やっぱりセガが好き第91回「シルフィード」


シルフィード
ゲームアーツ
メガCD/1993年7月30日/シューティング/8800円

 


アリシアドラグーン」や「ルナ ザ・シルバースター」など、
メガドライブでも一目を置かれていたゲームアーツが、
ついに自社の代表作とも言える「シルフィード」をメガCDでリメイクを発表。
パソコン版の「シルフィード」は
日本ではPC88SRとFM77AVでしかリリースされておらず、
その知名度に反してマイナーな存在で、伝説的なゲームとなっていた。
それがメガCDで再構築されるとなり騒然となった。

 


まずはパソコン版同様に自機の発進シーンから始まる。
パソコン版ではワイヤーフレームだったが、
当時はまだ一般的ではないCGムービーでカッコ良く演出されている。

 


ゲーム構成はパソコン版を踏襲している。
縦スクロールシューティングにパースがかかったハーフトップビュー画面。
操作は8方向移動とショットに追加してオプションショットという攻撃がある。
オプションショットは補給艦で装備してから使えるようになる。
隕石を破壊するとアイテムが登場するのも同じ。
アイテムはスコアアップ、シールド回復、オプションエネルギー増加、
画面内の敵を一掃、一定時間無敵・・といったものがある。
パソコン版では連射、スピードアップ、ショット強化などあったが、
それらの要素は存在しない。
なお、本作では最初からボタン押しっぱなしで連射になっている。

シールドは6回まで攻撃に耐えられる。
シールドの無い状態で1回攻撃を受けるとエンジン破損でスピードダウン、
2回で武器が片方使えなくなる。
3回目で大破となりゲームオーバー。
なお、前作では無かったコンティニュー機能が本作には採用された。
コンティニューするとシールド全回復状態で始まる。
コンティニューは3回まで。

 


パソコン版とメガCD版で最も進化を感じさせるのは背景だ。
本作でポリゴンにより描写されているのは自機と敵機、弾といったもので、
背景はCGで描かれたムービーである。(プリレンダリングと言われているもの)
メガドライブのスペックでは描画不可能なCG表現を動画データにする事で
ダイナミックでオーバースペックなCGゲームの世界を生み出したわけだ。
「ただバックでムービー垂れ流しているだけだろう?」
なんて考えは見当違い。
手前のポリゴンによる展開と、
奥のムービーをシンクロさせる事がどれだけ難しい事か。
(センス的にも当時の技術的にも)
それを達成させた事によって、ダイナミックなスペースオペラを実現させているのだ。
同じ時期に出ていたポリゴン技術を使ったシューティングには
スーパーファミコンスターフォックスがある。


スーパーファミコン版「スターフォックス」の画面

スターフォックス」は3Dで遊びを構築しているがゆえに
見た目は当時のスペック通りで致し方無しだが、
この両者を比べてみても、
どれだけシルフィード」のビジュアルインパクトが絶大だった事か。

 


ステージ1のボスはパソコン版と類似している。
このあたりパソコン版の記憶をときおり掘り起こす構成はニクイ。
ボスを倒すとプロローグ演出が始まる。


3076年、各移民星系を突如、太陽系軍無人艦隊が襲った。


母星 地球にある銀河ネットワーク中枢フォトンコンピューター
“グレイゾン”システムが、
謎のテロリストグループにネットワークジャックされたのだ。


テロリストのリーダーは “ザカリテ” と名乗った。


そして今、銀河連邦各星系の残存艦隊はザカリテを討つべく集結。
太陽系まであと64光年の距離にあった。


大改修、強化した有人戦術宇宙戦斗機 SA-77シルフィードを切札とし、
残存艦隊は反撃に転じたのである。


目指すは 母星、地球。

パソコン版では強烈なインパクトを残したザカリテだが、
本作での登場はここだけだ。

 


パソコン版同様にステージをクリアするとシールド回復と装備選択の画面になる。
装備の増え方はパソコン版と変更されている。
通常武器は40000点ごとに左右どちらかランダムに増えていく。
(左右どちらでスコアを稼いだかは関係無くなっている)
また、オプション装備は50000点ごとにランダムで選択されたものが追加される。

武器の種類は以下の通り。
Fowaed Beam・・・初期装備の前方に発射する。
Wide Beam・・・装備した側120度扇状に放つ射程の短い攻撃。
Phalanx Beam・・・前方V字型に広がる攻撃。
Auto-Aiming・・・装備した側に出現した敵に向けて発射される攻撃。
基本的にはパソコン版を踏襲しているが、
「LASER CANNON」は無くなっている。

シールドは全回復ではなく一定量
大ダメージを受けていると次のステージで厳しくなるのは同じ。

 


ステージ2はアステロイドを抜ける。
ここでこのゲーム最大の欠点が露呈される。
上記画面の隕石がグワーッと迫ってくる迫力の映像だが、
これ見た目の迫力だけじゃなくて、本当に自機にぶつかる。
つまりアタリがある。
奥の画面はカメラがグリングリン動いているので、
よく距離感がわからない。
結果として、何がプレイヤーの障害で、何が通過できる背景なのか、
ぶつかってみるまでハッキリしないのだ。
(弾を当てればわかるけど、スピードが速すぎて反応する暇無い)
結果としてとても理不尽に難易度を上げていると感じられる。

 


ステージ2をクリアしたらやっとオプションを装備できるようになった。
オプションは以下の4種類。
Graviton Bomb・・・正面に弾幕を張る
E.M.Defense-System・・・周囲にバリアを張る
Photon Torpedo・・・ホーミング弾を8発同時発射
Anti-Matter Bomb・・・正面に大ダメージの爆発弾を発射
オプションを装備した状態で出撃すると、
画面に「OPT.」という数値が表示されるようになる。これがエネルギー。
オプション装備は消費するエネルギー量がそれぞれ決まっていて、
使用するごとにここの値が減っていく。
つまりここの値が残っている限り使えるというわけだ。
この値は敵を撃破したりステージをクリアしたりすると増えていく。
ちなみにパソコン版のような武器破損システムは、
このオプション装備のみに継承されている。
ダメージを受けたときに装備していたオプションは次のステージでは使えない。

 


ステージ3は巨大戦闘母艦を撃破する。

 


ステージ4は建設中の要塞。

 


ステージ5は亜空間で3体のボスキャラを撃破する。

 


ステージ5をクリアすると、自機が着艦する中間デモ。

 


ステージ6は小惑星帯

 


ステージ7は機動要塞内部。

 


ステージ8は大艦隊の激戦の中を縫うように進んでいく。
盛り上がりも最高潮だ。

 


ステージ9。奥に地球が見えているから月面かな?
(ステージの説明はマニュアルで8までしか書かれてないんだ)

 


ステージ10はいよいよ地球での本土決戦。
ボス戦は上空に昇っての戦い。

 


ステージ11はテロリストグループにネットワークジャックされた
“グレイゾン”の破壊に向かう。

 


ボス戦直前の中ボス戦。
実はこの中ボス戦が超重要。
なるべく消耗せずに通過したい。
(なぜ重要かはのちほど書く)

 


ボス戦は巨大な砲門。
極太レーザーを放ってくるが、
実は端に避けて撃ち続けているとノーダメージでクリアできる。

 


無事、“グレイゾン”を破壊。

 


と思ったら、テロリストの母艦が登場。
最終決戦へ。

ここでステージ12が始まるのだが、
補給画面が挟まらず開始される。
つまり消耗したシールドはそのまま。
選択した武器もそのまま。
ステージ11をギリギリでクリアしたり、
ステージ12攻略に不利な武器で出撃してたらクリアは難しいってわけだ。
しかもステージ12でゲームオーバーになると、
コンティニューしたときにステージ11の最初から始まる。
それを考慮した上で攻略しないといけない。

 


ステージ12は最初からボス戦だが、
まずはどこから攻撃がきて、どこに避けると攻撃が当たらないか覚える必要がある。
そして火力の強い攻撃で中央の砲門にショットを撃ち込みまくる。
もちろんオプション装備も撃てるだけ撃ち込む。
このボスとしばらくたたかっていると、
どこにも逃げ場の無いレーザーを発射してくる。


こうなると強制ゲームオーバー。
つまりこうなる前にボスの耐久力を0にしないといけない。
俺様がクリアしたときも、もっとも効率的な装備で、
撃ち込めるタイミングを全て逃さず撃っても時間切れギリギリだった。
弱い装備でステージ12に入ったら最初から勝ち目が無い。
わりと極悪非道な難易度設計だ。

 


作戦終了。作戦終了。
さあ、母艦(うち)へ帰ろう。

Director
Takeshi Miyaji

Executive Producer
Youichi Miyaji
Mitsuhiro Mazda
Toshiyuki Uchida

Main Programmer
Kenichi Hamada

Polygon Character
Takahiro Okano

Background CG Producer
Takeshi Miyaji
Takahiro Okano
Hidenobu Takashi
Kenichi Hamada
Akio Matsuda

Graphics
Hidenobu Takashi
Masahiko Koyama

Demoproduce/Visual Director
IKUSABUNE
 Toshio Akashi

Background Mechanic Design/3D Modeling/Visual Director
Wataru Yanagawa

Silpheed Mechanical Design
Kouichiro Yonemura

Mapping Data Producer
Kazuyuki Ohhata

Technical Adviser
Masakuni Mitsuhashi

Music Compose/Sound Effects
Ari Kamijo
Kenichi Kunishima
Tomoyuki Shimada
Kazuya Takahashi
Akio Matsuda

Music
Mecano Associates
 Fumihito Kasatani
 Mariko Satou
 Youko Sonoda
 Mamoru Ishimoda
 Takahiro Nishi

Recording
Two Five
 Isao Mizoguchi
 Noriyuki Iwadare

Artwork
Mariko Uemura

Manual Editor
Masayuki Shimada

Package Art
Jun Suemi

Marketing
Toshiyuki Uchida
Masayuki Shimada
Akira Kashiwagi

Sales
Rika Honma
Yumi Sugaya

Special Thanks
NASA
Astronomical Society of Japan

 

 

それにしても大変だった。
朝からプレイし始めてクリアまで8時間かかった。
途中何度も挫折し欠けたぜ。
コンティニューが3回しかないのになぜクリア出来たかって?
実はこのゲームはコンティニュー数を増加させる裏技がある。
コンティニュー回数が残り1回になったときに、
オープニングデモ中に「→↑ABC←←↓CAスタートボタン」を順番に押す。
すると残りのコンティニュー数が10に増えている。
これを利用すれば実質コンティニュー無限となり、
忍耐力さえあればいつかはクリアできる可能性があるってわけだ。

パソコン版同様に本作も難易度が異様に高い。
まず画面にパースがかかっているという事は、
敵の弾や障害物が手前に近づくにつれてギュンッと加速するという事で、
真上から見た縦シューよりもまず難易度が高いわけだが、
それに加えて前後左右から弾を吐きながら突撃してくる敵の配置が手加減なしで、
反射神経で避けるのは無理なシーンが多く、
出現パターンを覚えて進むゲームになっている。
それでもコンティニューを用意したのは大きな進化で、
こんな俺様でもエンディングまでなんとか到達できたのだから、
俺様の中ではパソコン版よりも本作の方が完成度が高いゲームと判定されている。

ところどころに前作を思わせるセルフオマージュが見られる好リメイクであるが、
前作で最も印象的だった日本語によるザカリテボイスが
本作ではスポイルされているのは残念だった。

何にしてもメガCDを買って良かったと思えるオーパーツの一つだ。