ゲームのターゲットの話

様々な商品がそうであるように、
ゲームソフトにもターゲットというものが存在している。
ターゲット・・つまり誰に売りたい商品なのか?という事だ。
「この商品は全人類がターゲットだ!」などと言うのは簡単だが、
全ての人間が好きな料理が存在しないように、
全人類誰にも嫌われないゲームを作るのは不可能である。

一つのゲームソフトを例に取ってみよう。

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こちらは
スペースインベーダー インヴィンシブルコレクション」というSwitchのゲーム。
1978年の初代スペースインベーダー、そのカラーバージョン、
そして1978年のスペースインベーダーpart2。
それ以外はシリーズを継承したゲームが6本収録されている。
その6本目当ての人もいるだろうが、
メインのターゲットはオリジナルの「スペースインベーダー」が好きな人だろう。

「インベーダーハウス」などもオープンしていたスペースインベーダーブーム。
本作がリリースされた1978年~1980年がそのブームの期間だと言われている。
およそ40年前。
インベーダーブームの直撃世代が当時の10歳~40歳だとして、
ブーム当時を知っている人はいま50歳~80歳という事になる。
つまり「スペースインベーダー インヴィンシブルコレクション」のターゲットは、
『50~80歳で、Switchでゲームを遊ぶ可能性がある人』
という事になる。
ではその人達は何人いるのか?
そこで割り出された人数から開発費などを差し引いた値段が利益という事で、
それが黒字にならなければ商品化する価値は無い。

「オリジナルを遊んだ当時の世代じゃなくても買うかも知れないじゃないか」
と思われるかも知れない。
確かに「スペースインベーダー」が普遍的に面白いゲームと定義すれば、
それを新しい世代のユーザーに伝えられれば可能性はあるかも知れない。
だがその伝え方と根拠が無ければ数字として試算する事は出来ない。

「当時インベーダーに熱狂した人が思い出の補完で買う」
というコンセプトが変わらない以上、
試算できるターゲットはやはり50歳以上なのだ。

とすると気づかれるだろう。
10年後にこの商品を買う人は「60歳以上」であり、
20年後には「70歳以上」になる。
やがてそれを黒字化する事は不可能となり、
インベーダーの商品がこの世に出る事は無くなる。

つまり「スペースインベーダー」を生き残らせるためには、
やはりターゲットの新規開拓は不可欠なのだ。
正直、初代スペースインベーダーあたりは無料で配布してもいいぐらいだと思うよ。
(若い世代への認知を広めるために)
もしくはIPをオープンフリーにして、
世界中のクリエイターに遺伝子を引き継いだインベーダーを生み出してもらうとかね。