TO・KY・O 闘氣王
スタークラフト
1987年7月発売
PC-8801mkIISR以降
7800円
東西冷戦の時代。
ソビエトの核攻撃によって、国としての機能を失った日本。
東京は元自衛隊幹部である江崎のクーデターが成功。
この国を「闘氣国」と名付け、江崎は自らを「闘氣王」と名乗った。
それから25年後。
年老いていた「闘氣国」だったが、脳移植による若返りを図ろうとしていた。
アメリカCIAの命を受けた特殊工作員のプレイヤーは、
「闘氣国」に潜入し、「闘氣王」の若返りを阻止しなければならない。
このゲームはスタークラフトが誇るオリジナルRPGシリーズ
「上海」「九龍島」に続く第3弾である。
前作は「燃えよ!ドラゴン」をオマージュしたかのような舞台だったが、
今回の舞台は渋谷区周辺だ。
主人公は電車を乗り継いで原宿駅へ。
倒すべき敵のほとんどが一般市民だったり、
仲間になるのがファミコン本体や犬猫や
ログイン編集者だったりと、
かなりカオスな内容にバカゲーだと判断される事が多い本作であるが、
実はシステムがよく出来ていて、
シリーズで継承してきたシステムの集大成となっている。
プレイヤーは、四方へ移動できるのだが、持っている行動値の分しか進めない。
敵と隣接したときにまだ行動値が残っていると攻撃できるが、
残っていないとその場で止まる事になる。
プレイヤーの行動が終了すると、画面中の敵が同じように行動値を使い動き出す。
プレイヤーに仲間がいる場合は順番に行動を決めていく。
全てはターンで動く。
ここでお気づきだろう。
シミュレーションRPGのシステムを先取りしていたのだ!
シミュレーションRPGの場合、小さなマップをクリアしていくタイプばかりだが、
このゲームはこのターン性でフィールドマップ全てを冒険できる!
これにより、“全ての仲間が別行動”なんて事も可能なのだ!!
このゲームシステムがもし今作で消滅していなければ、
RPGの可能性がもっと広がった気もしないでもない。
長い道のりをただ歩くだけのシーンはターン性が逆に面倒だったり、
仲間をサポートする機能が無かったり、まだまだ改良の余地があるだけに、
つくづく残念である。
何にしても本作は、
カオスながら創作意欲が沸々と感じられる埋もれた逸材であった。