88ゲーム回想録(04)「TO・KY・O 闘氣王」

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TO・KY・O 闘氣王
スタークラフト
1987年7月発売
PC-8801mkIISR以降
7800円

 

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東西冷戦の時代。
ソビエトの核攻撃によって、国としての機能を失った日本。
東京は元自衛隊幹部である江崎のクーデターが成功。
この国を「闘氣国」と名付け、江崎は自らを「闘氣王」と名乗った。
それから25年後。
年老いていた「闘氣国」だったが、脳移植による若返りを図ろうとしていた。
アメリカCIAの命を受けた特殊工作員のプレイヤーは、
「闘氣国」に潜入し、「闘氣王」の若返りを阻止しなければならない。
 

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このゲームはスタークラフトが誇るオリジナルRPGシリーズ
「上海」「九龍島」に続く第3弾である。
前作は「燃えよ!ドラゴン」をオマージュしたかのような舞台だったが、
今回の舞台は渋谷区周辺だ。
主人公は電車を乗り継いで原宿駅へ。
倒すべき敵のほとんどが一般市民だったり、
仲間になるのがファミコン本体犬猫
ログイン編集者だったりと、
かなりカオスな内容バカゲーだと判断される事が多い本作であるが、
実はシステムがよく出来ていて、
シリーズで継承してきたシステムの集大成となっている。
プレイヤーは、四方へ移動できるのだが、持っている行動値の分しか進めない。
敵と隣接したときにまだ行動値が残っていると攻撃できるが、
残っていないとその場で止まる事になる。
プレイヤーの行動が終了すると、画面中の敵が同じように行動値を使い動き出す。
プレイヤーに仲間がいる場合は順番に行動を決めていく。

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全てはターンで動く。
ここでお気づきだろう。
シミュレーションRPGのシステムを先取りしていたのだ!
シミュレーションRPGの場合、小さなマップをクリアしていくタイプばかりだが、
このゲームはこのターン性でフィールドマップ全てを冒険できる!
これにより、“全ての仲間が別行動”なんて事も可能なのだ!!
このゲームシステムがもし今作で消滅していなければ、
RPGの可能性がもっと広がった気もしないでもない。
長い道のりをただ歩くだけのシーンはターン性が逆に面倒だったり、
仲間をサポートする機能が無かったり、まだまだ改良の余地があるだけに、
つくづく残念である。
何にしても本作は、
カオスながら創作意欲が沸々と感じられる埋もれた逸材であった。

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