発売元:宇宙企画
発売時期:1988年10月
定価:7800円
機種:PC8801mkIISR
~紹介~
宇宙企画というメーカーはご存知だろうか?
1980年代のアダルトビデオ。
そこに出てくるお姉さん達のイメージは、
「普通のメディアに出るには残念な容姿」だったり
「普通におばさん」だったり・・
「裸にならないと金にならない人達」という感じだった。
そんな中で「なぜこんなカワイイ女子が!?」という美少女路線を打ち出して
爆発的な人気を得たのがアダルトビデオメーカー「宇宙企画」だったのだ。
それまでストーリー仕立てが主流だったアダルトビデオに
性行為とインタビューやイメージシーンで構成するという形
を作り出したのも宇宙企画らしい。
そんな宇宙企画がパソコンという新しいメディアに目をつけた。
本作はそんな宇宙企画がパソコンゲーム事業に参戦してきた第4弾。
当時人気だったAV女優の小森愛が登場するアクションゲームだ。
宇宙企画のゲームはどれもコンセプトは似ており、
基本的にはAV女優の写真を見るためにミニゲームを頑張るものになっている。
本作は日本テレネットの『アメリカントラック』に似たシンプルなラリーゲームで、
小森愛のデジタイズ画像を見る事をご褒美にクリアを目指す事になる。
コツさえ掴めばすぐにクリアする事が出来る上に、
画像も荒く、それほど過激な写真も無い。
正直、これで7800円というのはヒドイと思う。
なお、小森愛ファンも一瞬で彼女に殺意を覚える衝撃の結末は、
この記事でシナリオログとして掲載しておく。(^_^;
~解体~
テンキーの4が左ハンドルで6が右ハンドル。
シフトキーがアクセルだ。
走り続けるとFULLが減っていくので、
これが無くなる前にゴールする事がゲームの目的となる。
コースにカーブはなく、全て直線で構成されている。
他車や路肩にぶつかるとFULLが一気に減る。
また、FULLが増えるアイテムと、FULLが減るアイテムも落ちている。
が、衝突をしないように走れば特に狙って取らなくてもクリアできると思う。
クリアすると小森愛の写真がデジタイズされた画像とともに
シナリオの続きを読む事が出来る。
全7ステージをクリアするとエンディングだ。
ゲームオーバー時にCキーを押すと、そのステージからやり直す事が出来る。
このゲームはゲームクリア直後にスコアが画面から消えるので、
ハイスコアを狙っている人は要注意!
~考察~
アダルトビデオのみならず、他のメディアに積極的に進出しようとする
宇宙企画の攻めの姿勢はゲーム業界にとって、
まさに黒船来航に等しい事だった。
だが、宇宙企画はゲーム市場を甘く見ていたのかも知れない。
ゲーム内容は
同人プログラムを買い叩いて来たんじゃないか?と思えるほど簡素なもの。
そして売りである所属女優の起用は
普通のヌード写真を荒いデジタイズで表示するだけの気の抜けたもの。
おそらくはゲームの内容に合わせた撮り下ろしすらしていないんじゃないだろうか?
こんな見え透いた内容では、すでに目の肥えたPCゲーマーは騙されなかった。
(天使たちの午後II、イース、ジーザスなどがリリースされた後の時代だ)
もしこのとき宇宙企画が本気で予算をかけてゲームを作っていたら、
或いは“実写美少女ゲーム”というジャンルが確立されていたかも知れない。
~シナリオログ~
朝起きると頭が痛かった。
慣れない酒を飲んだ次の日はいつもこうだ。
オレが彼女との待ち合わせに遅れるのはいつもこんな時だ。
1時間遅れ。案の定、彼女はいなかった。
彼女の家に電話をしても無駄だった。
居留守番電話というのは、よくある事だから驚きはしない。
しかし、その理由が“誘拐”だなんて知ったら、
大抵のやつは腰を抜かすに決まっている。
電話は夕方になって、やってきた。
『あんたの彼女かい、かわいいね。』
知らない男の声。
『なんだ、おまえは。』
『へへっ、そんなこたぁ、どうでもいいだろ。
女を助けたれば、ジャパンラリーに出るんだ。
お前に選ぶ権利はないからな。覚えておけ。』
おいおいおい、なんだそりゃ、
彼女を見捨てるわけにもいけず、ラリーに参加することにした。
初日のレースが終わった。
俺を待っていたのは、1通の封書。
手紙と写真が入っていた。
『どうやら、ラリーに出たようだな。』
手紙にはワープロで、そう書いてある。
火曜日だ。
今日は犯人から、何の連絡も無い。
彼女の顔が、脳裏を横切る。
犯人の目的は一体何なんだ。
水曜日。
彼女の写真が届く。
彼女の使っていたコロンの香りがした。
きっと、元気なのだろう。
そう思いたい。
木曜日。
今日は事故に巻き込まれて、危うく死ぬところだった。
毎日こんな事をやっていて、彼女を救えるのだろうか?
そんな判断も出来ない自分に腹が立つ。
金曜日。
犯人からの連絡が無い。
心配でなかなか眠れない。
酒でも飲むか。
土曜日。
今日、彼女にそっくりな人を見掛けた。
頭がおかしくなったのかもしれない。
最終日。
オレはラリーに優勝した。
その時、彼女の声がした。
『やった!優勝おめでとう!』
どうやら助かったらしい。
『おい!けがはなかったか?元気か?』
彼女はにっこり微笑んでこう言った。
『ごめんなさい。誘拐は私の狂言だったの。
でも、優勝して良かったわね。』
『・・・・・・・・・・』
冗談じゃない。同じ事を何度もやりやがって。
その手で『関東ラリー』にも優勝させられたんだぞ!
なんてやつだ!
オレは来月開催される『西日本ラリー』の時に彼女が誘拐されない事を神に祈った。
こちらはエンディング画像。
~MEMO~
・なんとジョイスティック対応(笑)
・小森愛 1969年7月22日生まれ(ゲーム発売当時19歳)
・このゲーム発売時点でまだ小森愛はヌードモデルであり、
カラミのあるAVには出演していなかった。