88ゲーム回想録(25)「ジャック/ラスベガス連続殺人」

f:id:g16:20220418095817p:plain
ジャック/ラスベガス連続殺人
(タケル)
1988年11月/AVG/8000円

 

f:id:g16:20220418095851p:plain
テンキーだけでゲームを進める事が出来るコマンド選択式アドベンチャーゲーム
(ただし一部テキスト入力あり)
推理ミステリーAVGでは定評のあるシンキングラビットが
88で最後に出した推理AVG。
(ゲームソフトとしては『倉庫番パーフェクト』が最後だ)
パッケージ販売はされておらず、
1988年11月にソフトベンダーTAKERUでのみリリースされた。

※ちなみにのちに移植された98版は
花王リアルソフトパック』というフロッピーディスクのオマケゲームだった。

 

f:id:g16:20220418095907p:plain
ロサンゼルスの古ホテルで発見された男の死体。
後頭部を鈍器で殴られて殺されていた。
ロス市警殺人課の刑事であるトマス・ジュリアードは、
事件の捜査を進めていくうちに第二、第三の事件との繋がりを発見していく。

 

f:id:g16:20220418095921p:plain
システムの構成は前作『ザ・マン・アイラブ』に類似している。
ビジュアルはモノクロで渋いのだが、絵柄が英語教科書のイラストみたいでライトだ。
受話器は取らないと電話出来ない、初めて会った人物には警察手帳を見せる・・
といったルールがアクセントになっていて雰囲気を掻き立てくれる。
ゲーム設計的な様式美ってヤツだ。

システム的な特徴として一番大きいのは『JOKER』コマンド。
わかりやすく言えば『神宮寺三郎』の「タバコを吸う」的なもの。
このコマンドを使う事で何か閃く箇所が点在している。
ところがこのコマンドは使用回数が決まっており、
無駄なところで使い過ぎると後半進行不能となる。
コマンド総当たりだとゲームが作業化するので、
これによって緊張感を出したんだと思う。
(とはいえ、進行不能は怖いので使うときは直前セーブ必須だったけどね(^^;))

 

f:id:g16:20220418095938p:plain
このゲームが発売された時期になると、
セリフのやりとり主体の紙芝居性の強いものが主流になりつつあった。
そんな中で、表示されるメッセージは
状況を示した最低限の情報と、最低限のセリフのみ。
一緒に行動しているはずの相棒もまったくしゃべらない。
プレイヤーの想像力に委ねた静的プレイスタイルは逆に心地良さすらある。
BGMもイギリスの古いバラード『スカボロー・フェア』1曲が延々と流れるだけ。
「秋の夜長にゆっくりとアドベンチャーゲーム」という読書的な立ち位置
いかにもシンキングラビットらしいと言える。

主人公の名前はトマス・ジュリアード。
一緒に行動している相棒はジャクソン・マッコーニーだ。
で、このゲームのタイトルが『ジャック/ラスベガス連続殺人』。
つまり相棒の名前がタイトルなのだ。
思い切ったタイトルだね。