集中攻略『大脱走』

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発売元:キャリーラボ
発売時期:1985年3月
定価:4200円
機種:PC8801
(そのほかMSXFM-7、MZ-2200/MZ-2000など)

 

 ~紹介~

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マイコンBASICマガジンの巻末にはキャリーラボの広告が載っている事が多く、
迷彩ヘルメットに目のついたこの“愛らしい”キャラクターをいつも目にしていた。
このゲームは鉄格子の中に捕まっている味方兵を全て救出し、
城の外(スタート地点)へ誘導する事が目的だ。
鉄格子の数だけ救出すべき味方がいる。
全ての味方を救出するとゲームクリア。
マップはクォータービュー(斜め視点)になっており、
セガの『シンドバッドミステリー』にちょっと雰囲気が似ている。

ところでこのゲーム、マップの形が変わっている。
立体的に作られているのだが、“エッシャーのだまし絵”のようになっている。
凹凸の設定が変なのである。
本来飛び出している部分が引っ込んでいたり、
本来奥にあるべきものが手前にあったりもする。
この設計のために(目の錯覚で)ルートがわからなくなったりする。
わざとやってるんだとしたら凝ってるよね~。

 
~解体~

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テンキーの2468で4方向に移動する。
ルートはクォータービューになっているが、補正してくれるので引っ掛かる事はない。
Xキーで手りゅう弾、Cキーで銃を撃つ。
AキーとZキーは助けた捕虜の誘導に使う。
Aが“集まれ”でZが“散れ”だ。
4つの文字キーを使うので、
上手く指を固定しないと瞬時に正確な操作が出来ないのが難点だ(泣)。

見張りを倒すと最初にカギを落とす。
これを拾うと牢屋を開ける事ができる。
(ステージ3からはカギを拾っても開かないダミー扉が登場)
鉄格子の前でその方向(8キー)を押し続けると
格子が上がって囚われていた捕虜が出てくる。
こいつを誘導して城の外へ逃がそう。

全50ステージあり、ステージを指定して練習する事が可能。

 

~攻略研究~

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このゲームにおいて最も苦戦するポイントは、
“おバカな捕虜”と“独房の存在”だろう。
とにかく捕虜のバカな行動に悩まされる。
出口は目の前だというのに敵のいる方へウロウロと歩いていったりする。
そんなバカな捕虜を「支持操作で何とかするゲーム」を目指したのかも知れないが、
その支持キーの『集まれ』『散れ』がうまく作動していない。

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近くで『集まれ』を連打してもかまわずウロウロと離れていく事が多々ある。
もう過保護なまでにあらゆる分岐ポイントで
(キャラを重ねるぐらい近づいて)キーを連打しよう。
『散れ』の意味もよくわからない。
『散れ』をするって事はこのバカ捕虜を野に放つのと同じ。
敵に捕まれと言っているようなものだろう。
出口の階段まで辿り着いたときに『散れ』を支持すると素直に外に出てくれるが、
このとき以外に『散れ』の使い道がわからない。
使い道を理解している方はどなたかご教授願いたい(泣)。
こういった1画面タイプのエスケープゲームは、
敵のアルゴリズムを読む事がメインのゲーム性になっている事が多いのだが、
このゲームは敵のアルゴリズムと同時に
バカ捕虜のアルゴリズムも読まなければならない。
そんなバカ捕虜を助けるには、見張りが手薄なうちにさっさと救出してしまうに限る。
捕虜は一度に何人も助ける事ができる。
最初は3人ぐらいを一度に助けてしまおう。
1人ずつ助ける方が楽かも知れないが、
見張りの人数が増えてくると1人すら上手く連れ帰るのが困難になる。
楽なうちにノルマを減らしておこうってわけだ。

そんなバカ捕虜がまんまと見張りに連行されると、赤い檻の独房へと連れて行かれる。
これがやっかいなのだ。
独房は手りゅう弾で開ける事が出来るが、手りゅう弾は最初3発しかもっていない。
それに手りゅう弾は弧を描いて飛ぶので
その落下地点を計算して投げなければ独房は開かない。
そう、正面から投げても開かないのだよ。(T_T)
例えばステージ1の独房を開けるには斜め下方向から投げる必要がある。(難しい…)
チャンスは3回切り。
敵が落としたものを拾って補充する事も出来るが、
そうすると敵を倒す弾丸が減っていき、
弾が切れるともうどうする事も出来ない…。
(背後から蹴るという攻撃もあるが、あまり救済処置になっていない気も…)
つまりは“捕虜が独房に入れられないようにする”というのが大前提。
もし捕まってしまったら、
独房に入れられる前に連行している見張りを倒して奪い返そう。

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最後に一点。
「捕虜を全て救助したのにクリアにならない!」とお悩みの方。
全員救助したら階段を降りて自分も脱出しよう。
そうしないとクリアにならない。
これを利用しよう。
制限時間の無いゲームで唯一解放されるこの瞬間。
残り弾数分の見張りを倒して点数を稼ごうじゃあないか。

 

~まとめ~

上記でも述べたようにこのゲームには不完全と思える部分があるのだが、
決してつまらないゲームではない。
何よりアイデアのまとまり具合が素晴らしく、
それに加えてキャラクターがコミカルで楽しく仕上がっている。
コンシューマに移植されても不思議では無いゲームだったと思うが、
残念ながらそれは実現しなかった。

 


~MEMO~

スティーブ・マックイーン主演の映画『大脱走』とはまったく関係無い。
・本作「大脱走」のゲームデザインをしたのは
 ボードゲームやウォーゲームを制作していたアド・テクノス社(倒産)。