ミステリーハウスの謎

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『ミステリーハウス』という名前は、
パソコンゲーム創世記を知る人なら誰でも知っているだろう。
1980年にアメリカのシエラオンライン社からAppleII用に発売された
世界初のグラフィックアドベンチャーゲームである。
(テキストのみのアドベンチャーゲームはそれまでも存在した)

黒地に白い線で描かれた独特の世界描写の中を探索していくと、
何の前触れもなく次々と死体で見つかる登場人物達。
このゲームの登場によって
“建物探索”という様式を模倣したアドベンチャーゲームが次々と生まれていったし、
『ミステリーハウス』はそれらの代名詞的な扱いとなっていた。
世界的には。

 

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▲黒地に白い線の描写は狙ったものではなくスペック的な問題でそうしたんだろうけど

 

これが日本だと少し状況が異なる。
この『ミステリーハウス』は日本のパソコンにはすぐには移植されなかった。
(そもそもパソコン普及前夜)
スタークラフトがコマンド入力を日本語カナ入力にして移植版を出したのは
1983年4月のこと。
この移植版が出る10ヵ月も前に、
マイクロキャビンから日本初のグラフィックアドベンチャーゲームが登場してしまう。
その名前も『ミステリーハウス』

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つまり多くの日本人にとって初めて
絵がついたアドベンチャーゲームに触れたのがマイクロキャビン版であり、
情報も混同して
「マイクロキャビン版がシエラオンライン版『ミステリーハウス』を移植したもの」
誤解する人も多かった。
結果として本家ミステリーハウスは、
創世記のアドベンチャーゲームの中の1つとしての印象でしかなくなり、
それほど日本人にインパクトを与える事が出来なくなってしまう。
マイクロキャビンがそれを狙ったのかどうかは定かではないが、
タイトルだけでもオリジナルのものにしていれば
こんなややこしい歴史にならなかったのにね。

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本家ミステリーハウスのパッケージ裏には、
「まだアドベンチャーゲームを知らない人」へ向けたメッセージが
書かれているのでご紹介しよう。


by ケン&ロバート・ウィリアムス

アドベンチャー・ゲームとは何でしょう。
辞書によると、アドベンチャーとは、
危険に満ちたエキサイティングな経験とあります。
アドベンチャー・ゲームに入り込んだ人は皆、冒険者となります。
そして目的のために、いろいろと試行錯誤して進んでゆくのです。
そう、アドベンチャー・ゲームは
コンピュータを通してあなたをファンタジーの世界へ導いてくれるのです。

数百枚の絵があなたの冒険を見せてくれ、
あなたはアドベンチャー・ゲームに日本語で話しかけることができます。

このミステリーハウスでは、
あなたは大きな古いヴィクトリア式の邸宅の庭に立っているところが始まります。
この邸宅にはミステリーと、殺人と、陰謀が待ち受けています。
そしてあなたは謎を解き明かすまで邸宅を出ることはできません。
その上犯人はあなたの命をも狙っているのです。


ちゃんと数えたわけじゃないけど
“数百枚の絵”ってのは盛り過ぎじゃないだろうか?
また、「あなたの命をも狙っている」と言うけど、
「どこからかナイフが投げ込まれてベットの上に落ちた」ぐらいしか
思い当たるシーンは無い。(^^;


このゲームを含むシエラオンライン社のアドベンチャーシリーズは
ハイレゾ・アドベンチャー(Hi-Res Adventure)シリーズ」と銘打たれている。
だが、88版のパッケージを見ると
「ハイレス・アドベンチャー(Hi-Res Adventure)」と表記されている。
これは単なる誤植だろうか?
アルファベットもハイレゾだったら「Hi-Reso」になるのでは無いか?
という疑問もわく。


ミステリーは終わらない・・。