やっぱりセガが好き第67回「グレイランサー」


グレイランサー
メサイヤ
1993年7月30日/アクション/6800円

メサイヤメガドライブ9作目となる横スクロールシューティングだ。
メサイヤオリジナルのシューティングとしては1991年の「ジノーグ」以来である。

 

ルーシア・キャブロックはパイロット訓練学校を卒業後、
地球連邦軍第2艦隊所属の攻撃空母[エアリエル]の艦長である
叔父(グラン・ラフレード)の下で、パイロットの任についていた。
宇宙暦2025年、地球はエイリアンの攻撃を受け、その平和は脅かされていた。
第1艦隊は太陽系外防衛線でじりじりと後退を重ね、
連邦軍司令部はやむなく第2艦隊の投入を決定。
急ぎ第1艦隊との合流を指示したが、
第1艦隊指揮官[オペロン]すなわちルーシアの父ケンの乗る攻撃空母が
エイリアンの特殊攻撃によって別空間へ転送されてしまう。
さらに、エイリアン艦隊もその能力で戦場だった空間から消滅し、
為す術のない連邦軍艦隊は地球への帰還を余儀なくされる。
父の安否を気遣うルーシアは、
自分一人ではどうすることもできず自室で苦しんでいた。
そのころ、電磁波誘導の全方向攻撃ユニット
「ガンナー」を搭載した試作機が密かに開発されていた。
これを飛ばすことができれば、あるいは道が開けるかもしれない。
ルーシアは、この機体に自分と父の運命を賭けた。
罪に問われることを覚悟し、機体を奪い危険も顧みず、
記録されている父からの通信を頼りに出撃した。
この機体こそ地球の未来を握る[グレイランサー]である。
物語はここから始まる。

 


宇宙歴2025年
外宇宙からの侵略者の攻撃に、地球連邦軍は劣勢を極めていた。


地球連邦軍第1艦隊


旗艦「オベロン」
「戦艦カーン・ガルヴァ大破!重巡コーモラン撃沈!」
「全艦隊の15%が損失!」
「やつらめ..これほど強力とは..」
「全艦隊離脱開始まであと7分です。」
「敵艦隊がこのままなら損失は30%ほどかと...」
「...30%か。」


「!敵艦隊が動きだしました!」
「1時の方向、距離20に集結しているようです!」


「あれは..何をするというのだ..」


「敵!ワープアウト反応!小型!本艦のすぐ近くです!」


「何が起こるんだ?」


重巡「ティタニア」
「何だあれは?」
「あ!!」
「どうした!?」
「オベロンが!!」


「まさか...今のは...」
「旗艦自体にワープ反応はありませんでした。」
「艦ごとつれ去られたというのか..」
「おそらく...」
「ばかな...」


空母「エアリエル」
「キャブロック少尉、入ります。」


「キャブロック少尉、いや、ルーシア。」
「艦長?」
「心を落ちつけて聞いて欲しい。」
「君の父上、キャブロック提督の乗艦が...」
「父になにかあったのですか!?」
「さっき入った通信だ。
詳しいことは分からないが、提督の艦が敵の転送装置によって、
別空間へワープさせられてしまったらしい。」


「追撃はどうなっているのですか?」
「航跡トレースで、転送先はほぼ見当がついているのだが...」
「..まさか、そのままになっているのですか!?」
「敵の戦力が思いの他強く、
今の我々の力では奴らに勝てる可能性は、無いに等しいのだ...」

「そんな...」
「現在、急ピッチで調整を勧めている新型機がある。」
「これが使えれば、勝てるかもしれない。しばらくの辛抱だ。」
「そんな!その前に殺されてしまうわ!!」
「これは軍の判断なんだよ。すまない...ルーシア...」


「おとうさん...」
「どうしたの、ルーシア?」
「おとうさんの艦が...敵に...」
「まさか、沈んだの!?」
「ううん、どこか別の空間に...敵に転送装置があるらしいの...」
「じゃあ、生きているのね?」
「分からない..分からないの...」
「軍は?軍はどうしたの!?」


「今の戦力だと、勝てる見込みが無いのよ...」
「そんな...」
「でも、調整中の新型戦闘機があって、それさえ使えればって..」
「そんなの待てないわよ!いますぐ行くしかないわ!!」
「でも...」
「その機なら、この艦にも一機だけ積んでるわ。ルース隊長がそう言ってたもの。」
「え?」
「協力するわ、あなたが行くのよ! 」
「ティム...!」


「どうした?」
「ドックに異常発生?侵入者です。NO.14!誰かが新型機を..!」
「何?!」
「通信を入れます!」
CSH-01-XAに乗っている者!応答しろ!」
「キャブロック少尉です。私...」
「ルーシア?」


「それは調整中の機体だ!何が起こるかわからんぞ!すぐに停止しろ!」
「おとうさんが...殺されちゃう....私...!」
「お前の気持ちは分かる、しかし、危険だ!」
「...」
「ハッチ開きます!間に合いません!」
「...必ず生きて帰ります。行かせて下さい!」
「...行かせてやれ。」
「しかし...」
「私も、つらいのだ...」


「おとうさん、死なないで!!」



 

ルーシア・キャブロック
Lucia・Cabrock:主人公
本編の主人公19才。
第2艦隊所属パイロットチームの一員で、「エアリアル」に乗艦している。
父が軍人のため家にいることが少なく、幼い頃から母手一つで育てられた。
気の強い一面を見せる事がしばしばあるが実は非常に涙もろい面もある。
同僚のティムが子供っぽいためか、大人っぽい側面が目立つ。

 

エディ・ウィルソン
Eddy・Wirson
ルーシアと同期の訓練学校卒業生。
同期の女の子2人と一緒になり、内心は嬉しいが表向きはひたすら隠し続けている。
パイロットとしては十分な素質をもち、訓練学校を2番手で卒業した。
実戦経験が無いのが唯一の不安なだけである。
一見真面目そうだが実はおちゃらけた性格である。
しかし本人はそれを自覚しておらず、
大真面目なつもりで大ボケをすることがしばしばある。

 

ケン・キャブロック
Ken・Cabrock
地球連邦軍第1艦隊指令で44才、日系。
旗艦「オベロン」を駆り、太陽系内宇宙の監視の任に付いている。
宇宙暦2017年に起きたゼイラスのクーデターで反乱軍の主力艦隊に
壊滅的な打撃を与えたとして名誉勲章を授賞している。
情に厚く、部下の絶対的な信頼を得ている。

 

ティム・フォーディ
Tim・Fordy
ルーシアと同期の訓練学校卒業生。
年齢も同じ19才だが精神年齢は15才とも10才とも言われる。
普段はミーハー路線まっしぐらの彼女だが、
休日は自宅で絵本を作るのが趣味らしく、
時おり子持ちの士官から作ってほしいと頼まれているようである。

 

 

ゲームを始めると最初に「ムーバー」のタイプを選択する。
ムーバーとは他のゲームで言うオプションのようなもので、
ゲーム中に取得する「ガンナー」がここから発射される。

ノーマル:
Bボタンで方向ボタンを入れた方向にショット。
Cボタンで方向固定。
リバース:
Bボタンで方向ボタンと逆方向にショット。
Cボタンで方向固定。
サーチ:
敵のいる方向を自動的に狙う。
Cボタンで同じ敵を狙うか別々の敵を狙うか切り替え。
マルチ/マルチR:
Bボタンで3方向にショット、前後移動で角度調整可能。
Cボタンで方向固定。
シャドウ:
自機の動きをトレースするグラディウスのオプション型。
Cボタンで位置固定。
ロール:
自機のまわりを回転する。
Cボタンで前方固定するか、2つのショットが180度対極するか切り替え。

ちなみに「ガンナー」の種類は以下の通り。

ツイン:
標準的な火力を持つ通常弾。

レーザー:
貫通するレーザー。

バウンド:
地形で跳ね返るバウンド弾。

バーナー:
炎が出続ける。地形は這って進む。有効距離が短い。

スプレッド:
敵や障害物に当たると爆発し、爆風でもダメージを与えるが、連射ができない。

5WAY:
5方向を扇状に攻撃できるが、連射ができない。

セイバー:
光線状の剣が出続ける。地形を貫通するが、有効距離が短い。

 


この「ムーバー」と「ガンナー」の組み合わせにより、
攻略がかなり変わってくる。
一度攻略しても、別の組み合わせで遊んで見ると、
また違ったゲームに感じれるというわけである。

また、このシステムの場合、ガンナーを上下2つ取れば最強状態になれるので、
途中ミスをしても現状復帰がしやすい。

操作としてはあとAボタンのスピード切り替えぐらいで、
特に複雑な点は無い。
自分が気に入った装備の特徴を覚えていけば問題ないだろう。
まずはどのアイコンがどの「ガンナー」を表しているのか分かりづらいので、
アイコンを覚える事から始めよう(^^;

 


一撃死。ミスすると少し前から再開。
残機を失うとゲームオーバーだが、コンティニューは無限である。




「..ら、ち..ぐ.いち...ぶろ」
「これは...?...おとうさん?」
「こち..地球連..艦隊、ケン・キャブロック...」
「おとうさん!?私よ!聞こえる!?ルーシアよ!」
「ルーシア、ルーシアか?」
「助けに行くわ!もう少しよ!」
「ル...」
「どうしたの!?おとうさん?」

 




「ルーシア!」
「大尉!?」
「勝手なことをするやつだ。」
「申し訳ありません、でも私...」
「まあいい、無事で何よりだ。それよりもうすぐそちらへ行くぞ。」
「え?」
「今、艦隊の出撃許可が下りるように、艦長が連邦本部にかけあっているところだ。
まあ、許可が下りなくとも俺は出るがな。」
「大尉...」
「死ぬなよ。」




「ルーシア!ルーシア!聞こえるか?ルーシア!?」
「おとうさん?おとうさんなのね!?」
「敵機に追われている。このままではシールドがもたない!」
「待ってて!おとうさん!今行くわ!」

このあと、父親の乗った艦を救出できるかどうかで
エンディングが分岐する。


「おとうさん..よかった...」


「ルーシア...」


「ルーシア!」


「提督!」


「ティム!エディ!」


「敵の主力が近くに集結しているわ、今がチャンスよ!」


「チャンスって言っても...勝ち目があるかどうか...」


「何いってんだ!たった一人でこんなところまで来たんだぞ。」


「そうよ。敵はどんどんふくれあがってるわ!今じゃなきゃ勝てないのよ!」


「おとうさん...」


「ルーシア...」


「行ってくるわ。必ず生きてかえって来る!」

 

ステージ11で最終決戦。


生首みたいな奴がパターンを変えて襲ってくるけど、
ラスボスにしては至極地味な奴だった。

 


プロデューサー
土田 俊郎

企画
佐藤 光

プログラム
樋口 幸弘

スクロール
小山 英二

オブジェクト
はやし ひろし

音楽・効果音
キューブ
窪寺 義明
曳地 正則
溝口 功
岩垂 徳行

設定
佐藤 嘉一

キャラクターデザイン
あいざわ ひろし

原画・動画
鎌田 均

ビジュアルグラフィクス
桜井 正則
はやし ひろし

ビジネスプロモーション
内田 正紀
三村 淳
横江 靖明
片桐 京子

セールスプロモーション
松田 明生
米坂 典彦
松田 一宏

P.R.
菊池 隆
岩崎 秀雄

協力
高杉 学
大矢 哲也
岩下 雅幸
鈴木 英夫
神宮 孝行

エグゼクティブ・プロデューサー
白倉 安昌

 

ROMカートリッジのシューティングでありながら、
長めのビジュアルシーンで展開するオープニング!
しかも主人公のルーシアがテレビアニメくらいのクオリティで魅力的に描かれている!
そして本編のシューティングもクセ無く高品質でまとめられており、
俺様のようなヌルゲーマーでもサクサク進められるゲームバランス。
全11ステージという思い切ったボリューム。
メガドラシューティングの歴史に刻まれてもおかしくない逸品であるのだが、
なぜか当時はそれほど話題にならなかった記憶。
なぜそうなったのか推測してみる。
まず一つとしては本作の魅力的なビジュアルシーンが裏目に出たのではないか?
当時はまだまだシューティングゲームは硬派だった時代。
紹介のされ方によっては美少女ファン向けゲームと受け取られかねない本作。
「美少女が売りのゲームでちゃんとしたシューティングになっているとは思えない」
という偏見があったのかも知れない。
あと、本作のシューティング部分も、その魅力が伝わりにくかったかも知れない。
本作は完成度の高いゲームになっている事は間違い無いのだが、
その設計には既視感が強い。
例えば「R-TYPE」など、
有名タイトルの仕掛けをオマージュしたと思われる構成が散見され、
本作ならではのインパクトに残るシーンが
シューティング面に無かったように思われる。

シューティングゲームはまだまだ硬派だった時代”について
もう少し掘り下げてみよう。
このゲームはルーシアのビジュアルシーンを売りにしていた事は事実だが、
パッケージの絵を見ると、そんな色合いは全く出されていない。


「それを前面に出したら売れないのではないか?」という迷いが感じ取れる。
本作発売から27年後。
コロンバスサークルよりメガドライブ互換機用ソフトとして本作が再販された。
それのパッケージ絵がこちら。


これが時代の変化というやつだ。

 

ちなみに本作は2022年現在、
NintendoSwitchで720円で配信されている。
復刻機会に恵まれたラッキーなタイトルだ。