88ゲーム回想録(13)「波動の標的」

f:id:g16:20211216180452p:plain

波動の標的
(ソフトスタジオWING)
1987年11月/ADV/9800円

 

f:id:g16:20211216180527p:plain

199X年 新宿

 

f:id:g16:20211216180543p:plain

月の隠された闇の夜は魔の世界
経済大国と呼ばれ
おごりの夜を果てしなく遊び戯むれる滅びの民よ

 

f:id:g16:20211216180607p:plain

今なら間に合う
間に合うものを何故に目覚めぬ滅びの民よ
凶運の星が輝き始たと言うのに

 

主人公の名前は草薙史郎。新聞記者だ。
メサイヤ教団という新興宗教集団自殺したという事で
現場に取材に行く所から始まる。
農耕器具で無残に惨殺された死体の山。
こんどのWINGは猟奇サスペンスか!?
と思いきや、ゲームの舞台がベトナムになると、半漁人に襲われたりするし、
白骨死体は襲ってくる、巨大うなぎ(?)は登場する、
ブラックタワーのような不思議な建造物はあるし・・・。
しまいには超能力戦争へと突入するという、
荒唐無稽なファンタジーバイオレンスホラーに発展する。
ゲームだからこそ、
またWINGワールドだからこそ許される破天荒なノリはこのゲームの魅力である。
また、オドロオドロシイ全体の雰囲気を際立たせる演出として秀逸なのが
ビジュアルを重ね合わせる演出だ。
場面が展開すると、前の画面の色が落ち、
それに重ねるようにして次の画面が表示される。
そうする事によって、シーンの印象に余韻が残り、
雰囲気作りに大きく貢献していたように思える。
特に最初の惨殺シーンなんかは、
死体画面が何枚も重なって表示されて、インパクト絶大だ。

f:id:g16:20211216182140p:plain

 

また、言わずもがなであるが、
WINGサウンドも雰囲気作りに大きく貢献している。
ゲームプレイ中にずっとBGMがキンキンと響いており、
部屋の中に異界の空気が流れ出すのだ。

展開も当時のゲームの中ではスピーディで、ゲームへの没入感は高い。
が、欠点・・・なのか、あえてそうしたのか知らないが、
ゲームオーバーがやたらと多い。
また、ゲームオーバーになるとセーブした所からやり直しなので、
ゲームに熱中するあまりセーブし忘れているとあまりにショックはデカい。
(4時間のプレイがパーになった経験あり)

最後までB級路線で強引に引っ張られる本作であるが、
何にしても、謎が謎を呼ぶストーリー展開と、
独特の雰囲気作りでプレイヤーの心を捕獲するパワーはやっぱり凄いぜ。

 


原作
武田 治輝

原画
浅川 よしのり

作画
大塚 英俊
宗野 晴彦

音楽
宗野 晴彦
北原 竹山

技術
姫野 三樹
武田 昌治
大塚 英俊

デザイン
宗野 陽子
北原 宏行

協力
平田 善満
日の丸 ねこ

音響効果
W・S・E・S

 

f:id:g16:20211216182438p:plain