やっぱりセガが好き第32回「ファンタシースター」

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ファンタシースター
(セガ・エンタープライゼス)
セガ・マークIII/1987年12月20日/RPG/5000円

 

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セガが家庭用ゲーム機「セガ・マークIII」向けに開発した
初のオリジナルRPGである。
時代背景を少しだけ補足しよう。
ファミリーコンピューター
ドラゴンクエスト」1作目が発売されたのが1986年5月27日、
そして「ドラゴンクエストII」が1987年1月26日。
1987年はパソコンでは
イース」「ソーサリアン」「ハイドライド3」が発売されており、
家庭用ゲーム市場には“RPG”という大きな波が押し寄せてきていた。
家庭用ゲーム機を販売するメーカーであるセガも、
この波に乗らざる得なくなっていた。
だがセガアーケードゲームで最新基盤を使って
バリバリのアクションゲームを作る会社である。
アーケードゲームには存在しない“RPG”というジャンルは、
まったくの畑違いであり、ノウハウも皆無だった。
そんなセガが手探りで生み出したのが本作「ファンタシースター」なのである。
ちなみに本作発売の2日前にファミコンで「ファイナルファンタジー」が発売し、
翌年の2月には「ドラゴンクエストIII」が発売している。

余談であるが、本作が「セガが開発した初のRPG」と言うと間違いで、
1987年3月にSG-1000向けに移植された「ザ・ブラックオニキス」、
同年10月にマークIII向けに移植された「覇邪の封印」はセガ開発である。
(いずれも原作となるパソコン版はセガ開発ではない)

 

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AW 342年 春
パルマ星 カミニート居住区

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ラシーク様の事をこそこそと嗅ぎ回りやがって。
これからはせいぜい大人しくしている事だな。

兄さん。なにがあったの。
しっかりして。

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アリサ。聞いてくれ。
ラシークはこの星に巨大な災いを招いてしまった。
世界は破滅に向かっている。
俺はラシークが何を企んでいるのか探っていたんだ。
けど、俺一人ではどうする事もできなかった。
旅の途中、タイロンという強い男の噂を聞いた。
彼と一緒ならラシークを倒し、平和を取り戻す事ができるだろう。
アリサ。俺はもうダメだ。
お前一人を残していく俺を許してくれ。

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アリサは兄さんの命を無駄にしないために戦いに行きます。
きっと見守っていてね、兄さん。

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と、こんな感じで物語は始まる。
主人公はプロローグで死んだ男の妹アリサ
どうやら国を支配しているラシークというのを倒すのが目的のようだ。
このゲーム最大の特徴は、剣と魔法が存在するファンタジー要素がありながら、
スターウォーズのようなSFの世界観で構成されている事だ。
ロボットや宇宙船が登場するような独特の世界観は、
ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」とは
はっきりと差別化されたゲームとなっていた。

 

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町やフィールドはトップビューで表現されている。
フィールドを歩いているとモンスターが出現。

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モンスターとはコマンドバトルで戦う。
勝利すると経験値やお金が手に入り、
レベルアップや装備の購入で強くなっていくというオーソドックスなスタイル。

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またプレイ中にどこでもキャンプ画面を開く事ができる。
ここではキャラクターの強さを見たり、アイテムを使ったり装備したり、
その箇所を「調べる」したりする。
鍵を使って扉を開けたり、乗り物に乗り降りしたりするのもこの画面で行うのだが、
いちいちアイテムリストを開いて選ぶのは面倒臭い。
入手してたらどうせ使う場所は決まっているのだから、
カギやマシンは「持ってたら自動的に使う」で良かったように思う。

 

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ダンジョンの中に入ると3Dマップに切り替わる。
これが高速でなめらかに動いており、
マークIIIなのにここまでキレイに動くなんて凄い!」
と見るものを驚かせた。
ダンジョンはシンプルな構成のものが多いが、マッピングしないと迷う。

 

冒険を進めていくと、マスコット的な生物ミュウ、
ゴリマッチョな戦士タイロン、魔法使いのルツが仲間になり、
4人パーティとなる。

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それぞれ装備できる武器や防具が違うので、
計画的なお金を貯めて装備を充実させていこう。

 

このゲームは体力回復に病院を利用するのだが、
普通に利用しているとかなり高額。
一人ずつしか回復させてくれない上に減った体力や魔力の分だけ値段が高くなる。
なので病院を利用する前に回復魔法で全員の体力を全快させておき、
魔力の減っている仲間だけ回復させると安上がりだ。

 

本作はバッテリーバックアップに対応しており、
キャンプ画面でどこでもセーブ可能だ。
このゲームはパーティが全滅するとタイトル画面に戻ってしまう。
なので抜け出せないピンチのシーンでセーブしてしまうと、
ハマってしまう危険がある。
複数セーブが出来るので、
別スロットで町の前でセーブしておくなどの保険をかけておこう。

 

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ゲームが進んでくると、水上を走行できるロームーバー
砂漠のアリ地獄の上でも走行できるランドマスター
氷の壁を粉砕できるアイスデッスーなどが手に入る。

また、スペースシップが手に入ると、
バルマ星、モタビア星、デゾリス星という
3つの星を行き来する事ができるようになる。

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なんだかスケールのデカい冒険をしている気分になれる。
このアイデアは素晴らしい。

 

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なんやかんやあって、ラシークのいる浮遊城へ。

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半年前に発売された「イース」以来、
ゲーム業界は空に浮かぶ城や大陸が大ブームにw
おそらくは本作もそのブームに乗ったクチであろう。
(そんなイースは「天空の城ラピュタ」から着想を得たようだが)

 

ラシークの城は思ったよりシンプルで、道なりに進んでいけばいい。
ダンジョンの複雑さで言えばこの城に向かう前の
「バヤマーレの塔」がピークだったね。

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そしてなんとかラシークを撃破。
討伐を報告するため提督府へ。
すると提督が悪の精神体ダークファルスに憑依されていた!

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魔力が尽きるギリギリで撃破に成功。

 

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TOTAL PLANNING
OSSALE KOHTA(林田浩太郎)

STORY BY
APRIL FOOL

SCENARIO WRITER
OSSALE KOHTA(林田浩太郎)

ASSISTANT COORDINATORS
OTEGAMI CHIE(青木千恵子)
GAMER MIKI(森本三樹)

TOTAL DESIGN
PHOENIX RIE

MONSTER DESIGN
CHAOTIC KAZ(柴田和幸)

DESIGN
ROCKHY NAO(大島直人)
SADAMORIAN(貞森康毅)
MYAU CHOKO(川口貴子)
G CHIE
YONESAN

SOUND
BO(上保徳彦)

SOFT CHECK
WORKS NISHI

ASSISTANT PROGRAMMERS
COM BLUE
M WAKA(若山雅弘)
ASI

MAIN PROGRAM
MUUUU YUJI(中裕司

PRESENTED BY
SEGA

 


昔のゲームにしてはそれほどレベル上げも苦労せず、
順を追って進めていけばレベルが足りずに進行が止まる事も無かった。
魔法や装備の種類は少なく、プレイに選択肢が生まれない。
戦闘で使うべき魔法も決まってくるので単調だ。
(ボス以外はほぼ連打でいける)
間違えると進行不能になる箇所もいくつかあり、
全体的に一世代古い完成度のRPGという印象だった。
このあたり、RPG開発のノウハウに欠けるセガの苦悩が伺える。
本作の価値はマークIIIなのに遊べるRPGという点にあり、
セガハードでしか遊べないからこそ語り継がれるゲームになったと思う。

 

さて、本作を再プレイするにあたり、
Switchでリリースされた「SEGA AGES ファンタシースター」を使った。
これが神移植
ただ当時のゲームプレイを再現しただけでは無かったからだ。

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プレイ画面のサイドに追加でオートマッピング画面と
パーティの体力と魔力、所持金が常時表示されており、
これがプレイをめちゃめちゃ向上させている。
特にオートマッピングの存在はクリティカル。
原作では紙にマッピングしながら進めていたわけだから、
その便利さは理解できるだろう。
また、ポーズ画面では魔法やアイテムのリストが見る事ができ、
買い物時や魔法を使うときなどに重宝した。
ここまで快適だともう原作版は面倒臭くて遊べない。(^^;