88ゲーム回想録(34)「アゲイン」


アゲイン
発売元:エニックス
発売時期:1984年12月
定価:5800円
機種:PC8801

 


本作はコマンド入力式アドベンチャーゲームであるが、
その内容はこれまでのアドベンチャーゲームと大きく異なる。
また、その展開によりRPG、パズル、手術シミュレーションと
ゲームの形式が切り替わっていく。
このめちゃめちゃ実験的なゲームを開発したのはランダムハウス
天才プログラマー森田和郎さんが1983年4月に設立したソフトハウスだ。
会社設立から本作発売までの20ヶ月の間に「アルフォス」、「チェンジャー」、
「ランナウェイ」、「森田和郎の将棋」、「暗黒城」と
5本ものゲームソフトをリリースしている。

「アゲイン」の作者は森田さんの埼玉医大同級生である山口祐平さん
山口さんは当時、ランダムハウス契約社員で、
のちにアーテックの社長になっている。
本作はエニックス主催の
「第3回ゲーム・ホビープログラムコンテスト」の入選作であったが、
すでにコンテストは「アマチュアから才能を発掘する」という名目からは外れ、
プロとして活躍している人が会社で作ったものが入選するという
出来レース的なイベントと化していた。
ちなみにエニックスのプログラムコンテストはこの第3回で最後となっている。

まったくの余談だが、
このタイトル画面、どことなく楳図かずお先生の
「アゲイン」1巻表紙絵に似ているのは偶然だろうか?

 

タイトル画面を抜けると、
いきなり「オカイアゲ アリガトウゴザイマス!」というメタ的表現から始まるw


ゲームの説明から読んでみる。

【ゲームの説明】
あの人生をもう一度…
そんなあなたの望みを叶えてあげよう!
天国であなたは「精霊」になるために人生修行のプログラムを組みました。
それを全部突破しないと天国の住民にはなれません。
さあ、頑張ってあなたが組み立てた人生を歩んで下さい。
なんべんも生まれ変わって頑張りましょう…

【ゲームのやり方】
このゲームは1回のプレイでは絶対に終わりません。
あなたの選び方によって色々と変化するからです。
天国に行くとあなたがどのくらい予定の人生をパスしたかが示されます。
目的は一つ!「精霊」になるため全ての人生を成功して下さい!

 

このゲームはコマンド入力方式の人生体験ゲームである。
ゲームシナリオの中には7つの人生が描かれており、
プレイヤーの行動選択によって、人生の結末が変化するというユニークなゲーム。
(タイトル画面には「サクセス ライフ ストーリィ」とある)

それでは一つの人生をご紹介しよう。

 

ヘニックス貿易に就職が決まりました!
今日は務めの一日目です。
頑張って下さい!


あなたの叔父さんです!

叔父「わたしは君に居者になって欲しかった!医学部へ行ってくれないか!」
行きますか?
>いかない

 


募集案内です。


へニックス貿易の玄関です。

中に入りますか?
>入る


「新入社員?ここは失敗を許さないところだから気をつけて!

そうそう課長が呼んでいたよ!」


「輸入管理署に行き、サクモト部長から荷上げの許可を取ってきてくれ!

10000円封筒に入っている。何かあったら電話をしなさい!」

>封筒と身分証を取って社外へ

 


「兄ちゃん、タクシー乗って行ってよーー!」

 


「ヘニックスに行く道を教えてくれませんか?輸入管理署のものですが!」

道教える
「ありがとう!お礼に教えるけど、うちの部長はお酒がとても好きだよ!」

 


「ヘイッ!いらっしゃい。酒を買うかい?」

>買います
「毎度ありがとーー。」

 


「泰安寺というお寺を教えてくれんかのう?」

 


>泰安寺聞く

「教えるのは難しいので、本人に交番を教えて下さい!私が連れていきます。」

>おばあさんのところに戻り交番を教えました
「おおきに!あなたの名前は?ああそうですか!
ヘニックスの**さんですか!きっとイイことありますよ。」

 


輸入管理署の入り口です。門番が何か言ってます。

>身分証見せる
「ヘニックスの方でしたか!サクモト部長が待ってます。どうぞ。」

 


「私がサクモトだ、許可はやらんぞ!」

帰りますか?
>酒を渡す
「おっ、君はいい奴らしいな!飲みに行かないか?」


部長の行きつけのバー「もちづき」に来ました。

高そうですよーー。
>バー入る


「君を誘ったがまだ許可をやるとは言っていないぞ。」

>酒飲ます
「美味いのーーー。」


「気に入った!許可をやろう。ところで勘定頼んだよ。」


「お勘定は53160円となっております。」

>電話する
「なに許可が取れた!金は任せなさい。よくやった。」


係長になったあなたはヒクノ部長に呼ばれました。


「なかなか出来るんだってなぁ!君を見込んで頼みがある。

娘と結婚しないか?これが写真だ!」


「どうだ!結婚するかね?」

>はい


やったね!


あなたは部長の派閥というわけで、アラビアに左遷となりました!

サラリーマン辞めますか?
>いいえ


いってらっしゃーーーい!

ドジを踏んだあなたは無法都市「ゴモラム」に飛ばされました。
本社に戻る方法はどこかに埋まっている「石油」を掘り出す事です。
頼れるものは自分しかありません。
ともかく色々やって下さい。
これは(タイニーロールプレイング)です!!


突然ここからRPGになるw

道をウロウロして悪漢と遭遇。
戦って倒すと経験値やお金が手に入る。
体力が減ったらお店で食事して回復。


瀕死になったときにお金が無いともう生き残れない。

体力が0になると経験値0からやり直し。
死なずにお金を貯める事が出来たら武器や兵士を雇って強化できる。
このRPGモード、何度も失敗して長いので、
いったんゲームをリセットして違う人生を目指してみる。

 

 


あなたの叔父さんです!
叔父「わたしは君に居者になって欲しかった!医学部へ行ってくれないか!」
行きますか?
>医学部へ行く
見事、医学部へ合格!
早く叔父さんの期待通り医者になるよう頑張りましょう!

講義の時間に昼寝しているあなた‥

 


そして、解剖実習のお時間!‥
やがて学生の敵!進級試験が始まった!


テスト:この患者の病名を教授に報告すること!
患者:あのーー胸とお腹が痛いのですがーー。
>どこ痛い?
右脇腹が痛いんです!
>どんなとき痛い?
腹が減っているとき痛くなります!
>心配事あるか?
はい、仕事の事で…
>触診
右脇腹を押すと痛む!
>聴診器でお腹を調べる
ゴロゴロいっている
心電図:…異常無し
レントゲン:…胸には異常無し

>ノート見る
狭心症:鳩尾痛い、吐き気、心電図異常
心筋梗塞:鳩尾痛い、吐き気、心電図異常、45<多い
胃癌:食欲無し、レントゲン異常、食べ物変わる、吐き気
胃潰瘍:食べると痛くなる、腹触ると一部痛い、ストレス
食道癌:食べられない、吐き気、レントゲン異常
十二指腸潰瘍:腹減っているとき痛い、ストレス
強制膵炎:とても痛い、血は吐かない、吐き気はある
胆嚢結石:発熱、黄疸、レントゲン異常
肺高血圧症:チアノーゼ、吐き気、心音異常


先生:では病気の名前を一つだけ答えなさい!
>十二指腸潰瘍
先生:うむ!正解だ!よく勉強した!進級を認めよう!

あなたは大学を卒業して医者になりました!

 

交通事故の急患です!あなたにオペ(手術)をしてもらいます!

【手術の仕方】
(1)お腹の手術です!
(2)命令は下から選ぶこと
(3)失敗すると色々危険になる
(4)麻酔は浅いと患者が起きる
(5)わからなかったら虎の巻を見る

ここから手術シミュレーションゲームになる。


正しい手順で手術すると成功となるが、
内容がマニアック過ぎる気がする(^_^;
医大生だった作者の知識フル活用し過ぎ仕様w


手術成功おめでとう!
これで立派なお医者さんになれますね!

あなたはその後、多くの人々を救いました!
しかし家族を構う暇が無く、それだけが気がかりでした。

 


最後にスーパースターとなる人生を駆け足でご紹介。


ヒクノ部長の娘との結婚を断ると分岐。
部長の怒りを買って博多へ左遷となる。


博多の繁華街で飲んでいると、突然スカウトに誘われてタレントへ。

 


女性タレントのアスカちゃんとスクープされるも、
なんとか乗り越えてデビューへ。
外国公演へと旅立った先でなぜか宝物を探す展開に・・。
そこで回転扉を使ったパズルゲームになる。


最後は見つけ出した宝の力で世界のスーパースターとなるのだった。

 


チーーン、ポクポク!

お葬式は日本式で行いました!

 


こんな感じで大きく7通りの人生を体験する事ができる。
まず最初に叔父さんから「医学部へ入る」ように勧められる。
その言葉に従えば医学部へ、無事卒業すれば医者。
もし言葉に従わなければ商社に入る事になり、接待を成功させたり、
部長の娘を嫁に貰ったり、左遷されたり…と、
展開がとにかく読めないのが面白い。
また、そのシチュエーションによってRPGが始まったり、
脱出パズルが始まったり、手術ゲームが始まったりと、
バラエティ色が豊かなのも楽しいぞ。
よく考えたら、クリアしても別のシナリオルートを目指して
何周も遊ぶというヤリコミ要素は、
(現在ではよく見掛けるが)このゲームが元祖なのかも知れんなぁ~。
1つのエンディングを目指して解き明かす事が目的だった
他のAVGの中で異彩を放っているぜ。