1943改
(ナグザット)
1991年3月22日/縦シューティング/7200円
このゲームは、1988年にカプコンがアーケードでリリースした
「1943改 ミッドウェイ海戦」の移植である。
原作となる「1943改 ミッドウェイ海戦」は、
「19XX」シリーズの第2作目である
「1943 ミッドウェイ海戦」を元にアレンジしたゲームだが、
「1943 ミッドウェイ海戦」自体が完成度が高いゲームだっただけに、
「改良」ではなく「改変」という側面が多く、
ともすれば「改悪」とも言われているタイトルだ。
PCエンジンで初めての「19XX」シリーズなのに、
なぜいきなり「1943改」なのかはわからないが、
カプコン自らが移植したわけでもないので、
何らかの事情がカプコンとの契約に生じたのだろう。
登場する敵戦艦の名称が実在する日本の兵器名から、
三国志の武将名に変わっているのも、
そのあたりの事情に絡んでいそう。
(ファミコン版「1943」も三国志の武将名だった)
第二次世界大戦を舞台に、戦闘機で進む縦スクロールシューティング。
耐久力制で、ゲージが無くなると墜落。
敵が落とす「POW」というカプセルを取ると少しだけ耐久力が回復。
カプセルを撃つと、順番に数種類の装備カプセルに切り替わる。
武器は時間制で、取っても時間が切れるとノーマル武器に戻る。
また、画面全体攻撃もあり、「R」カプセルを集めた回数分使う事が出来る。
ショットはボタン押しっぱなしでオート連射。
二人同時プレイも可能だ。
目標の敵戦艦まで到達すると、場面が切り替わり、
スクロールが終わるまでに撃破する事を目指す。
破壊率が足りないとやり直しになる。
いわゆる縦長ゲームを横画面に再調整した良移植と思えるのだが、
このゲームは素直に原作を再現した移植とは違っていた。
移植開発当時、カプコンには「1943改」の資料は残っておらず、
基盤から目コピで開発するしか無かったという。
ここからは推測もまじる。
原作は全10ステージある。
これをプレイして解析しつつ移植したのだが、
後半に行くほどそれは困難であった事は想像がつく。
難易度も上がっていくしね。
結果、10ステージのうち3ステージ分をカットした。
だがそれだけのミニマム移植では終わらせなかった。
ステージ7をクリアすると、機体にジェットエンジンを積むデモが流れる。
え?なになに?こんなシーンはアーケード版には無いけど?
と思っていると、新たな攻撃目標「水上要塞」が!
巨大な輸送機(?)から自機が出撃。
ここから完全オリジナルステージが3面も用意されている!
このオリジナルステージは、
専用の敵キャラや攻撃パターンがガッツリ用意されており、
戦闘列車などの本編とは毛色の違う存在感の敵も登場する。
「1943改」はタイトルの通り、第二次世界大戦を題材にしたゲームで、
基本的には当時の兵器しか登場しないのだが、
このオリジナルステージではその点が軽視され、SF的な世界観に改変されている。
PROGRAM
Y.OCHIAI
DESIGN
BLUE BIRD
MUSIC
H.MATSUSHITA
D.MORISHIMA
SPECIAL THANKS
OTAKA
MANIA-YAJIMA
GAMMER-TAKAHASHI
最後の画面ではナグザットのキャラクターであるドラぼっちゃんも登場w
オリジナルの3ステージはとても力が入っており、
むしろここが本編と言っても差し支えない。
自社タイトルの移植であれば良くあるが、
他社が移植開発でブッ込んで来るのは珍しい。
世界観まで変えちゃったり(^^;
カプコンからの資料不足を逆手にとって、
移植のテイで自分達の我を形にしてしまう。
「1943」の"改変”と言われた「1943改」でそれをやるのが痛快だ。
そんなロックが生きていた時代の物語である。