88ゲーム回想録(52)「めぞん一刻 完結編」


めぞん一刻 完結編
発売元:マイクロキャビン
発売時期:1988年5月
定価:7800円
対応機種::PC-8801mkIISR以降

 


1986年12月にリリースした「めぞん一刻 想いでのフォトグラフ」で
初めて漫画原作アドベンチャーゲームに挑戦したマイクロキャビン。
原作再現度が高かった事で話題となった「めぞん一刻 想いでのフォトグラフ」は、
様々なパソコン機種に移植されただけでなく、
PCエンジンなどのゲーム機でもリリースされる運びとなった。
その後、マイクロキャビンは1987年6月に
うる星やつら 恋のサバイバルバースデイ」をリリース。
そして本作はマイクロキャビンの
高橋留美子漫画のアドベンチャーゲーム化第3弾となった。

 


前作はダメな下宿人・五代を主人公に、日常の一幕を描いたゲームだったが、
本作は五代とアパート管理人である音無響子が結ばれた後から始まる。
原作の最終話近辺を元にゲーム化している事になる。
また同年には「めぞん一刻 完結編」という同名の劇場映画も公開されている。

ゲームは8日間にフェイズが分かれており、
前作同様に登場人物達の機嫌を損ねないようにしながら、
粘着質の一刻館住人達を引き離し、何とか管理人さんと二人っきりになると、
原作のシーンが展開される・・といった構成になっている。

 


移動すると左上の背景絵が切り替わる。
東西南北で移動するわけではなく、
「1号室の前」「2号室の前」といった具合に
隣りにあるポイントごとに移動するので、
慣れるまでは位置関係で混乱する。
移動先でそこにいるキャラクターは背景下の枠に顔アイコンが表示される。

イベントが発生すると右の大きな画面でグラフィックが表示される。
基本無音の本作だが、
大事なシーンではアニメで使われた曲(「好きさ」など)が流れる。

管理室の前で響子さんを呼び出したとき、
他の住人が側にいなければ管理室内へ入れてもらえる。


二人っきりになれると響子さんとの仲がグッと縮まるイベントが発生したりする。


そのあと五代君は保育園の仕事へ。
そして夜はキャバレーバニーへ向かう。


キャバレーの仕事を終えると商店街へ。


酒屋、スーパー、花屋、たばこ屋へ寄る事が出来る。


商店街を抜けるとおでん屋台へ。
五代君、毎日屋台で呑むなんて通だなぁ。

 


夜も管理室へ。
粘着質のしつこい住民はそれぞれ好きなものを与えると立ち去ってくれる。
だが響子さんにプロポーズしようとしたそのとき、
住民が乱入して宴会になってしまう・・。


この宴会がしつこい。
話しかけたり、押入れに籠城したりしてターンを稼ぐ。
みんな寝落ちしたかと思ってそっと抜け出そうとすると、
ムクリと起きてまた宴会になる。
五代くんが酒を飲みすぎるとなぜか住民の機嫌パラメータが落ちるという謎仕様。

こんな感じで1週間を過ごす。
この時期の五代君の環境を再現していると言えばしているのだが、
じゃあそれが楽しいのかというと、イライラするだけだよ。(^^;
素直にアニメでエピソードを楽しんだ方がいい(爆)

 

さて、そんな本作だが、注目すべきは88版ではなく68版である。
冒頭で五代君と響子さんが一夜をともにするシーンが描かれている!


しかも68版は声優の島本須美さんの声で
「あたしね、ずっと前から五代さんの事好きだったの」という
原作ではけっこう重要なセリフも再生される。
このシーンはテレビアニメでも再現されておらず、
ボイスつきでこのシーンを見る事ができるのは68版だけである。

 


ちなみにアニメでは、このようにカーテンの閉められた部屋を外から映し、
中で何が行われているかは視聴者の想像に任せている。


ゲームデザイン
加藤 雅史

グラフィック
スタジオシップ

メインプログラム
伊藤 和彦

ミュージックプログラム
山田 浩司

アートディレクション
谷口 恵津子

ミュージックディレクション
長田 達

ミュージックアレンジ
鈴木 慧

協力
小学館プロダクション

企画制作
マイクロキャビン/アローソフト