桃太郎伝説ターボ
(ハドソン)
1990年7月20日／ＲＰＧ／5800円
まずファミコンの「桃太郎伝説」の誕生から語らねばなるまい。
「桃太郎伝説」は1987年10月26日にハドソン初のＲＰＧとして
ファミリーコンピューターでリリースされた。
少年ジャンプ巻末コーナー「ジャンプ放送局」の構成などで知られていた
さくまあきらさんが初めてコンピューターゲームを出掛けたのが本作。
さくまあきらさんは学生時代から堀井雄二さんと親交があり、
1987年1月26日に発売された「ドラゴンクエストII」をプレイして感銘を受け、
堀井雄二さんの後押しもあり「桃太郎伝説」の企画を書き上げる事になる。
半年あまりの開発期間で発売された本作は、
RPGブームと呼ばれる初期に投入されたタイトルという事もあり、
100万本を越える大ヒットとなった。
ちなみに俺様はこのファミコン版「桃太郎伝説」はプレイしていない。
「ドラゴンクエストII」でプレイ中断のたびに長いパスワードをメモする事が
すっかり嫌になってしまっていたからだ。
そんな「桃太郎伝説」をＰＣエンジン向けにリメイクしたのが
今回プレイした「桃太郎伝説ターボ」なのである。
余談ではあるが、大ヒットした「桃太郎電鉄」は、
「桃太郎伝説」の派生作品であるが、
ＰＣエンジンでは本作「桃太郎伝説ターボ」より先に
「スーパー桃太郎電鉄」がリリースされている。
むかしむかし
あるところに…
おじいさんとおばあとさんが仲良く暮らしていました！
おじいさんは山へ芝刈りに
おばあさんは川へ洗濯にいつものように出かけていきました
おばあさんが川で選択をしていると
なんと川上から桃が！
ドンブラコッコ！ドラブラコッコ！
手前で動いているのは桃のカンヅメだよ！
ドンブラコッコ！ドラブラコッコ！
もうひとつおまけに
ドンブラコッコ！ドラブラコッコ！
おじいさんとおばあさんは
大きな桃を切ってみました！
すると……
中から元気な男の子が
おちんちん丸出しで飛び出してくるではありませんか！
そして何年か過ぎたある日のことです！
桃太郎がオニ退治に出かけると言い出すではありませんか！
おじいさんは驚くやら慌てるやら！
それでもためておいた100両を旅の支度に桃太郎にあげました！
おばあさんは腕によりをかけて
日本一のきびだんごを桃太郎に作ってあげました！
システム的には真上視点のフィールドを探索し、
マップに点在する拠点(村など)で装備を整えたり、
イベントを進行させたりといったドラゴンクエストを踏襲したものになっている。
そのシステム構成に和風世界の桃太郎を当てはめた事で
西洋ファンタジーのドラゴンクエストと差別化(パロディ？)を図っている。
日本の昔ばなしをゲームの世界観に転用するという試みは、
「ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島」が先にやっているが、
「新・鬼ヶ島」は「桃太郎伝説」が発売となる1ヵ月前のリリースであり、
偶然の一致だと思われる。
フィールドを歩いていると敵がエンカウント。
敵は(最後まで)１体しか出てこない。
コマンドもドラゴンクエストを踏襲したシンプルなもの。
また、基本的に本作は最後まで桃太郎一人で冒険する。
さくまあきらさんがドラゴンクエストIIをプレイした後に書いた企画ではあるが、
本作の内容はどちらかというと１作目のドラゴンクエストに近い。
全体的にジャリコロ向けのギャグが散りばめられている。
畑にウンチがいたりとか。
このゲームで術(魔法に相当するもの)はレベルアップして覚えるものではなく、
マップに点在する仙人のもとを訪ねて、
ミッションを達成するともらえるものになっている。
また、道中で地蔵に話しかけると様々なヒントが貰える。
「オニのかしら、えんま大王を倒すには、かぐや姫の５つの宝が必要だ。
その５つの宝の名前を教えよう！長いからメモしろよ！
リュウの首飾り、ホウライのタマ、ツバメのこやすがい、
金色の毛皮、ホトケのお鉢・・の５つだ！
この５つの宝は国中のあちこちに散らばっておる。
すべて揃えてかぐや姫のもとへ持っていけば
鬼ヶ島への道が開けるであろう。
かぐや姫は遠く遠ーーーく離れた村にいる！
そこへ行くまでお前がどれだけ成長するか楽しみじゃのう！」
序盤の地蔵が冒険の全貌を話してくれた(^^;
つまり５つのアイテムを集めてかぐや姫に会うと鬼ヶ島へ行けて、
最終ボスのえんま大王と戦えるというわけだ。
村の施設は以下の通り。
「宿」・・回復できる
「茶」・・消費アイテムが買える／アイテムを売れる
「兵」・・武器や防具が買える／アイテムを売れる
「つづら」・・いわゆる福引き屋
「銭」・・いわゆる銀行で、お金やアイテムを預ける事ができる
その他、赤い屋根の神社みたいなところでセーブ可能。
ファミコン版のパスワードから解放された事が最大の進化だろう。
(ちなみにパスワードにも対応している)
最初のダンジョンは、「ふくのかみ」や「びんぼうがみ」といった、
特殊な戦闘になる敵が次々と出てきて面倒くさい。
さっさと抜けよう。
花咲かじいさんに化けていたオニを退治すると、
村の枯れ木に花が咲き乱れた！どういうカラクリだ！ｗ
ついでにイヌも仲間になった。
といっても本作はパーティが増える要素はなく、
戦闘中ランダムで敵に追加攻撃をしてくれる
サポートキャラに過ぎない。
金太郎に化けていたオニを倒した村では、
村人が櫓の周りで踊り続ける。わっしょい！
複雑になってきたダンジョンを攻略した先ではキジを仲間に。
ちなみに仲間にするには「きびだんご」が必要で、
うっかり持ってくるのを忘れると、再びダンジョンを往復する必要がある。ヒエー！
浜辺で亀を助けて龍宮城へ。
そこで嬉しくない踊りを見せつけられた上、
強制的に持ち帰らされた玉手箱でジジイになる。
なんて日だ！
隣の大陸へと移動する橋では「ねたろう」の巨体が邪魔だ。
どこかで「ねたろう」を起こすアイテムを取ってこよう。
次の大陸からはパロディ系の敵キャラが増えてきた。
地面に「アホ」って書いてあったり、
オナラの術を教えてもらったり、
ジャリコロ路線が後半に色濃くなっていく。
全国の小学生達は大爆笑だったに違いない。
「希望の都」という場所に辿り着き、
そこを支配していた“いばらきどうじ”を倒すと、
このゲームをプレイする小学生達にとって究極の希望が用意されていた。
都の中にある施設の一つ銭湯。
とある方法で女湯に入ると・・
ＰＣエンジンなら、こんな画像だって許されるんだぜ！
しかも・・しかもだ。
この画像のまましばらく待っていると、
湯気や泡が消えて乳首が見れるんだぜっっ！！！
全国の男子小学生にとって、
普段遊んでいるゲームで乳首が見れるというのは、
まさに究極の希望なのであった！
やったぜ小学生！！
格式高い当ブログでは画像を掲載できないので、
乳首を見たい人は自分でプレイして確かめよう！
※以後、桃太郎シリーズで銭湯覗きは恒例化するが、
乳首が見れるのはPCエンジンだけである。
さて、全ての地蔵の願いを叶えるイベント。
その地蔵の下あたりには「びろーん」という敵しか出ない。
そしてこの「びろーん」は、
「しゃくねつのゆみや」という道具を使うと一撃で倒せる。
本作最大の経験値稼ぎ場である。
なんならここで最大レベルの45段まで上げてしまおう。
(このゲームはどうせ終盤このぐらいの段がないと厳しい)
レベルが十分に整ったら、本作最大の難所である「黄泉の塔」へ。
ここでは塔を登りながら、
らいじん、ふうじん、らしょうもんのオニ・・という強敵を倒さなければならない。
黄泉の塔を攻略すると、かぐや姫の求める５つの宝が集まる事になる。
竹取りの村を尋ねると、かぐや姫は鬼ヶ島へ連れ去られたという！
とある場所で「ゆうきのけん」を入手し、岬で使うと鬼ヶ島への道が開く！
そして今まで術を教えてくれた仙人達が集結。激励を受けつつ、
えんま大王との対決へ。
えんま大王のグラフィックは迫力あるけど、
残りの体力や技力まで隠すのはやり過ぎだあ。
「わしは今やっと目が覚めたような気がする。
お前のおかげでわしは人間の愛と勇気を思い知らされた！
人間とは小さな力を大きく束ねることのできる生き物なのだな！
愛とはその支え、勇気とはその証、そうじゃな？桃太郎！
力が全てだと信じていたわしは、
オニ達の成長すら妨げておったのかも知れぬ！
許してくれ！おろかなのはわしの方であった！
これからは地獄の裁判官として
世のため尽くそうかと思う。
オニどもにさらわせた人達は皆無事じゃ！
それぞれの村に返してやる事にする！
すぐここへ連れてこさせよう！」
「桃太郎様！かぐやはきっと来てくれると信じていました！
やはり貴方は素晴らしい 勇気の子でしたね！
私の故郷では勇気の剣を手にしたものを月に招待するならわし。
牛車を呼び寄せてあります。さあ！月へまいりましょう！」
「桃太郎様、貴方をわざわざここへお呼びしたのは他でもありません。
貴方にこれを受け取って頂きたいからです。
月の世界に古くから伝わる月の水晶です。
人の心は移ろいやすいもの…
貴方も愛と勇気を見失うときがあるかも知れません。
そのときはどうぞ
この月の水晶を夜空にかざして下さい。
きっと今の心を思い出す事でしょう。
私達も貴方の愛と勇気を語り伝えてゆきます！
桃太郎様…
名残りは尽きませんが、おじいさんおばあさんも
さぞ心配していることでしょう。
早くお二人のもとに帰り、安心させてあげてください！
桃太郎伝説ターボ いかがでしたか？
ゲーム監督は全国の和菓子を食べ歩く男
さくまあきら！
ゲーム演出はメロンが嫌いだという贅沢男
ますだしょうじ！
キャラクターデザインは順調に独身を続ける嫁無き子
どいたかゆきクン！
音楽はサザンオールスターズのベレーぼう
せきぐちかずゆきクン！ ヌボーッ
チーフプログラマーは明日のハドソンを背負って立つ
みかみさとしクン！ えらい！
シナリオ アシスタントは…
はっとりたかゆきクン！
はくやまさかずクン！
くにやけさんたクン！
いざわひろしクン！
まつもとたづサン！
そしていつも強力な日本一の技術陣！
ハドソンのスタッフ陣！
プログラマーは…
やまもりまさかずクン！
チーフデザイナーは…
お酒が無ければ仕事ができない
あずまあきひこクン
デザイナーは…
たけだまりサン
サウンドプログラマーはオナラの音を作った
たきもととしあきクン！
おなじくサウンド
なかはしのぞみクン！
なかむらまさひろクン！
ゲームディテレクターは
………………おーい どびたクン！
きみ仕事しかしないから…
話題が無いぞー！桃電２に期待してねの
とびたまさひろクン！ ハドソン！
いろいろお世話になった人達
うらとしきるサン
なかたしんいちクン
きくちけんじクン
ながたあつおクン
まつうらこうじクン
のなかかずひこクン
とびさわまさとクン
さとうゆたかクン
おかだひさおクン
うりたともあきクン
やすだけいごクン
かわだただゆきクン
しまだひろきクン
あいかわやすえクン
あらきひとしクン
ああいともおクン
いつも桃太郎クンのような愛と勇気を忘れないで下さいね！
桃太郎伝説２でお会いしましょう！
おばあさん「まあまあ桃太郎！よくぞ元気で帰ってきたね！
さぞや大変だったろう…」
おじいさん「活躍の噂はいつも聞いておった！わしも鼻が高い！
あのワンパクが立派になってのう…」
桃太郎「ほらほら、涙は拭いて。これからは平和に暮らしましょう。
ずっと長生きして下さいね…」
おじいさん「うんうん この長い旅でどうやらお前は
何より大事な優しい心を学んだようじゃ」
おばあさん「さあさあ、積もる話もあろうが、桃太郎や
熱いお風呂がわいてるよ…」
おじいさん「そうじゃ そうじゃった！
それがなによりじゃ！」
そして桃太郎は
おじいさんおばあさんと
幸せに暮らしましたとさ
シンプルでマップも迷うことがほとんど無く、
最後まで成長を楽しめるオーソドックスなＲＰＧで好感触だったが、
当時は序盤だけ少し遊んでやめてしまっていた。
最初に書いたように、本作は１作目のドラゴンクエストをもとにデザインされている。
この「桃太郎伝説ターボ」が発売されたとき、
「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」や「ファイナルファンタジーIII」が発売済。
それらはすでにパーティで冒険し、仲間は職業によって特性があったり、
システム的に第2、第3の進化を見せていた。
また、敵モンスターもアニメーションしたり、隊列を組んだり・・。
ＰＣエンジンにしても既に「天外魔境 ZIRIA」が１年前に登場しており、
本作は周回遅れの地味なゲームのように感じてしまっていたのだった。
最後にゲームクリア時のパラメータをご紹介して筆を置こう。
