88ゲーム回想録(21)「冒険浪漫」

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冒険浪漫
(システムソフト)
1986年7月/アクション/7800円

 

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システムソフトがリリースしたパズル性の強いジャンプアクションゲーム。
古代遺跡から溢れ出たバイオモンスターに
両親と恋人を捕えられた主人公“DOTA”が、
全4ステージを巡って3人を救い出すというサイドビューのゲームである。
システムソフトという事で
「あの大戦略のシステムソフトが珍しくもアクションゲームを出した!」
というイメージがあるが、
このときまだ88で「大戦略」は発売されておらず、
大戦略88」がリリースされたのは本作の3ヶ月後である。

 

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大きさの決まった部屋が上下左右に7×6フロアつながっており、
それぞれ画面切り替えで進む。
シフトキーでジャンプ、スペースキーで射撃。
射撃は所持している弾数分しか撃てない。
ダメージを受けるとライフが減っていき、
体力が無くなると回復カプセルを自動的に使う。
回復カプセルも無くなるとゲームオーバー。

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マップ上には様々なアイテムが点在しており、
武器、帽子、メガネ、エネルギーパック、ダイヤといったものを拾う事ができる。
このゲーム最大の特徴は拾ったアイテムを装着する事にある。
スタート地点で目の前にある帽子を拾ってみる。

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するとDOTAがその帽子を被ったグラフィックになった。
装備品にはそれぞれ特性があり、
例えば頭につける装備だと
ハチマキは足が速くなる、
羽つき帽子は空を飛べる、
水中メガネは水中に潜れる・・
といった具合。
これらの特性を熟知して装備替えする事でステージの先へ進める仕組みだ。
ここら辺がこのゲームのパズル的な点。
なのでアクション性はあまり強くなく、
落ち着いて進めればそれほど反射神経はいらない。
装備すると実際のそのグラフィックに切り替わり、それが何とも愉快。

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容姿が変わる面白さが、
そのままスキルの変化を表すアイコンになっている点が素晴らしい。
この時代でこれを実現させているとは、何気に凄いぞシステムソフト!

 

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ステージを探索して装備品を集め、
準備が出来たらボス攻略に挑む。

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このようにして4ステージを攻略していく。
目的を達成するためにマップを探索して能力を手に入れるという構成は、
メトロイドヴァニアの遠いご先祖と言っても
間違いではないように思う。

アクションは反射神経が必要な理不尽な難易度ではないし、
パズル部分も煮詰まるほど難解ではなく、
当時のパソコンゲームにしてはとてもバランス感覚が優れた良作である。

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製作
長和利明

美術
濱垣博志

音楽
青木陽子
中尾美門

 


ところで本作は「ドタ君の冒険浪漫」というタイトルで
イマジニアからファミコン版が発売される予定だった。

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雑誌紹介ではかなりのところまで完成していたようだが、
何度かの発売延期を経て、1988年に発売中止となった。

結果、本作は一部のパソコンユーザーしか存在を知らない
隠れた名作ゲームになってしまった。