ネオジオは100メガショックの夢を見るか?(89)「ティンクルスター スプライツ」

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ティンクルスター スプライツ
(SNK/ADK)
1997.1.31発売/29800円/対戦シューティング
狙え連続!送れ大ボス!NEWシューティング!

 

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その独特のセンスで”濃い世界観"の一風変わったゲームを
ネオジオに排出してきた会社ADK。
そんなADKから、これまでのADKのフォーマットにないゲームが登場した。
1989年リリース「スカイアドベンチャー」以来の縦スクロールシューティングであり、
今までになかった対戦型シューティングという前例の無い建付け
そして萌えキャラ全開の世界観には、
ADK特有のバタ臭さは微塵も残されていなかった。

 

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おそらくゲームの着想となったのはぷよぷよだと思う。
画面が真ん中から左右に2面あり、自分と対戦相手でプレイフィールドが分かれる。
それで相手にお邪魔要素を送り込みながら自滅してくれるのを狙うゲームだ。
この仕組みで競う部分をシューティングにした事で独自性を出そうとしたのだろう。
ボタンはショットとボム。ショットは溜め撃ちも可能。
敵を撃破し、その爆発に他の敵を巻き込むと連爆となり、
どのぐらい連爆したかによって相手側へ送り込むお邪魔要素が変化する。
また、フィーバーという要素があり、フィーバーの間は連爆が次々と発生する。

直接相手に弾を当てて勝利するのではなく、
二次的に相手に不利な状態を与えて自滅に導くという構成は、
これまでシューティングには存在しなかった新機軸であり、
これが本作の存在価値となっている。

 

システムだけでなく「ぷよぷよ」的な
ポップな萌えキャラクターで世界観を構成したのも、
ネオジオラインナップの中では異端であり、
ADK作品としては異例中の異例であった。
(しかもそのジャンルにおいて高いクオリティに仕上げている)
ちなみに本作のキャラクターデザインは、
この当時人気だったアニメ「赤ずきんチャチャ」を彷彿とするものになっている。

 

さて、本作であるが、対戦相手がいればとても面白いゲームであるが、
1人でCOM相手に遊ぶには単調に思えるゲームだった。
一般的なシューティングはステージや敵のパターンが変化する事で
興味を持続させているわけだが、
対戦を主軸にする本作はそういったシューティングには構成しづらい。
そして本作で対人戦ができるチャンスは少なかった。
対戦台はそれほど設置されてなかったし、
ネオジオで本作を購入した仲間もまわりにいなかったのである。

 

ネオジオやMVSのハードウェアを開発し、
SNKと業務提携してネオジオを世に送り出したのがアルファ電子(のちのADK)だった。
SNKADKとは一蓮托生。
本作はそんなネオジオの片翼だったADK
ネオジオでリリースした最後のゲームとなってしまった。
SNKとの契約で「ネオジオ以外の他機種向けのゲーム開発は禁止
という約束があったのに、
このあと“未来ソフト”という別ブランドを使って
プレイステーション向けにゲームを出してしまうADK
それによって盟友であるSNKとの仲が険悪になってしまったという。
そんなADKは業績悪化が止まらず、
本作の4年後となる2003年に事業停止するのであった。
ちなみに本作はネオジオとしてはADK最終作ではあるが、
1998年にはハイパーネオジオ64向けに
「ビーストバスターズ セカンドナイトメア」という
ガンシューティングをリリースしている。

 


原案
松下佳靖

企画
青松正二
松下佳靖

メインプログラマー
青松正二

キャラクターデザイン
イラストレーション
FUJINOMIYA MIMOLI

デモ グラフィック
大橋加奈子
小林雅世

スプライト
塚野浩嘉
関 純治
久保島恵美
西舘康夫[WEST-MAISON]
大橋加奈子
小林雅世
鈴木 元
吉川かば夫
荒幡隆弘
佐野洋
大西香織

スクロール
森 里絵
大野美佐子
姫野真理子

音楽・効果音
瀬川圭一郎
渡辺夕香
村松
山本秀樹
大島高雄
鯨井宏明
千葉真木夫
清水浩昭
関本成伸

声の出演
加藤雅美
原田正夫
伊藤芽久美
蓑田まゆみ
西川嘉人
峯松公明

エディター
鳩野高嗣
関本成伸

マーケット・リサーチ
後藤幸雄

ハード・ウェア
深津栄次
田村真一

デザイン・システム・ツール
笠 宏之

広報
田口 創
伊藤さつき
杉山清孝
山形佳代

テスト・プレイヤー
長田正月
高木清隆
太刀川政男
うま

スーパーバイザー
宇恵寿 留造

スペシャル・サンクス
守山進次
鴨田秀男
牛澤 朗
坂西健一
石関宏司
石田光成
石田具彦

エグゼクティブ・プロデューサー
新井一