MSXとはMSXの事である 第30回「妖魔降臨」


妖魔降臨
(日本デクスタ)
1989年/MSX2(ディスク)/アクション/7800円

 


1986年にアーケードに登場したナムコの「源平討魔伝」。
魔物と戦うサムライが、和風世界でアクションするインパクトは絶大で、
コナミの「月風魔伝」をはじめとして模倣作品を多く生み出した。
本作もそんな源平討魔伝チルドレンの一つである。
MSX2のみで他機種に移植される事も無かったので
マイナーな部類のタイトルかと思うが、
雑誌の良い位置で広告が目立っていたのを記憶している。
(「MSXマガジン」とか「MSXファン」かな?)

 

時は戦国時代


一人の女に三人の男が結婚を申し込んだ。


が、静の父・大之助に引き裂かれ、


三人の男は去ってしまった。

そして時は流れた。
桜の花、咲き乱れる頃


魔族が日の本にせまっていた。


「お父さま!」
突然、静が魔族に、さらわれてしまった。


父・大之助は、急いで静に結界を張った。


と、同時に三人の男をこの世に蘇らせた。
我余命百と八日、この百と八日のうちに娘をすくってくれ。

 


ゲームスタート前に3人から操作キャラを選択する。
徳川吉宗松尾芭蕉安倍晴明
あれ?
時代設定おかしくない?
徳川吉宗(1684年生まれ)
松尾芭蕉(1644年生まれ)
安倍晴明(921年生まれ)
うーん、きっと現世とは違う世界のマルチバースなのかも知れない。
もしくはスターシステム

 

まずは徳川吉宗を選択してプレイ。
暴れん坊将軍


斬るボタンとジャンプボタンという構成。
方向ボタンと組み合わせても特に斬り方が変化する事は無く、
立ち斬り、ジャンプ斬り、しゃがみ斬りの3パターンというシンプル設計。
体力はロウソクの本数で示される源平討魔伝スタイル。


画面はスクロールではなく切り替え式。
右へ右へと進むとステージ1のボスが出現。

 

敵を倒すとたまに(命)という玉を落とす。
拾うとロウソクが1本回復する。
こいつを倒すと
「これで勝ったつもりかぁー!」という音声合成ボイスとともに
2体目のボスが登場。


たぶんこれ「源平討魔伝」の「これで勝ったと思うなよ」のオマージュだよね。

 


第2のボスを倒すと仁王像が現れてワープ扉を潜る事が出来る。

 


ステージ2へ。

 


このときこのゲームの難点に気づく。
ステージをクリアしても、消耗した体力が回復しないのだ。
回復アイテムもほとんど落ちないし、落ちてもロウソク1本の回復。
つまりこういう事だ。
キャラがデカく、動きも素早いと言えないこのゲームで、
全8ステージクリアまで
なるべく敵からのダメージを受けないように進まないといけない。
ちなみにコンティニューは無い。
途中のミスは取り返せない構成ってわけだ。
きつい・・。

 


そうこうしているうちに徳川吉宗は死んでしまった。
キャラクターを松尾芭蕉に切り替える。


松尾芭蕉は忍者の格好をしているが、
性能は徳川吉宗とまったく変わりない。
見た目だけの違いのようだ。

 


ステージ2のボスは龍。
MSX2でこの巨大な龍を表現してるの凄い!

 


第2のボスはドラゴン。
このゲームは東洋と西洋のモンスターが
ごちゃ混ぜになっているところも特徴だ。

 


ドラゴンが倒せず。
最後の安倍晴明で出撃。
やはりこちらも見た目だけの違い。

 


3人目も体力が尽きるとゲームオーバー。


まず単純にこれだけ大きなキャラクターを使ったアクションゲームが
MSX2で実現している事に驚くし、凄いと思う。
禍々しいアートワークも雰囲気あるし、
技術とデザインセンスを兼ね備えたタイトルだったと思う。

ただゲームとしてはシンプル過ぎ。
シンプルであるがゆえに
「体力回復ほとんどしない」「コンティニュー機能無し」
という設計にして延命を図ったのだろうけど、
それではせっかくの技術とデザインセンスが正しく評価されないだろう。
せっかくキャラクターを3人用意したのだから、
松尾芭蕉は手裏剣で遠距離攻撃、安倍晴明は魔法で変則攻撃、
戦う相手によってそれにあったキャラクターに切り替える・・
みたいな建付けにすれば良かったのに。
(キャラ選択の画面を見たときはそういうゲームだと思ってたし)

 

本作を開発したのはFALCONという開発会社。
シンキングラビットの権利を保有しているファルコン株式会社の事だとしたら、
会社設立の翌年に本作が出た事になる。
デビュー作かな?

 


職人
久保 勝則

企画、画家
沖野 博

画家
今西 修二

音楽
なすび

手伝い
MMO