ソニック・ザ・ヘッジホッグ
(セガ)
1991年7月26日/サイドビューアクション/6000円
スーパーファミコンより2年早く市場に出ていたメガドライブだったが、
ハード普及はパッとせず、
メジャーなゲーム機の座を旧世代のファミコンから奪う事すら出来ていなかった。
任天堂の持つ“マリオ”というアイコンの有効性を痛感していたセガは、
「セガのアイコンとなるキャラクターを創造し、100万本以上売れるゲームにする」
という“セガのマリオを作る”事を推し進めた。
そこで提案された様々なキャラクターの中から白羽の矢が立ったのが、
青いハリネズミのソニック・ザ・ヘッジホッグであった。
キャラクターデザインをしたのは大島直人さん。
そしてこのキャラクターを使ったゲームを開発するのに中裕司さんを抜擢した。
中裕司さんはディレクターでもプロデューサーでも無かったが、
こだわりが強く、立場なんておかまい無しで
ディレクションにまで口を出すプログラマーで、
「そんなに言うんだったらこいつに任せてみよう」という事になったらしい。
ソニックの魅力はわかりやすかった。
操作はほとんど移動とジャンプのみのシンプルなもので、
クールに描かれたソリッドなビジュアルのステージ上を
凄いスピードでビビューンと駆け抜ける。
ステージもそれに合わせて気持ちよく駆け抜けられる形状が用意されており、
まるでジェットコースターのような爽快感があった。
本作はまずアメリカで発売された。それから1ヶ月遅れで日本で発売。
まずアメリカで人気に火がついた。
セガに対してネガティブなイメージの無いアメリカの方が、
その魅力を素直に受け取れたのかも知れない。
アメリカ人気の起爆剤となったのは何かというとTVCMだった。
そのCMがエグい。
スーパーマリオブラザーズとソニック・ザ・ヘッジホッグの画面を並べ、
「マリオに比べてこんなにアクションが凄いですよ」と比較したのである。
世界でウケていると知られてくると、日本でも次第に認知度を上げていく。
ソニックはメガドライブをスーパーファミコンに勝たせる事は出来なかったが、
マリオやリンクに並ぶ
「世界で知られるゲームキャラクター」へと駆け上がっていった。
そんなソニックの当時の俺様の印象だが、
メガドライブでここまでキャラクターを俊敏に動かす技術は凄いと思った。
キャラクターが速く動くだけで何がそんなに凄いの?と思われるかも知れないが、
当時のゲームでまともに高速でスクロールさせようとしたら、
「処理落ち」や「キャラのチラつき」などとの過酷な戦いが待っていた。
それらを乗り越えてゲームとして成り立たせる事は
プレイヤーを驚かせるのに十分だった。
そしてこれまでのセガゲームに比べて随分とスマートなグラフィックデザインだ。
BGMもDREAMS COME TRUEの中村正人さんに発注し、
これまでのゲームBGMからは異質な軽快なものになっている。
技術的には素晴らしかったソニック・ザ・ヘッジホッグであるが、
アクションゲームの面白さとしては、俺様の評価はそこまで高くない。
ソニックの魅力は“高速移動”であり、そのプレイ映像はキャッチーなのであるが、
ステージ構成は「高速移動するとミスになりやすいゲーム」になっている。
これは大きな矛盾点だ。
実はこのゲーム。
高速で移動するよりも、
障害物にぶつからないように慎重にプレイした方が上手く進む。
ソニックはステージ中にリングを集めるのだが、
リングを1つでも持っているとダメージを受けてもゲームを続ける事ができる。
また、ダメージを受けたときに持っているリングがバラ撒かれるのだが、
直後に拾い直す事ができる。
それだとゲームが優しすぎてしまうからなのか、
障害物の配置が厳し目に設計されている。
これが“高速移動”の魅力にブレーキをかけているのである。
特に浮力がついて速く動く事が出来なくなる水中ステージは、
このゲームの魅力に反しているのでは無いかと思う。
また、似たようなステージが続く構成になっており、
ステージギミックもあまり目玉になりそうな大仕掛けが登場しない。
それだけに画面全体が回転するボーナスステージの存在感は大きかった。
スーパーファミコンでは画面全体が回転拡大縮小をする
モード7と呼ばる機能を全面的にアピールしていたが、
それを意識してのボーナスステージだったんだと思う。
全7ステージで、一つのステージは3つに分割されている。
各ステージでは宿敵ドクター・エッグマンとの戦いが待ち受けているが、
逃げるドクター・エッグマンを追いかけるだけのステージもある。
前述したようにダメージの受けやすいステージ設計であり、
難易度は決して低くない。
GAME PLAN
CAROL YAS
PROGRAM
YU2
CHARACTER DESIGN
BIGISLAND
DESIGN
JINYA
PHENIX RIE
SOUND PRODUCE
MASATO NAKAMURA
SOUND PROGRAM
JIMITA
MACKY
SPECIAL THANKS
FUJIO MINEGISHI
PAPA