シャイニング・フォース 神々の遺産
(セガ)
1992年3月20日/シミュレーションRPG/8700円
「シャイニング&ザ・ダクネス」から1年後。
同じ世界感を共有するRPGがクライマックス開発で登場する。
それが本作「シャイニング・フォース 神々の遺産」だった。
前作は3DダンジョンRPGだったのだが、本作はガラリとシステムが変わった。
シミュレーションRPGという馴染みのないジャンルで登場したのだった。
これがRPGにとって革新的な仕組みだったのだ。
パーティを組んでシナリオに沿って冒険を進めるのだが、
このパーティは部隊として編成されたものであり、
いざ戦闘になるとマップにキャラクターがユニットとして配置され、
それぞれの移動力を使ってマス目を駒のように移動、
射程距離内に入った敵に攻撃を仕掛ける・・というもの。
これまで「大戦略」などのウォーゲームとして採用されていた仕組みを
RPGと融合させたのだ。
これによってどんな変化が生まれたのか?
前作では3人パーティだったが、本作では最大12人編成できる。
つまりは実際に戦闘で使う事で
感情移入できるキャラクターがこれだけ多数存在できるRPG
なんて無かったのだ。
また、仲間が12人以上になると部隊に入れるキャラを選択する必要があるのだが、
それにより好きなキャラばかりの部隊になっていくのも楽しかった。
あれ?でも「ファイアーエムブレム」とか「ラングリッサー」とか、
本作より前にそういう立て付けのゲームなかったっけ?
と思われるかも知れない。
俺様はそれらは全て「SLGにキャラクター性を入れ込んだもの」と思っている。
SLGの場合、
「プレイヤーの戦略が正しいと先へ進める」という攻略による解決が求められる。
一方RPGの場合、
「攻略が出来ないときはキャラを育てると先へ進める」という点が大きく違う。
当初の「ファイアーエムブレム」も「ラングリッサー」も、
一つのところに留まってひたすらキャラクターを強くする・・
という事は出来なかったはずだ。
それはSLGの立て付けであり、戦略を練る事がゲームの核であったからだ。
だがシャイニングフォースは、
戦闘中に撤退してもそれまでに蓄積した経験値は継続されるし、
もし戦闘で全滅したとしても、お金が半分になるだけで、
やはり強くなった状態で再挑戦できる。
つまりそれがRPGの立て付けという事であり、
キャラクターウォーゲームとは似て非なる点であった。
およそ1000年ほど昔・・
清き心を光と呼び
悪しき心を闇と呼んだ頃
神々と壮絶な戦いの末
ダークドラゴンは捕らえられた
そして神々の手により
地の底に封印された
「我ハ カナラズ ヨミガエラン 1000ネンノ ノチニ・・・」
そして時は流れ
伝説は忘れ去られようとしていた
人々は永遠とも思われる
平和な時を楽しんでいた
しかし、その静寂を破り
東の大国ルーンファウストが
突如、進軍を開始した
人々は恐れおののき
この力に対抗する救いの手を待ち望んだ・・・
ゲームがスタートするとエルフの娘が画面に登場。
前作では語り部のおじいさんが登場するが、
おじいさんは留守で孫娘が本を読んでいる。
このゲームの物語が書かれている本で
「おじいさんが戻ってくるまでこの本読んでー」とのこと。
のちに「読んで娘」と呼ばれるこの少女は、
シリーズで毎回ゲームスタート時の案内係として登場するようになる。
記憶喪失のところを拾われた主人公(マックス)。
町や城の中の探索は王道RPGのものを踏襲。
買い物や仲間との出会いなどもこういう場所で行う。
野暮用を済ましてガーディアナの町へ戻ると、
ルーンファウスト軍に攻め込まれていた!
王様は亡くなり、マックス達は隣国アルタローンへ向かう事に。
アルタローンではどう見ても怪しいルックスの占い師がw
アルタローンにはすでにルーンファスト軍が罠を張っており、
ルーンファストの将軍カインの策略で捕まってしまうマックス。
古の城の封印を解こうとしている
ルーンファストの陰謀を防ぐために旅を続けるマックス達。
とある町で冒険家のボーケンと出会う。
特に戦いの助けになる存在ではないけど印象的な人物だ。
マナリナという町では訳知りな人物オトラントと出会う。
そして彼はマックス達の軍勢をシャイニング・フォースと名付けるのだった!
占い師ミシャエラは案の定、ルーンファスト手先だった。
ミシャエラは自分の分身であるミシャエラ・ドールをけしかけてくる。
シェード教会で罠にかかったシャイニング・フォース。
そこでルーンファストのボスであるダークソルがついに顔を出す。
罠を切り抜けると鳥人のアモンとバルバロイが仲間に。
こういう獣人達が豊富に登場するのがこのシリーズの魅力だ。
シリーズ中最もカッコイイ獣人のザッパ。
ザッパのフィギュア欲しい・・。
重い十字架を背負っているヤツも仲間に。
応援してあげたい。
こいつが仇のバルバザーク。
ハゲてる。
レベルが10以上になると教会で転職が出来るのもシャイニング・フォースの特徴。
いわゆる「戦士」が「魔法使い」になるといった一般的なRPGの転職とは違う。
キャラごとにそれぞれ専用の転職後のグラフィックが用意されていて、
転職というよりクラスチェンジのような感じだった。
転職する事でレベルのMAXが20から99に上昇する。
ついにルーンファストのカインを撃破!
仮面の下の男はマックスの兄だった!
ダークソルに操られていたのだ!
ふたたびミシャエラ登場。
「つかまえてごらん」なんてSっ気の強いお嬢様だ。
機械兵アダム。
マックスの相棒として生まれたらしい。
ケイオスはアダムの相棒として生まれた機械兵。
だがケイオスはダークソルに操られていた!
ついにダークドラゴンを唯一封印できる武器カオスブレイカーをゲット!
海の中から“古の城”が浮かび上がる!
ダークソルを倒すも、
ダークソルは自分の命と引き換えにダークドラゴンを蘇らせてしまう。
蘇ったダークドラゴンを倒すには首を3本とも落とす必要がある。
だが不死身のダークドラゴンは死なず。
そや!カオスブレイカーがあったんや!
マックスがカオスブレイカーをダークドラゴンの額に突き立てる!
マックスは仲間をリターンの魔法で脱出させるが、
自身は古の城に取り残されるのだった・・。
そして、神々の遺産も海の藻屑と消えてしまった。
世界を破滅から救ったシャイニング・フォースの仲間は
それぞれの国に帰っていった。
ガーディアナの国の再建もメイを中心に行われ
アンリが王の後継者となった。
その後、マックスの消息を知るものはなく、
黒き竜とともに海に沈んだと言われている・・・
・・・ご苦労さま
マックスの力で伝説は変わらずに済んだみたいよ。
おじいちゃんはまたどこかで悪しき人々が動き始めたって
いま出かけて行っちゃったの。
またこの次来てくれって勝手な事を言ってたよ。
それじゃさようなら・・
また遊びに来てくれたら嬉しいな。
GAME DESIGN
HIROYUKI TAKAHASHI
SCENARIO
MASAKI WACHI
YOSHITAKA TAMAKI
HIROYUKI TAKAHASHI
SUBSCRIPT
MASAKI WACHI
KENJI ORIMO
HARUKI KODERA
HIROYUKI TAKAHASHI
SCENARIO ASSIST
RITSUKO HISASUE
TADASHI IWASE
PROGRAM
YASUHIRO TAGUCHI
YOSHINORI TAGAWA
"OKOCHAMA" NAITOH
HARUKI KODERA
TECHNICAL SUPPORT
MASUMI TAKIMOTO
KIYOAKI MATSUMOTO
CHARACTER DESIGNED BY
YOSHITAKA TAMAKI
GRAPHIC DIRECTED BY
HIDEHIRO YOSHIDA
YOSHITAKA TAMAKI
GRAPHIC DESIGN
HIDEHIRO YOSHIDA
YOSHITAKA TAMAKI
RYUSHIRO MIYAZAKI
1610.NAKASHIMA
HIROTADA KAKUSAKA
MIZUHO MOCHIZUKI
YOJIRO HIRASHITA
RYUTARO ISHIMATU
MUSIC COMPOSED BY
MASAHIKO YOSHIMURA
SOUND EFFECT
DOGEN SHIBUYA
ENZAN SHIBUYA
SPECIAL THANKS TO
NAOKI AOKI
KOTARO HAYASHIDA
SHIRO TSUCHIYA
DIRECTED BY
YASUHIRO TAGUCHI
KENJI ORIMO
PROMOTION DIRECTED BY
SHINYA NISHIGAKI
PRODUCED BY
HIROYUKI TAKAHASHI
CREATED BY
CLIMAX CO.,LTD.
SONIC CO.,LTD.
これは・・旅のお方じゃね。
こんな田舎によういらした。
・・・ほほう、珍しいわい。
全身鎧を着ているとはのう。
いいえ、これは私の体です。
変わっとるのう・・・
ところでどこに行きなさるね?
あてはありません。
落ち着く土地を探しています。
どうじゃろう・・この村で畑を手伝ってもらえんかの?
アダム、いいかも知れないな。
しばらくお世話になるか。
そりゃ良かった!村のみんなもきっと大喜びするじゃろ。
ところで名前を聞いてなかったの。
なんて呼んだらいいんじゃろ?
私ですか?私の名前は
開発会社がクライマックスとソニックになっているが、
ソニックは1991年に高橋宏之さんが
クライマックスのスタッフ一部を率いて設立した会社。
本作開発当時、高橋さんは両社の社長を務めていた。
本作のシミュレーションの立て付けをRPGと融合したシステムは、
その後、しばらくシャイニング・フォースシリーズとして引き継がれていく。
また、多くのインスパイア作品を生み出したのもご存知の通りだ。
本作のキャラクターデザインは
「シャイニング&ザ・ダクネス」から引き続き玉木美孝さん。
玉木さんの素晴らしい絵柄と世界観が本作で世界的に有名になった。
ただゲームシステム的にキャラクターにお芝居は
フィールド上のチビキャラで行われており、
玉木さんワールドの再現という意味では
「シャイニング&ザ・ダクネス」に軍配が上がる。
玉木さんファンの俺様としては、ドラゴンクエストの鳥山明先生のように
「シャイニングシリーズ=玉木美孝」という定着を望んでいたが、
次回作以降のシャイニングシリーズは
作品ごとにキャラクターデザイナーを変えていく流れとなった。
さて、ここからは余談になる。
そんな玉木美孝さんが久しぶりにシャイニングシリーズに帰ってきた作品がある。
2002年にゲームボーイアドバンスで発売された「シャイニング・ソウル」である。
このゲームは通信ケーブルでキャラクターを持ち寄って
遊ぶ事が出来るアクションRPGで、
ゲーム機でマルチプレイのハック&スラッシュRPGを実現させた
元祖的な作品と言われている。
このゲーム、実のところ「シャイニング・フォース 神々の遺産」との繋がりが強い。
ゲームを立ち上げるとお馴染みの「読んで娘」が登場。
遠い遠い昔の話…
この世を消してしまう黒き竜が闇の軍勢をしたがえて
豊かな大地全てを荒野にしようとしていました
そんな暗黒の時代でも光の力は消えたわけではありませんでした
光の軍勢の中から選ばれた4人の戦士が悪しき力に立ち向かってゆくのでした
「シャイニング・フォース 神々の遺産」のオープニングを振り返ってみよう。
1000年前に神々はダークドラゴンと壮絶な戦いを繰り広げて、
ダークドラゴンを地の底へ封印した。
その神々とダークドラゴンの戦いを描いたのが「シャイニング・ソウル」なのだ。
ダークドラゴンは1000年に一度、何らかの形でこの世に蘇り、
平和の世を破壊する存在。
それとともに主要人物も1000年の時を越えて転生を繰り返している。
これは光と闇のバランスを保ち、大地を浄化する大いなる仕組みだったのだ。
ゲームの舞台はルーンファウスト。
「シャイニング・フォース 神々の遺産」で最終決戦の舞台になった場所だ。
そして光の軍勢を率いる司令官ノアの両サイドにいる人物。
「シャイニング・フォース 神々の遺産」で訳知りだった人物オトラントだ!
機械人のアダムとケイオス!
1000年前から既にダークドラゴン討伐のキーとして存在したわけだ。
このキャンプ地プロンティスから戦場各地へ戦いに出るわけだが、
このキャンプにはこの人物とも出会う事ができる。
「ボクはボーケンと言います。いつか世界を旅したいのですが
こんな世の中じゃムリですね。
ボクの血を受け継いだ子孫が世界を股にかけて冒険する…
そんな時代が来るといいなあ…」
1000年後、彼の子孫は思いっきり冒険してるんだよね~。
胸が熱くなるぜ。
ダークドラゴン側の幹部にもよく知る人物が存在する。
ミシャエラちゃん!
「つかまえてごらん!」の口癖も変わらない。
ミシャエラとの戦いになるとミシャエラが沢山登場する。
本物はこの中で一体だけ。そう、あとはミシャエラ・ドールなのだ。
「私の名はダークソル…
永遠の時の中で破壊を見届ける者
芸術的なダークドラゴンの完全なる破壊の光景を…」
ダークソルは1000年ごとの破壊を見届ける存在だったのである。
「シャイニング・ソウル」でも最後の戦いはダークドラゴンとの戦いとなる。
そして蘇ろうとしているダークドラゴンを前にオトラントが駆けつける。
「ダークドラゴンは決して滅びることの無い存在ですが
その力を封じ込める事はできます
悪のカオスを封印する事のできる古代の遺産…
その名は『カオスブレイカー』」
「シャイニング・フォース 神々の遺産」でも
ダークドラゴンを封印した『カオスブレイカー』で
1000年前の戦いは終幕するのだった。
このゲームは他にも「シャイニング・フォース」シリーズに登場する
ボスキャラや敵モンスターが多数出現している。
1000年ごとに仕組まれた役者達に思いを馳せてプレイすると楽しさ3倍である。