『デゼニワールド』シナリオログ


デゼニワールド
(ハドソン)
1985年12月/AVG/6800円

1983年に登場し、日本産アドベンチャーゲームを知らしめた「デゼニランド」。
その「デゼニランド」の続編として登場したのが本作「デゼニワールド」である。


時に198X年。
オリンピック候補地からはずされた名古屋はひそかに汚名挽回の機会をねらっていた。
東京、大阪、埼玉に遅れをとってなるものかと立案されたのが
デゼニワールド」計画だった。

これはデゼニランド以上の巨大遊園地を作ると発表されていたが、
実はその裏では「デゼニワールド」をたてにした、
人工知能を中心とするスーパーコンピューター建造計画である。
わずか数年のうちに完成し、スーパーコンピューターは活動を開始した。
その名はHAL3といい、内部ではハルミちゃんと呼ばれていた。
ハルミちゃんは感情を持ち、
好奇心が生まれ世の中を知りたくなりデータベースをアクセスし、

推論エンジンをフル回転させ、多くの情報を手に入れるが、
好奇心は満たされなかった。

その頃、埼玉では「デゼニワールド壊滅作戦」を実現すべく、
豚丸というスパイを雇いデゼニワールドを自滅させるように命じていた。
豚丸はHAL3の端末を発見し、面白い情報を欲しがっていることを知った。
そこで豚丸は手当たり次第に情報を入力した。
ハルミちゃんはうれしくなり、さらに知識を発展させようとし、
他の業務を停止しフル稼働し始めた。

女とは恋とはなにか?この答えを求め、悩みに悩みついには暴走してしまった。
何人もの技師がHAL3を止めようとするがうまくいかない。
デゼニ開発所長は最後の手段として、デゼニマンとコンタクトをとる。
そう、かのデゼニランドの秘宝を手にし、
ヒーローの名を欲しいままにしたあのデゼニマンである。

はたしてデゼニマンはこの暴走をくい止められるか。
最大の危機にひんした「デゼニワールド」の運命はいかに。
この答えはゲームの中にある。

さぁ、行こう。デゼニワールドへ。

こちらはマニュアルから引用したプロローグ。
本作の主人公はデゼニマン。
このプロローグによれば前作「デゼニランド」の主人公のように書かれているが、
前作「デゼニランド」の主人公はプレイヤー本人であり、
デゼニマンは本作で初めて登場したキャラクターである。

ゲームスタート前に「予告編」を見る事ができる。




おはよう、デゼニマン。
今回の君の使命は、デゼニワールドへ潜入しHAL3を止める事にある。
名古屋市内では、既に我々の仲間が情報を集めているはずだ。
しかしそこには我々の敵「サイタマ」のスパイもいるので十分注意するように。
例によって‥‥ん?これが初めてだったな。
まあ頑張ってくれたまえ。
こうしてデゼニマンは名古屋へ向かった…


大きな看板(SIGNBOARD)があります。


十字路です。
左に行くと公園があるようです。


パブ(PUB)があります。


パブの中です。
「いらっしゃいませ。どうぞこちらへ。」


「いらっしゃいませ。あっ、あなたは…。うっほん。このへんは初めての方ですね。」
「あなたに例の方から電話が入っていますよ。電話室の方へどうぞ。」


カウンターの横に電話室があります。


電話室の中です。ブース(BOOTH)のドアは空いています。


「フッフッフッ、ようやく名古屋に着いたようだな。ご苦労さん、ご苦労さん。
さて君にはこれから頑張ってもらわなければならないんだが、
私がこれまで仕入れた情報を君に伝えておこう。」
「まずワールドの状況だが、
いまワールド内には誰もおらず完全に放置されている状態になっている。

しかもHAL3は研究所の地下で動き続けているという事だ。」
「なんとか君の実力でこれを止めてもらわなければならないのだが
一旦ワールド内に入るともうキミを助けてくれるものはいない。
そこらへんは覚悟しておくように。」
「また、ワールド内での活動に必要であろうと思われるものを準備しておいた。
それは君が自然公園で手に入れる事が出来るように部下に指示しておいた。」
「私の出来る事はせいぜいこれくらいだ。
あとは君の勇気と知恵と努力にかかっている。

では、頑張ってくれたまえ、成功を祈っている。
君の愛する竹部君でしたっ!‥‥ガチャ。」


さっきもう一つのブースにいた人が出てきたようです。


むこうの方で誰かがこちらに合図しています。


豚のお兄さんです。
「お前さん、見かけない奴だな。
ははん、例のやつを止めて賞金を頂こうってんで、やって来たんだろ。」

「バカな奴だなお前も。まだ誰一人として無事に帰ってきた奴はいないんだぜ。
失敗しては乞食になったり、アホウになったりしてんだ。」
「まぁ、せいぜい頑張るんだな。」


店の出入り口です。


自然公園の入り口です。
向こうの方に何か立っているようです。


広場の真ん中に銅像(STATUE)が立っています。


トイレがあります。


トイレの中です。
ドアをノックしました。
「ううんのうん。」


あっ、あれっ?中に誰か入っていたんですね。
こりゃまった失礼しやした。


少女がラクガキをしています。
「しっ!誰かが見ているかも知れないから、そのままで聞くのよ。」
「Mr.竹部から話を聞いたと思うけど、ワールドに行くんだったら道具が必要だわ。」
「猿山の猿をしつけてあるから、そこで受け取ってちょうだいね。
そう、猿を呼べばいいのよ。」
「じゃ、頑張って。あなたの幸運を祈ってるわ。」


猿山があります。


「キキッ。」
一匹の猿がカバンを持ってきました。


年寄り(OLD)がベンチに座っています。
「ヒャッ、ヒャッ、ヒャッ。ハッ、ハァ・ル・ミは手強いぞ。」
「ヒャッ、ヒャッ、ヒャッ。チッ、チ・カ・ダ。防御はスッ、ス・ゴ・イ。」
「ホヒャッ、ホヒャッ、キルゥゥゥテェルゾ。フヘェフヘェフヘェッ。」
「フャラッ、フャラッ、フャラララッ。」
「・・・・・・・・・・・・・・」
笑ったまま息を引き取ったようです。


道が続いています。向こうの方に誰か座っています。


カボチャ大王(PUMPKING)が座っています。


お金をめぐみました。
「いやー、どうもすいませんねぇ。こんなに頂いちゃっていいんですかぁ?
じゃあこんな小銭いらないや、あんたにあげますよ。」
小銭を貰いました。


「よう!兄ちゃん、どこまで行くんだい?」
「えっ!デゼニワールドに行くって?あんなとこ行くのはごめんだね。」
「あそこが今どうなってるのか知ってるかい?
売店は全部閉まってるし、ワールド目当てのホテルは潰れちまうし。
そりゃぁ駐車場は広いけどね。」
「話によればワールドの関係者の幽霊がでるっていう事だぜ。
そんなおっかねえ所にいけるわけねぇじゃねえか。」
「やめた方がいいんじゃないの?」


道(ROAD)が分かれています。
道の脇には看板が立っています。


レンタカー屋(SHOP)の前です。
奥に事務所(OFFICE)があります。


事務所の中です。店員(SALESMAN)がいます。
後ろの壁にはパネル(PANEL)がかかっています。
「いらっしゃいませ。ライチョウレンタカーへようこそ。」
「えっ?デゼニワールドに行くって?
この前そこにいく奴に貸したら、結局帰ってこなかったんだ。

だから、ワールドに行く奴には貸せないね。」


モノレールの駅(STATION)です。


キップの自動販売機(MACHINE)があります。
キップを買う事が出来ました。


ホームに出る事が出来ました。


こうしてデゼニマンは唯一人、ワールドへ向かったのであった。
一体、何が彼を待ち受けているのか、もちろんデゼニマンは知る由もなかった。


ここはデゼニワールドの入り口です。
この先は一体何が待ち構えているのでしょうか。


ついにワールドの中に入りました。
道に紙(PAPER)が落ちています。
足跡(FOOTMARK)があります。
豚丸の足跡です。
紙が取れました。
「ケケケ!おいらは豚丸だい!お前に解決なんて出来ないさ!
おいらが邪魔してやる!!」

と書いてあります。


ランド(LAND)というパビリオン(PAVILION)の前です。


ランドの中です。ロボット(ROBOT)が展示してあります。


ランドの中です。ロボット(ROBOT)の展示が続いています。


ランドの中です。ロボット(ROBOT)が展示してあります。


何も無い部屋です。左右にドアがあります。


出口(EXIT)とロッカー(LOCKER)があります。
ハンマー(HAMMER)が見えます。
取れました。


通路(AISLE)に出ました。


ドアしかない部屋です。


カギ(KEY)があります。
紙(PAPER)があります。
紙を取りました。
「将来ここへ来る人へ。このカギはHAL3を止めるために必要だ!」と書いてあります。
カギを取りました。


ドアの前に来ました。
ドアを叩く。
手応えがあります。
ドアを叩く。
少し開きかけてきました。
ドアを叩く。
もう少しです。
ドアを叩く。
開きました。


ここはコスモイメージ(COSMO IMAGE)というパビリオン(PAVILION)です。


「このパビリオンでは立体映像を上映します。」


「オートモービル(MOBILE)にお乗り下さい。」


スタートラックの映像です。


モノリス(MONOLITH)の映像です。


スペースシャトル((SPACESHUTTLE)の映像です。


立体メガネを外しました。
立体映像の投射システム(PROJECTOR)があります。


「お客様、ここから先は通行禁止です。」
ロボットのガードマンがいます。


コンセントを抜きました。
電源を切られてロボットがこけました。


左右にドアがあります。


端末機(TERMINAL)があります。
何か書いてあります。


ボタン式のドアがあります。
「HAL3をおかしくしたのはおいらだぜ!凄いだろー」と書いてあります。
4ケタの番号です。PUSH XXXXと入力して下さい。
正しい番号を入力したら開きました。


「スターシップ名古屋(SSN)」というシンボルタワーです。


ドアがあります。
銅像は「テラドッグ」と言います。何か仕掛けがありそうです。
ドアのスイッチになっていたようです。


ドアがあります。この部屋はかなりボロボロです。


左が出口のようです。
壁を叩きました。
今にも崩れそうです。
壁を叩きました。
壁に穴が開きました。


ドアが前と左にあります。


テーブルがあります。
カード(CARD)があります。
カードを取りました。


シャチホコの像(STATUE)があります。


穴(HOLE)が出て来ました。


スターシッブ名古屋が転がってきます!
「助けてくれー!!」


スターシップ名古屋が湖で止まりました。
「あー助かった!」


事務所(OFFICE)があります。


事務所の中です。


白骨になっています。


会議室のようです。
紙を取りました。
「番号は812だ!」と書いてあります。


テーブルがあります。


机の上です。ディスプレイがついています。
豚丸の顔が出ています。
「番号を言って下さい」と表示されました。


突然部屋が動きました。
下にさがっているようです。


通路(AISLE)に出ました。


後ろのドアが閉まりました。


ドアの前です。
右のボタン(BUTTON)と通風口(AIRDUCT)が見えます。


ドアが開きました。通路が続いています。


「うぁー!水が流れてきました!!助けてーー」
「ホホホ…何をやっても無駄なのさ。デゼニマン‥死ぬがいい‥」


水をいっぱい飲んで目を回しています。
排水溝(DRAIN)から水が流れてきました。


通風口です。ネジ(SCREW)でアミ(NET)が止まっています。


アミが外れました。


上に出口(EXIT)が見えます。ハシゴがついています。


出口に出ました。ロボットがいます。
「手をあげろ。大人しくしろ。」
「ウフフ、私の作ったロボットは優秀なの。」
「私の防衛システムは完璧よ!!」


「ここまで来たのは褒めてあげるわ。だけどもう諦めるのね。
これからお前を洗脳してあげるわ。」


牢屋にいれられてしまいました。


ドアが見えます。
カギを使います。
カギが開きました。どうやらここのカギだったようです。


ドアの前にでました。
少し開いているようです。


モリーユニット(MEMORY)の前です。
モリーを抜きます。
「何をするの?そんな恐ろしい事はやめて」
モリーを抜きます。
「メモリーを抜かないで……」
モリーを抜きます。
「やめて‥感じる‥こわい‥わたし‥は‥わたしは・・ダメ・・抜いちゃいや…」
モリーを抜きます。
「私の名前はHAL3。名古屋のデゼニ研究所で生まれました。」
モリーを抜きます。
「や・め・て‥や‥め‥て‥頭が段々、お・も‥く…な‥‥る……」
モリーを抜きます。
「ところがどっこいここのメモリーは使っていないのよ!
こんなに簡単にメモリーを抜かれてたまりますかっ!!」
モリーを抜きます。
「フフフッ。ここの情報は別の場所に移したわ」
モリーを抜きます。
「あれ?サブシステムが停止してシャッターが開いてしまったわ!」


「ここのメモリーはサブシステムも使っていたのを忘れていたわ」


HAL3のCPUルームに出ました。


HAL3のコンソールの前です。


リセットスイッチ(RESET)があります。


HAL3の横です。電源ケーブル(CABLE)があります。
「見つけられたわ。それをどうするの?」


電源ケーブルを抜きました。でも何も起きません。
「甘いわね!非常用電源に切り替えたわ。」


パネル(PANEL)が見えます。


「それは何?私も知らないわ。
ちょっと待って…それは自爆スイッチだわ。こんなものがなぜ?」


「人間というのは本当に信用できない。なぜ私にこんな物が必要なの?」
「その装置は動作しないわ!」
「えっ?システムが動き出したじゃないの!!
回路を遮断するわ…できない‥何なのこれは?」


「ついに押してしまったわね!私は自爆装置を解除できないわ!
私は死を待つだけになったのね。」

“警告10分後に爆破”
「一言だけ言っておくわ。」
「私は完全な存在になろうとした。いや、完全な存在と思っていたわ。
お前の見つけたものを除いてはね…」
「私は完全な存在をあきらめたわけでは無いわ!私は神になるの!」
「人間は神にはなれない。あらゆる事を知っている私だけがなれるの!」
「私には分かるの。神の資格は死によってしか手に入れる事が出来ない。」
“警告残り時間5分”
「私は破壊されるより自殺を選ぶ。」
「破壊されるのは許せない。…シミュレーション終了…」
「もう答えは出たわ!」
「わたしは‥わたしは神になるの。もう止める事は出来ない‥‥」
“自爆装置動作中残り30秒”


HAL3が光って何かが飛び出しました。
“警告残り時間10秒”


HAL3は自分で電源を落としました。
HAL3は完全に止まりました。


ドドッー!爆発だー!!


HAL3が破壊されました。


HAL3を破壊して、一服しています。よかったね!


豚丸が建物(HOUSE)に逃げ込みそうです。


豚丸が捕まっています。


おっと豚丸が大きくなりだしたぁー!
これは誰の仕業なのでしょう?


なんと建物を破って巨大化した!!


豚丸が向かってきます。
「私の名前はHALL3」
「私は復活した。お前も潰す。」


豚丸が近づいてきます。


巨大な豚丸は目の前です。
へそ(NABEL)に何かありそうです。
栓(STOPPER)のようなものがあります。


へその栓が取れて豚丸が飛んでいきました。
「ギャーーーーー!」と豚丸が言っています。


豚丸が落ちてきました。
やせ細って寝ています。


ヒーローインタビューを受けています。
「おめでとうございます。デゼニマンさん」
「何か一言どうぞ!」
「一番苦労したことは?」
「今日、これから何をしますか?」

STAFF [ PROJECT OF DEZENI WORLD]
DIRECTED BY
T.TAKEBE
PRODUCED BY
S.NAKAMOTO
WRITTEN BY
T.YAKEBE
DIRECTOR OF COMPUTING
HECTOR
EDITED BY
HECTOR
MUSIC BY
HECTOR
CO.PRODUCER
HECTOR
COSTUME DESIGNER
T.OKAMOTO
CASTING
T.OKAMOTO
ART DIRECTOR
T.OKAMOTO
SOUND EFFECTOR
T.SASAGAWA

CAST
SUPPA MAN
ULETORU MAN
GOLGOL 13
C3Put0
BUT MAN
GOLDEN BUT
SARU
HAL3
HARATOMO
PUMPKING
SUPPA MAN
GOLDEN BUT
SARU

PRESENTED BY HUDSON SOFT

こうしてデゼニマンは見事HAL3を止めた。
しかし、飛び散ったHAL3の意識は無くなったのだろうか?
もしかすると君のコンピュータにもHAL3の意識が入り込んでいるかも知れない………

デゼニワールドを最後まで楽しんで頂いた事に感謝します。
[END]

 

結局のところデゼニマンが何者なのかはゲーム中に判明しなかった。
何かの組織の人間である事はわかるので、
007のような秘密組織の特殊工作員なのかも知れない。
このデゼニマンのモデルは高橋名人なのではないかという噂もあったが、
実際には本作のデザインを担当した岡本敏郎さんが
ハドソン入社前に勤めていた会社の社長がモデルだ。

ゲームの主軸はパロディで、スーパーマンウルトラマン
バットマンなどに似たキャラクターが登場する。
そのときにそれらのテーマ曲が一節流れたりもする。
ただそれらを散りばめただけでイマイチ笑いにはなっておらず、
「ただ出してみました」という感じになっている。
同じハドソンのアドベンチャーゲームサラダの国のトマト姫」。
そこに登場したカボチャ大王が
落ちぶれて再登場するのは良いクロスオーバーだった。

本作は難易度が低く、ほとんど移動コマンドだけでシーンが進む。
快適に展開を楽しむ事が出来る反面、
すぐにエンディングに到達してしまうので割高に感じてしまう人も多かったようだ。

ゲーム中にはBGMらしきものはほとんど無いのだが、
このゲームにはサントラテープが同梱されており、
デゼニワールドのテーマ、デゼニマンの歌、豚丸の歌、
HAL3の歌、井上遙さんなどが参加したミニドラマなど、
ゲーム本編よりも豪華な作りであったw


デゼニワールドのテーマ」
Welcome to DezeniWorld beautiful world 美しい国
DezeniWorld wonderful world 未来の国へ
キーに触れれば微笑みこぼれ
光あふれるDezeniWorld
ときめく心はドキドキ 16ビット
Everybody's feeling Happy DezeniWorld
Everybody wants to live in DezeniWorld
So come on boys and girls
to the beautiful wonderful DezeniWorld