機動警察パトレイバー 98式起動せよ!
マーバ
1992年10月23日/アドベンチャー/7800円
「機動警察パトレイバー」は言うなれば、“アニメーション作品の最先端”だった。
ゆうきまさみ、出渕裕、高田明美、伊藤和典、押井守といった
一線級の才能とセンスを持った人達が集まり、
OVAという比較的自由に作品を作れるメディアで世に生み出し、
既存のロボットアニメとは一線を画す設定やデザインは、
より踏み込んだ世界観構築を感じさせた。
「機動警察パトレイバー」を観るには
映画館のチケットよりも高い投資が必要であったが、
その金額を払ってでも観る価値のあるアニメというブランド力があった。
つまりこの「機動警察パトレイバー」をゲーム化するという事は、
「最先端を感じさせるゲーム」を期待するという事であった。
(「進撃の巨人」「鬼滅の刃」などを想像すると分かりやすいだろう)
本作を開発したのはバンダイの子会社マーバ。
「機動警察パトレイバー」のゲーム化としては、
1989年にファミコンディスクシステムでリリースされた「機動警察パトレイバー」、
1990年にゲームボーイでリリースされた「PATLABOR 狙われた街1990」、
それに次いで3作目。
なお、本作の翌年1993年には
PCエンジンで「機動警察パトレイバー ~グリフォン篇」が、
1994年にはスーパーファミコンで「機動警察パトレイバー」がリリースされている。
プレイヤーは特車二課に配属された新米巡査。
最初に名前を決めて後藤隊長に挨拶するところから始まる。
システムはコマンドを選択して進めるオーソドックスなアドベンチャーゲームだ。
後藤隊長が「全員に挨拶してこい」と言うので、登場人物達を探す事になる。
トップビューで構成された特車二課の施設内を十字ボタンで移動する。
全員と挨拶してから後藤隊長のもとに戻ると事件が発生する。
クーデターが起こり、特車二課がテロ組織に占拠されてしまうのである。
以後、移動しているとテロメンバーがエンカウントし、
RPGのような戦闘シーンが発生する。
なんとこの戦闘システム。
勝ったからといって経験値やレベルが上がる事は無い。
つまり単なる消耗戦。戦闘すればするほど体力が減っていき、
体力が尽きるとゲームオーバー。最初からやり直し。
進行に関係ある戦闘と関係無い戦闘を見抜き、
関係無い戦闘は「逃げる」が最も効率の良い進め方だ。
もし無駄に消耗してしまったら、
外のトマト畑で体力が満タンになるまでトマトを食べよう。
次へ展開するフラグを探すために何度も戦闘で負け、
何度もゲームオーバーになっているうちに心が折れた・・。
この先にはマッピング必須なダンジョン探索とかもあるらしく、
パトレイバーファンはどれだけマゾヒスティックだと思っているんだ・・(^^;
冒頭で説明したスーパーファミコン版以降も、
パトレイバーのゲーム化はプラットフォームを変えて実現しているが、
本作を含めその全てが「最先端を感じさせるゲーム」と言えるタイトルとはほど遠く、
ゲーム化難易度の高い原作であった事が伺える。
本作は押井守監督がゲームディレクターを務めたと宣伝されていたが、
もし本当なら押井守史上最大の黒歴史かも知れない。(^^;