やっぱりセガが好き第64回「鋼鉄帝国」

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鋼鉄帝国
ホット・ビィ
1992年3月13日/シューティング/7800円

 

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本作は「インセクターX」でメガドライブに参入したホット・ビィの
「火激」に続くメガドライブ3作目であり、
初のメガドライブ向けオリジナルゲームとなる。

 

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■解説
ドイツ文学史に嶄然と輝く不朽の名作『STEEL EMPIRE』。
カール・ハインツ・シュティッヒの手によるこの大河ロマンが映像化されると聞き、
私は高鳴る狂喜と共に、一抹の不安も感じざるを得なかった。
シュティッヒの叙事詩のごとき洗練された世界を、果たして映像で表現できるのか…。
しかし、全ては取り越し苦労であった。
映像作品『鋼鉄帝国』は、私の想像を遥かに越えた完成度で、
その全貌を明らかにしたのである。
壮大なオーケストラによる幕開けと共に、スクリーンいっぱいに展開する大空中戦。
“奇跡のカメラワーク”と呼ばれるSuzukiの実力が、いかんなく発揮され、
S・R・H・スタジオの製作による巨大な敵戦艦がところ狭しと暴れまわっている。
もちろん、『鋼鉄帝国』は観せるだけの映画ではない。
「原作を200回は読み直した」という脚本のAsaiは、他の仕事を一切断って、
惚れ抜いたこの作品に取り組んでいる。
作品設定のこだわりからも、彼の気迫がひしひしと感じられよう。
そして、この才能集団を取りまとめる監督のYamaguchi。
彼の言葉を最後に、
このすばらしき作品を語るにはとても足りない私のペンを置くことにする。

「素直な人類が、ここにはいます。皆さん、生きる活力を与えられた、
純粋(ピュア)な我々がここにはいるのです。」
映画評論家 浅川 健治

■イントロダクション
溶鉱炉と、ボイラーのくすぶる中、有能な科学者たちの熱い視線に見守られ、
今、奇跡の発明が成されようとしていた。
開発ナンバー012 × 素粒子吸収発電爆弾『イマミオサンダー』である!

ときは、18xx年。
軍事国家モーターヘッド帝国は、
独裁者サウロンの政権掌握と共に、次々と周辺諸国に侵略する。

「鉄の指導を人類に!」と唱えつつ進軍する彼らの後には、
屍山血河が成されていった。

世界の大半がモーターヘッドの手に落ち、
増長したサウロンの野望は、人類の滅亡さえも予感させた。
その時…、
「南西の雄、シルバーヘッドここにあり!」
悪の帝国に鉄槌をくだすべく、シルバーヘッド共和国がついに立ち上がる。
希望の光『イマミオサンダー』を抱き、
最新鋭機エトピリカが、その白銀の雄姿を現したのだ。

■プロダクションノート
☆決まらないモーターヘッド帝国
『鋼鉄帝国』における世界感の重要性は、言うまでもないところだ。
その為に、ロケ地の決定には細心の注意が払われた。
特にモーターヘッド帝国のイメージに合う場所は少なく、
煮詰められたセットとのギャップもあって、背景技師のNishiを悩ませ続けた。
結局、三ヵ月の月日を要して、イタリアのリビエラ地方に決定する。
長い長い第一歩であった。

☆128エイカーの巨大プールに満たされたゼリー
前半のクライマックス、飛行潜水艦との死闘。
このシーンの撮影には、128エイカーの巨大なプールを用意した。
おかげで迫力ある舞台が完成するが、実際に撮影が始まると、
「波の動きに面白味が無い」と、プロデューサーのTomoからクレームが付く。
試行錯誤の末、水の代わりに青色のゼリーを満たして撮影。
躍動感あふれるシーンを得ることに成功した。

☆クラシカルへのこだわり
登場するメカニカル群に注目されたい。
外装は、打ち出しの鉄板に、無造作に打ち込まれたリベットを特徴とし、
動力源には蒸気機関、あるいは噴射式ロケット以外を厳禁して、
クラシカルな雰囲気にまとめ上げている。
この様な所にも、スタッフの意気込みを強く感じる。

☆原作ファンからの投書が5万通!
文学界の金字塔『STEEL EMPIRE』の映画化である為、製作発表時の反響はすさまじく、
世界中の原作ファンから5万余通にも昇る激励の投書が寄せられた。

☆灰と化す6000機のミニチュア
モデル監修S・H自らの手によって作成された戦闘機のミニチュア、
大小合わせて6000機。

その全てが、戦艦ラインハルトが撃沈するシーンで焼却された。
熱心なコレクターが、$500,000の買値を付けたが、
1機も譲られることは無かったという。

☆『鋼鉄行進曲』総売上、100万枚
開幕と同時に流れ出す『鋼鉄帝国』のテーマ曲『鋼鉄行進曲』。
シングルの発売と同時に、ヒットチャートを駆け上がり、
世界で100万枚の大ヒットとなっている。

☆担ぎ出された、旧式カメラたち
帝国の浮遊城攻略における大空中戦。
このシーンは、220台という大量のカメラによる多元中継によって撮影されている。
このとき、カメラ確保のためにHOT・Bフィルム社では、
すでに旧式となって、お蔵入りしていたカメラをも担ぎ出したという。
この旧式カメラの存在が、『鋼鉄帝国』の世界と妙にマッチしているのが面白い。


『鋼鉄帝国』は
『Steel Empire(邦題:鋼鉄帝国)』を原作とした映画という設定のゲームである。
上記は説明書で書かれたパンフレット風のテキストである。
こういう凝り方好きだ。

 

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今まで、我らシルバーヘッド共和国とモーターヘッド帝国との戦いは、
数に勝る帝国が優勢であった。
しかし、我が国の叡智の結晶イマミオサンダーがついに完成した今、
専制国家に鉄槌を下すときがきたのだ。
司令部より我国有数の鉱山都市ラールが帝国軍の奇襲を受けたとの連絡が入った。
これより飛行空母ラインハルトは、鉱山都市ラールに向かい、
そこに布陣する帝国軍を叩き、ラールを奪回する!

 

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ステージ開始前に戦闘機タイプのエトピリカか、
飛行船タイプのゼッペロンを選択する。
エトピリカはスピードが速くアタリも小さいタイプ。
ゼッペロンはスピードが遅くアタリも大きいが、耐久力と攻撃力が強い。

 

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サイドビューの横スクロールシューティング。
Aボタンで画面全体にダメージを与えるSUPERBOMBの使用。
Bボタンで左側へのショット、Cボタンで右側へのショットという設定。
(ショットはノーマルショットとサブショットが同時に出る)
基本的には敵の登場する方向に合わせてショットを撃ち分けるゲームだ。
バイタリティ制で0になると残機が減り、残機が無くなるとゲームオーバー。
クレジットがあればコンティニュー可能。
(クレジット数は難易度により変化)

「アイテムキャリア」を破壊するとアイテムが出現。
ハート・・バイタリティの回復
O・・オプション装備
B・・SUPERBOMBのストック1増加
S・・移動速度アップ
1UP・・残機が1増加
$・・スコアが1000点増加
Ex・・経験値アップ

このゲームにはレベルアップシステムがあり、
経験値アップアイテムを3つ取るとレベルが1上がる。
レベルが上がるとノーマルショット、サブショット、
オプションショット、バイタリティ最大数などが強化される。
上がったレベルはミスしたりコンティニューしたりしても
リセットされず継続される良心的な設計で楽しい。

 

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このゲームの魅力はスチームパンクで統一された世界観ビジュアルだ。
その表現は最後まで徹底して貫かれており、
その中を突き進んでいくだけで気持ちが良い。
また、ビジュアルだけでなく、システム設計や難易度バランスも素直で良心的だ。

 

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次の攻撃目標は、
ラール鉱山、通称リーデンゲル(天使の歌)の鉱内に潜伏する帝国軍だ。
鉱内では点在するランプがわずかに暗闇を照らしているが、
闇に潜む敵には十分気をつけて欲しい。
また、奥に広がっている洞窟にはガスが溜まっている可能性が大きい、
細心の注意を払ってもらいたい。

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帝国の浮遊城がゼクトール地区上空を
戦艦一隻とともに領土内へ接近中との知らせがあった。
これより我々はゼクトールに向かいこれを叩く!
やつらには帝国と共和国どちらの土も踏ませるな!

 

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現在、わが共和国軍の本体は、
ダムド地区において帝国軍と向かい合い、互いに牽制しあっている。
作戦本部より30分後に戦闘を開始するとの連絡が入った。
我々はその戦闘が始まり次第ガルダンディー海岸を一気に抜けて、
手薄の帝都ダムドに直接攻め込む。
君達には沿岸沿いに配置された沿岸砲を破壊してもらいたい。
では、ただちに発進してくれ。

 

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クルーの諸君。あの地平に輝く街の灯りこそ、モーターヘッドの帝都「ダムド」だ。
これよりわが艦は帝都を占領し、この悲しき大戦の元凶サウロンの身柄を拘束する。
あと一息で全てが終わる…
諸君!この戦いで平和を勝ち取り、我らが故郷へ帰ろうではないか…。
「艦長!左舷より敵戦闘部隊が接近中!30秒で交戦します。」
な、なに!全艦ただちに防戦態勢!艦載機発進せよ!!
陽動作戦は見破られていたのか‥‥。

 

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全7ステージ。

 

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DIRECTOR
N.YAMAGUCHI

CO-DIRECTOR
Y.SATAKE

PRODUCER
A.TOMONAGA

EXECUTIVE PRODUCER
J.KURIYAMA

SCREEN PLAY
K.ASAI

BASED ON THE NOVEL BY
CARR.H.SCHITCH
(C)「STEEL EMPIRE」1819

MUSIC
CUBE CO.,LTD.

MUSIC COMPOSER
I.MIZOGUCHI
Y.KUBOTERA
N.IWADARE

SPECIAL SOUND EFFECTER
M.HIKICHI

RE-RECORDING ENGINEER
DOUGEN.SIBUYA

PRODUCTION SUPERVISOR
A.TOMONAGA

OPERATING CAMERAMEN
Y.HIRASAWA
T.SUZUKI

LOCATION DIRECTOR OF PHOTOGRAPHY
K,ENDOH

CONCEPTUAL ARTIST
KEMONO ITAS.

ART DIRECTOR
S.HATSUYA

SET DIRECTOR
K.NISHI

MATTEPAINTING SUPERVISOR
V.BESTIE

MODELSHOP SUPERVISOR
S.RIOT.H
M.YOROZUYA

HEAD EFFECTS ANIMATION
N.YAMAGUCHI

STEADICAM(R)PLATE PHOTOGRAPHY
K.SUGANUMA
N.NAKANE
A.TOMONAGA

TRANSLATION ASSIST
SARAH.Y

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スタジオジプリ及び宮崎駿監督のアニメ作品に強く感銘を受けたクリエイターは多い。
そしてそのエッセンスをゲームで再現しようとした
ジブリフォロワー作品も点在される。
そしてその多くは“ジプリとは似て非なるもの”になっている。
この「鋼鉄帝国」も間違いなくジプリフォロワー作品だが、
その中でも上手くジプリエッセンスを活かしているゲームだと思う。

この「鋼鉄帝国」はアーケード版や「鋼鉄帝国2」が作られていたようだが、
1993年7月にホット・ビィが倒産したので幻となった。

本作自体はゲームボーイアドバンス3DSでリメイクされている。