わが青春のPCエンジン(92)「ビックリマンワールド」

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ビックリマンワールド
(ハドソン)
1987年10月30日/アクション/4500円

 

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1987年10月30日にPCエンジン本体が発売された。
そのとき本体と一緒に発売されたソフトは2本。
「上海」と本作「ビックリマンワールド」である。

 

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本作はウエストンがアーケード向けに開発した
ワンダーボーイ モンスターランド」の移植である。
この「ワンダーボーイ モンスターランド」というゲーム、
とんでもない完成度の高いゲームだったわけだが、
このゲームがアーケードに登場したのが1987年8月。
わずか3ヵ月という期間でPCエンジンのロンチタイトルに間に合わせた。
しかもアーケード版とほとんど変わらない移植度の高さを実現させたのは凄い。
その後、セガマークIII版やファミコン版も登場するが、
移植度はPCエンジン版ほど高くは無く、
PS2で「モンスターワールド コンプリートコレクション」が出るまでは、
家庭でモンスターランドに近い形が一番楽しめるタイトルだった。

 

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本作はなぜかキャラクターと世界観がビックリマンに載せ替えられている。
ビックリマン」とはロッテが発売したシール入りのチョコ菓子で、
本作発売当時はテレビアニメも始まっていた。

「モンスターランド」含むワンダーボーイシリーズは、
エストンが製作しセガが販売したタイトル。
ゲームの権利はウエストンが持っていたが、
ワンダーボーイ」の商標はセガが持っていた。
そのためセガ以外のゲーム機でそのまま出す事が出来なかった。
ハドソンはファミコンで「ワンダーボーイ」のキャラクターを高橋名人に変えるなど、
移植のときに工夫し、成功していた。
とはいえなぜビックリマンだったのか?
もしかしたらPCエンジンという新しいマシンを売るにあたり、
それを買って欲しいターゲット層が
ビックリマンのターゲットと被っていたのかも知れない。

ゲーム内容はほとんどモンスターランドなので、
今回のレビューではビックリマン”に置き換えられた箇所を中心にご紹介したい。

 

ゲームスタートからすぐの扉に入るとスーパーゼウスがお出迎え。
ちなみに原作はローブを着た爬虫類人間。
ヘタウマっぽい感じの絵で、
正直ビックリマン勢の方が絵として訴求力が強いように思える。

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おお!ロココよ、よく聞くがいい。
このゾーンの運命はお前の活躍にかかっている。
あの恐ろしいジュラを倒し、このゾーンに平和を取り戻すのじゃ。
この剣とクスリを持ってゆくがよい。また、あおう。

 

原作ではブックという少年だったが、
本作での主人公はアニメにも登場するヘッドコロロなのだ。
だがこのオムツ姿のキャラクターのどこがロココなんだ・・。

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このゲームは旅の途中で武器、鎧、靴、盾などを手に入れると
主人公のビジュアルも変わる仕様になっている。
そのシステムを継承しようと思ったら、まあこうなるよね・・。
でもでも。
フル装備になったら、こういうビジュアルになるに違いない。
↓↓↓

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そう思って頑張って進めた思い出。

 

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最初のボスは「サタンマリア」
それを倒した先ある靴屋では・・

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なんと「ヘラクライスト」が店主に・・。
いや、ヘラクライストって天使界最強の聖ボットなはずだが・・、
誰だよ、こんな貴重な戦力に店番させてんの!(^^;

 

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隠し部屋を見つけ出すと中には天使界のナンバー2である「シャーマンカーン」様が!

ほう、ジュラを倒しに行くのかい。
それなら、教えてあげよう。
勇者の紋章があれば、ジュラを倒せるかも知れないよ。
私の仲間の聖華士が、海の町バラボロに住んでいる。
この手紙を渡しなさい。きっと、力になってくれるよ。

 

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さらに先へ進むとボスとして「スーパーデビル」登場。
目的は「始祖ジュラ退治」だって言ってるからいいけど、
本来は敵対組織のリーダーなのに、あまりに早い登場。(^^;

 

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ラウンド3のボスは「ワンダーマリア」
ワンダーマリアはサタンマリアがパワーアップを果たした姿。
キャラが大きくて良い感じ。

 

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シャーマンカーンの言っていた「聖華士」が彼女。
(ゲーム中に名前が出ないのでビックリマン知らないプレイヤーは置き去り)
聖華士ってアニメに出てきたかどうかも怪しいマイナーキャラ。
ここはアニメのヒロインである十字架天使で良かったんじゃないか?

ハーイ!はじめまして。
紋章を探しているのね。
それなら、この笛を持ってポロロの島へゆくといいわ。
謎の館に住むおじいさんが教えてくれるはずよ。

 

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ラウンド4のボス「魔肖ネロ」
存在感のあるヤツだ。

 

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ラウンド5のボスは「ノアフォーム」
だいぶ原作とデザインが違う気がする。

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せめて肌の色を白くすべきだったんじゃん?

 

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体力をちょっとだけ回復してくれるバーの店主は「聖蝶士」ちゃん。

 

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ラウンド6で「サタンマリア」が6聖球強奪後にパワーアップした姿で登場。
ただし、サタンマリアはこの姿になったのちにワンダーマリアになるはずなので、
登場順番的におかしい。
「わたしが、サタンマリアだ。」とか、まるで初登場のような口ぶりだしw
原作同様にこのあとのクイズに正解すると戦わずに次のラウンドへ行ける。

 

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ラウンド8のボスは「ネロ魔身」
魔肖ネロがスーパーゼウスの理力を吸収し過ぎてパワーダウンした姿。

 

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ラウンド10でスーパーゼウスと再会。

おお!よくきたのう。
お前こそ真の勇者だ。
お前の勇気を讃え、ここに紋章を授けよう。
ジュラはジュラ城にいる。
必ず、倒してくれよ。

 

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よく、ここまで来れたものじゃ。
ずいぶん、逞しくなったのう。
このふたつのうち、好きな方を持っていくがいい。

ここで「ベル」か「ルビー」のどちらを貰うのか選ぶのだが、
ここは悩みどころ。
ジュラ城は迷路のようになっていて、かなり迷う。
「ベル」を持っていると分かれ道で正しい道を教えてくれる。
「ルビー」はその恩恵が無いかわりに、ラスボスをかなり弱体化してくれる。

俺様の場合、すでに何度もクリアして迷路の道順を覚えているので、
迷わず「ルビー」を選択した。

 

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迷路を乗り越えていよいよ最終ボスへ。

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最終ボスは「始祖ジュラ」

 

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始祖ジュラを倒したと思ったら、正体を現して「ブラックゼウス」になった!

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無事倒してエンディングへ。

 

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よくやった、ヘッドロココよ!
お前の活躍で、このゾーンにも平和が訪れるであろう。
だが、油断してはならぬぞ。
もっともっと修行を重ね、天聖界を守っていくのだ。
今回のわしの役目は、これで終わりのようじゃな。
では、さらばじゃ!

 

このあとフィナーレ曲が一ループ流れるだけで、
スタッフロールは流れず。
見事な移植によってPCエンジン立ち上げを牽引した立役者の名前を
見る事が出来ずに残念である。


さて、総評だ。
最初に書いたように、本作のオリジナル版はとてもよく出来たゲームであり、
それを忠実に移植した本作は、タイトルの少ない初期ラインナップにおいて、
とてつもない効果を発揮したと思う。
と、これはモンスターランドのファンである俺様の感想。
だが俺様はビックリマンのファンでもある。
ビックリマンを原作としたゲームとしては、あまりにデタラメ。
モンスターランドに登場するNPCやボスキャラをそのまま載せ替えただけ。
ビックリマンらしさの再現などは皆無。
キャラの起用もとりあえずそれっぽいのを無作為に選出した感じで、
アニメやシールと同じ世界感の話とはとうてい思えない。
こういうキャラクター原作のあるゲームは、
少なからず「原作ファンが喜ぶ再現」を目指すべきものだと思うが、
これじゃ単なる客寄せパンダだ。
ましてやアニメの主人公である
ヤマト王子や若神子達がまったく登場しないなんて・・。
(彼らのアピール激しいパッケージ絵が余計にファンの期待を逆なでした)
版元であるロッテや東映動画はこれでよくOKしたなと思う・・。

とは言え、ビックリマンに合わせて
モンスターランドの内容を改変するのも違うと思うし、
アーケード版リリースからわずか3ヵ月で発売するタイトルなのに
ビックリマンのキャラクターゲームとしても成り立たせろ」なんてムチャだろう。
であれば、ハドソンが都合の良いオリジナルキャラを
突貫で用意すれば良かったんだよ。
(「高橋名人の冒険島」の世界観だって良かったわけだし)

 

さて、では最後に、主人公ヘッドロココがフル装備したときを
改めて振り返ってみよう。

 

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やっぱ誰やねん!