MSXとはMSXの事である 第29回「藤子不二雄Aの笑ゥせぇるすまん」


藤子不二雄Aの笑ゥせぇるすまん
(コンパイル)
1991年12月10日/MSX2(ディスク)/AVG/3980円

 


笑ゥせぇるすまん」は藤子不二雄A先生による
ブラックユーモア漫画である。
謎のセールスマン喪黒福造が、毎回“お客様”と称する人達に近づき、
「ココロの隙間を埋める」という名目で誘導するが、
最後には(だいたいが)悲惨な結末になるという内容。
また、1989年10月より『ギミア・ぶれいく』というTBSのバラエティ番組内で
大人向け10分アニメとして放送が開始された。
そんなアニメ版「笑ゥせぇるすまん」をゲーム化したのがコンパイル

 


私の名は喪黒福造
人呼んで『笑ゥせぇるすまん
ただのせぇるすまんではございません
私のとり扱う品物はココロ
そう
人間のココロでございます

 


シナリオは「たのもしい顔」「的中屋」「勇気は損気」の3本。
いずれも初期にアニメ化されたエピソードを引用したものである。

 


この世は老いも若きも
男も女も
ココロの寂しい人ばかり。
そんなみなさんのココロのスキマをお埋め致します。
いいえ、お金は一銭も頂きません。
お客様が満足されたら
それがなによりの報酬でございます。
さて、今日のお客様は・・・




本作はアドベンチャーゲームだが、
プレイヤーは会話劇の途中で挿入される選択肢を選ぶだけである。

 


ドットグラフィックの藤子不二雄Aタッチの再現は素晴らしく
アニメで使われたBGMが適切に流れたり、
「オーーーーッホッホッホッホッ」
「あーー、もしもし?」
「ドーーーン!」
といった大平透さんのボイスがキメのシーンで鳴り響いて
雰囲気を盛り上げる。

本作は一応マルチエンディングをうたっているが、
どの選択肢を選んでも本筋はほとんど変わらない。


もしかしたら原作と違う展開もあるのかと今回検証してみたが、
例えば上記の選択肢で一番主人公が言わなさそうな
「ジュンコ、よっちゃったァン」を選択してみる。


すると
「なんていうコマンドを選ぶんだ。こんなことを私が言うはずがないじゃないか。」
などというメタ的表現でルートを塞がれてしまう。(^^;

 

3本のシナリオを選択肢を変えたりして何周かしてみたが、
やはり原作とは違う展開になる事は無かった。

そうなると、本作に対して身も蓋も無い感想が浮かんでしまう。
「これアニメで見ればいいんじゃないか?」と (^_^;
MSXでアニメの雰囲気を再現している事に
ちょっとした嬉しさはわいてくるけど、それだけかなぁ・・。
笑ゥせぇるすまん」のゲーム化って難しいよね。
喪黒福造を操作するアクションゲームとかは絶対違うし。
この原作の魅力はエピソードそのものだから、
それを変えたら改悪だしね。
最適解はゲーム用にオリジナルシナリオをA先生に書いてもらう事だったのかも。

 

コンパイルは本作をPC98向けにもリリース。
シリーズは3作目まで続いた。
また、1993年9月にはメガCD版も登場した。

パッケージに「笑ゥせぇるすまん①」と書かれているように
MSXにも2作目の登場が予定されていたが、発売中止となった。

 


原作
藤子不二雄

製作・著作
コンパイル

発売元
コンパイル

プロデューサー
菅沼孝夫
白楽パルオ
仁井谷正充

声の出演
大平透

システム・デザイナー
末永勝治

シナリオ
CRUDE松岡(たのもしい顔)
まいけぉ(的中屋)
うゑみぞ(勇気は損気)

アソシエート・シナリオライター
犬飼同暗

プログラマー
なっとう

グラフィックデザイナー
みよす

サウンド
竹ちゃん
サス.ギター
K.大矢
A.長尾

サンプリング・エディター
MATS

パブリック・インフォメーション
キドぴゅー★