餓狼 MARK OF THE WOLVES
(SNK)
2000.2.25発売/32000円/格闘
伝説には続きがある。
餓狼シリーズ最終作。(2021年現在)
餓狼シリーズと一括りにするには、あまりに別ゲームへと変貌している。
まず登場キャラクターだが、
シリーズからの続投はテリー・ボガードのみ。
他のキャラはリストラ・・というより、
新規ゲームにテリーがゲスト参戦しているような雰囲気。
通常選択キャラクターは14体。
時間軸的にはギースがテリーに倒されてから10年後の話である。
中ボスは暗黒空手の使い手「グラント」。
上半身裸にマントを羽織り、顔には鬼のような仮面をつけている。
最終ボスは暗黒真空拳の使い手「カイン・R・ハインライン」。
ただし、厳しめの条件を満たしてグラントを倒さないと登場せず、
真のエンディングは見る事が出来ない。
システム面ではシリーズ最大の特徴であった
ライン移動が廃止された点が大きい。
コマンドもほとんど特殊なものがなく、
よくあるようなコマンドを入力すれば何かしらの技が出る。
超必殺技などもそのほとんどが波動拳コマンド2回+ボタンで出るし。
それに加えてこれまでの格闘ゲームを踏襲するだけにとどまらず、
新しい試みもいくつか含まれているのだ。
格闘ゲームでよくある体力が一定値まで下がると攻撃力が上がったり、
特別な技が使えるようになるという仕様。
このゲームでは、その範囲が前半、中盤、後半の中から自分で選択できる。
他にも必殺技を途中で止めて連続技として使用できる“ブレーキング”や、
相手の技をギリギリでガードする事により体力が回復する“ジャストディフェンス”など
遊び込める要素は多い。
秀逸なグラフィック、キャラモーション、システムともにかなりの完成度を誇る。
世界観は前作『リアルバウト餓狼伝説2』をさらに渋くしたようなカッコイイ路線。
欠点があるとすれば、超必殺技など、この頃のゲームにしては地味なものが多く、
コンボ中心のガチンコプレイになりがちな事。
ま、でもこの渋い世界観ならこれもありかな。
本作は「餓狼シリーズ」でありながら、
シリーズとは毛色の違う格闘ゲームとして存在感を魅せた良作であった。
どうやら続編も開発されていたようだが、
SNK倒産の荒波に巻き込まれて開発中止となっている。
カインを倒した後のエンディングで、カインから何かを聞かされたロックが、
テリーと袂を分かち、カインと行動を共にする展開が描かれている。
続編が無くなったため、その顛末は描かれておらず、
ストーリー的には未完のままとなっている。
(本作のキャッチコピー「伝説には続きがある」ってそういうこと?w )
なお、SNKは前年で既にネオジオCDへの供給を終了しており、
本作のネオジオCD版は存在しない。
また、翌年2001年9月27日にはSNKからドリームキャスト版が発売されており、
こちらで本作を楽しんだユーザーも多いだろう。
SNKの倒産は2001年10月なので、滑り込みで間に合った一本である。
【選択キャラクター一覧】
ロック・ハワード
ギース・ハワードの息子でテリーに育てられた本作の主人公。
双葉ほたる
中国拳法の太極拳や八卦掌の技を使う少女。
“萌えキャラ”を意識して作られたキャラクターらしい。
マルコ・ロドリゲス
極限流空手ブラジル支部門下生の黒人空手家。
唯一「龍虎の拳」からの派生キャラであり、
無骨な空手着スタイルの黒人という異色ぶりが気に入って、
当時はマルコを持ちキャラにしていた。
“ため押し”攻撃が面白い。
北斗丸
不知火流忍術を使う少年でアンディ・ボガードの弟子。
ケビン・ライアン
警察官。印象薄い。
フリーマン
前髪で顔が隠れている。
厨二病成分強し。
グリフォンマスク
メキシコの覆面レスラー。マッチョタイプ。
文字通りグリフォンの形をしたクチバシ付きのマスクをしている。
B.ジェニー
海賊集団のリーダーで、その正体は財閥の令嬢。
スリットの入ったドレスで戦う。
牙刀
中国拳法の八極拳や心意六合拳を使うクールな男。双葉ほたるの兄。
キム・ジェイフン
キム・カッファンの子供で次男。
テリー・ボガード
トレードマークの赤いキャップは被っておらず、服装や髪型も変わっているので、
初見ではテリー・ボガードだと気づきにくい。