88ゲーム回想録(17)「クリスタルプリズン」

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クリスタルプリズン
(ボーステック)
1986年4月/AVG/7500円

 

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外界から閉ざされた孤島の屋敷。
そこで目を覚ました主人公は、記憶喪失になっていた。
自分が何者なのか?そしてここはどこで、なぜここにいるのか?
それを探るために屋敷内を探索するのだった…。

 

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このゲームがリリースされた1986年というのは、
アドベンチャーゲームにとって分岐点となる時代だったように思う。
コマンド入力式からコマンド選択式へ。
トリックからドラマへ。
想像する楽しさからビジュアルの演出へ。
ユーザーの志向が変革していったのがこの時代であり、
コマンド入力タイプのアドベンチャーゲームが最後の一花を咲かせた時代であった。
翌年の1987年以降は、
コマンド入力タイプはクラシックな表現としてひっそりと数を減らしていった。
そんな1986年に本作は誕生している。
本作はそんなクラシカルなスタイルを
スタイリッシュにオマージュしている良作である。
小説のようにストーリーを語るのではなく、
状況説明を淡々と羅列する語り口が素敵だ。

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さらに主人公が記憶喪失という設定も良い。
何も情報の無い主人公が探索の過程でプレイヤーと一緒に自分が何者か知っていく。
このプレイヤーとのシンクロが不思議な魅力を醸し出している。
画面の左に場面を表すグラフィック、
画面の右側全面がコマンド入力&メッセージ欄になっている。
左画面はあまり変化が無いが、何かオブジェクトが見つかると、
コマンド入力欄にそのオブジェクトのグラフィックが表示される。

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なんていうのかな…、ラシックスタイルの様式美?
そんな魅力を感じるんだよな、このゲーム。
てっきり海外ゲームの移植だと思っていたが、
どうやらボーステックに持ち込まれたゲームらしい。
作者はよっぽど海外クラシックゲームのファンなんじゃないだろうか?
この空気感はよっぽどのセンスが無いと出せるもんじゃない。

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しかしながら、本作は同じ時期に発売された
カサブランカに愛を』や『道化師殺人事件』ほど知名度が無い。
まず場面を表す右側のグラフィックがショボイ。
おそらくはこれを描いたのは本職のデザイナーでは無いだろう。
プログラマー自ら描いたとか)
また、パッケージが“リゾート地の風景写真”を全面に載せただけの
売る気の無さそうなデザインである。
「これじゃ売れないだろうな」と当時から思ってたよ。