コマンド選択AVG始祖『オホーツクに消ゆ』シナリオログ

オホーツクに消ゆ 北海道連鎖殺人
シナリオログ

 

「さて、なにから話したものやら……」
老人の重いクチから、しだいに事件の全貌が、明らかになりつつあった。
部下の猿渡俊介が供述書を書きすすめている。
思えば、なんと悲惨な事件だったのだろうか……。
1週間……、たったの1週間のあいだに、7人の人間が死んでいった。
もう少し、うまくたちまわっていれば、あるいは、この内の何人かを救えたかも……。
いや、言うまい。ともかく、やっとここまでたどりついたのだ。
私は、内ポケットに1本だけ残っていた煙草をとりだしながら、
これまでの捜査のことを思いだしていた。
そう。あれは1週間まえ。東京湾、晴海埠頭にあがった男の死体。
それがこの事件の発端であった。
単純な殺人事件。酔っ払い同士のケンカで一方が殺してしまったとか、
あるいはヤクザ同士の抗争が原因。
おおかたそんなことだろう。現場にむかうパトカーの中で、私はそんなふうに考えていた。
それが、オホーツクを舞台にした連鎖殺人になっていこうとは、
いったい誰が推測できたであろうか……。
煙草に火を付ける。気のせいか、煙が妙に目にしみる。
すべては、あの東京湾での殺人がはじまりだった。
さて……、なにから、お話ししたものやら……。

f:id:g16:20190617221924j:plain


ある朝、東京湾に男の水死体が浮かび上がった。
身元不明、推定年齢40歳前後。そして、事件は北海道へと進む。
釧路、網走、知床、紋別……。
道東を中心に第2、第3の殺人が連鎖していった。
摩周湖で微笑んだ謎の女性は?
紋別沖に沈んだ船とは?
北海道の大自然を舞台に、壮大なスケールで繰り広げられる超大作ミステリーロマン!

 


社会派推理アドベンチャー巨編
オホーツクに消ゆ
北海道連鎖殺人

f:id:g16:20190617222033j:plain

発売元:アスキー
発売日:1984年12月
ジャンル:コマンド選択型アドベンチャーゲーム
■『ゴルゴ13』シナリオ担当の堀井雄二の原作です
■あなたは犯人の仕掛けた謎に挑む辣腕刑事!
■北海道内を捜査し、事件を解決してください
■画面数80枚、描画速度5秒、全200シーン!
■ディスクドライブは1ドライブ仕様でOKです
■コマンド入力はテンキー対応の選択制です
■PC-6001ではジョイスティックでも遊べます
■キー入力、言葉捜しの煩わしさがありません
■パソコン用ミステリードラマを初めて実現!
■壮大なるストーリーの妙を味わってください


アスキーの発行する雑誌『ログイン』の企画から始まった。
革新的なアドベンチャーゲームポートピア連続殺人事件』を手掛けた堀井雄二氏と
ミステリーアドベンチャーゲームを共同制作し、
その過程をログイン誌上で記事にするという試みだ。

(北海道取材の模様が1983年12月号に掲載されている)
開発期間1年あまりを経て、1984年にPC-6001版とPC-8801版が登場。
1985年にはPC-9801版、FM-7版、MSX版が発売されている。
そして1987年にファミリーコンピューター版が発売された。
(おそらくはファミコン版をプレイした人が最も多いと思われる)

当時アドベンチャーゲームの構成は行動をローマ字やカナで入力する方式だったが、
「カナ入力ね、あれ、めんどうくさいから、やめましょうね」
「いっそ、テンキーだけでやれるとか」
「あっ、それいい。それにしましょ」
というノリでコマンド選択式に決まったそうである。
(これが日本初の“コマンド選択式アドベンチャーゲーム”となる)
この方式を採用した事で、
アドベンチャーゲームは“シナリオ展開を楽しむもの”に発展していくのである。

 

 

 以下、黒字で書かれたものは、ゲーム中に表示されるシナリオを再現したものです。
一部の表現を修正した部分(読みにくいカナを漢字にしたり)以外は
基本的にゲーム上のものをそのまま掲載しています。

ログという構成上、完全なるネタバレですので、
未プレイの方はまずはゲーム本編を体験してからお読み下さい。

また、このゲームにはハマりトラップなども存在します。
ログとして残すために、BADルートも掲載しています。
そのため、下記の手順でコマンドを選択しても、
同じようにクリアできるわけではありません。

なお、本シナリオログはPC-8801版を元に作成しています。

※『オホーツクに消ゆ』は中盤以降の展開の違う2パターンがあり、
掲載したのは前期のものです

 

 

~ゲームスタート~

 

f:id:g16:20100929192325j:plainおとこ「えっ?マスダさん?そんな人知らないなあ・・」

おんな「け、刑事さん、ちょっと!!」 シュン「・・・・・!!」f:id:g16:20100929192411j:plain

クロキ「ボス 私があなたの部下の黒木です」f:id:g16:20100929192449j:plain

f:id:g16:20100929192522j:plainシュン「な、なんという事だ!!知床にまた死体がっ!!」

 

 

f:id:g16:20100927155030j:plain

東京湾の晴海ふ頭に男の死体が上がったとの知らせを聞いたあなたは、
部下のクロキをつれ、さっそく現場に駆け付けたのだった・・・。
クロキ「晴海ふ頭です」

 

「しゃしんを とれ」
クロキ「なるほど。死体の顔写真を撮ってそれを人に見せて聞くわけですね!!では撮ります パチリッ!!」
クロキ「撮りました」

f:id:g16:20100927155138j:plain


「あたりの ようすを みろ」
クロキ「ここは釣り人の姿もなく 非常に寂しいところです」

「もくげきしゃを さがせ」
クロキ「この辺りには人通りもなく 目撃者のいた可能性はほとんどありません」

「したい はっけんしゃを よべ」

f:id:g16:20100929192103j:plain

クロキ「死体を発見した高野さんです」
たかのさん「今朝の10時頃かなぁ、海を見ながらふらふら歩いてたらこんなところまで来ちまってよ」
たかのさん「最初は大きなゴミが海に浮いてるなァと思ってたら よく見たら人の形をしてるでねぇの!!んで あわててケーサツにデンワしたんだ。オラが話せるのはこれくらいだなや」

「したいを しらべろ」
クロキ「ガイシャは50歳くらいの男で 死後およそ二日というところです」

「しいんを しらべろ」
クロキ「海に投げ込まれていましたが 直接の死因は胸に撃ち込まれた弾丸でしょう」

「きょうきを さがせ」
クロキ「凶器は22口径のピストルだと思われますが それがどこにあるのかわかりません」

「はんにんを さがせ」
クロキ「もちろん犯人を探すのが目的です。でもどうやって?」

「ガイシャの ちじんを さがせ」
クロキ「ホトケの身元がわからないうちは探せと言われても・・」

「だんがんを とれ」
クロキ司法解剖の連中が取り出して保管しておくハズです」

「したいのスボンを しらべろ」
クロキ「ボス、ポケットからチラシが出てきました」

「チラシを みろ」
クロキ「わかりました」

f:id:g16:20100927155225j:plain


「さかえどおりに いけ」
クロキ「ただ栄通りだけでは千葉にもあるし・・ どこの栄通りですか?」

「たかだのばばに いけ」

f:id:g16:20100927155304j:plain

クロキ高田馬場です」

「さかえどおりに いけ」

f:id:g16:20100927155348j:plain

クロキ「栄通りです」

「ききこみ しろ」
クロキ「ルブランは このあたりではなかなか人気のある店らしいです。なかでもエミーちゃんがかわいくて お店のナンバーワンだとか ムフフ」

「でんわ しろ」
クロキ「何番にかけるんですか?」
「9380989」
「をーい 誰かメモルの16話を貸してくれー 俺は上野だー 貸してくれる人はログインまで連絡を」
クロキ「うーむ びーきなやつに かかってしまった」

「でんわ しろ」
クロキ「何番にかけるんですか?」
「7951447」
「誰だ!!俺の電話番号を知っているやつは!!むらい」
クロキ「ぼす なぜ こんなやつを 知ってるんですか?」

「でんわ しろ」
クロキ「何番にかけるんですか?」
「0000000000」
「おかけになった電話番号は現在使われておりません」
クロキ「ボス 真面目にやって下さいよ」

「でんわ しろ」
クロキ「何番にかけるんですか?」
「01111110」
「おかけになった電話番号は現在使われておりません」
クロキ「ボス 真面目にやって下さいよ」

「でんわ しろ」
クロキ「何番にかけるんですか?」
「012345670」
「はい堀井ですが。え、ケーサツ?殺人事件?ウチにはかんけーないでしょ!!いいかげんにして下さいよ!!」

「でんわ しろ」
クロキ「何番にかけるんですか?」
「486-8086」
ルブラン「はい ルブランですが あっ 警察さんで?でもうちは明朗会計がモットーでやましい事は何も・・」
ルブラン「えっ?殺人事件?殺された人がウチのビラを持ってた?そんなこと言われてもねぇ」
ルブラン「だいいち その人の写真でも見れば何か思い出すかも知れませんが 電話じゃ何もわかりませんよ、刑事さん。ガチャンッ」

「ルブランに いけ」
クロキ「ヤァ あんなところにあった」

f:id:g16:20100927155430j:plain

クロキ「ルブランです」

「したいのしゃしんを みせろ」

f:id:g16:20100927155138j:plain

よびこみ「ああ この人なら覚えています。たしかルナちゃんがついた人だ」

「けいさつ てちょうを みせろ」
よびこみ「やだなー。今さらそんなものみせて 一目見たときから警察だってわかってましたよ」

「ガイシャの ことを きけ」
よびこみ「さあ 殺されるような人は知人に心当たりはないけど」

「ガイシャの ことを きけ」
クロキ「ちょっと衣服を調べさせてください」
よびこみ「ヒャァ くすぐったい フェーッフェッ」
クロキ「ボス なにも変わったものは持っていませんが・・」

「しゃしんを とれ」
よびこみ「刑事さん カメラをむけるのはよしてくれよ。おい!!やめろったら!!」

「みせの いりぐちを しらべろ」
クロキ「ごく ふつーのキャバレーの入り口で 会員制とかの雰囲気はありません」

「ルナを よべ」
クロキ「ルナちゃんを呼んでくれますか?」
よびこみ「ルナちゃんなら中にいますよ」

「ルブランてんないに いけ」

f:id:g16:20100928201756j:plain

クロキ「アケミです」
アケミ「こんにちはアケミでーす。あら、おにーさんお若いのねっ。アケミ惚れちゃいそ」

「ルナの ことを きけ」
アケミ「おにーさん もっと楽しいことしましょうよ」

「アケミを しらべろ」
クロキ「ねえ ちょっと君を調べさせてもらうよ」
アケミ「うふ くすぐったいワ、アッ そこは ダメ、ダメったらぁ・・アン」
クロキ「ボス なかなかおいしそーなバストでした」

「ビールを しらべろ」
クロキ「うーん うまいっっ!!ボス 別に毒は入ってないようですよ」

「したいのしゃしんを みせろ」

f:id:g16:20100927155138j:plain

アケミ「へー、しけたおじさーん。これあなたのお父さんなの?」

ネグリジュを とれ」
クロキ「ボス ついにあなたは自分の使命を忘れましたね。ちょっと女の子が出てくるとすぐこれなんだから・・ 困ったもんです」

「けいさつ てちょうを みせろ」
アケミ「あら あなたたち刑事なの?そう・・そうなの・・・ 帰ってよ!!帰ってったら!!」

「きけ」
アケミ「帰ってよ もう嫌!!」

「きけ」
アケミ「大声出すわよ」

「きけ」
アケミ「いいかげんにしてよ」

「きけ」
アケミ「ほんとに帰ってよ」

「きけ」
アケミ「あっちいってよ!!えろじじい!!」

「エミーを よべ」

f:id:g16:20101019205211j:plain

クロキ「エミーです」
エミーハジメマシテ アタシ エミーヨ」

「しらべろ」
エミー「シラベロナンテ ムヅカシイコトバ ワカラナイワ」

「さがせ」
エミー「アナタ ヘンタイナンデショ」

「ききこみ しろ」
エミー「コミ ニ ツイテ オシエテクレテモ イイデショ」

「きけ」
エミー「アナタトジャ イヤ」

「みせろ」
エミー「ハハト ソウダン シテカラ ニ シマス」

「とれ」
エミー「エー ウッソー」
エミー「サヨナラ、マタネ!!」

f:id:g16:20100928201756j:plain


「ルナを よべ」

f:id:g16:20100927155556j:plain

クロキ「ルナです」
ルナ「刑事さんがあたしに何の用かしら」

「ルナを しらべろ」
クロキ「ねえ ちょっと君を調べさせてもらうよ」
ルナ「刑事さん!!いったい私が何をしたと言うんです!!」
クロキ「ボス、シャブの跡などはありませんねぇ」

ネグリジュを とれ」
クロキ「ボス そーゆー事は立場を考えて言って下さいよ。恥ずかしーと思わないんですかー?」

「けいさつ てちょうを みせろ」
ルナ「やめてよ、今さら そんなもの見せて、オドシのつもり?」

「きけ」
ルナ「刑事さん 殺人事件か知りませんけど 最近私のまわりにいなくなった人なんていなくてよ」

「したいのしゃしんを みせろ」

f:id:g16:20100927155138j:plain

ルナ「あら 5日ほど前に店に来た人だわ。もうすぐ大金が入るって言ってたのに お勘定のとき店の出口でモメちゃって・・。だから私覚えてるの・・」

「きけ」
ルナ「あの人ったら凄くしつこくて「店が終わってから俺の旅館に来ないか」ですって!!冗談じゃないわっ!!」
ルナ「えっ?その旅館?えっと・・そうたしか高田旅館って言ってたわね」

「ビールを しらべろ」
クロキ「別に毒などは入っていないようです。ボスもいかがですか?」

「さかえどおりに いけ」

f:id:g16:20100927155348j:plain

クロキ「栄通りです」

「ききこみ しろ」
クロキ「すみません。この辺に高田旅館はありませんか?」
通行人1「ああ その角を曲がったところですよ」

「でんわ しろ」
クロキ「何番にかけるんですか?」
「110」
けいしそうかん「ヤァ、捜査は進んどるかねー?まぁ頑張ってくれよ。ワッハッハー ガチャン」

「たかだりょかんに いけ」

f:id:g16:20100927155636j:plain

クロキ「高田旅館です」
「すみません 宿代をもうすこし待ってもらえないでしょうか?」
女将「なにゆーてんの!!おや 誰か来たみたい・・」

「したいのしゃしんを みせろ」

f:id:g16:20100927155138j:plain

女将「ああ この人たしかにウチに泊まってました。けど3日程前、荷物を置いたままそれっきりですわ。えーッ、殺されたんですか!!」

f:id:g16:20100927155722j:plain

クロキ「旅館の部屋です」
女将「ここがあの人の泊まってた部屋です。ほら カバンも置きっぱなしで・・」

「かばんを しらべろ」
クロキ「おや?ハガキが入ってました」

「はがきを しらべろ」
クロキ「どうやらサラ金からの督促状のようですね」

「はがきを みろ」

f:id:g16:20100928201853j:plain

クロキ「ボス見て下さい!!住所と名前です!!こ、これでやっと捜査を始められますねっ!!物語はこれからです!!」

 

f:id:g16:20100927155811j:plain

 

 

f:id:g16:20100928201941j:plain

シュン「東京からいらっしゃった刑事さんですね。僕は北海道警の猿渡俊介です。このたびはどーも ごくろー様です」

f:id:g16:20100927155929j:plain

やまべ「やあやあ 遠いところわざわざご苦労様です。何でも東京で起きた殺人事件を調べにいらっしゃったとか・・・」
やまべ「あ こりゃ申し遅れました。私は刑事部長の山辺です。それにしても物騒な世の中になりましたなぁ。こちらでも北龍会という連中が妙な動きを見せてまして・・。まァそちらには関係ないと思いますがね」
やまべ「猿渡俊介クン。もうご存じでしたね。道内では彼が相手役を務めますから どんどん こき使ってやって下さい」

f:id:g16:20100928201941j:plain

シュン「そこに車を置いてあるので さっそく市内にご案内しましょう」

f:id:g16:20100927160013j:plain

シュン釧路駅前です。どうゆうふうに捜査を始めますか?どーか命令をして下さい」

「でんわ しろ」
シュン「何番にかけますか?」
「012345670」
シュン「誰も出ないようですね」

「でんわ しろ」
シュン「何番にかけますか?」
「012345670」
シュン「誰も出ないようですね」
「はい中村ですが。え、ケーサツ?なんか知りませんけど うちにかんけーないでしょ。まったく」

「でんわ しろ」
シュン「何番にかけますか?」
「034868086」
シュン「誰も出ないようですね」
「はい、ルブランですが。あ こないだの刑事さん- いまルナちゃんとかわりますから・・・」
「ハーイッ、刑事さん おげんこ?ルナでーす。そーさ 頑張ってねー。じゃーねー」

「おおかわちょうに いけ」

f:id:g16:20100928203439j:plain

シュン大川町です」

「ひだりの おばさんに きけ」
おばさん「ああ 増田さんならそこで子供を背負ってる人がそうですよ」

「みぎの おばさんに きけ」
増田たみ「はい。うちの人なら東京に行ってますけど それが何か・・?」

「ますだのしゃしんを みせろ」

f:id:g16:20100927155138j:plain

増田たみ「ええ。これは確かにうちの人ですが・・。えーっ 殺されたですって!!そ、そんな・・」

「みぎの おばさんに きけ」
増田たみ「人の恨みを買うような人じゃ無かったのに・・。この前もうちの人に昔世話になったという人から50万円もいただいたりして・・。え?その人ですか?たしか北浜の飯島幸男さんとか・・」
シュン「北浜と言えば網走の東の方ですね」

「きたはまに いけ」

f:id:g16:20100928203524j:plain

シュン「北浜です」

「いいじま の ことを きけ」
「えっ 飯島さん?じゃあ あんたらも飯島さんが殺されたと聞きなすって?」

「きけ」
「なに言ってんだ。今朝 飯島のじいさんの死体が浜に上がったって おー騒ぎよ。みんな浜に行ってるだ」

「きたはまのはまべに いけ」

f:id:g16:20100928203605j:plain

シュン「北浜の浜辺です」

「ききこみ しろ」
シュン「近所の人の話では飯島は最近そわそわして やけに落ち着かなかったという事です」

「しゃしんを とれ」
シュン「死体の写真より生きてたときの写真があるはずですから それを貰っておきましょう」

f:id:g16:20100929125551j:plain

シュン「貰いました」

「したいの ようふくを とれ」
ろうけいかん「なにするんですかっ!!管轄外の人にそんなことをされては困りますな。東京もんはすぐ自分中心にものを考えるから嫌じゃよ」

「はんにんのめぼしを きけ」
ろうけいかん「さぁ 今のところは・・。なんせ飯島さんは昔 あくどい事をかなりしてたみたいだし。わしらは恨みによる犯行だと睨んでるんですがね」

「いいじま の ことを きけ」
「ええ 殺された飯島さんには信二さんという息子さんがいます。そこにいる人がそうですよ」

「しんじを よべ」
シュン「信二です」

f:id:g16:20100929125632j:plain

しんじ「刑事さん!!いったい誰がオヤジを!!」

「ねんれいを きけ」
しんじ「私は42歳ですが・・。えッ、オヤジですか?たぶん63、4だったと思います」

「ゆきおの ことを きけ」
しんじ「そういえば オヤジ 誰かにゆすられているみたいでした。いつだったか通帳から50万ほど無くなっていて 問い詰めたらモゴモゴ口籠るばかりで・・あと紋別がどーとか・・」

「ますだのしゃしんを みせろ」

f:id:g16:20100927155138j:plain

しんじ「あっ こりゃ源さんですよ。髪形がちょっと違いますが たぶん源さんだ」

「げんさん の ことを きけ」
しんじ「札幌のススキノで働いてます。たしか店の名前がコロポックリ。炉端焼きの店です」

「さっぽろススキノに いけ」

f:id:g16:20100929125715j:plain

シュン「札幌ススキノです」
シュン「増田が源さんだなんて いったいどうなってんでしょうね?あっ、あの店です」

「コロポックリに いけ」

f:id:g16:20100929125758j:plain

シュン「コロポックリです」
げんさん「ヘイ、ラッシャイッ!!」


「ますだのしゃしんを みせろ」

f:id:g16:20100927155138j:plain

げんさん「これがワシに似てる?そーですかねぇ。ワシの方がよっぽど男前だと思いますがねぇ」

「きけ」
げんさん「なにぃ?ワシが殺された?だんな 冗談はやめて下さいよ」

「げんさんを みろ」
シュン「確かに増田文吉に瓜二つです。これなら人違いしますよね。とんだ無駄足でした」

「あばしりに いけ」

f:id:g16:20100929130309j:plain

シュン「網走です」

「ききこみ しろ」
シュン「なんでも地元網走から阿久津とかいう大臣が出るらしく、町はお祭り騒ぎです」

「もんべつに いけ」

f:id:g16:20100929130349j:plain

シュン紋別です」
シュン「飯島が紋別と言っただけでここに来ましたけど 何か見つかるでしょうか?」

「いいじま の ちじんを さがせ」
シュン「どうやって探せばいいのか・・」
シュン「あッ、待って下さい。男が話しかけて来ました」

おとこ「あんた、テツジさんかね?えっ 警察ッ!!いや、ワシは頼まれただけじゃ。もしテツジってのが来たら 礼をするから知らせてくれと。ワシはなんも知らんのじゃ」
シュン「行ってしまいました。でもあの男は何だったんでしょうね?」

「ききこみ しろ」
シュン「この辺はカニが安くておいしいそうです」

「あばしりに いけ」

f:id:g16:20100929130309j:plain

シュン「網走です」

「ききこみ しろ」
シュン「大変です!!なんと網走港にまたも水死体があがったとのことです」

「あばしりこうに いけ」

f:id:g16:20100929185207j:plain

シュン「網走港です」

「しゃしんを とれ」
シュン「ではガイシャの写真を撮ります。パチリッ!!」

f:id:g16:20100929185226j:plain

シュン「撮りました」

「したいを しらべろ」
シュン「ガイシャの上着の内ポケットから財布と名刺入れが出てきました」

「さいふを しらべろ」
シュン「13万ほど入っています。お金が残ってますから ものとりの線はありませんね」

「めいしを しらべろ」
シュン「白木雄九朗 東京都目黒区・・ガイシャの身元ですね。もう向こうには知らせたという事です」
シュン「あッ、待って下さい。誰か来たようです」

f:id:g16:20100929185243j:plain

さかぐち「しゃ、社長!!坂口です、わかりますかっ?社長ーっ!!」

「きけ」
さかぐち「ええ 社長は摩周湖に旅行するって出掛けていったんです。網走に行くなんて一言も言わなかったのに・・」
さかぐち「社長がこんな事になるなんて 私は一体どうすればいいんですか。刑事さん!!」

「いいじまのしゃしんを みせろ」

f:id:g16:20100929125551j:plain

さかぐち「あっ この人なら一度東京でお会いしました。何でも社長の古い知り合いとか・・・。そのとき おく・・えーと 忘れましたがもう一人一緒でした。」

「さかぐちを しらべろ」
シュン「白木の秘書です。社長の不幸を知ってたったいま東京からかけつけて来たそうです」

「ましゅうこに いけ」

f:id:g16:20100929185301j:plain

シュン摩周湖です」

「けいさつてちょうを みせろ」
「あら 刑事さんでしたの?ここで何か事件でも・・?」

「なまえを きけ」
おんな「野村真紀子ですけど・・」

「ねんれいを きけ」
おんな「23ですけど・・」

「おんなを みろ」
シュン「とても美しい人ですね。おや、足にケガをしているみたいですね」

「けがのことを きけ」
まきこ「あ、これですか・・・?な、なんでもありませんわ。ただ、ちょっと・・・転んだだけ・・・」

「どこから きたかを きけ」
まきこ「と、東京ですけど・・・」

「ぼうえんきょうを みろ」
シュン「小さな島が見えます。あれは神が棲むと言われているカムイッシュの島です」

「あばしりに いけ」

f:id:g16:20100929130309j:plain

シュン「網走です」

「ましゅうこに いけ」

f:id:g16:20100929185301j:plain

シュン摩周湖です」

「なまえを きけ」
おんな「あら もう忘れたのかしら?真紀子です」

「けがのことを きけ」
まきこ「ご心配下さってありがとう。でももう治りかけていますから・・・・」

「ひとりたびかを きけ」
まきこ「ええ・・・。でもそれが何か?」

「どこから きたかを きけ」
まきこ「京都からです」

「あばしりに いけ」

シュン「大変ですっ!!知床五湖でまたも殺しだそうですっ」

f:id:g16:20100929185322j:plain

シュン知床五湖です」
シュン「これで4人目の死体です。この事件は一体どうなっているんでしょうか?」

「しゃしんを とれ」
シュン「わかりました。では撮ります。」

f:id:g16:20100929185343j:plain

シュン「今のところ名前がわからないので写真1と覚えておいて下さい。」

「したいを しらべろ」
シュン「首に女モノのストッキングが巻かれています。30歳くらいの男です」

「しいんを しらべろ」
シュン「網走港のときとほぼ同じ手口ですね。ストッキングで首を絞めながら 水の中に顔を押しこんで殺したようです」

「ストッキングを しらべろ」
シュン「ごく普通のストッキングでたいした手がかりにはならないと思います。しかしコロシに使われたものが残されたのはこれが初めてです。犯人も焦っているのでしょうか?」

「したいのはっけんしゃを よべ」

f:id:g16:20100929203901j:plain

シュン「死体を発見した中野和夫さんと奥さんの裕美子さんです」
なかの「ええ 新婚旅行で来たんですけどね。見つけたときは焦りましたよ。まったく ついてないとゆーか・・」
ゆみこ「だからあたしは新婚旅行はハワイにしようって言ったじゃないっ!!」
なかの「ごめんよ・・裕美子・・・ 刑事さん もういいでしょう。行こう裕美子!!」

ゆみこ「ええ。あなた」

「ちゅうしゃじょうに いけ」

f:id:g16:20100929203812j:plain

シュン「駐車場の売店です。店の人がいます」

「しゃしん1を みせろ」

f:id:g16:20100929185343j:plain

おばさん「えー!!この人が殺されたんですか?仲の良さそうなカップルだったのに・・ やっぱり連れの女の人が犯人なのですか?」

カップルのことを きけ」
おばさん「ああ なんでも阿寒湖の方から周ってきて ここに来たとか・・。女の人は24、5くらいの髪の短い人でしたよ」

「あかんこに いけ」

f:id:g16:20100929203701j:plain

シュン「阿寒湖です。アイヌの民族衣装を着た人達がいます」

「ききこみ しろ」
シュン「シーズンオフで客がめっきり少なくなったと写真屋がボヤいていました」

「しゃしん1を みせろ」

f:id:g16:20100929185343j:plain

しゃしんや「毎日いろんな人を撮ってるから いちいち顔なんて覚えてませんよ。すみませんねー 役に立てなくて」

「みずうみを しらべろ」
シュン「水はとても冷たく 凍っていないのが不思議なくらいです」

「ウトロの まちに いけ」

f:id:g16:20100929203606j:plain

シュン知床半島の中ほどにあるウトロの町です」

「みせろ」
シュン「通りすがりの地元の人に写真を見せたところ 白木の写真だけに反応して この人は戦後まもなくこの辺りで行商していた人じゃないかと話してくれました」
シュン「なんでも その行商人は ある日突然大金を掴み 東京に出ていったとか」

「ききこみ しろ」
シュン「ここの店が町一番の土産屋で 大抵の観光客がここに来るという事です」

「おみやげやに いけ」

f:id:g16:20100930155316j:plain

シュン「お土産屋です。店の人がいます」
おとこ「はい いらっしゃい」

「しゃしん1を みせろ」

f:id:g16:20100929185343j:plain

おとこ「あー、この人なら来ましたよ。そーいえば 女の人も一緒だったな」

「はんにんらしいひとを きけ」
おとこ「ちょっと大きなクマの置き物を買ってね。私が旅館まで届けたんだ」

「りょかんのことを きけ」
おとこ「たしか加賀屋旅館だったな。でもあの人がねぇ。刑事さん、何かの間違いじゃ?」

「なにか おみやげを さがせ」
シュン「ウトロと書かれたペナントがあります。これなんか人にあげると喜ばれると思いますが・・」

「かがやりょかんに いけ」

f:id:g16:20100930160253j:plain

シュン「加賀屋旅館です」
おとこ「まあ お早いお着きで・・えっ 刑事さん?はあ・・」

「しゃしん1を みせろ」

f:id:g16:20100929185343j:plain

おかみ「ああ この人ならうちに泊まりました。女の人と二人で」

「はんにんらしいひとを きけ」
おかみ「一緒に泊まった女の人の事ですか?夫婦とか・・。いま宿帳を持ってきますから・・。これです。たしか白木なんとかって・・」

「はんにんらしいひとを きけ」
おかみ「さあ・・・・・?今となってはどうゆう人って聞かれてもねぇ・・・」

「おかみを みろ」
シュン「気の強そうなえばさんですね」

「やどちょうを みろ」
シュン「ボス、ありました。女性の字で白木辰雄に妻の郁美。住所は函館市蛍町・・網走で殺された白木と関係あるのでしょうか?」

「げいしゃを よべ」

f:id:g16:20100930155234j:plain

シュン「アー コリャコリャ」
ゲイシ「まッ おひとついかがん?」
シュン「あ どうも・・。おーっとっとっとっ」
ゲイシ「あら お飲みにならないの?」
シュン「いや 勤務中ですから・・ ボスッ そんなに飲んで大丈夫ですか?でもどーしてこうなったんでしょう?ボスが意味もなくゲイシャなんか呼ぶからですよ」
シュン「あーあ、もう3時間も経ってしまった・・この時間のロスが捜査に支障をきたさなければいいんですが・・」

「ばんとうを よべ」

f:id:g16:20100930155139j:plain

ばんとう「えっ ウチに泊まった二人の事ですか?そりゃあ覚えてますよ。夜中に物凄いケンカをしましてねぇー」
ばんとう「女の方がワンワン泣いていたみたいで 「あなたは まりもや でもそうでした」とか叫んでいて・・ 私には何の事かさっぱりわかりませんがね・・」

「はこだての まちに いけ」

f:id:g16:20100930155053j:plain

シュン「函館の町です」

「ほたるまちを きけ」
シュン「ボス、なんとそんな町は無いそうですよ。あの二人 住所を偽っていたんですね」

「あかんこに いけ」

f:id:g16:20100929203701j:plain

シュン「阿寒湖です。アイヌの民族衣装を着た人達がいます」

「まりもやを さがせ」

シュン「まりもや という観光旅館を見つけました」

「まりもやに いけ」

f:id:g16:20100930155009j:plain

シュン「まりもや旅館です」
ばんとう「えー お二人さん ご案内ー。えッ 違うの?刑事さん?」

「しゃしん1を みせろ」

f:id:g16:20100929185343j:plain

ばんとう「これは白木さんとかいう夫婦の旦那さんですね。えっ 殺された?それはお気の毒に・・」

「はんにんらしいひとを きけ」
ばんとう「ああ 白木さんとかいうご夫婦?たしかにうちに泊まりましたけど でもお客さんの事を詮索しないのがウチの主義で 泊まったとしかお答えできませんねぇ」

「かんこうきゃくを きけ」

ばんとう「そういえばこないだヤクザみたいなのが大勢やってきて泊まっていきましたが 何か事件と関係あるんですかね?」

「しらきのしゃしんを みせろ」

f:id:g16:20100929185226j:plain

ばんとう「ああ この人・・ ヤクザみたいな人達も この人の写真を見せて ここに来なかったかって・・ 来てないのでそう答えましたがね」

「くっしゃろこに いけ」

f:id:g16:20100930160756j:plain

シュン屈斜路湖です」

「かんばんを しらべろ」

f:id:g16:20100930160854j:plain

シュン「こーゆう 看板です」

「ウトロの まちに いけ」

f:id:g16:20100929203606j:plain

シュン知床半島の中ほどにあるウトロの町です」

「ウトロこうに いけ」

f:id:g16:20100930154920j:plain

シュン「ウトロ港です。船員と思われる男がいます」

「しゃしん1を みせろ」

f:id:g16:20100929185343j:plain

せんいん「こんな人は見たこと無いなあ・・」

「はんにんらしいひとを きけ」
せんいん「んなこと言ってもよー、誰の事かさっぱりわかんねーよ、刑事さん」

「ウトロの まちに いけ」

f:id:g16:20100929203606j:plain

シュン知床半島の中ほどにあるウトロの町です」

「あかんこに いけ」

f:id:g16:20100929203701j:plain

シュン「阿寒湖です。アイヌの民族衣装を着た人達がいます」

「ききこみ しろ」
シュン写真屋が言うには 今年はいつもに比べてお客がケチだそうです」

「ましゅうこに いけ」

f:id:g16:20100930154833j:plain

シュン摩周湖です」
シュン「やァ、またお会いしましたね。たしか真紀子さん・・?」
まきこ「あらッ、この前の刑事さん」

「はんにんらしいひとを きけ」
まきこ「まあ 女の人が殺人を・・?それで私が怪しいと・・?」
シュン「と、とんでもありませんッ!!」

「ウトロの まちに いけ」
まきこ「あっ、刑事さん ちょっと・・」
シュン「どうかしました?」
まきこ「あ いえ 何でもないんです 捜査頑張って下さいね」
シュン「と、とんでもありませんッ!!」
シュン「はいッ!!」

f:id:g16:20100929203606j:plain

シュン知床半島の中ほどにあるウトロの町です」

「あかんこに いけ」

f:id:g16:20100929203701j:plain

シュン「阿寒湖です。アイヌの民族衣装を着た人達がいます」

「ましゅうこに いけ」

f:id:g16:20100930154733j:plain

シュン摩周湖です」

「まりもやに いけ」

f:id:g16:20100930155009j:plain

シュン「まりもや旅館です」
ばんとう「えー お二人さん ご案内ー。ありゃ この前の刑事さん・・」

「はんにんらしいひとを きけ」
ばんとう「あっ そうだ。今朝 写真屋さんが来て その人の写真を置いていったんです」

f:id:g16:20100930154653j:plain

ばんとう「なんでも あとで送るという事で撮ったらしいんですが ウソの住所だったとかで・・。まだうちに泊まっていると思って持ってきたんですよ」
シュン「ボス 何とか女の写真が手に入りました。これをしゃしん2とします」

「ウトロの まちに いけ」

f:id:g16:20100929203606j:plain

シュン知床半島の中ほどにあるウトロの町です」

「ウトロこうに いけ」

f:id:g16:20100930154920j:plain

シュン「ウトロ港です。船員と思われる男がいます」

「しゃしん2を みせろ」

f:id:g16:20100930154653j:plain

せんいん「おッ、この人なら昨日ここに来たよ。一人だったな」

「はんにんらしいひとを きけ」
せんいん「たしか岬に行きたいって言ってきて でも船が休みだってわかるとトドワラを見るにはどこへ行けばいいのかとか言ってたなァ」

「トドワラのことを きけ」
せんいん野付半島にある木の墓場みてえなとこだよ。でもあの人 妙に寂しそうだったなァ。自殺なんかしなきゃいいけど・・」

「のつけはんとうに いけ」

f:id:g16:20100930154604j:plain

シュン「トドワラです。あっ 女性が死んでいます!!せっかくここまで来たのに遅かったか・・」

「したいを しらべろ」
シュン「まわりに睡眠薬が落ちています。たぶんこれを飲んで自殺を図ったんでしょう」

「したいを みろ」
シュン「たしかに五湖で殺された男と一緒にいた写真の女に間違いありません」

「よべ」
シュン「はい。では車の無線で所轄のものを呼びましょう」
シュン「すぐに来るそうです」

「しらべろ」
シュン「あっ いま死体が呻き声をあげました。まだ死んでいなかったのです!!おい キミッ しっかりしろ!!しっかりするんだっ!!」

f:id:g16:20101001160615j:plain

シュン「女は命を取り留めました。白木というのはやはり偽名で 本名は小野とく子 25歳です。五湖で殺された男は井持邦雄 30歳。札幌の会社員ということです」

「きけ」
シュン「どうして殺したのか?」
とくこ「あの人 あたしを散々弄んだ上に捨てようとしたんです。それに殺さなければあたしが殺されていたかも知れません。どうしても許せなかったんです」
とくこ「あの人が白木という名前を使おうと言いだしました。たぶん今 北海道でおきている一連の殺人事件を知って その名前を使えばあたしを殺しても 警察を煙にまけると思ったのでしょう」
シュン「増田、飯島、白木まで なぜ殺した?」
とくこ「その事件は知っています。でもその3人とは あたし 会った事もありません。ほんとです。信じて下さい!!」

f:id:g16:20101001161610j:plain

シュン「病室を出ました。ボス とく子の言う事は本当でしょう」
シュン「ほかの現場は全て海なのに湖だったこと。現場に手掛かりが残されていたことなどを考えると 五湖の事件は簡単過ぎました」
シュン「しかしボス。ほかの3人をやったのは誰なんでしょう?あるいは五湖の事件のように一人ずつ別の犯人がいるんでしょうか・・」
シュン東京湾の増田。北浜で殺された飯島。彼は増田に脅されていたらしい・・。そして網走港の白木。白木もまたヤクザに襲われていた・・」
シュン「そのほか いろんな場所でいろんな話を聞きました。もういちど頭の中で整理してみて下さい。そして真犯人をつきとめるのです!!!!」

f:id:g16:20101001162150j:plain

シュン「ボスッ 大変な事がわかりました。なんと網走港で死んでいた白木の肺からは 海水ではなく真水が出てきたそうです。しかもマリゴケとかいうものも検出できたとか・・」

「くっしゃろこに いけ」

f:id:g16:20101001163451j:plain

シュン屈斜路湖です。おばさんがいます」
「かんばんを しらべろ」

f:id:g16:20100930160854j:plain

シュン「やはり白木はここで殺されてから 網走港に投げ込まれたようですね。しかし犯人はなぜそんなことしたのでしょう・・」

「しらきのしゃしんをみせろ」

f:id:g16:20100929185226j:plain

おばさん「この人なら見覚えがあります。え 白木さんて言うんですか。名前までは聞かなかったから。」

「しらきのことを きけ」
おばさん「ああ その人なら温泉はどこかって聞いてたんで 和琴温泉の事を教えてあげましたよ」

「わごとおんせんのことを きけ」
おばさん「それならここから100メートルくらい行ったところです」

「わごとおんせんに いけ」

f:id:g16:20101001172454j:plain

シュン「和琴温泉です」

「かべを みろ」
シュンラクガキがいっぱいあります。おや?これは・・」

f:id:g16:20101001174752j:plain

シュン「飯島と白木は殺された人物ですが 阿久津秀夫・・ これはこんど大臣になると言われている国会議員じゃないですか。それに“むらきすけ”・・なにものでしょうか?」

「もんべつの まちに いけ」

f:id:g16:20101001175204j:plain

シュン紋別駅前です」

「いいじまのしゃしんを みせろ」

f:id:g16:20100929125551j:plain

おばさん「どこかで見た顔じゃのう・・。おおッ 年は取ってるが 飯島さんにどことのー似てるのー」

「いいじまのことを きけ」
おばさん「おお あの人は昔ここで新聞記者をやっていたんじゃ。戦後まもなくの事かのう・・。わしの憧れの人じゃった。だから覚えちょるんよ。あれ はずかすー」

「おくむらきすけを さがせ」
シュン「おばさん達に聞いたところ 3丁目に奥村紀助という人の家があるということです。あのラクガキは“むらきすけ”ではなく“おくむらきすけ”が欠けたものだったんですね」

「おくむらの いえに いけ」

f:id:g16:20101001174237j:plain

シュン「奥村の家です」
おばば「よお おいでなすった。まあ あがりなされ」
シュン「では お言葉に甘えて・・」

「おくむらのことを きけ」
おばば「1週間ほど前だったか 年甲斐もなく夜釣りに出てな。それっきりじゃ。「どれ わしも罪滅ぼししてくるかな」とかようわからんこと ゆうとったのう・・」

「てんぼうだいに いけ」
おばば「あッ ちょっと待ちなされ。あんたら刑事さんかね?んだら渡すもんがあるだ。もし警察の人が来たら この人形を渡してくれと じいさんはそういっとった」

f:id:g16:20101001174322j:plain

シュン「これはニポポ人形ですね。で目の下にノミの跡があります。まるで泣いているような・・」
シュン「ではいきます」

f:id:g16:20101001175928j:plain

シュン紋別の町を一望できる展望台です。慰霊碑があります」

「いれいとうを しらべろ」
シュン「海で亡くなった人達の慰霊塔です。花が供えられています。あッ 花の後ろにビンが落ちてますよ」

「びんを とれ」
シュン「わかりました。ビンを取っておきます。でもこんな小汚いビン 何に使う気ですか?」

「ききこみ しろ」
シュン「昭和24年、この紋別沖で一隻の漁船が沈み、そのときこの山に墓碑を建てたのがこの慰霊碑の前身だそうです」

「もんべつこうに いけ」

f:id:g16:20101001174358j:plain

シュン紋別港です。港湾管理事務所があります」

「ききこみ しろ」
シュン「今日は海は荒れているので 漁を見合わせていると話してくれました」

「にんぎょうを みせろ」
おとこ「ん?このノミ使いは・・。やっぱりそうだ!!浦田のじっちゃんが彫ったもんに違いねぇ」

「うらたのじっちゃんを きけ」
おとこ「オウ。浦田甚五郎ッて言って 昔はこのへん一の漁師だった。それがどうしてか人をあやめてしまってな。今じゃどこにいるやら・・」

「かんりじむしょに いけ」

f:id:g16:20101001180902j:plain

シュン「管理事務所に入りました」
シュン「すみません。警察のものですが・・」
おじさん「はあ・・」

「にんぎょうを しらべろ」
シュン「カウンターに置いてある この人形は ニポポ人形と呼ばれる木彫りの人形です」

「にんぎょうを みせろ」
おじさん「あれ その人形は目の下に傷がありますね。不良品ですよ。たぶん刑事さんも網走刑務所で買ったんでしょ。取り替えてもらったらどうですか?」

「しらきのしゃしんを みせろ」
おじさん「そんな しらき る事を聞かないで下さい。わっはっは」

「ますだのしゃしんを みせろ」

f:id:g16:20100927155138j:plain

おじさん「あれ この人さっきまでここにいましたよ。沈んだ船の事を調べてるとか・・ あの人 刑事さんの仲間でしょ?」
シュン「そ、そんなばかなッ!!増田はすでに死んでいます。ボスッ この人は誰のことを言っているんでしょうか・・・?」
「げんさん」
シュン「なるほど・・。それは考えられますね」
「しずんだふねを きけ」
おじさん「うーむ。ここらで一番大きな事故は・・ 昭和24年の永福丸の沈没でしょう。えーと・・・」
おじさん「記録によるとそのときの船頭は野村安吉。そのとき死亡してますな。船主は白木雄九朗となっている。それ以上の事はわかりませんな」

「あばしりに いけ」

f:id:g16:20101001183244j:plain

シュン「網走の町中です」
シュン「ボス!!いま北海道警の友達から連絡があり、事件の捜査を打ち切るよう、上から圧力がかかり始めたと知らせてくれました。」
シュン「いずれ本格的な捜査中止命令が発令されそうです。ボスっ!!」

「あばしりけいむしょに いけ」

f:id:g16:20101001183823j:plain

シュン「網走刑務所です。番外地即売所があります」

「そくばいしょに いけ」

f:id:g16:20101001184618j:plain

シュン「番外地即売所です」

「みせのなかを しらべろ」
シュン「棚にニポポ人形が置かれています。やはりこの人形はここで作られたものだったんですね」

「にんぎょうを みせろ」
おばさん「たしかにそれは うちで売ったものです。泣いてるように見えるでしょう?どういうわけか人殺しの記事が新聞に載った次の日 決まってそれが混じっているんですよ」

「ますだのしゃしんを みせろ」

f:id:g16:20100927155138j:plain

おばさん「あれ?この人 昨日来た人に似てますねぇ」

「うらたじんごろうを さがせ」
シュン「なんと 浦田甚五郎は無期懲役囚として ここ網走刑務所で服役中だそうです」

「あばしりけいむしょに いけ」

f:id:g16:20101001183823j:plain

シュン「網走刑務所です。番外地即売所があります」

「うらたじんごろうを よべ」
シュン「こちらから浦田のところへ行きましょう」

f:id:g16:20101001185358j:plain

シュン「この老人が浦田甚五郎です」

「ますだのことを きけ」
うらた「どこかで聞いたような名前じゃが とんと思い出せんのー」

「ますだのしゃしんを みせろ」

f:id:g16:20100927155138j:plain

うらた「刑事さん。そんなもの見せても無駄じゃよ。わしは なーんも知らんからのう」

「にんぎょうを みせろ」
うらた「ああ それかね。最近 トシのせいか 手が震えて ときどきノミを滑らせてしまうんじゃ」
「ましゅうこに いけ」

f:id:g16:20101001163451j:plain

シュン摩周湖です。おばさんがいます」

「でんわ しろ」
シュン「ボスっ いったいどこへ電話するんですか?今のところそんな用事はありませんよ」

「わごとおんせんに いけ」

f:id:g16:20101001192805j:plain

シュン「和琴温泉です」
シュン「大変です。湯船に死体が浮いています」

「したいを しらべろ」
シュン「ボスっ これは増田にそっくりだった源さんですよ。でも どうして・・」

「しいんを しらべろ」
シュン「体は無傷で 入浴中に心臓麻痺を起したようにも見えますが おそらく誰かに殺されたのだと思います」

「ふくを しらべろ」
シュン「身元を証明するようなものは見当たりません。たぶん犯人が捜査の遅れを狙って身元をわからないようにしたのでは・・」

「おゆを とれ」
シュン「ビンの中に入れておきました。しかし こんなもの どーするんです?」

「コロポックリに いけ」

f:id:g16:20101001192847j:plain

シュン「札幌のコロポックリです」

「げんさんのことを きけ」
おとこ「実は源さんが居なくなったとき書き置きがあったんですよ。もし万一のときは この手紙を警察に届けて欲しいと・・。しかしそれがこんな形になるとは・・」
「みろ」
シュン「ボスっ この手紙には大変な事が書かれています」
シュン「増田と自分・・つまり源さんが双子の兄弟であること」
シュン「増田はたぶん白木か阿久津の差し金で殺されたんじゃないかということ。増田はその二人をユスッたらしいですね。それで逆に殺された」
シュン「今回の事件は 戦後まもなくの漁船の転覆事故に端を発している。阿久津達がそれに関わっていたらしい。それを調べに行くと 源さんは書いています。」

「あばしりけいむしょに いけ」

f:id:g16:20101001183823j:plain

シュン「網走刑務所です。番外地即売所があります」

「うらたじんごろうを よべ」
シュン「こちらから浦田のところへ行きましょう」

f:id:g16:20101001185358j:plain

シュン「この老人が浦田甚五郎です」

「てがみを みせろ」
うらた「そうか・・ そこまでわかっているんなら 全てお話ししましょう・・」

うらた「あれは戦後まもなくのことじゃった・・」
うらた「物の無い世の中で 米軍の救援物資はそりゃあ貴重なものじゃった」
うらたアメリカから船が来る。その船が東京湾に荷揚げする。だが悪いやつがいるもので その途中 物資を横流しして大儲けした連中がいる。なんでもそいつらは軍の遺産まで横領していたそうだ」
うらた「それを指揮していたのが将校だった阿久津秀夫。・・こんど大臣になるそうじゃな・・。船を用意していたのが紋別の奥村紀助。物を捌いていたのが行商をしていた白木じゃったが・・」
うらた「しかし事がばれそうになって 何回目かの荷揚げのあと 連中は使っていた漁師ともども船を沈めてしまった。証拠隠滅のためじゃな」
うらた「そしてこれをただの事故として片付けたのが そのころ紋別で新聞記者をしておった北浜の飯島。そのとき船頭をしていたのが野村安吉という男で 彼には鉄二という息子がいた」
うらた「父は死んだが その息子は母親と二人で苦労してのー。それは立派に育ったはずじゃ。なのになぜ今頃になって復讐なぞ・・。わしには不思議でならんわい・・」
うらた「ところで増田の事じゃが 前にここに来たときに わしと同じ房になっての。わしからこの話を聞いて金になると思ったんじゃろう。しかし反対に殺されよった。たぶん阿久津達じゃろ。わしの話せるのはこれだけじゃ。もういいだろ、さあ、帰ってくれ。」

f:id:g16:20101001161610j:plain
シュン「まさか、あの阿久津が戦後のどさくさに物資の横領をしていたとは・・・。そして、それがばれそうになったとき、秘密を知る漁師ともども船を沈めた。そのとき死んだ船頭、野村安吉の息子が鉄二。」
シュン「たぶん鉄二は父親の復讐のため、横領にかかわった人物を次々に殺していったのでしょう。」
シュン屈斜路湖で殺した白木をわざわざオホーツクに投げ込んだのは オホーツクで殺された父親の供養とでも言うのでしょうか。」
シュン「そして 増田や源さんは この事で一儲けを考え 阿久津の手先のヤクザに殺された。ボス やっと事件の全貌が掴めましたね」
シュン「でも、とすると鉄二の次の目標は阿久津秀夫!! あっ 誰かが走ってきました・・ えっ なんだってっ!!」
シュン「ボスッ 大変です。なんでも北竜会のヤクザ達が摩周湖の方に動き出したそうです。もしや・・」

「いけ」

f:id:g16:20101001200158j:plain

シュン摩周湖に到着しました。あれっ、あの女性は野村真紀子さんでは?」
まきこ「父があの島に・・。もうこれ以上 人殺しは・・・刑事さんっ」

「カムイッシュに いけ」
シュン「ボス!!ゲームディスク1をドライブ1に差し込んでスペースキーを押して下さい!!」

f:id:g16:20101001200555j:plain

シュン「ボスッ あれは?」
ヤクザ「ヤバイッ 阿久津先生 警察ですぜ」
あくつ「な、なんだとおー!!」

「にげる」
シュン「ボス 本気ですかっ!!」

「かくれる」
シュン「そんなこと言ってる場合じゃないでしょうっ!!」

「おどる」
シュン「あなたは一体何を考えているんですか!!!!もういいですっ!!僕一人でやります」

f:id:g16:20101001201613j:plain

シュン「アタッ!!アタタタタタタッ!!」
ヤクザ「くそぉ、このやろっ!!」
シュン「お前はもう死んでいる・・」
ヤクザ「うわっ た・わ・ば!!ぐしゃ!!」
ヤクザ「なんぼのもんじゃーっ!!」
シュン「アチョ ガスッ ビシュッ」
ヤクザ「う・・・・」

f:id:g16:20101001201719j:plain

シュン「ボス お待ちどうさまでした。ヤクザ達に殺されようとしていたのが野村安吉の息子、鉄二だと思われます。病気なのか かなり衰弱しているようです」
まきこ「お、おとうさん・・」
てつじ「真紀子 か・・・。これでいいんだよ・・・ 真紀子、お前からもこの刑事さんにお礼を言っておくれ・・」
まきこ「あの・・ 猿渡俊介さんでしたね・・。どうもありがとうございました」
シュン「い、いやァ・・・・」

f:id:g16:20101001202237j:plain

シュン「ボス 長い間お疲れ様でした。真紀子さんの話によると、先に仕掛けてきたのは阿久津達だそうです。大臣になるかも知れないのに 昔の事を知っている者がいてはまずいと・・。」
シュン「しかも、やつらは鉄二さんだけでなく、真紀子さんも殺そうとした。鉄二さんは癌に侵されていて あとわずかの命だというのに・・・」
まきこ「ええ。でも、自分が死んだあと、阿久津達が私に再び手を出すかも知れないと考えると、死に切れない。だから、先にこちらからやってやると・・・」
シュン「ボス どうやら飛行機の時間です。ではお気をつけて」

 

f:id:g16:20101001202745j:plain

クロキ「ボスが北海道から戻られて もう一月になりますね」

「しらべろ」
クロキ「ええ わかってますよ。昨日おきた新宿の殺しの件でしょ。いま調べてるところです」

「ききこみ」
クロキ「北海道の一件。阿久津も殺人教唆で逮捕されたし・・。署内でのボスの評判は上がる一方ですよ」

「とれ」
クロキ「なに とれって言うんですか。僕はラーメンでいいですよ」

「みろ」
クロキ「ボス 一体どーしたと言うんですか。ここは見慣れたデカ部屋です。」
クロキ「あっ そうそう。北海道警の猿渡君から手紙が届いてますよ」

「てがみを みろ」
クロキ「えと・・ おや 写真が入ってますねー」

f:id:g16:20101001203400j:plain

クロキ「猿渡君と・・隣にいるのがボスがいつか話してくれた真紀子さんですね。実に幸せそうな二人です。ありゃ ボス どーしたんですか。しんみりしちゃってー」
クロキ「ま、まさか ボス・・ ボスも真紀子さんを・・ ねえー なんとか言ってくださいよお。ねえ ちょっとぉ。ボスってばー・・」

この物語はフィクションであり
登場する個人名・団体名は
すべて架空のものです。

f:id:g16:20101001204132j:plain

 

編集後記

本格的なミステリーではあるが、笑いも織り交ぜた堀井節が活きていて心地良い。
(このテイストはのちの堀井作品へと継承されている)
猿渡君の覚醒や、序盤と比べてキャラが違っちゃってるクロキなど、思い出深い。
また、真紀子さんだけなぜ何度も服を着替えて登場するのか?
という謎も残されたままである。

阿久津秀夫のグラフィックが最後まで登場しなかったのは何ゆえか?など、
クリアした後も気になるネタに事欠かないぜ!w

シナリオのデキが良いだけにBGMが無いのが残念なところだ。
88のゲームにはBGMを追加したSR対応版を出しているタイトルも多いが、
本作もそれをやって欲しかった。
(携帯アプリでリメイクされたらしいけど)

ファミリーコンピューター版は本作とタッチのまるで違う
漫画家の荒井清和先生を起用し話題となった。

だが、実際のところPC-6001版もMSX版も
それぞれ88版とは違うタッチなので、

本作は機種ごとにグラフィックデザインのテイストが違うというべきだろう。

 

f:id:g16:20101001210620j:plain

▲これはPC-6001版の画面。味わい深い記号的な構図だ。

 

f:id:g16:20190618010402j:plain

▲これはMSX版の画面。真紀子さんがロリフェイスである(爆)。

 

俺様としては今見ても古さを感じず、重いイメージの88版のタッチが一番好きだ。
マニュアルに描かれているような超劇画タッチの本作も見てみたいがw。

f:id:g16:20190618010448j:plain


制作スタッフ

■企画
小島文隆、宮野洋美
■プロデュース
潮崎剛三
■デザイン
吉田憲一
■プログラム
上野利幸、村井 暁
■協力
玉木 正、本山重人、山田啓司、岩崎啓真
■イラスト
末弥 純、横山 宏
■原作/シナリオ
堀井雄二