88ゲーム回想録(47)「電脳学園」


電脳学園
発売元:ガイナックス
発売時期:1989年7月15日
定価:8800円
対応機種::PC-8801
ディスク2枚組

 


1987年に劇場アニメ「王立宇宙軍 オネアミスの翼」でデビューしたガイナックス
翌年には庵野秀明さんの初監督作品となる
OVAトップをねらえ!」もリリースするが、
制作費をかけ過ぎて倒産寸前だったという。
ガイナックスに所属していた赤井孝美さんはパソコンゲーム開発を提案する。
そうしてアニメ会社ガイナックスが生み出したパソコンゲーム第一弾が本作である。
発売日には88版と同時に98版とMSX版がリリースされている。
結果的にガイナックスのゲーム事業は軌道に乗り、
アニメで作った赤字を解消していく事になる。

 


ゲームを起動すると禁止事項が表示される。
このギャグのためにこんな沢山のアイコンデザイン考えたのかw

 


入学案内
貴方は三千年の歴史を誇る当学園の特別受講生に撰ばれました。
これは実に五十年に一度、六千万人に一人の好運でありまして、
まことに慶賀にたえません。

この日のために、当学園きっての秀才三名が特別講師となって、
知性と教養、愛と涙、夢と感動と喜びに満ちた、
最高の授業を用意して貴方のお越しをお待ちしている次第であります。
貴方の幸せを心から祝福します。

電脳学園長
電脳 太郎

 


ゲームの舞台は学園内のみ。
学生食堂、グラウンド、校舎、体育館、プールの5箇所を移動してゲームを進める。

 


ゲームで使用するコマンドは
「あたりを見る」「人と話す」「移動する」「地図を見る」の4つのみ。
かなりシンプルに構成されている。

 


早川貴子「ハロー。あ、もしかして受講生?フーン…」

 


村道子「あれ?男の子?めずらしいわねー。」

 


尾瀬さやか「捜し物?え、先生捜してるの?あんた大丈夫?」

 


原ともみ「授業は○×式のクイズで制限時間は約10秒です。」

 


倉持加代子「80%以上正解で合格だって。」

 


グラウンドに来ました。

 


西岡美佐子「コンニチワ。あなたがウワサの特別受講生ね。」

 


明美「知ってると思うけどメッセージは必ずメモってね。」

 


藤村経論「健全な肉体に健全な精神が宿る。レッツスポーツ」

 


岡野ひろみ「ハァ、ハァ、コーチ!私もうダメです。」

 


これが校舎です。

 


白石 恵「あっあなた受講生?芹沢さんの授業でしょ?」

 


警備員「スイマセーン。工事中につき立入り禁止でーす。」

 


松下経論「授業は厳しいけど努力すれば必ず報われるわ。」

 


土方さん「HELPキーを押すとヒントが聞けるぞよ。」

 


体育館にきてみました。

 


えっと、プール前です。

 


学生食堂に戻ってみる。

 


芹沢博子「あーっこんなところにいたの?授業始めますよ!」
3人の講師の一人、芹沢博子と出会うとクイズゲームに切り替わる。


クイズは全て○×クイズになっている。
ジャンルは雑学なのだが、ガイナックスの人達が問題を考えているからか、
やたらとアニメ、特撮、ゲームに関連した問題が多い。
このゲームをプレイしている人にとって難易度は低いと言えるだろう。
なお、本作はキーボードの他にジョイスティックやマウスでもプレイできるが、
ジョイスティックやマウスだと選択肢までカーソルを移動させなければならず、
キー一発で選択できるキーボードの方が遊びやすい(^^;

 


HELPキーを押すとヒントが表示される機能があるが、
「YESかNOか…それが問題ね。」
「うーん。難しい問題ね。わかる?」
「答は…YESかNOのどっちかよ。」
と言った具合でほとんど役に立たないw

 


問題は全部で25問。
正解率80%以上で終えると講師が服を脱ぐ。


なお、服を脱いだあとにカーソルで特定の場所を触ると、
追加のグラフィックが表示される。

こんな脱衣画面を鑑賞しているときにママが部屋に入ってきたらどうするか?
安心して欲しい。
そんなときはすかさずHOMEキーを押す。


すると瞬時にまるで難しいプログラム作業をしているような画面に切り替わる。
しかもよく見ると
「お母さんボクはエッチなゲームなんかしてません!!」と表示されている。
ここまで念入りならば誰も疑わないだろうw

 


クリアすると次の講師の紹介がある。

 


早川貴子「ヤッホー、君、けっこう優秀みたいね。」

 


村道子「ねえねえ、どうだった?調子はいい?」

 


尾瀬さやか「え?ジョイスティックプレイ?…やらしー。」

 


原ともみ「お家の人が来たら素早くHOMEキーを押すのよ」

 


倉持加代子「あ、博子来てるよ。」

 


芹沢博子「……コ、コンニチハ」(恥かしそうね)

 


西岡美佐子「え合格した?フーン、ナンデ鼻の下伸びてるの?」

 


明美「さりげない会話に重要なヒントが!セオリーよね」

 


藤村経論「万城目さんはスポーツ万能の明るい子よ。」

 


岡野ひろみ「コーチ!私は暗いって言うんですか!」

 


白石 恵「どうだった?合格?ヤッリィー!」

 


警備員「2年の万城目さん?知らないわねー。」

 


松下経論「なぜクイズを解けば女の子が脱ぐか…謎ね。」

 


土方さん「この学校は女の子ばっかしぢゃの。ウヒョヒョ」

 


万城目百合「あーっ、アナタね、特別受講生は。こっちこっち」

 


体育館内では部活の女の子がたくさんいます。

 


松本京子「おっ!来た来た。」

 


仁科理沙「ああゆう問題がわかる人ってどういう人かしら。」

 


綿織千代美「いわゆるひとつのオタクなんでしょうねー。」

 


牧野典子「そんな事、面と向かって言っちゃ気の毒だわ。」

 


真田由美「でもー、それっぽい顔してるわよー。」

 


万城目百合「ほら、ゴチャゴチャ言ってないで始めましょ!!」

 

 


早川貴子「オー!パチパチパチ。イヨッ色男!」

 


村道子「なかなか好調のようね。」

 


尾瀬さやか「神宮寺静?あー、あの胸の大っきい…」

 


原ともみ「何の話?ああ、あのお嬢様?」

 


倉持加代子「相手が誰でもキミなら勝てる。ねえ博子。」

 


芹沢博子「静センパイは手強いです。がんばって下さい!」

 


西岡美佐子「スケベ。」

 


藤村経論「神宮寺さん?ああ、あの育ちの良い娘ね」

 


岡野ひろみ「ハァ、ハァ、どこの育ちがいいんですか?」

 


白石 恵「またまた合格?やるなあ。」

 


警備員「あなたは女の子を脱がせまくる変態って本当?」

 


松下経論「脱ぐのは選ばれた3人だけ。私は脱ぎませんよ!」

 


土方さん「わしの名はドカタでなくヒジカタと読むんぢゃ。」

 


松本京子「すごいわ。無敵の快進撃ね。」

 


仁科理沙「ここまでくると、もうただのオタクじゃないね。」

 


綿織千代美「オタクの王様…オタキングと呼びましょ!」

 


牧野典子「オタキング…なんて素敵な響きでしょう。」

 


真田由美「オタクでもなんでも一芸の達人なら立派よねー」

 


万城目百合「みんな失礼よ。あと一人、ガンバッてね。」

 


神宮寺静「お待ちしていました。さ、この中へ…」


別世界のようなプールです。何だかトロピカル。

 


酒井奈緒美「プールで授業ってのもなんか妙だよね。」

 


白木 綾「いよいよ最後の決戦ね。ワクワク」

 


鮎川早苗「負けたら君も脱ぐの?」

 


神宮寺静「それでは…手加減はいたしませんよ!」


アートワーク
赤井孝美
玉谷 純

プログラマー
TAKE

作曲
菅 浩江

プロデュース
岡田斗司夫

企画
GAINAX

協力
くりやま もとき
いしい ひろゆき
いしい よしえ
おんだ としあき
むらお りえ
なりあい ひろゆき

 

 

ゲーム開発の経験は全く無かったガイナックス
ガイナックスアニメ会社である利点を活かすには、
質の高いグラフィックを描き、
それが表示されるアドベンチャーゲームにすれば
低予算で勝算のあるゲームが作れると考えた。
赤井孝美さんは自らがグラフィックを描いて、
赤井さんが連れてきた友人が1人でプログラムするという体制で本作は作られた。
ちなみに本作の構成を考えるときに参考にしたゲームは
赤井さんが適当に買ってきた『はっちゃけあやよさん』w
このゲームのアドベンチャーゲーム部がシンプルなのは
あやよさんの影響を受けているのかも知れないw
(結果的にそれは功を奏しているが)

本作を語る上でセットで出てくる話題が有害図書指定の件だ。
1992年7月に宮崎県が「宮崎県における青少年の健全な育成に関する条例」に基づき、
パソコンのアダルトゲームいくつかのタイトルを有害図書に指定した。
「このとき『電脳学園』も有害図書に指定された」
と書かれているテキストをよく見る。
だがこれは間違いである。
『電脳学園』発売の翌年、1990年11月10日。
脱衣グラフィックをより過激にした『電脳学園シナリオI Ver2.0』が発売される。
(過激と言ってもアンダーヘアーが描き込まれている程度)
有害図書に指定されたのはこの『電脳学園シナリオI Ver2.0』であり、
しかも『電脳学園シナリオI Ver2.0』はPC98版しか発売されていない。
つまり今回紹介した『電脳学園』は有害図書ではないし、
有害図書に指定された『電脳学園シナリオI Ver2.0』の88版は存在しないのである。