わが青春のPCエンジン(150)「ガイアの紋章」


ガイアの紋章
(メサイヤ)
1988年9月23日/SLG/5200円

 


PCエンジン誕生から約1年後、
メサイヤPCエンジン参入第一弾が本作「ガイアの紋章」であった。
メサイヤはNCS(日本コンピューターシステム)社のブランド名で、
パソコンゲームを開発していたNCSは、
1987年にリリースしていたファンタジーSLG三部作として
「エルスリード」「ガイアの紋章」「ガイフレーム」があった。
そのうちの2作目を移植したのが本作だ。

 

シナリオ、コンストラクション、キャンペーンといったモードがある。
シナリオは30用意されているマップから好きなものを選択して遊ぶ。
このゲームにはライト軍とダーク軍の二つの勢力が登場するが、
このモードではどちらでも選べる。
また、両軍ともプレイヤーが操作する対戦ゲームも可能。
ゲームは、すでに両勢力が配置された状態から始まる。
詰将棋的なプレイとなる。

コンストラクションは両勢力の配置や戦力を自由に変えられるモード。
そしてキャンペーンは、30マップを順番にクリアしていくモード。
今回はみのキャンペーンモードに挑戦してみる。

 



まずは1マップ目の「序章」からスタート。
シナリオモードでは、このときテキストで状況説明が表示されるのだが、
なぜかキャンペーンモードでは表示されない。
こっちのモードこそ表示するべきじゃないか?
同じ画面を出すだけなので技術的な問題や容量の問題ではなく、
設計ミスじゃないかなァ?
とりあえずここではシナリオモードで表示されるテキストをご紹介。

辺境の地で異変が起こっていた。
夜の闇に紛れ、ディールを包囲し、夜明けと共に襲い掛かってきた。
それは動かぬはずの死人の群れ。
人々は恐怖に震えた。
そして、街にとどまっていた僅かな警備兵は、絶望的な戦いへむかっていった。

 


戦闘開始前に出撃するユニットを選択する。
所持ポイント分のユニットが出撃可能であるが、
強いユニットほど必要なポイントが高い。


続いて魔法を選択する。
魔法はターンスタート時に発動する要素だが、
発動するかどうかはターンごとにランダムで決まる。


先行か後攻かもターンごとに決まる。
自分のターンでは全てのユニットの移動や攻撃を指定できる。
ユニットによって攻撃可能範囲が異なり、
攻撃範囲に敵がいたら攻撃を仕掛ける事が可能だ。
さて、この攻撃。
よくあるお互いの体力値を削り合うものではない。


ユニットにはそれぞれ“耐久値”と“攻撃値”というのが設定されている。
一度の攻撃でこの耐久値以上の攻撃を当てると倒す事ができるのだが、
耐久値は消耗するわけではない。
では自分の攻撃値が相手の耐久値より高ければ勝てるのかというと、
当たるか当たらないかもランダムだ。
また、攻撃値にランダムの補正値がかかっているかもよくわからないので、
攻撃値が相手の耐久値を下回るユニットが攻撃するのは無駄なのかどうかも不明。
ユニットの立っている地形でも何か補正がありそう。
攻撃を開始しても特にバトルアニメなどの演出は無く、
その場でユニットが動くだけ。
地味~。


体力消耗型のゲームでは無いので、
なんとか少数精鋭部隊で大量のゾンビを駆除していき、全滅へと追い込む事に成功。


我々の勝利だ。
しかしボーゼルを倒すその日まで、我々に安息はありえない。
勝利と栄光を我に、光の王国に栄光あれ。

ここでパスワードが表示されるので、電源を落としても続きから再開可能だ。
また、マップごとに規定ターン数が設定されており、
そのターン数以内でクリアすると、
次のマップで使用できるポイントが増えて有利になるらしい。


「アグルの勇士たち」
ボーゼルは闇の軍団を率いて、ついにエルスリードへ向けて進軍を始めた。
既に辺境のほとんどは彼の操るゾンビによって制圧されていた。
闇の軍は圧倒的な強さで国境を越え、防衛拠点であるアグルの砦を攻撃した。
砦では兵士たちが最後の抵抗を試みようとしていた。


2つ目のマップにも挑戦したが、
選択したユニットが悪かったのか、全然相手の戦力を削げずに全滅した・・。


やつらはあまりにも強大であった。
傷つき倒れていった彼らを忘れてはならない。
そしていつの日にか必ず、この地に光を取り戻すのだ。


光の騎士達は敗れた。
闇の進撃を阻むものはもう何もない。
ボーゼルはエルスリードを制圧し、その王座についた。


闇が世界を覆っていく。
大地は荒れ果て、人々の心は凍てついていく。
光は戻らないのか。
もう世界は滅びるしかないのか。
今はただ、時だけが過ぎていく・・・

 


一見すると、本作の1ヶ月前にファミコンでリリースされた
ファミコンウォーズ」の世界観を
ファンタジーに載せ替えたような感じで楽しげなのだが、
いざ遊んでみると、アナログボードゲームに近い設計で、地味な上に難易度が高い。
おそらく攻略法としては、最初に適切なユニットを選択するのだろうが、
相手の戦力もマップの形状もわからないうちにそれを決めさせるのは無茶だ。
何度もマップに挑戦して失敗を繰り返す事が前提の設計になっている。
また、いざゲームが始まっても相手戦力のパラメータは表示されない。
このゲームで最も大事なユニットごとの相性も不明瞭である。
その点、大戦略をお手本としたファミコンウォーズ
ユニットの相互関係が分かりやすい。
ランダムで決まる要素も多く、
詰将棋的な緻密なプレイも成り立っているとは言いづらい。
そして分かりづらい。
演出も極めて簡素。
せめてファミコンウォーズでも出来ている
戦闘演出ぐらいは頑張って入れようよと思う。

 

本作においては、パソコン版をそのまま出すのではなく、
家庭用ゲーム機向きに構成を練り直す必要があったように思う。