スーパーマリオブラザーズスペシャル
発売元:ハドソン
発売時期:1986年10月
定価:6800円
対応機種::PC-8801mkIISR以降
ディスク1枚組
1985年9月13日にファミリーコンピューターで発売された
「スーパーマリオブラザーズ」は、爆発的な人気を呼び、
ファミコン普及の立役者となった。
あの頃はファミコンブームというよりも、
スーパーマリオブームと呼んでも間違い無い勢いだった。
そんな「スーパーマリオブラザーズ」登場から1年後、
パソコンにも「スーパーマリオブラザーズ」が登場。
その名も「スーパーマリオブラザーズスペシャル」。
(PC-8801mkIISR版とX1版が登場)
ハドソンがアレンジしたスーパーマリオの新作ゲームだった!
これによりスーパーマリオブームはパソコンにも波及し、
このゲームをプレイするために多くの人がパソコンを購入した。
・・とはならなかったw
国民的ゲームとなった「スーパーマリオブラザーズ」を持ってしても
その効果が発揮されなかったのはなぜなのか?
サイドビュー画面でマリオを操作し、
制限時間内にゴールを目指す。
キノコを取るとマリオが倍の大きさになり、一度だけ敵との接触に耐えられる。
また、ファイヤーフラワーを取るとファイヤーマリオになり、
ダッシュボタンでファイヤーボールを投げる事が出来るようになる。
敵キャラクターを倒すには敵を上から踏むか、
ファイヤーボールを当てる。
ダッシュボタンを押しながら移動すると走ったり、
高くジャンプしたりできる。
おそらくこれを読んでいるほとんどの人が知っているスーパーマリオの仕様だ。
これらは本作でも完全再現されている。
だが、本作にはファミコン版スーパーマリオと決定的に違う点があった。
それはマリオが画面右へ進んでもスクロールしないという事だった!
画面の端に移動すると、画面がいったんブラックアウトし、
隣の画面に切り替わる。
(X1版の場合は「ゼルダの伝説」方式で画面がスライドした模様)
これに何の問題があるか?
大問題である。
例えばこの画面。
今は画面切り替えの境界線に立っている。
ここから移動する鉄骨に向かってジャンプする必要があるのだが、
隣の画面構成がどうなってるかわからない。
えいやっとジャンプすると、乗るべき鉄骨を飛び越えてしまったり、
ジャンプ距離が足りなかったりするかも知れない。
ジャンプのタイミングが正しかったかも切り替わるまで不明だ。
こんなシーンが多発するのが「マリオブラザーズスペシャル」なのである。
また、切り替え直前に叩く必要のあるブロックがあったりしても、
切り替えてしまってはもう戻れない。
このゲームをプレイすると、
いかにスーパーマリオがスクロールを前提としたゲームだったかわかる。
88やX1といった一般的なパソコンはアクションゲームに向かないと言われている。
スプライト機能などアクションゲームに有効なしくみが存在しないからだ。
そんなパソコンでスーパーマリオの再現を良くやっている方だが、
それにしても様々な面でその歪は確認できる。
まずマリオの操作。
ジョイスティックで遊ぶ事ができるものの、
ファミコンのようにスティック操作とマリオの動きが
完全連動しているとは言いがたい。
なんだかモサモサしていて一瞬の反応に操作がついてきてくれない。
少なくともファミコン版の軽快さは感じられない。
また、背景の山や城などをマリオの背面に表示する事が出来なかったらしく、
なぜか前後関係を無視してマリオが背景と同化する(^^;
これはとてもかっこ悪い。
だったら背景側を省略すれば良かったじゃないか。
そして制限時間がファミコン版より厳しい。
コイン集めや隠し通路探しをしている暇が無く、
とにかく急いでゴールへ最短ルートを通らないと時間切れになる。
本作は一見すると無理なスペックで
ファミコン版を再現しようとした移植ゲームに思われるが、
実のところステージ設計はオリジナルである。
「ファミコン版にこんな場所あったっけ?」という事にすぐ気づく。
操作設計は難解なのに、
本作のステージはファミコン版より露骨に難易度を上げている。
例えばこのようにダッシュジャンプを使わないと届かない場所が
序盤から容赦なく用意されている。
ファミコン版同様に1ワールドは4つのステージで構成され、
ステージ4の最後にはクッパが待ち構えている。
ファイヤーボールでクッパを倒すか、クッパの攻撃を避けつつ、
クッパの背後へ通過できれば勝利となる。
THANK YOU MARIO!
BUT OUR PRINCESS IS IN ANOTHER CASTILE!
さて、本作にはファミコン版マリオには登場しない
ギミックや敵キャラクターが存在する。
例えばこの「スプリングブロック」。
上に乗るとビョンビョンと跳ねて、
タイミングよくジャンプするとより高く跳ぶ事ができる。
ところがこのタイミングが異様に難しく、
横の壁を乗り越えられないまま何度もタイムオーバーに。
蛇足な要素を追加してくれたもんだぜ(--*)
「ドンキーコング」に登場したタルが転がってくる。
そしてハンマーを取るとマリオが一定時間ハンマーを振ってタルを壊せる。
スーパーマリオの舞台でこのアクションを見られるのは貴重だ。
壁に「HUDSON」と書かれているw
「このマリオはハドソン製だ」とアピールしたいのだと思うけど、
こんな便所の落書きみたいな描き方しなくても・・(爆)
「マリオブラザーズ」に登場したハエが登場。
こういう足場を画面切り替えで進ませるのマジやめて・・。
このステージは土管が複雑に繋がっていて迷路のようになっている。
間違った土管を通るとすぐスタート地点に戻ってくる。
このステージはマリオがずっと建物と同化して進む。
誰か止めなかったのか・・(^^;
THANK YOU MARIO!
YOU CLEARED EVERY WORLD
YOU ARE THE GREATEST PLAYER
STAFF
PROGRAMMED BY
YUKIO-TAKEOKA
COURSE-DESIGNED BY
ICHIROU-SAKURADA
ENEMY DISPOED BY
SUGATA-MORIMOTO
ENDING DEMO BY
TOMOHIKO-NAKAJIMA
SOUND EFFECTED BY
FUMIHIKO-ITAGAKI
MEGUMI-KAWAMATA
COUESE EDITOR BY
YOSHIYUKI-KAWAGUCHI
NEW CHARACTER BY
YUKIO-TAKEOKA
MEGUMI-KAWAMATA
NEW CHARACTER NAMING BY
YUKIO-TAKEOKA
TOMOHIKO-NAKAJIMA
SADAKICHI
PRODUCED BY
TAKASHI-TAKEBE
CAST
MARIO
PRINCESS PEACH
KINOPIO
ENEMY
KURIBOU
NOKONOKO RED
NOKONOKO GREEN
PATAPATA RED
PATAPATA GREEN
MET
HUMMER BROS
JUGEMU
TOGEZOU
PAKKUN FLOWER
PAIPO
KILLER
PUKUPUKU
GESSO
BUBBLE
CHOKICHOKI
NAKAJI
TARUSAR
SIGEBOU
TSURARA
KUPPA
本作はマリオシリーズ初のスタッフロールが流れるタイトルである。
オリジナル版製作者である宮本茂さんらの名前がスタッフロールに登場しないのは
大丈夫だったのだろうか?(^^;
最後に表示されるこの画面によれば、
隠しボーナスアイテムのハチスケや、
残り時間の増えるクロック、空を飛べる(?)ウイング、
といったアイテムも登場するらしい。
ハンマーとラッキースターしか見つけられなかったが。
また、ファミコン版にあるような
ステージワープポイントの存在も見つける事は出来なかった。
本作はあらゆる点でオリジナルの劣化版であり、
スクロールが出来なかった時点で
「スーパーマリオブラザーズ」の魅力を再現できなかったゲームなわけだが、
オリジナル版とは違うステージ構成や
オリジナル版には登場しない敵キャラクターやアイテムによって、
マリオファンにとってはプレイを避けて通る事は出来ない一本となっている。