ダウンロード
(NECアベニュー)
1990年6月22日/シューティング/6800円
2099 KABUKICHO CITY JAPAN
22世紀目前
世界は経済的に破産した国家にかわり
いくつかの巨大企業によって経営され
これらの企業は“会社”と呼ばれ
高度にシステム化されたコンピュータネットワークを支配し
ある意味で統一された社会を実現させたこの時代を
ネオ キャピタリズム・新資本主義の台頭期というが
一方では人間の脳の情報をニューロメモリに
“DOWN LOAD”させ
すぐれた頭脳をその生物学上の“死”から開放するという技術が
実用化した時期でもあることから
サイヴァーリバイブ・電脳蘇生時代とも呼ばれている
・・・人類は“DOWN LOAD”によって
コンピュータのなかでの“不老不死”を手に入れたのである
しかし この新世界も“DOWN LOAD”にまつわる
ある事件をきっかけに混迷の時代へと入っていく
そして この物語は
その時代の始まりを描いたものである・・
WATARU NAKAJIMA
MASAOMI KANZAKI
NECアベニューは1987年に設立されたNECの子会社であるレコード会社。
PCエンジンには「ファンタジーゾーン」を移植したソフトで初参入。
そこから「スペースハリアー」「ソンソンII」「サイドアーム」といった
アーケードタイトルの移植を手掛けていた。
そんなNECアベニューが初めて出したオリジナルタイトルが「ダウンロード」だ。
と言ってもNECアベニューは
下請け会社の開発したタイトルをプロデュースするスタイルの会社で、
「ダウンロード」も開発したのはアルファ・システムである。
SDZ SCANNING SYSTEM ON
グラフD 30
エリアC レベル5
サーチ中
目標コード
522 EB 004
SYD2091
ズームポイント 20
目標 静止中
パーソナルプロテクト
ブレイク
ポイント30 侵入中
目標確認 データコール
メイン オープン
ユニット1にアクセス
データロード
シド2091
サイバーダイヴァー
SAライセンス
協調性および忠誠心
ユニット1
プロテクト ブレイク
データデコード
ユニット1からリード
この目標の存在は非常に危険
作戦プログラムにロジックエラー発生
目標のウイークポイントをチェック中・・・
目標はユニット33のサイヴィングに失敗
パートナー OHALA
状況は記録されている
プレイバック
SYD!!気をつけろ!
ヤツら ただのRATじゃない
OHALA ひきあげろ
フィールドBまでもどれ
だめだ!回路を閉じられた
OHALA いそげ!
きた! ヤツだ!
なんだ あれは!
OHALA!
SYD! にげろ・・
うわあ!
OHALA!!
・また いつもの夢か・・
通信が入っッテイマス
通信ヲ プレイバックシマス
おはようSYD
ビジネスよ UNITへのサイヴィング
ギャラは50万アジアクレジット
どう? やる気でたでしょ
クライアントは“会社”
とりっぱぐれナシよ
連絡ちょうだい
くわしくはそのとき話すわ
回線はモード4000でピックアップしてね
じゃ あとで・・
ひゅー
50万とははりこんだもんだ
また“会社”のオペレータが
どこかの おいぼれのダウンロードを
しくじりやがったのかな
NEWS ガ 入リマシタ
プレイバック シマス
当局は情報条令301号により
DEVA3255を逮捕
また主犯のSYD2091を指名手配した
なんだ?
これは オレじゃねえか
なお DEVA3255は
KABUKICHOポリスステーションにおいて とりしらべ中
通信ガ 入ッテイマス
通信ヲ プレイバックシマス
SYD よく きいて
どこかのだれかが
UNITデータをいじって
わたしたちを犯罪者にしたてたわ
こんどのビジネスは そうとうヤバイわね
このメールがとどくころ
わたしはつかまっているとおもうの
あなただけでも にげて!
こんどの相手はかなり たちがワルイようよ
ポリス上空カラ侵入
きやがったか とりあえず ここはヤバイな
警備状況をアウトして
モトローダのコンピュータに転送しといてくれ
了解シマシタ
オレはDEVAを助けにいってくる
ポリスのお相手はたのんだぜ
了解シマシタ
ここまでがオープニングデモ。
Huカードのゲームなのでボイスは無く、
ひたすらテキストを読み進めるデモシーンだ。
ゲーム開始前に武器をセレクトする。
メインウェポンを2種類から、サブウェポンを3種類から選ぶ。
メインウェポン
ビームバルカン・・
攻撃範囲が広いショット。
パワーアップしていくと前方3方向、上下、後方に撃てるようになる。
レーザーキャノン・・
貫通するショット。
パワーアップしていくと前方5方向と後方に撃てるようになる。
サブウェポン
チェイサー・・ホーミング弾を撃つ。
クラッシャー・・広範囲を攻撃するボムを撃つ。
バリアー・・周囲にバリアーを張る。
ステージ選択のたびにこれらは選び直せる。
また、この画面に表示されているパスワードをメモしておくと、
電源を落としても、次回そのステージから再開できる。
このゲームはサイドビューの横スクロールシューティングだ。
メインウェポンはボタン押しっぱなしでオート連射。
サブウェポンは右上に表示された残数分だけ使用できる。
セレクトボタンでスピード切り替え可能。
自機はバイクに乗った主人公。
オープニングが長かったわりには
この場所がどこで、このマシンはどんなものなのかはよくわからない。(^^;
ライフ制で、ライフが無くなるとゲームオーバー。
コンティニューは無限。
ゲームオーバー画面にはステージごとに変化するビジュアルが見れるので、
忘れずに死んでおこうw
ボスを撃破すると、そのボスの内部へ入っていく。
内部のボスを撃破したらDEVAと合流。
SYD・・あいかわらず むちゃなひとね
ROBOTどもの ようすが変だ
ポリスにしては攻撃性が強すぎる
ポリスUNITの制御メモリーに なにかいるのよ
そいつがROBOTを あやつっているみたい
オレたちをフェイクデータで犯罪者にしたてたのもそいつだな
どうする?
ここの端末から ポリスUNITにサイヴィングして
じかにタタくしかないわ
そうだな どんなやつかしらねえが
せっかくのビジネスをパーにしやがって
それならOKよ
さっき“会社”のエージェントと話したの
ここからさきはビジネスよ
さすがだね
さあ そんなに のんびりしては いられないわよ
わかってるって
気をつけて
支援用のプログラムチップは セットアップずみよ
モトローダー端子接続
脳神経コネクター接続
ジャックイン OK
SYD
ナイス タッチダウンだな SYD
なんだ おまえらは?
クライアントよ
こんどのビジネスの・・
“会社”のエージェントのミスターLEE
それからこちらは・・・
施設三課のAMBEだ
キミのうわさはきいてるよ
おやおや 施設部の おでましかい?
一年ほどまえから ネットワーク内のRAT
つまりハッカーがきゅうにへりはじめた
みんなあとかたもなく回路内で消え失せていく
UNITにすみついたなにかが
RATどもを分解吸収しているらしい
一年まえ?
そうだ
キミがパートナーのOHALAをなくしたころからだ
・・・
UNITの制御ができなくなりつつある
原因は?
わからんが ただひとつ・
ただひとつ?
ある男のダウンロードに失敗してから
この異常がはじまった・・
ある男?だれだそれは?
それは・・
なんだ!いまのバケモノは
・・・うちの“会社”が開発した・・・
スーパーアーマーだ
スーパーアーマー?
軍事UNITが制御する・
局地戦用のアーマーだ・・
・・軍事UNITのプロテクトも破られたらしい
どうしてDEVAをさらっていったんだ?
DEVAのニューロメモリに あるパスワードが・・
やつの目的は・・おそらく・・
マスターコントロールを
SYD・・・
フジベースだ・・
施設部のデッキ・・・
おい
死んじまった・・
フジベースか・・
ちょっとしたツーリングになっちまうな
DEVA!
だいじょうぶよ SYD!
よし ゲームをはじめるか
相手はとてつもないやつよ
クオータバックが そんなよわ気でどうする
わたし・・・さっきスキャンされたわ
あいつはいまラグランジュポイントの
施設部のステーションにいるわ
施設部のステーションに?
そこには“会社”が作ったマスターコントロールがあるの
地上のUNITがマヒしたときは
マスターコントロールが
UNITすべてを制御するようになっているの
なるほど ヤツは皇帝になりたいらしいな
あいつは“NERO”というコードネームよ
だれかの強い意識をコアにした複合人格みたい
あいつがプロテクトをやぶるまでに
消してしまわなければ
地球は13世紀にぎゃくもどりよ
ここのデッキでサイヴィングできるか?
たぶん回路閉鎖されてるはず
ステーションまでいかないと・・
よし DEVA
あっちのシャトルで オレをうち上げてくれ
でも・・
わかったわ
止めてもきく人じゃなかったわね
モトローダにナビデータを入れておいてくれ
じゃあ デッキをたのんだぜ
DEVA きこえるか?
ファーストダウンをとったぜ
きこえるわ SYD
こちらでゲートチェックしていたけど
ヤツはシステムレベルにまで入ったようね
のこり時間は?
いままでのヤツの力からいって
メモリ制御システムの支配に5分ってとこね
とてつもねえヤツだな
よし そっちの端末から支援チップを送ってくれ
OK!
セレクトはそっちでしてね
じゃあ 気をつけて
こいつはビッグゲームになっちまったぜ
モトローダー端子接続
脳神経コネクター接続
ジャックイン OK
でたな おまえがNEROか?
よくきたな
おまえなら ここまでくると おもっていたよ SYD
なんだと!
フフフ・・
おれだよ 忘れたのか?
きさま・・OHALA!
そうだ ひさしぶりだな SYD・・
OHALA おまえがNEROだったのか?
そうかもしれん
しかしNEROはオレではない
どういう意味だ?
NEROはコアなのだ
かつてある男のなかにおさえこまれていたものだ・・・
その男は・・
“会社”のオーナーのひとりだった・・
死のまぎわ
やつはじぶんの意識をダウンロードさせることで
生きながらえようとした
だが・・
われわれサイヴァーとはちがい
やつはコンピュータにうつりすむことはできない
人間としてのNEROは肉体とともに消滅する
できることは ただじぶんのコピーを作るだけだ
そしてNEROはダウンロード中に息たえた
SYD 想像してみろ
死の恐怖におそわれた人間の意識のコピーが
どんなものか・・
オレはそいつにであったんだよ
OHALA・・きさま・・
フフフ NEROはうつくしいぞ
オレは 死への恐怖がこれほどうつくしいとは
おもわなかった
さあ SYD
おまえを まっていた
われわれと ひとつになれ
ことわる!!
・・・そうか それなら分解して吸収するまでだ
いくぞ SYD!
OHARA!!
・・SYD・・
NEROがくる・・
にげろ
ばかな・・
ヤツはバケモノだ・・
おまえでも かなわないぞ
やってみるさ
・・SYD
SYD うまくいったわね
DEVA なにかうまいものがくいたいぜ
まかせて ビーチのタイレストランをとっておいたわ
OK じゃあビーチで20時に会おう
まってるわ SYD
PROGRAM
FZ0993R
NAN CHAN
TON NOS
GRAPHIC DESIGN
TOMBO GOKURAKU
TAKU SHIMIZU
KINTAROH MIKAWA
YASUNORI TAKAHARA
SCENARIO
KEN OHMORI
DIRECTOR
COOKIE OHTA
CHARACTER DESIGN
MASAOMI KANZAKI
NOVELS
WATARU NAKAJIMA
MUSIC
YASUHIKO HUKUDA
SOUND ENGINEER
HATOMUGI
TECHNICAL ADVISER
CIAO
HYPER JOKER
I LOVE UYU VERY MUCH
THANKS
SOFIX
RIM
PRODUCE
TOSHIO TABETA
EXECUTIVE PRODUCER
MAKOTO SAKIO
この事件ののち
中央制御システムに危機感をもった会社によって
UNITの分割と情報管理法の強化などがおこなわれたが
ふたたび勢力をとりもどした国家民族主義との抗争が激化し
地球は第2次統合時代に入っていった・・・
THE END OF FILE.
一般的にストーリーデモシーンというのは、
本編であるシューティングやアクションゲームを盛り上げるための
フレーバー的役割である。
だが、メディアにCD-ROMが登場し、
デモシーンに容量やボイスなどが使えるようになると、
その構造とは違うタイトルが増え始めた。
つまりゲームのメインはストーリーデモシーンであり、
それを見るためにゲーム部分を頑張るという構造だ。
狙ってショボいゲームにしているわけではないが、
コストも容量もあまり割かれていないので
結果としてメインでゲーム部分を作っているタイトルと並べると
ゲーム部分は見劣りするものになる。
(日本テレネットのタイトルなどは代表例だと思う)
本作はそれをHuカードで挑戦した事が特徴。
Huカードでストーリーをガッツリ語ろうと思ったら、
止め絵と大量のテキストでやるしかない。
そうなるとアニメーションやボイスで彩られたデモよりも、
ストーリー展開の面白さへのハードルが上がる。
本作のストーリーがそれを乗り越える面白さだったかはさておき、
なにをおいてもCD-ROMというメディアを選んだ方が
より正当に評価されるゲームになっていたと思われる。
なお、9ヶ月後にリリースされた本作の続編「ダウンロード2」は、
CD-ROMをメディアに変えて開発されている。
ただ・・、この「ダウンロード2」は別の意味で闇が深いゲームとなっている。
いつの日か「ダウンロード2」を取り上げる日が来たら
どんな闇深い内容なのかご紹介しようと思うぜ。