ネオジオは100メガショックの夢を見るか?(38)「龍虎の拳」

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龍虎の拳
(SNK)
1992.12.11発売/28000円/格闘
無敵の龍がいた。最強の虎がいた。

 

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本作はこの連載のタイトルにもなっている
「100メガショック」と銘打ったタイトルの第一弾である。
家庭用ゲーム機のソフトにはその容量を売り文句にする時代があった。
これはROMカセットでソフトを供給する時代特有の現象で、
「よりたくさん容量を使っているからゲーム内容も濃いだろう」
というイメージ的な意味合いが強い。
ネオジオの時代のあとはCD-ROMなどの容量が決まっているメディアに移行していき、
容量を数字で誇示する最後のゲーム機がネオジオだった。
ネオジオは全てのゲームパッケージに容量が記されており、
龍虎の拳」は初めて100メガを越えたタイトルである。
(「餓狼伝説 宿命の闘い」は55メガ、「ワールドヒーローズ」は82メガだ)
ちなみに当時のゲーム機で使われる「○○メガ」とは“メガビット”の事で、
パソコンなどでよく目にする“メガバイト”の1/8の単位だ。

SNKとしては「餓狼伝説 宿命の闘い」に続く格闘ゲームで、
ネオジオ初の対戦を主軸とした格闘ゲームワールドヒーローズ」の
ちょうど3ヶ月後に登場した格闘ゲームであり、
タイミングとしてはとても良い頃合いにリリースしたタイトルだ。

絵のタッチは「餓狼伝説 宿命の闘い」よりもかなり渋い。
餓狼がアニメ路線なら、龍虎は劇画路線といったところか。
このゲームの発売まで遊びまくっていたのが「ワールドヒーローズ」だった事もあり、
本作の劇画調のビジュアルはとてつもなくカッコよく見えた。

本作は格闘ゲームとしての新たな試みが色々と実装された意欲作で、
その後の格闘ゲームに多くの影響を与えている。
本作の特徴は"ダイナミックさ"と"爽快さ"。
その最もたる特徴がキャラクターの拡大縮小と、必殺技の存在である。
本作ではキャラクター間の間合いなどで大胆にキャラクターが拡大縮小を行い、
映し出された巨大なキャラクターがバチバチにぶつかり合うのが魅力的だ。
そして破壊力のある必殺技を中心としたゲーム設定。
本作はまだコンボ(連続技)の概念はなく、
いかに強力な必殺技をクリーンヒットさせるかのゲームになっている。
その必殺技の狙い合いが熱い。
必殺技を使うと必殺技ゲージを消費する。
(ゲージ満タンでも必殺技3~4発しか使えない)
必殺技ゲージは気合を溜める事で回復できるが、当然、その間は隙が出来る。
また、飛び道具系の必殺技に打撃を合わせると
ノーダメージで打ち消す事が出来たりする。
相手に無駄に必殺技を使わせてゲージを消費させ、
必殺技が使えなくなった頃合いで追い込むといった戦法もセオリーだ。
挑発して相手のゲージを減らしたり、
ゲージが無い状態でも出る必殺技の出がらしみたいなのを上手く利用したり、
シンプルであるがゆえに奥の深い駆け引きがそこにはあった。
そして必殺技を越える“超必殺技”の存在。
「覇王翔吼拳」「龍虎乱舞」だ。
それぞれ特殊な条件で使う事ができる。
「覇王翔吼拳」はゲーム途中のイベントゲームで修行に成功すれば
気力MAX時に使えるようになる。
「龍虎乱舞」は自分の体力が1/4以下かつ気力MAXという条件で、
“236+Cを押しながらA”という難しいコマンドを成功させなければならない。
いざ成功すると豪快なアクションと
相手への大ダメージを与える快感を楽しめるのである。
(ちなみに発売当初「龍虎乱舞」の存在は秘密にされていた)

 

システムだけでなく細かい演出も光る。
顔に攻撃がヒットするとどんどん顔が腫れていったり、
瀕死になるとニュートラルポーズで少しガードが下がったり、
キングというキャラは最終ラウンドを必殺技で倒すと服が破れて
女性である事が明らかになる・・とか。

 

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ゲームは「餓狼伝説 宿命の闘い」同様にストーリーを追っていく方式。
誘拐された妹を追うリョウ・サカザキと友人のロバート・ガルシアどちらかを選択。
対戦相手の順番は決まっていて、
相手との掛け合いを含めてストーリーを盛り上げていく。
そして「餓狼伝説 宿命の闘い」と大きく違うのは、
敵役を含めたキャラクターによる対戦モードが追加された事だ。
選択できるキャラクターは10人。
(Mr.ビッグとMr.カラテはそのステージに到達していないと選べない)
キャラクターごとに個性分けがしっかりしていて、
オールマイティなキャラクターは無く、
一長一短の能力の中で、闘いを自分の有利な方へ持っていく。
その攻防が大変に熱い。(なにせ『しゃがみ』が無いキャラもいるのだから)
俺様がよく使っていたのはボクサーのミッキー・ロジャース。
長いリーチで相手にコツコツとジャブを当て、
相手の必殺技もジャブで消しまくるプレイが楽しかったな。

 


【選択キャラクター一覧】

f:id:g16:20210327173810p:plainリョウ・サカザキ
主人公。空手。
「無敵の龍」と呼ばれている。

 

f:id:g16:20210327173821p:plainロバート・ガルシア
空手。「最強の虎」と呼ばれている。
けど、SNK全キャラクターの中では影が薄い(^^;

 

f:id:g16:20210327173833p:plain藤堂竜白
古武術使い。
“重ね当て”という至近距離に強力な技を使う。

 

f:id:g16:20210327173844p:plainジャック・ターナー
超巨漢の喧嘩屋。
こいつがドロップキックしてくるんだから大迫力。

 

f:id:g16:20210327173857p:plainリー・パイロ
猿の仮面をつけた中国拳法家の老人。
鉄の爪を突き出してクルクル回りながら突進してくる。

 

f:id:g16:20210327173911p:plainキング
バウンサーをしているイケメン。
だが実は女性。ムエタイ
蹴りから気弾を飛ばす「ベノムストライク」が印象的。

 

f:id:g16:20210327173922p:plainミッキー・ロジャース
ボクサー。蹴り技は持っていない。

 

f:id:g16:20210327173933p:plainジョン・クローリー
元・アメリカ海軍。
ストリートファイターIIのガイルとイメージが被る。

 

f:id:g16:20210327173944p:plainMr.ビッグ
スキンヘッドにサングラスが渋いマフィアのボス。
なんとジャンプができない。(^^;

 

f:id:g16:20210327173956p:plainMr.カラテ
天狗の面で顔を隠す空手家。
倒すとエンディングとなる。
「その人は、その人は私たちの!」
というユリ・サカザキのセリフでゲームは終わる。
誰もが「父親以外に選択肢はないだろう・・」と思ったw

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ユリ・サカザキは続編でプレイキャラに昇格するが、
顔は別人のようになる。

 


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