ラッドモビール
1991年リリース
1985年にセガがリリースした「ハングオン」。
実際のバイクの形をした筐体に跨り、体を使ってバイクを操作する。
いわゆる体感ゲームと呼ばれるゲームがヒット。
同年に「スペースハリアー」、
1986年に「エンデューロレーサー」、「アウトラン」、
1987年に「スーパーハングオン」、「アフターバーナーII」、
1988年に「ギャラクシーフォースII」、「パワードリフト」、
1989年に「ターボアウトラン」といったものが登場。
これらの共通する特徴は、画面奥へ向かってコースを進む、
疑似3Dという表現方法を使っている事である。
現在では3Dと言えば、実際に三次元的な空間を作り、
その中で立体物を表示する事であるが、
疑似3Dとはそういった三次元的演算処理を使わずに、
スプライトと呼ばる平面グラフィックを組み合わせて、
奥行きがあるように見せかける表現が擬似3Dだ。
本作「ラッドモビール」の翌年、
3Dポリゴンによる「バーチャレーシング」が登場する。
そこから擬似3Dによるレースゲームは急速に衰退していく。
つまり、1991年リリースの本作「ラッドモビール」は、
疑似3Dレースゲームの蓄積された技術が詰まった
集大成と言えるゲームなのである。
セガ・システム32基板の第一弾ソフト。
アメリカ大陸を横断するゲームで、20ラウンドでゴール。
ロサンゼルスからスタートして、最後はニューヨーク。
アクセルとブレーキの他に、
ワイパーとヘッドライトの専用ボタンがある。
「パワードリフト」のようにコースが斜めに傾いている場面もあり、
遊園地のアトラクションのような雰囲気も楽しい。
アーケードでは、車の挙動に合わせて筐体が傾く体感ギミックが楽しめた。
このゲームはコースの形状がエキセントリックだったり、
対向車線の車も避ける必要があるなど、
激しいレベルデザインである反面、
路肩に衝突しても、減速するだけでクラッシュはしないので、
爽快なドライブが楽しめるように作られている。
1ラウンドの距離もショートショートでテンポが良い。
途中、ポリスに追いつかれると止められて怒りをぶつけられたり、
細かい演出も楽しいぜ。
3Dポリゴンゲームに比べると、
コースラインや敵車のアタリが大雑把なのだが、
疑似スクロールにしか存在しない工夫や味わいが今ならポジティブに感じられる。
そしてゴールするとポリスが車の前に・・
と思ったらポリスに変装(?)したギャルだった!
めでたし、めでたし。
うん、結構爽快にドライブを楽しめる良ゲーだった。
本作だが、「ゲイルレーサー」という名前でセガサターン初期に移植されている。
が、ライバル機であるプレイステーションの
ロンチゲーム「リッジレーサー」と比較され、
「PSでは次世代を思わせるレースゲームが出てるのにセガサターンはこれ?」
と批判の対象になった。
あの時期に擬似3Dのゲームを移植リリースする間の悪さもあるが、
移植のクオリティも低く、ラウンドごとに読み込み画面が入ったり、
背景のオブジェクトが大幅にカットされてる上に
コースの表示限界がやたら近かったり・・
まあ、移植クオリティもひどかった。
セガサターンのイメージ戦略を考えたら、
発売中止にしても良かったんじゃないかなと思う。
そんなわけでイメージの悪くなってしまった「ラッドモビール」だが、
アストロシティミニの登場で多少は名誉挽回したんじゃないかなと思う。
なにより俺様自身
「ああ、やっぱりラッドモビールって面白かったよな」と再認識したしな。