って密猟者がこの森をうろついていたから
注意した方がいいよ。本当なんだからー。」

ムササビ「キツネが目当てじゃないから心配しなくてもいいのかも知れないけど。」
ムササビ「そういやーどっかに変な仏像があるって聞いた事があるなぁ。」
ムササビ「この森の者がいろいろ試してみたけど、結局なんだかわからなかったんだ。
これぐらいの事しかわからないなあー。」

 


ふくろうさんがいます。
ふくろう「今回はドアの係じゃないからカギとか呪文の事はわからないねぇ。」
ふくろう「黒ギツネは自然の守り神なんだ。
だから黒ギツネは尊敬しなければいけない。」

ふくろう「もし雪の魔王が黒ギツネだとして、
倒してしまったらもっと酷い事になるんじゃないかなあー。」
ふくろう「変な考え起こすんじゃないよ。」

 


川があります。


カワウソさんがいます。
川があります。
カワウソ「黒ギツネと仲のいいテシさんがいるからこの森は守られているんだ。」
カワウソ「テシさんはいい人だ。テシさんの事を悪く言う奴は許せない。」
カワウソ「変な木のカギがこのあたりにあるらしいよ。」
カワウソ「出歩かないから詳しい事は知らないんだ。」
>子ギツネはカワウソに化けました。
上手く化けられたみたい。
冷たい水の中へ泳ぎ出しました。
無事、向こう岸に辿り着きました。

 


ここは、キッドの村です。
辺りに人の気配がしている。
もしテシさんが黒ギツネだったら…テシ=魔王という事になる。
はたしてテシの正体は?

 


猫さんがいます。
猫「テシさんなら家の中だよ。息子さんが死んでからまるっきり出歩かないんだ。」
猫「魔王が黒ギツネ?ウソーッ!!それで悪い事してるって?
テシさんにはアリバイがある。」

猫「雪の魔王が黒ギツネの悲しみを利用して悪い事してるだけじゃないの?」
猫「テシさんは、いい人だよ。『ハイクンテレケハイコシテムトリ』ガンバッテネ。
ところで、オニャンコCLUBバンザイ!!こニャンコNo.851070723」

 


てしさんがいます。
つくえがあります。
>つくえに乗ります。
ピョーン。


てしさんがいます。
>てしさんに手紙を見せました。
てし「なになに、黒ギツネがマリをさらっていった…
前に黒ギツネの子を連れて来た。
あなたならマリの居場所がわかるだろうから助けて欲しい。

これは何かの間違いだ!黒ギツネはもう一匹しか居ないはずなのに…。
ところで町はどうなっている?」
>雪が凄いです
てし「大変らしい事はわかった。黒ギツネ以外にそんな事できる訳ない。
黒ギツネは恐ろしい病気にかかっているようだ。
隣の部屋にある笛で病気が治るかも知れない。
訳あって私は行けないのだ。すまないが君が行ってくれ。」

 


笛があります。
椅子があります。
風と嵐を呼ぶと言われている竜の笛です。
>「どっこらしょ、もったべさ。」と笛を取りました。

 


何となくはぐらかされたようだが、テシの言う事は本当か?病気とは?
テシ、魔王、黒ギツネ、この三者の関係は?
一匹しかいなという黒ギツネを巡って物語は続く…。
謎の解き明かされるチロヌップの山はディスクを入れ替えてからだ。

ゲーム・ディスケット2をセットしてください。
よければスペースキーを押して下さい。

 


ここからは、チロヌップの山です。

 


うさぎさんがいます。
うさぎ「さっきキツネの女の子が通ってたわよ。その子のおっかけやってんの?」
うさぎ「氷の城ならもうすぐよ。」
うさぎ「時々ね、ここまで魔王の声が聞こえてくるのよ。
女の子の歌声とかそれを聞いた時の魔王のうめき声とか‥」
うさぎ「この辺には悪い心を持った者はいない、
私よりもっと詳しい事知っていると思うわ。」

 


らいちょうさんがいます。
らいちょう「テシが黒ギツネだというのは間違い無い。
そして魔王の力は一匹しかいない黒ギツネのものだというのも…事実だ。」
らいちょう「しかし、テシはずっと家にいたし魔王も城にいた。病気…ねえ。」
らいちょう「そうか離魂病だ。噂に聞いた事がある。魂が別れてしまう病気なんだ。
別れた魂はそれぞれに体を持ちそれらが出会えば殺し合う。」
らいちょう「テシと魔王は出会ってはいけない。同じ力を持った者だ。
戦えば相討ち、我々は最後の黒ギツネを失うことになる。
それぐらいのことしかわからないーゾッと。」

 


密猟者にやられたのか傷ついたワシさんがいます。
>ワシに木の実をあげました。
ワシ「ありがとう。とても美味しかったよ。
やがて傷も回復するだろう。そうしたら君を助けてあげる事ができる。」

 


オオカミさんがいます。
オオカミ「私も年だ。何も恐れる事はない。」
オオカミ「魔王は黒ギツネなのさ。そして倒しても何も起こらない。
自然の中では誰も守ってくれる者はいない。
お前も自分の力でここまで来たのだろう?

別に守られている訳じゃないのさ。」
オオカミ「ただ、守ってくれる者がいるとすれば、それは親だ。
お母さんは強かったぞ。

その息子のお前ならタイヨウノチカラココへの呪文が使えるかもな。
城ごとぶっ壊せるぜ。」

オオカミ「ただ魔王にしても息子を失った被害者という事を忘れないようにな。」

 


マリ「私マリよ。コンコン。魔王の所から逃げてきたの。
カゼひいたみたい。アソコ寒かったから…。
ココまで来てくれてありがとう。あなたは偉いわ。コンコン。
コンコン。さぁ一緒に帰りましょう。」
>マリを叩きました
マリ「イターイッ!!」
おやっ、誰かが化けてたみたいですよ。
ボワァァーン


きつねさんがいます。
きつね「お願い!私と帰って。魔王に勝てるわけない。」
きつね「もし倒せるとしても森の自然と人間の女の子とどっちが大切なの?」
きつね「どうしても行くと言うのなら『ワカレシココロモトヘ…』
効果なしか、私には呪文は使えないのね。」
きつね「ううん何でもないの、必ず帰って来てね。」

 


魔王の力が強い。これから先、うかつな行動は死を意味する。

 


ここが魔王の住むという氷の城です。
もう引き返す事はできない。
城の入り口の前にいます。
>氷のカギ使う
ガチャリ!!
カギが開いたようだ。


あなたは魔王と戦う力がある。前進するしかない。

 


恐ろしい姿の魔王が睨んでいます。
魔王「よくここまで辿り着いたな。
しかし、娘を返す訳にはいかない。ここがお前の死に場所だ。」
魔王「二つ尻尾のおばばが油揚げをよこさなかったから俺の息子は助からなかった。
私の悲しみが周りの空気を冷たくするのだ。
私を倒さなければこの寒さは終わらない。」
魔王「お前は母親が狩りの途中、俺に殺されたと思っていたろう?
しかし、実はあの娘をここへ連れて来るのを止めようとして
町の奴らに殺されたんだ。」

魔王「うそだと思うなら信じなくてもいい。
でも、お守りが町にあったことをどう説明する?
そんな奴らのために命を落としてもいいと思うならかかってくるがいい。」
>笛を吹く
魔王は一瞬たじろいだようです。
しかし、前より恐ろしく見えます。
>笛を投げる


ボワァァーン
笛は煙となって…。


テシさんの化けた竜です。睨み合ったまま動かない。
>お守りを見せる
魔王「ぶったまげたなぁー!お前ただのキツネじゃないな。
噂に聞く二つ尻尾のばば様の孫だったのか…」


今、別れていた二つの心はそれぞれの化身を解き
本来の一匹の黒ギツネの姿に戻りました。

しかし、それは死を意味したようです。


主を失った城がどんどん崩れていく。
ドアがあります。
>玉を叩く


パッカーン!!


マリさんがいます。牢屋があります。
>タイヨウノチカラココヘ


牢は破れたものの城も一挙に壊れてしまい、
マリさんとともに空中に投げ出されてしまいました。


>アイノチカラトモヲヨベ


力強い羽叩きの音とともにワシさんが助けに来てくれました。
マリ「ありがとう。キツネさん。私もあなたのように頑張るわ。」


マリ「さあ彼女も待っているわ。行ってあげなさい。」

 


GAME END

 

 

冬の寒さ(?)に母ギツネを亡くした子ギツネが旅立つ話だが、
いつの間にか母を亡くしたのは魔王のせいとなっているし、
マリという少女をなぜか助ける話になっている。
冒頭に「心をよぎるのは一年前、自分を助けてくれた人達のこと。
あの人達にも危険がせまっているかも知れない。」と説明されるが、
マリを始めとして、前作には一切登場していない。
唐突に(プレイヤーにとっては初見の)登場人物達を救うために
辛い旅をする事になるわけだ。
この当時、ゲームにそれほど深く関わりがない登場人物でも、
美少女キャラを客寄せパンダ的に全面に出すゲームが増えてきていた。
本作のマリもそういった立ち位置だったように思う。
ゲームのパッケージ絵も雑誌広告もマリ推しだった。
それによって売り上げが変わってくるのは理解できる話なのだが、
なぜMSXのROM版だけ
キツネの写真をパッケージにしたのかは
理解できない。(^_^;

 

余談ではあるが、はーりぃふぉっくすはキャラクターグッズも作られていた。


ノートが200円、トレーナーが3500円で通信販売で購入できた。
いまこのトレーナーを着ている人と街ですれ違ったら幸運になれる気がするw


国産初のコマンド入力型グラフィックアドベンチャーゲーム
世に送り出したマイクロキャビンだが、
コマンド入力型ゲームをリリースしたのは本作が最後
謎解きタイプではなく、
よりストーリーを楽しむタイプのAVG開発へとシフトしていく。