MSXとはMSXの事である 第38回「メタルギア」


メタルギア
(コナミ)
1987年7月13日/MSX2(ROM)/アクション/5800円

 


メタルギア」を生み出したのはご存知、小島秀夫さん。
1986年にコナミに入社した小島さんは、
MSXタイトルを開発する部署に配属された。
最初に担当したゲームはお蔵入りとなり、
次に会社からカプコンの『戦場の狼』のような戦争ゲームを作れ」と指示される。
だが、MSX2のスペックでは
派手にたくさんの敵キャラや敵弾を表示する事が困難だった。
そこで小島さんは「敵から逃げるゲーム」を企画した。
それが「メタルギア」だった。

 


南アフリカ奥地、ガルツバーグの北200キロ、そこに「OUTER HEAVEN」がある。
80年代後半に、英雄的かつ狂人とも云われた
ひとりの傭兵によって生まれた武装要塞国…。

今、この「OUTER HEAVEN」で、何かが起こっていた。
全世界の戦争史上を塗り替えてしまうような恐るべき殺戮兵器が、
開発されているというのである。

その最終兵器の情報集収の為「FOX HOUND」のひとりGREY FOXが派遣された。
しかし数日後「METAL GEAR…」との連絡を最後に消息を断ってしまった。
GREY FOXの失踪は最終兵器の噂を裏付けるものなのだろうか…。

再び「FOX HOUND」の部隊に任務が下る!
今回の侵入者は「FOX HOUND」に入隊したばかりの新米兵SOLID SNAKE。
彼の任務はGREY FOXの消息を追い「METAL GEAR」の正体を探り破壊する事。
SOLID SNAKEは無線機だけを手に、単身、初めての戦場へ向う。
「OUTER HEAVEN」には世界各地から優秀な傭兵達が集まっているという。
果たしてSOLID SNAKEは任務を遂行できるのか!?
無線機から「FOX HOUND」総司令官BIG BOSSの声がする。
『SOLID SNAKE!これは訓練ではない、実戦だ。幸運を祈る…』
彼の頭の中で、銃声が鳴りはじめた………。

 


敵要塞に侵入を開始するSOLID SNAKE。
そして無線機からCALLが鳴る。


「コチラ BIG BOSS・・・OPERATION INTRUDE N313。
テキ ヨウサイ OUTER HEAVEN ニ センニュウ、
サイシュウヘイキ METAL GEAR ヲ ハカイ セヨ!
マズハ ショウソク ヲ タッタ、GREY FOX ト コンタクト、サイシュウヘイキ、
METAL GEAR ノ ショウタイ ヲ サグレ。

イゴ ノ レンラク ハ シュウハスウ 12085 デ オコナウ。・・・OVER」

このように、このゲームでは事あるごとに無線機から通信がある。
また、潜入の途中で新たな周波数を知る事が出来ると、
こちらから相手を呼び出す事も可能となる。

 


ゲームはジョイスティックに対応している。
Aボタンで装備している武器で攻撃。武器は弾数が尽きたら使えなくなる。
Bボタンはパンチ。
F1キーでポーズ。
F2キーで武器装備セレクト。
F3キーでアイテム装備セレクト。またアイテムを捨てる事もできる。
F4キーで無線機モード。

「コチラ BIG BOSS・・・ニンム ハ センニュウ ダ。
クレグレモ テキニ ミツカラヌ ヨウ ニ コウドウ シロ。・・・OVER」


そう、このゲームは「戦闘」ではなく「潜入」がメインに構成されている。
基本的には敵に見つからないようにマップを探索する。
見つからない方法は敵の正面には立たない、視界に入らないように物陰に隠れる・・
といった具合である。
敵の背後に近づき、気づかれる前に倒してしまう事も可能だ。
いざ見つかってしまうと、警報が鳴り、SOLID SNAKEは銃撃で狙われる。
また画面外からも敵の応援が駆けつける。
いくらアクションゲームが上手くても、
このゲームではその状態は絶対的に不利だ。
攻撃が当たるとライフが減っていき、0になるとゲームオーバーである。
(ただし少し前から再開するコンティニューは可能)

 


トラックの中で「カード1」を発見!
兵士を殴り倒してゲット。
カードは最終的に8種類あり、対応した扉を開ける事が出来る。
使用するにはアイテム装備でカードのアイコンが右下の枠に表示されていればOKだ。
施錠された扉を見つけるたびにカード1からカード8までを装備して試す必要があり、
地味に面倒くさい。

 


とつぜん「アー!ネムイ!!」と叫んでその場で寝てしまう兵士(^^;
その隙に「ガスマスク」をゲット。
ガスが充満している場所ではこれをつけないと体力が減る。

 


「ハンドガン」を発見。
これを装備すれば遠距離から攻撃できる。
所持弾数が無くなると使えなくなるが、
このゲームは弾丸やレーション(回復アイテム)などの消耗するアイテムは、
それが発見された部屋に何度も入り直せばMAXまで補充できる。
そういう場所は補給場所としてよく覚えておこう。

 


エレベーターで階層移動。
行き来していると道に迷うのでマッピング推奨。

 


監視カメラも掻い潜ろうぜ。

 


捕虜救出に成功。
捕虜を一定数救出すると、CLASSが上がる。
CLASSは上がるほどLIFEゲージや所持弾丸数の限界が上がる。
逆に捕虜を殺すとCLASSが下がってしまうので注意。

 


この白く光っているところを踏むとたちまち体力が消耗していく。
抜けた先にある端末を破壊すると無効にできる。
ここに来るまでに手に入れたリモコンミサイル。
十字ボタンでミサイルを操作できる武器。
これを使って端末を爆破だ!

 


監視カメラから隠れる手段の一つ、それが「ダンボール」だw
メタルギアと言えばダンボールの印象が強い。

 


先に潜入していたグレイ・フォックスを救出!!
「よく来てくれた・・・新入り。GREY FOX だ。
最終兵器 METAL GEAR とは、あらゆる地形に対応できる核搭載、重歩行戦車だ。
これが完成すると、地球上のあらゆるところからの核攻撃が可能となる。
なんとしても完成前には破壊しなければならない。
METAL GEAR 破壊の方法はただ一つ。
それは開発者DR. PETTROVICHが知っている・・・
このビルのどこかに監禁されているはずだ。
DR. PETTROVICH を探せ!」

 


「オレは SHOOT GUNNER だ!!
ここから脱走できたものはいない!」
はじめてのボス戦。
いままで散々戦闘を避けてきたのに、
ボスとは真正面から戦わなければならないのツライ。
ボスは基本的に強い。
ボスを倒せる武器とそのパターンは限定されており、
それ以外の方法で倒そうとしても無駄に終わる事が多い。
ちなみにこのボスは接近してマシンガンを連射すると良さそう。

 


ここで意地悪なトラップをご紹介。
いつの間にか荷物の中に「発信機」なるものが紛れている。
実はこれを持っていると隠れていても兵士に見つかってしまう!
こんな物騒なものはすぐに破壊してしまおう。
カーソルを合わせて使用ボタンで壊せる。

 


プラスチック爆弾」を壁に仕掛けて通路を拓く箇所もいくつかある。
ぶっちゃけ難しすぎると思う。
(アテが外れ続けて爆弾が尽きたらまた補充しにいかないといけないしな・・)

 


「赤外線ゴーグル」をつけないとこの赤いラインが見えない。
赤いラインに触れると敵に見つかる。

 


「オレは MACHINEGUN KID!! この先は通さん!」
2人目のボス。こいつを倒したあとにパラシュートが手に入るのだが、
アイテム画面を見ると名前が「ラッカサン」になっているw

 


ビルの屋上には揺れる吊り橋が・・。
落ちないように注意して渡ろう。

 


ヘリとの戦い。安全地帯が丸わかりで珍しく弱いw

 


屋上からラッカサンでダイブ!

 


戦車との戦い。
どの武器も効かなくてきつかった。
正解は攻撃を掻い潜りながら、
戦車が後退したときに戦車の足元へ地雷を仕掛ける事だった。
地雷の弾数が最低11発ないと勝てない。
持っていない場合は補充の旅へ。

 


清掃車みたいなのと戦闘。
こいつは素早くグレネードランチャーを叩き込まないと、
突進されて間に合わなくなる。

 


「オレは FIRE TROOPER!!丸焼きにしてやる!!」
一瞬、炎の威力にたじろいだが、真横からの攻撃に弱いやつだった(^^;

とある捕虜からの情報。
「助かった!周波数12048でレジスタンスの JENNIFER と連絡が取れるはずだ。
JENNIFER はじかにサポートしてくれる。しかし、プライドが高い。
常に最高階級でないと応答してくれないだろう。」

まずはCLASSが星4つになるように救出できる捕虜を探す。
そして階級が揚がったら JENNIFER へ通信。

「コチラ JENNIFER・・・ロケット・ランチャー ヲ ヨウイ スルワ。
トリ ニ キテ。・・・OVER」


とある部屋に入ると「ロケットランチャー」が置かれている!
JENNIFERからのクリスマスプレゼントだ!
このロケットランチャーはクリアに必須にアイテムなのに、
隠し方に手が込みすぎだと思うぜ。

 


「私は DR. PETTROVICH だ。娘の ELEN が人質になっている。
ELEN を助けてくれなければ METAL GEAR について話すことはできない。
ELEN はビル1の地下に監禁されている。助けてくれ。」

面倒くさいけど、ELEN を助けて再び博士に話しかけると
メタルギアの倒し方を教えてくれる。
「私は DR. PETTROVICH だ。
METAL GEAR はこのビルから北に20キロのところにある、ビル3の地下100階にある。
METAL GEAR の破壊方法は一つ。装甲の薄い脚部にプラスチック爆弾をセットする。
順番は R、R、L、R、L、L、R、L、L、R、R、L、R、L、R、・・・
あとは忘れてしまった!

とにかく16個セットするのだ。
ビル2を出る扉のカードは ARNOLD が持っている。
ARNOLD はロケットランチャーに弱い!
幸運を祈る・・・」
METAL GEAR の倒し方がもはやパスワードみたいだ(^^;

 


「オレは COWARD DUCK!撃てるものなら撃ってみろ!!」
最も性格の悪いボス。
捕虜3人を盾にして攻撃してくるのだが、
間違って捕虜を撃ってしまうとCLASSが下がってしまう(^^;

 


METAL GEAR までの道のりは毒サソリのいる砂漠、
複数のダメージトラップが掛け合わさった部屋、
落とし穴が空く前に通過しないといけない部屋など、とても険しい。

METAL GEAR へと近づいてくると、BIG BOSSがおかしな通信をしてくる。
「コチラ BIG BOSS・・・SOLID SNAKE!
サクセン チュウシ ダ! タダチ ニ キカン セヨ。
コレハ メイレイ ダ!! MSX ノ デンゲン ヲ キレ!! ・・・OVER」


何をいまさら言っているんだ?
そして急に“MSX”とかメタ発言w

捕虜からの言葉でこの謎が解ける。
「助かった!OUTER HEAVEN のボスは FOX HOUNDER 総司令官、BIG BOSS だ!
何もかもヤツの仕業だ!! だまされるな!!」


ナンダッテー!

 


METAL GEAR との決戦。
2台のレーザー兵器は左右に移動していれば当たることは無いので、
アクション自体は難しくないのだが、
正しく左右の足にプラスチック爆弾を仕掛けないと詰む。
破壊するとアナウンス。
「緊急事態!!緊急事態!!
OUTER HEAVEN の爆破スイッチが作動しました!
ただちに脱出活動を行って下さい!」


「SOLID SNAKE!よくここまで来たな! ・・・
・・・私が FOX HOUNDER 総司令官、
そして、この要塞 OUTER HEAVEN のボス、BIG BOSS だ!!

新入りであるお前にこの任務を与えたのも、
ウソの情報を持ち帰らせるためだった・・・

しかしお前はやり過ぎた。やり過ぎたのだ!
SOLID SNAKE!私はタダでは死なない。道連れにしてやる!!
かかってこい!」

カウントダウンが0になる前に決着をつける必要がある。
BIG BOSSには動きに法則があって、追いかけると絶対に追いつけず、
射程距離に入ってくれない。
とあるハシゴで待ち伏せしていると、弾の当たる位置に顔を出してくれるので
ロケットランチャーでなんとか始末できた。
いや~、何度もタイムオーバーでやり直しになった。大変だった。

 


ここ間違えたハシゴ登ると時間切れになる。(^^;

 


「コチラ SOLID SNAKE・・・METAL GEAR ハカイ ニ セイコウ。
OPERATION INTRUDE N313 カンリョウ シタ!
ナニモカモ オワッタ・・・ナニモカモ・・・
ダイマ カラ キカンスル。・・・OVER」

「コチラ ラジオ KNK。
リンジニュース ヲ モウシアゲマス。
ホンジツ ミメイ、
SOUTH AFRICA GALZBURG フキン デ ダイキボ ナ ジシン ガ アッタモヨウ・・・

カワリマシテ METAL GEAR STAFF ショウカイ・・・」

MAIN PROGRAM
HIROYUKI FUKUI

SUB PROGRAM
TOMONORI OTSUKA
KOJI TOYOHARA

GRAPHIC DESIGN
MASAMI TABATA
AZUSA FUJIMOTO

MAIN SOUND EFFECT
IKU MIZUTANI

SUB SOUND EFFECT
SHIGEHIRO TAKENOUCHI
MOTOAKI FURUKAWA

GAME DESIGN
HIDEO KOJIMA

PRESENTED BY
KONAMI
1987

「・・・キコエルカ? SOLID SNAKE・・・
ワタシ ハ シナン・・・イツカ、ケッチャク ヲ ツケヨウ。
イツノヒカ・・・マタ アオウ!」

 

誤解されやすいが、
本作が「ステルスゲーム」という新ジャンルを生み出したわけではない。
敵に見つからない事を主軸としたゲームは
「スーパーランボー」など他にも存在していた。
メタルギア」はステルスゲームの定義を
さらに確定させたタイトルと言って良いだろう。

このゲームが発売された当時、
俺様はこのゲームが「ステルスゲーム」である事に気づかなかった。(^^;
敵兵に視界を表すガイドなどが表示されていればわかりやすかったのだが、
ビジュアルは「ならず者部隊ブラッディウルフ」などの戦争ゲームに類似していたし、
バリバリ撃ちまくって駆逐して進むゲームだと勘違いした。
その結果、避けきれない銃弾の雨にさらされ、何度も何度もゲームオーバー。
「難易度バランスの悪いゲームだな」という
間違った認識のままプレイを断念していた。
時が過ぎ、やっと今回ちゃんとした認識の上で
エンディングまでプレイする事ができた。

今回ちゃんとプレイしてみて、
この当時で「敵に見つからないように探索する」構成を
成り立たせているのは凄いと思った。
潜入は楽しいものの、
ボス戦など正面からガチで戦う必要があるシーンは理不尽なものが多く、
決まった武器を必要な弾数で持っていないと勝てなかったりしたのは残念に思った。
また、先に進むためのルート開拓も
直感で思いつくのは難易度高すぎると思う箇所も少なくない。
このゲームでは「無線機モード」で様々なヒントを聞く事ができるので、
それを活かすために余計に難しくなったのではないかと推測する。

なお、本作が発売された頃は「ステルスゲーム」という言葉は無く、
雑誌広告では
「タクティカル・ロールプレイング・アドベンチャーゲームと書かれていた。


本作「メタルギア」は、小島さんが関与しないところでファミコンに移植され、
小島さんにとって不本意な内容になっていたという話は有名である。
また、その無念がやがてさらに完成度を高めた
メタルギア2ソリッドスネーク」(MSX2)へと繋がるのであった。