88ゲーム回想録(44)「きまぐれオレンジロード 夏のミラージュ」


きまぐれオレンジロード 夏のミラージュ
発売元:エニックス
発売時期:1988年9月
定価:7800円
対応機種::PC-8801mkIISR以降
ディスク3枚組

 


きまぐれオレンジロード」はまつもと泉先生が
1984年から1987年まで週刊少年ジャンプで連載していたラブコメ漫画だ。
アニメ化もされて、1987年から1年間毎週放映されていた。
本作がリリースされた時期は漫画もアニメも終了していたが、
根強い人気でその後OVAや劇場映画が作られている。
マイクロキャビンはこれまで「めぞん一刻
うる星やつら 恋のサバイバルバースデイ」「めぞん一刻完結編」
といった漫画原作のアドベンチャーゲームをリリースしており、
その原作再現力が評価されていた。
そんな中で俺様も好きだった「きまぐれオレンジロード」。
これを題材にしたアドベンチャーゲームという事で期待を胸に発売日に購入した。

 


恭介「あ、鮎川…」
まどか「春日くん…好きにして」


恭介「あ」
まどか「だめ、そんな…もっと!」


まなみ&くるみ「あっきれたーっ。おにーちゃん、今日から夏休みって言っても、
一体いつまで寝てるつもりなの?いい加減に起きなさ~いっ!」
今日から待望の夏休み。思いきりハネをのばしたいところなのですが…。

恭介の夢の中の映像だがサービスショットからまずゲームは始まる。

 


まどか「それじゃ、行ってきまーす。」


全員「お元気でーっ。」
ひかる「おみやげまってま~す。」


恭介「あ、鮎川…鮎川~っ!」

主人公、春日恭介が秘かに想いを寄せている鮎川まどかは、
夏休みを利用してアメリカへと旅立ってしまう。


恭介「あ~っ、鮎川のいない夏なんて…夏なんかじゃないよーっ!!」

 


ゲームはコマンド選択式のオーソドックスなアドベンチャーゲームだ。
コマンドは
移動、話す、見る、使う、取る、調べる、持ち物、設定変更
の8種類で最後まで変わらない。
設定変更で変えられるのはメッセージ表示スピードのみ。

 


家へとやってきたおじいちゃんによると、
この夏休みの間に恭介が嫁を見つけないと超能力が無くなってしまうらしい。
恭介の三角関係に決着をつける事が一応、このゲームの最終目的っぽくなる。

 


アニメには未登場の広瀬さゆり。

 


ひかるちゃんが車にひかれそうになる!
おじいちゃんの残した不思議な時計で間一髪救出。




恭介のいとこであるあかね登場。
あかねは変身能力がある。


一緒に海へ行く事になるのだが、水着姿はたいして描き込まれていない(^^;

 


同級生のモテナイ二人組、小松と八田。

 


ひかるちゃんから電話。
学校に交換日記を取りに行く事に。

 


馬男さんと牛子さんw

 


交換日記を読む恭介。
恭介「なんとなく小学生の絵日記風ってゆーか…ひかるちゃんらしいな、
子供っぽくって…。」
それをひかるちゃんに聞かれてしまった恭介。
気まずい雰囲気になってしまう。

 


公園でアメリカに行ったはずの鮎川とバッタリ。




その後、鮎川がバイトをしているアバカブ(喫茶店)に電話すると、
鮎川が来て欲しいという。


だがタイミングが良く・・いや悪く、着替えを覗いてしまう恭介w

 


いとこの一弥と遭遇。
頭をぶつけ合うと体が入れ替わってしまう。

 

…とまあこんな感じでひかるちゃんや鮎川とデートしたりと、
きまぐれオレンジロード」の世界で起こる日常を体験していく。

 

そして夏休み最後の日・・。


おじーちゃん「よー恭介!久し振りじゃのー。」
恭介「おじーちゃん!!」
恭介「いったいどーしたんです?」
おじーちゃん「うーむ、知っての通り、今日は夏休み最後の日じゃ。
恭介よ、よもや忘れてはいないじゃろうな?」
恭介「……」
おじーちゃん「…そうじゃ、わしが夏休みのはじめに言ったこと…
今日がその期限だからじゃ。」

おじーちゃん「…恭介、それで、あの二人のどちらに決めたんじゃ?」
恭介「……」
おじーちゃん「さあ!言うんじゃ!!」
恭介「…オレは…オレは…」
おじーちゃん「…うわっはっはっ…」
恭介「!?」
おじーちゃん「いやー、すまんかったのー。
…実はなー、あの、その…あれはウソじゃったんじゃよ。」

恭介「!?」
おじーちゃん「…つまりのー、あんまりあの二人がかわいいんでの、
早く孫の顔が見たくなっての、ただそれだけで一芝居うったとゆーわけじゃ。」
恭介「え~っ!?」
おじーちゃん「…うむ。」
恭介「お、おじーちゃん!!じ、じゃぁー!?」
おじーちゃん「…フォッフォッ、そーゆー事じゃよ!
でもな、いつまでもこのままでイイとはわしも思っとらんぞ。」
恭介「…それは、よく…」
おじーちゃん「さあ、これでもかぶって…夏休み最後の日じゃ、
たまにはこの町を散歩でもしてこい!いい天気じゃぞ!」

なんとゲームの目的はおじいちゃんのウソだったというオチだ。(^^;;

 


恭介「…98、99、100っと!」


恭介「ふーっ、いい気持ち。」


ヒューッ
恭介「あっ、帽子が…」


恭介「ナイスキャッチ!」


まどか「あの時と一緒だね!」
恭介「あ、鮎川…!」




ひかる「せんぱ~い!!まどかさ~ん!」


『どーやら三角関係は、この夏も終わりそうにないみたいです…!?』

 

ゲームデザイン
鎌田 公夫

プログラム
伊藤 和彦
山田 浩司

グラフィック
スタジオシップ

アートディレクション
谷口 恵津子

企画/制作
マイクロキャビン
アローソフト

 

このゲームは「きまぐれオレンジロード」原作の内容を
知っている前提で作られており、
原作を知らないと意味のわからないシーンも多い。
ファンアイテムとして作られたタイトルだろう。

全体を通して軸となるストーリーは無く、
原作のエピソードやシーンを散りばめた日常体験型のゲームになっている。
なので謎解きのような要素は皆無で、
各イベントの発生のほとんどはどの場所を何往復したか?
といった行動により起こるようになっている。

ゲーム中のBGMとしてアニメで使用された主題歌や挿入歌が起用されている。
「夏のミラージュ」「ダンス・イン・ザ・メモリーズ」「鏡の中のアクトレス
「悲しいハートは燃えている」「ジェニーナ」が確認できた。
うる星やつら 恋のサバイバルバースデイ」のときは
メインゲームの間ずっと「パジャマ・じゃまだ!」が流れていたが、
本作では場面によりBGMが切り替わり、
ドラマティックにゲームを盛り上げている。

余計な難しいフラグ立てで詰まる事もなく原作の日常を体験できるのは良いが、
原作そのままの展開でも無いし、原作も完結しているのだから、
せめて最後はユーザーが「鮎川」か「ひかる」どちらかを選ぶといった
マルチエンディングを用意しても良かったのでは無いかと思う。
もうちょっと凝って二人の親密度とかのパラメータを用意し、
それによってもエンディングや展開を変える・・
といった事をすればエルフの「同級生」に先駆けて
恋愛ゲームっぽいものにも仕上がったように思える。

このゲームを開発したアローソフトとは、
1983年にマイクロキャビンが
ゲームソフト企画製作部門を分離独立させた100%子会社である。

 

結局は何も変化の無かった三角関係。
俺様の心に一番残ったのは・・


ディスコで踊るラーメンマンであった(爆)