88ゲーム回想録(64)「ザ・キャッスル」


ザ・キャッスル
アスキー
1985年4月
6800円
PC-8801

 


本作は1984年の第2回アスキーソフトウェアコンテストのグランプリ受賞作品である。
グランプリには計4本のゲームが選出され、
本作の他にはX1の「エグゾアⅡ ウォーロイド」
PC60の「サンダーボール」PC88の「コロン」が受賞している。
本作のオリジナルはFM-7で、88版はのちに移植されたもの。
作者は吉田功さん。パッケージイラストは少女漫画家のめるへんめーかーさん。

 


むかし、むかしのお話です。
マルガリータ姫という、それはそれは美しいお姫様がいました。
マルガリータ姫は姿だけでなく、歌声の美しさも遠くの国に知れ渡っていました。
ところがある日、魔王メフィストが自分の歌姫にするために、
お姫様をグロッケン城に連れ去ってしまったのです。
このことを知った隣国のラファエル王子は、
お姫様を助けるために、この街へやって来ました。

彼は背が低く、気も弱いのですが、
全身の勇気を奮い起こし、魔王の城に挑もうというのです。

古くからの伝説によると、この城の中には森の妖精も捕えられているそうです。
果たしてラファエル王子は、マルガリータ姫を助けることができるでしょうか・・・。

 

本作はサイドビューの城の中を探索し、
マルガリータ姫の元に辿り着く事が目的のアクションパズルゲームだ。

テンキーの4と6で左右に移動。
スペースキーでジャンプ。
ジャンプはキーを押す長さで滞空時間が変化し、
その間に4と6で左右の空中移動が可能だ。
押して移動できるオブジェクトや、6色のカギとそれに対応した6色の扉、
ベルトコンベアー、エレベーターなどの仕掛けで構成されており、
敵キャラクターとの接触を避けながら攻略ルートを切り開いていく。
本作のようなパズル要素の強いサイドビューゲームと言えば、
ロードランナーフラッピーなどが思い浮かぶ。
だがそれらと違うのは、それらは1フロアで攻略が完結しているのに対して、
本作は縦10×横10の全100フロアで一つのパズルが構成されている。
とあるフロアで拾ったカギを適切な別のフロアで使うといった攻略である。
それによって
「使うべきではない場所でカギを使ってしまい、カギが足らなくなって詰まる」
という事が起こる。
当然ながら、前述した1画面で完結したパズルゲームよりも
難易度は跳ね上がっている。
ロードランナー」なども高難度のステージは存在するが、
少なくとも画面内で攻略ルートを推測する材料が揃っている。
本作の攻略法だが、確実なのはマッピングする事である。
フロアごとのマップ構成を書き写し、
それを見ながら正しいルートを編み出し、それをゲームで実践するのである。
それをせずにアドリブで進んでいたら行き詰まる事必至だ。
この挑戦的な構成のゲームのキャッチコピーが
「恋する王子の、100の冒険」
物は言いようだな!w
(100個ある部屋が1つのパズルで繋がってるのだから、どう考えても冒険は1つだw)

さて、そんなわけなのでこのゲームの攻略はもの凄く時間がかかる。
こういうじっくりプレイするゲームは少しずつ進めて取り組みたい。
安心して欲しい。
このゲームは途中セーブが可能だ。
セーブするたびに残機が1つ消費されるけどな!(鬼)
当然、残機が無くなるとゲームオーバーで最初からやり直しである。
かわいい2頭身キャラクターでキャッチーな見た目が魅力的なゲームである。
軽い気持ちで手を出して、地獄の底へ突き落とされたプレイヤーも多かった事だろう。

 


こちらは最初の画面。
ジャンプで黄色いカギを取って目の前の黄色い扉を開けよう。
扉を開けると左右にウロウロしている兵士がいるのでジャンプで飛び越えよう。
画面上の方に地図があるが、これはどこかで青いカギを手に入れないと取れない。

ラファエル王子に攻撃能力は無いが、
オブジェクトを押して敵に接触させると敵を潰す事が出来る。
例えば2段目にあるツボを左から右へ押せば2段目の兵士は潰せるし、
そのツボを1段目に落とせば1段目の兵士も排除出来る。
一度消滅した敵は復活しないので、邪魔な敵はなるべく排除して進もう。
(敵がいなくなったルームが増えていくと進捗感があって楽しい)
ちなみにこのレンガは別のルームから戻ってくればもとの場所へ戻っている。

 


地図を取ると全体マップが画面上に表示される。
一度でも入ったルームは水色に変化する。
これで迷う事も軽減されるだろう。

 


自動的に上下しているエスカレーターで上のルームへ。

 


このルームに入ってすぐの赤と青のうねうねは、
動いているときは上を移動できて、止まっているときは下へ通過できる。
中央にいる植物のバケモノは、小さくなっているときにジャンプで飛び越えられる。

 


こういう一度に取れないカギは、
他のルームを経由して何とか上段まで戻ってきて取る。

 


水色のカギ使いまくり。
ここで使ったらあとで詰まるんじゃないかと心臓に悪い。
下の段にフェアリーがいるね。

 


この青い鉄骨は左右に動いている。
落ちたら死ぬし、鉄骨に挟まっても死ぬ。
あと上に乗りっぱなしだと滑って鉄骨だけ動いてしまうので、
鉄骨の動きに合わせて左右移動しなければならない。

 


画面左にある酸素ボンベを取ると水中移動が可能になる。
ボンベを取ると音楽が切り替わり、効果が切れると音楽が戻る。

 


ついに1人目のフェアリー救出!
赤いカギを入手してフェアリーに触れると、
ご褒美画像(?)が表示される。

 

・・とまあ、こんな感じで探索を続けていく。
「先に進みたいけどカギが足りない!」
「どこかで取り忘れてる?」
「もしかしたら使っちゃいけないところで使っちゃった?」
「行きに酸素ボンベ使っちゃったから帰りに水を渡って戻れない!」
「ハマっちゃったあとにセーブしちゃったから最初からやり直しだ!」
といった事がたびたび発生するし、パズルとしての難度は高いのだが、
アクションとしてはあまり反射神経を使わない良心的な設計だ。
当時パズル難度がすでに高いのに
やたらとシビアなアクションを求められるゲームが多かった中で、
本作は敵の動きを読み、タイミングさえ間違えなければ先へ進めない事はない。
やたら滞空時間が長いジャンプなどは慣れてくると楽しいし。

このゲーム構成から高難度にならざる得ないのだが、
なんとさらにマップ構成を複雑化した続編「キャッスルエクセレント」が登場する。

 


キャッスル・エクセレント
アスキー
1985年11月15日
6800円
PC-8801

パズル好きはより難しいものを求める傾向があるらしいが、
これはその訴求に応えた形か?
俺様にはこの拷問の館に足を踏み入れる勇気は無いが、
なんと本作はファミコンに移植されている。
ファミコンはパソコンに比べて
子供やゲーム慣れしていないユーザーが多いと思うが、
なぜ「ザ・キャッスル」じゃなくて、
さらに上級者向けの「キャッスルエクセレント」を
いきなりファミコンユーザーにぶつけたのか?
(しかもパソコン版より難しいらしいw)
なお、「ザ・キャッスル」はSG-1000に移植されている。