俺様とPC9801

自分でもまったく印象が薄いのだが、
1年間ぐらいPC9801ユーザーだった事がある。
購入したのはPC9801VM21

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当時社会人2年目ぐらいで、会社で使っていたPCがVM21だった。
つまり、仕事を家に持って帰る目的で購入したわけだ。
とはいえ、PC9801向けゲームがプレイ出来るのも楽しみの一つだった。
当時俺様はX68000FM-TOWNSも所持していたので、
16ビットマシン向けゲームはそれらの機種で遊ぶ事が出来たが、
それでもPC9801でしか発売されていないゲームにも魅力的なものが多かったのだ。
そのときプレイして覚えているものをいくつか紹介しよう。

 

ジャパンバッシング』(システムソフト)

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当時パソコンゲームで最も強かったジャンルと言えばSLGではないだろうか?
家庭用テレビゲームの出力では厳しかった細かいデータを
1画面にたくさん表示出来たし。
特にPC98は大人のユーザーが多かったから、
SLGがよく好まれていたんだと思われる。
そんな中で『大戦略』で有名なシステムソフトから変わり種SLGが登場していた。
実を言えば98を購入したら最初に遊んでおきたかったタイトルである。
このゲームが発売された1992年には
ジャパンバッシング”という言葉がニュースでよく聞かれていた。
対日貿易不均衡についてアメリカが日本に抗議したり非難したりが激化していた。
その理不尽ないちゃもんに内外で論議が巻き起こっていた当時、
とうとうゲーム化までされたってわけだ。
でも国家間のクレーム合戦がどうゲームになるんだ??
という好奇心がみるみる俺様の胸に膨らんでいった。

どうやら俺様はこういう変則SLGが好きらしい。
自作でも『幕府の改革』という江戸幕府運営SLGとか、
『受験戦争』という大学入試をシミュレートしたゲームを作ったりしてたし。

で『ジャパンバッシング』だが、いざプレイしてみると意外な事に、
アメリカに無理難題を押し付けられる日本がそれを乗り切るゲームではなく、
プレイヤーは無理難題を押し付けるアメリカ外交官側だった。(^^;
残りのポイントを気にしながら日本に様々な要求を送りつけ、
米国を優位に持っていくというゲーム。
エンディングがその結果で分かれており、
グッドエンドに辿り着く事が最終目的となる。

イデアは面白かったけど、プレイによって影響する変化がもっと欲しかったね。
出す要求内容やタイミングによってifの日本現代史が作り上げられていく・・
みたいなさ。


『ファーランドストーリー 遠い国の物語』(TGL)

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当時メガドライブの『シャイニング・フォース 神々の遺産』で
シミュレーションRPGの魅力を知った俺様。
パソコンにも同ジャンルの面白いゲームが出ないものかと思っていた矢先である。
1993年に発売された本作『ファーランドストーリー 遠い国の物語』。
パソコンで類似したゲームを探すと
ウォーゲームライクなマニアックなものが多い中で、
コンシューマゲームのようなデフォルメキャラと
わかりやすいルール設計が魅力的だった。
とてもPC98オリジナルゲームとは思えない
オンリーワンなタイトルという印象だね。
この一作目がウケた事に気を良くしたTGLは、
1994年に4作目まで、
1995年に7作目までPC98でリリースしている。
出し過ぎだって!(^_^;
その後、コンシューマ機に移植作や続編が出たりしたけど、
PC98だからこそのオンリーワンだったと思うよ。


『ソードダンサー』(TGL)

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『ファーランドストーリー』が良作だったので、
同じTGLから出ていた『ソードダンサー』も気になって買ってみた。
トップビューのフィールドを移動するオーソドックスなRPGだったが、
ただ一つ違うのは、戦闘が格闘ゲームであるということ。
戦闘がサイドビューアクションのRPGというと、
過去にも『ザ・スクリーマー』とか『ルーイン』とかあったけど、
いずれもアクションゲームと呼ぶのすら厳しいものだった。
それに比べて本作はちゃんと格闘ゲームになってるし、キャラも大きめで、
PC98というプラットフォームでここまで出来るのか!とビックリした。
なにより、格闘ゲームで経験値が入って
キャラクターが強くなっていくという構成自体が新鮮で、
98買って良かったなと思える一本だった。
こちらもシリーズが4作目まで出ている。


ギャプラス』(キャリーラボ)

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同名アーケードタイトルの移植作。
ギャラクシアン』や『ギャラガ』は
それまで様々なプラットフォームに登場していたものの、
本作の移植は皆無だったので、ギャラクシアンシリーズ幻の一作とまで囁かれていた。
それが突然PC98に登場。
しかも当時パソコンにナムコゲームを移植しまくっていた電波新聞社からではなく
キャリーラボ。
丁寧な移植でこだわりを感じさせたものの、
こだわり過ぎたがゆえに迷作となってしまった。
ギャプラス』は縦画面で構成されたゲームであったため、
それを忠実に移植するために
「ディスプレイを縦に置いて遊ばせる」事を前提
としてしまった。(^^;
(つまりそれをしないとエイリアンが右から左へ落下する)
それを実行してしまったユーザーのディスプレイが次々と故障した(爆)。
その事件をすでに知っていた俺様は、
寝っ転がって遊ぶという変則プレイを編み出したw。

ちなみに現在では、プレイステーションの『ナムコミュージアム VOL.2』や
Wiiのバーチャルコンソールアーケードなどで同作を遊ぶ事が可能になっている。


『フィニッシュホールド』(システムソフト)

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プロレス団体運営ゲーム。
プロレスのSLGという自体が珍しかったので楽しめたけど、
技数が少なくて、自分の理想の選手が作れなかったのが悔やまれる。
あと、技を仕掛けるとカクカクのポリゴンアニメが再生されるのが
時代を感じさせるよね。
のちにWindows向けとして続編がリリースされた。


『SuperDepth』(Bio_100%)

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これは市販ゲームではなくフリーソフトウェア
真横から見た海底を右から左から潜水艦が通過する。
プレイヤーは水面に浮かぶ戦艦を操作し、
機雷を左右に落としていくというシューティングゲーム
シンプルであるが、
フリーで配布されていたために98ユーザーへの普及はハンパ無かった。
ゲームの完成度も高いし、
ビープ音などのチープさが逆に独特の世界観を構築していた。
98のフリーゲームと言えばこの『SuperDepth』が突出した強い印象を放っている。
 

他にPC9801で遊んだゲームを思い出せない・・。(--;
「PC9801でしか発売されていないゲームにも魅力的なものが多かったのだ」
なんて言っておきながらだ。
PC9801VM21を購入して半年後のこと。2つの事件が起きたのだ。
その1。会社のPCが98シリーズからDOS/Vマシンに総入れ替えされたのだった。
Windows95が発売された年だ。
そうすると、家に98があっても仕事を持って帰る事が出来なくなった。
その2。俺様は98で初めてハードディスクという周辺機器を導入していた。
これがあればディスクの入れ替えをする必要がなくて楽チンである。
全てのソフトをハードディスクに入れて利用していた。
だがまだまだハードディスクも高額な贅沢品。
そこで店頭で最も安いハードディスクを購入。
それがなんとソフマップ製オリジナルハードディスク(爆)。
そのハードディスクが半年後、突然煙を吐き出して吹っ飛んだ。(^_^;
ソフトはもう一度入れ直せばいいが、新たにハードディスクを買うのも出費だし、
セーブデータなどは戻ってこないので、俺様は98ユーザー継続を諦めたのだった。
残された本体やソフトは中古で売っ払ったのだと思われる。
エニックスの『セイバー』を始めとして、
まだやり残したゲームがあったのに勿体無い事をしたな。
でもハードディスク吹っ飛んだ事でどうでも良くなったんだよ。
俺様と98は相性が悪かったんだ!ってな。

 

PC9801の印象。
PC88シリーズ同様に、相変わらずアクション系が苦手なマシンだったこと。
PC88の上位機種であったのに、
音源ボードを別途購入しないとBGMすらまともに鳴らなかったこと。
何のソフトをプレイするにも、
まずMS-DOSのディスクを立ち上げてから行うOSの概念が新鮮だったこと。
この3点かなぁ。
嵐のように過ぎ去っていったPC98ユーザー時代。
記憶が完全に無くなる前にここに記録を残しておいた次第。