ナイトトラップ
セガ
メガCD/1993年11月19日/アドベンチャー/8800円
このゲームは実写動画を使ったインタラクティブゲームだ。
プレイヤーは特別捜査チーム“SCAT(スキャット)”の隊員。
ゲームのオープニングで作戦の説明が隊長からされる。
隊長「私はシスム。セガ・コントロール・アタックチーム、SCATの隊長を務めている。
先頃、週末を過ごすため、マーチン家の別荘を訪れた5人の女性が消息を絶った。
家にはマーチン夫妻の他、二人の子供ジェフとサラが住んでいる。
今夜また5人の女性がマーチン家に招かれ、一晩を過ごす。
そこでだ。君にはその5人の安全を確保してもらいたい。
よく聞け。昨夜隊員がマーチン家に侵入し、妙な防犯システムを発見した。
各所に取り付けられた隠しカメラとトラップだ。
システムにはただちにケーブルを接続し、
君がカメラとトラップを操作できるようにしておいた。
このリモコンでな。」
隊長「トラップを使って、危害を及ぼすと思われる者は、
誰であろうとことごとく捕獲しろ。
だが守るべき人々をトラップにかけてはいかん。
ああ、一つ言っておこう。
トラップはアクセスコードでプロテクトされている。
コードが違っていると作動しない。
現在アクセスコードは「青」。従って「青」にセットしておいた。
しかしあの家の者はいつでもコードを変える事が出来る。
だから住人の会話にも注意しろ。
接続ケーブルを見せておこう。」
隊長「これは一階の廊下だ。このように繋いである。
こいつを外されたら、この操作は不可能になる。」
隊長「これが我々のチームだ。」
隊長「そしてケリー。彼女は私の優秀な部下で、
ゲストの一人としてマーチン家内部を探る。
ケリー達の命は今や君の働きにかかっている。
失敗は絶対に許されん。
「君にこの任務は無理だ」そう判断したときには、即刻他の者と交代させる。
ケリー達がマーチン家に着く頃だ。
ボヤボヤするな。任務に取りかかれ。
先が思いやられる・・。通信終了!」
隊長の説明が終わるといよいよ任務が開始される。
簡単に言うと屋敷内とその周辺に出没する悪漢を
遠隔操作で排除していくゲームだ。
ゲームスタートからリアルタイムに時間がカウントされている。
右下にカメラの設置場所8箇所を表すアイコンが並んでおり、
Aボタンでいつでも切り替える事ができる。
設置場所は以下の通り。
1F廊下、キッチン、玄関、リビング、
バスルーム、ベッドルーム、2F廊下、ガレージ
この8箇所を監視していると、悪漢の侵入を発見する。
ベストなタイミングでBボタンを押すと
悪漢をトラップに引っ掛ける事が出来るのだが、
そのタイミングを明示されているのが画面内で常に動いているメーター。
これが赤になったときにBボタンを押せば成功だ。
画面左下の「Chance」が悪漢の登場した回数で、
「Trap」が撃退成功した回数。
つまり「Chance」の数の方が多い場合は、
それだけ悪漢を見逃してしまっているという事。
初見ではそれも不可避なので、
何度もプレイして悪漢の登場時間と場所をメモしておこう。
カメラに映るのは悪漢だけではない。
この屋敷に住む家族が段取りを相談していたり、
屋敷に招かれた女子達のキャハハウフフしている場面に遭遇する。
このゲームではこんな会話劇をじっくり見ている暇は無い。
その間にも悪漢が別の部屋に登場しているかも知れない。
ただしこの会話劇も無意味ではない。
この会話の中で屋敷の住人が
「念のためコードを変えよう“赤”だ」
といった情報を口にする事がある。
コードが切り替わったら、Cボタンでその色に合わせないと、
トラップボタンが作動しなくなるのだ。
つまりその会話の場面に遭遇しないと、
コードが変わった事すら気づかない事になる。
そんなこんなで悪漢を見逃した数が増えてくると突然画面が切り替わり・・
隊長「とんだヘマをしたもんだ。どうしてもっとトラップを利用しなかった。
やる気はあるのか?君の怠慢のせいでここは深刻になった。
これまでだな。」
と言ってコントローラのコードをブチッと千切られてしまう (^_^;
クリアまではかなり難しいゲームだが、
仕組みはシンプルで、地道にタイムチャートを完成させていけば
誰でもいつかはエンディングを迎えられる作りになっている。
何より悪漢を罠にハメる瞬間が気持ちいい。
ノソノソとコミカルな動きで登場する頭の悪そうな悪漢。
そして階段が急に坂になるなど、
まるでドリフのコントのような仕掛け。
当時、友達と一緒にゲラゲラ笑いながらプレイしていたのを覚えている。
終盤は女子達が悪漢の存在に気づいて騒ぎになる。
襲われそうになるところをトラップを作動させて助けるのだが、
1度目のチャンスで作動させると女子をトラップに落としてしまうなど
初見殺しの罠も待ち受ける。
また、悪漢がトラップに落ちるのを見届けてからカメラを切り替えると
間に合わない箇所が増えてきて難易度はさらに高くなる。
会話劇をちゃんと追っていくとクリアできないので、
事件の真相が細かいところまでわからないのだが、
どうやらこの屋敷の主はヴァンパイアで、
女子を招待しては、若い精気を吸っていたらしい。
首謀者の3人を終盤トラップに全員落とすとグッドエンド。
1人でも失敗するとバッドエンドとなる。
噛まれてどこかに落ちていくケリー(^^;
なんとか最後のトラップまで到達。
ヴァンパイアの娘がケリーを追い詰める。
「あなたはもう私達のものよ、はははははは!はははははは!」
と高笑いした次の瞬間にトラップに引っかかる娘。
自分達の仕掛けた罠の位置ぐらい把握しとけよw
ケリー「やったー!全部片付いたわ。こんなの初めてよ。
あなたならやると思った。ありがとう、助かったわ。
隊長にお願いしとくわ。次の任務もあなたと組みたいって。
頼りになるもの。あなたとならどんな任務だって怖くないわ。うふふ。
なーんて冗談。・・ウソ、本気よ。
じゃあまた会いましょう。」
Barry J.Alperin and Tom Zito
A Hasbro Production
Dana Plato
J.Bill Jones
Original Concept by
James Riley
Rob Fulop
Written by
Terry McDonell
Computer Programming by
Gene Kusmiak
Produced by
Ric LaCivita
Kevin Welsh
Directed by
James Riley
動画を使って構成されたゲームは、
「タイムギャル」などアーケードのLDゲームが最も古い記憶だが、
単純なタイミング操作だけだったそれらから
家庭用ゲームとして一歩進んだシステム設計がされており、
CDというメディアで無ければ実現できない内容であった事から、
これが家庭で遊べる事自体に新鮮な体験を感じていた。
テレビ東京あたりで放送されている
アメリカの安い吹き替えドラマみたいな映像もクセになるぜ。
本作の「実写動画で任務を遂行し、失敗すると司令官に怒られる」
という構成のゲームは、
「トムキャットアレイ」「ダブルスイッチ」「プライズファイター」
「ファーレンハイト」「サージカルストライク」と次々と生み出されていく。
俺様の周囲ではこれらを「怒られゲー」と称して一目置いていた。
マジでメガCD最大の魅力はこれら「怒られゲー」の存在だと思う。
【追記】
エンドロールの最後に表示されるこの人、誰だろう?