88ゲーム回想録(31)「ルーイン」


ルーイン
発売元:ウィンキーソフト
発売時期:1987年5月
定価:7800円
対応機種:PC-8801mkIISR以降

独特の世界観と言えば、WINGやマジカルズゥにも
負けていないのが大阪の会社ウィンキーソフトだ。
本作「ルーイン」もそんな独特の空気を持つ1本である。


ここは、奇怪な石造物群で有名な飛鳥と、
役の行者ゆかりの地、金剛山との間に位置する小さな山村。
こののどかで平和な村が、今、大きくゆれ動こうとしている…

 


主人公が空手部主将の大学生で、妖怪の出没する村を救う…この世界観が素敵だ。
こういった形式のゲームは、圧倒的に西洋ファンタジーが多かったご時世で、
存在感のある世界を提供していた。
こういうワクワク感は大事だと思うんだよな。
しかし、そんなワクワク感はゲームプレイ後15分で粉砕する。

 

サイドビューのマップで村の中を歩き回るアドベンチャーパートと、
村の地下に広がる迷宮(3D)を探索する戦闘パート(?)に分かれている。


まずアドベンチャーパートだが、
探索する村がめちゃめちゃ広い。
ここ本当に村か?ってほどダンジョンのように入り組んでいる。
マッピングしないと攻略不可能だ。
(冒頭のプロローグにある「小さな山村」ってのはフリだと思う)
この広大なダンジョン村をさまよって、ノーヒントで村人を探す。

 


画面にはプレイヤーのパラメータである体力、知性、霊能力、徳が表示されている。
村の移動中に戦闘は発生しない。
移動以外だと「休息する」「瞑想する」「アイテムを調べる」「薬を飲む」
といったコマンドが用意されている。


そもそもゲームスタート時にはプレイヤーの目的すらよくわからない。
マニュアルのストーリーを読んでも、
「とにかく村が大変だから救ってくれ」といった事しか書いていない。
何をすれば救えるのか?
村には何が起こっているのか?
スタート直後どこに向かえばいいのか?
どこにいるのかわからない村人を見つけないと全てが不明だ。
画面には日時が常に表示されている。
どうやらこの日時でも村人の行動が変わるらしい。
ツライ・・。


神社の前を通過したらやっと人がいた。


>状況を聞く
「このところ村人が妖怪に襲われとる。
葛城さん家の空手少年が妖怪退治に行ったきりだそうや。
噂によると中には妖力を持ったヤツがおるさかいに、気をつけなあきまへんよ。」

会話をしたら「知性」のパラメータが上がった。
この値が何の役に立つのかは知らないけど。(^_^;

神社から立ち去ろうとしたら別の人物ともエンカウント。


「息子が地下道に入ったままで、まだ出て来ません、どうか助けてやって下さい!!!
お願いします!!近況は、妖怪が日に日に増えているみたいです。」

 

それから只々広い村を歩きまわり、数人の村人と接触した。


>怪事件について聞く
「俺は、村人が日に日に殺されてゆくのはガマンならん!!
何でも協力かるさかい、絶対に解決すると誓ってくれ!!」
>地下道について聞く
「あぁ、地下道は知っとるが、俺は山の人間やから、どこにあるかまでは…。」
>アドバイス聞く
「俺は、森や木の事ならなんでも知ってる、聞きたい事があったら遠慮なく言へや!!」


>怪事件について聞く
「はい、大変な騒ぎですよ!妖怪変化を見た者も多く、大事件になってますよ!!」
>地下道について聞く
「いや、私は全然知りませんねぇ。」
>村人について聞く
「この村では長老が、何でもよう知っとるよ!!古い事は、ばあさんかな!?」
>情報聞く
「・・・・」


>怪事件について聞く
「わしの村がこの始末や!!恐ろしいことや!!」
>地下道について聞く
「あぁ知ってるけど…。やめといた方がええなぁ!!」
>魔物について聞く
「あぁ知っとるよ。時々地下道にあらわれよる。」
>情報聞く
「・・・・」


「・・・・」


地蔵の後ろには地下道への入口があった。

 

地下道は3Dダンジョン方式になっている。

ここも当然ながらマッピングしながら進む必要がある。
歩いていると妖怪が出現し戦闘になる。


妖怪が出現するとサイドビューの格闘アクションゲームに切り替わる。
ウイングマン」や「ザ・スクリーマー」を思い出す構成。
攻撃方法がキックだけで間接攻撃が無い為に
なかなか攻撃を当てる事が出来ない。(少なくとも序盤では)
従って無闇に戦闘が長い。
また、戦闘に勝ったからといって経験値が入るわけでもない。
ただ面倒なだけに思える。

しばらくプレイして分かったのだが、
地下道で何の妖怪を倒したかによって村人の会話が変化する。
そうするとパラメータが上がったり、
強い妖怪を攻略するのに必要なアイテムが手に入ったりする。
そのようにして元凶となる妖怪のボスを倒すという感じだ。

つまりこのゲームはフラグを立てながら迷路を攻略するゲームなわけだ。
マッピングして地形を把握したら、村人の出現と会話のロジックを解明し、
地下で妖怪を倒していく。
ただし、8月31日になると村が壊滅してゲームオーバーとなるという建付け。

このゲームをRPGのジャンルに含めて良いかは疑問だ。

 


勇者は倒れ、邪悪なる者どもは、ついに地上に這い出し、
村は一瞬にして地獄と化した。人類の未来はいずこへ…。