ジャッキー・チェン烈伝「ヤングマスター」

ヤングマスター
1980年制作
香港
[原題]師弟出馬
[英題]THE YOUNG MASTER
監督:ジャッキー・チェン
製作総指揮:レイモンド・チョウ
脚本:ラウ・ティンチー、トン・ロー、エドワード・タン
原案:ジャッキー・チェン
武術指導:ジャッキー・チェン
上映時間:100分
日本公開日:1981年3月21日
出演:ジャッキー・チェン(ロン役)、ウェイ・ペイ(キョン役)、
ユン・ピョウ(ジャガー役)、ウォン・インシク(キム役)、
シー・キエン(クァン署長役)、ティエン・ファン(カン師範役)、マース、リリー・リー

製作年度のジャッキー年齢:26歳頃

 

正風道場では獅子舞合戦に向けて練習を重ねていたが、
頼みの兄弟子だったキョンが足を負傷し、
かわりにロン(ジャッキー)が金獅子の演者となる事に。
合戦が始まり、和威道場の黒獅子と競う事になるが、
その黒獅子の演者は負傷したはずのキョンだった!
敗北したロンだったが、キョンの事は誰にも告げなかった。
だがキョンが道場に売春婦を呼んだ事をきっかけにバレる。
道場を出ていくキョン
その後。屈辱的な世間の扱いに弟子に八つ当たりする師匠。
キョンとともに孤児の身で育ててもらったロンは、自らも道場を出る事を告げる。
師匠は「キョンを連れて戻ってこい」と龍の絵が入った扇子を渡すのだった。
このあとロンは和威道場の師範と扇子を使って手合わせするのだが、これがまた見事!
曲芸のように扇子を自在に操って相手を手玉に取る。凄い。
一方、キョンは悪党の仲間に入り、囚われの身になった彼らのボス、
キムの救出に加担する。
最初、荷車に張り付けになっていたキムだけど、自由の身になると強い強い!
軸のブレない俊敏で力強い動きと、それに連動した相手の吹き飛び方!
ラスボスを印象付ける事に大成功している。
役人を襲った事で、キョンと同じ白い扇子を持っているロンが勘違いされて
警官隊に捕まりそうになる。
警官隊から奪った青龍刀で返り討ちにするロン。
二刀流での刀捌きが素晴らしい。
警察署長の息子ジャガー(ユン・ピョウ)は、警官隊に頼まれてロンを追う。
このときジャガーの使う武器はカンフー映画特有の長椅子!
飄々としたユン・ピョウの長椅子アクションがまた惚れ惚れとする。
こういった檄すごアクションの合間に
「上流で子供がおしっこしてる川で手を洗う」
といった小ネタが挟まっているバランスも素晴らしい。
警察署長にけしかけられて、ジャッキーvsユンピョウのラウンド2。
ユンピョウのイス技にジャッキーは棍を使って勝利。
だが警察署長に連行される。
このあと署長との底なし沼コントを経て、
逃げた先で風呂を借りたのは署長の家だったw
あとから帰宅した署長に青龍刀で襲われる。
履いてるゲタが少しずつ切断されていくのが面白い。
帰ってきた署長の娘も参戦して、ロンは再び連行される。
隙を見ては逃げようとして失敗を繰り返すコントの末、
扇子の男が銀行を襲うという情報が入り、ロンは人違いだと判明。
一方、銀行を襲った一味。
仲間が少なければ分け前が増えるとキョンを裏切る。
そこへ浮浪者に変装したロンが合流。
キムの手下二人をなんとか退治すると、兄弟子のキョンを救出。
警察署長にキョンを許すように頼むが聞き入れてくれない。
「では俺がキムを捕まえてやる!」と約束してやっと了承を得る。
そしてロンとキムの一騎打ちへ。
キムは蹴りも凄いけど、擒拿(中国武術の関節技)も凄い。
様々な形でロンの関節を極めていく。悲鳴に近い叫び声を上げるロン。
余談であるが、相手の手首と親指を一緒に握って相手を制する技は
小学生時代の俺様の中でマイブームとなり、友達とこれをかけあっていたw
そしてロンはだいぶ長い時間ボコボコにされるが、
タバコの水を飲まされてニコチン中毒(?)で超強くなりキムに勝利。
なお、17分にも及ぶこのシーンもジャッキーのこだわりが詰まっており、
寸止めではなく、実際に攻撃を当てて迫力を出している。
(当時のカンフー映画は寸止めが常識)
また、このシーンの撮影だけで1ヶ月以上もかけたという。
最後は兄弟子を連れて道場に帰ったロンだったが、無理し過ぎて全身包帯だらけ。
おどけた表情で映画は終幕となる。

 

存在感を示したラスボスのキムを演じたのは、
ハプシドー(韓国合気道)の達人、ファン・インシク。
ジャッキーは役者を引退していたファン・インシクを説得して
本作への出演を実現させた。

日本公開版では例によって日本側で製作した主題歌が挿入されている。
湯川れい子作詞、宇崎竜童作曲の「さすらいのカンフー」という曲だが、
なんとジャッキー本人が歌っている。
ジャッキーの歌手デビュー作であった。

本作はゴールデン・ハーベスト社に移籍し、
自ら監督と主演を務めた第1回作品である。
不本意な作品ばかりに参加させられていたロー・ウェイの元から
解き放たれたジャッキーのフラストレーションが一気に爆発。
ジャッキーカンフー映画の代表作であり、香港カンフー映画の金字塔となった。
とにかく本作はジャッキーが
カンフー映画としてやりたい事を詰めるだけ詰め込んだ感じで、
1シーンが長くて凄いアクションが次々と展開される。
こんなの若い頃のジャッキーじゃないと出来ないよ(^◇^;)