MSXとはMSXの事である 第39回「けっきょく南極大冒険」


けっきょく南極大冒険
(コナミ)
1983年12月/MSX(ROM)/アクション/4800円

 


このゲームが発売される約5ヶ月前にファミリーコンピュータが発売されている。
その後、ファミコンの爆発的普及によって、
子供達がこぞって家でテレビゲームを遊ぶようになるわけだが、
この頃のゲームメーカー各社は
「高額なゲームソフトを親が子供に買い与えるにはどうすれば良いか?」
という事を考えていた。
世の中的にはゲームセンターは「不良の溜まり場」というイメージが浸透。
同時に「ゲームは子供に害となるもの」と思う親達も多かった。
そんな中でコナミMSX「教育シリーズ」というゲームソフトをリリースした。
その第一弾が本作「けっきょく南極大冒険である。
本作の副題には「I love 地理」とつけられ、
「本作は遊ぶと地理が学べる教育ソフトですので、子供に与えても害じゃないですよ」
という建て付けでリリースされたわけである。

 


舞台は南極。
氷の大地がペンギンの背中越しに奥側へ広がっている。
いわゆる擬似3Dゲームである。


カーソルキーを左右に入れるとペンギンが左右の端から端まで移動する。
上に入れると加速。画面奥へと進んでいく。
下に入れると減速。
スペースキーでジャンプ。


この挙動を利用してクレバス落下やアザラシとの衝突を回避しながら、
制限時間内に南極基地を巡るゲームだ。
途中出現する旗や魚を取るとスコアアップだが、
クリア目的なら狙わない方が賢明だろう。
なお、取ると一定時間空を飛ぶ事が出来る光る旗は、
のちに移植されたファミコン版で追加されたものなので、本作には登場しない。

 


ゴールするとその基地の旗が掲げられる。

 


そして次の目的地までのマップが表示。
コースの形状を表してはいないので、
あと何ステージで一周するのか分からせる目的だろう。

 


全10ステージをクリアすると1ステージからループとなり、
エンディングは存在しない。

 


即死は無く、ミス全てロスタイムとなる。
基地に辿り着く前に制限時間が尽きるとゲームオーバーだ。

本作、アクションゲームというより
ドライブゲームの構成に近く
爽快感のあるゲームに仕立て上げている。

さて、果たして本作をプレイして「地理」が学べたのか?
言わずもがなである。
南極しか登場しないゲームで地理もクソも無い。
強いて言えばゴール地点の旗で国の国旗デザインは覚えるかも知れない。
やけに効率の悪い教育だな!(^◇^;)

それはともかく、かわいいペンギンの後ろ姿と、牧歌的な世界観によって、
結果的に多くの人に好印象を与えるゲームになっている事は間違いない。
と言っても認知されているのはMSX版ではなく、
本作の1年5ヶ月後に発売したファミコン版だろうけど。
(ファミコン版はコナミファミコン参入第一弾となった)