書籍紹介『ロードランナーファンブック 全世界のロードランナーファンに贈る』
発行所:株式会社システムソフト/定価:980円/昭和60年2月20日発行
福田史裕 著
本の目玉はオリジナル『ロードランナー』作者ダグ・E・スミス氏のインタビューと、
日本のPCに移植したスタッフ達の座談会。
直接本人達の口から語られる開発時のエピソードは信憑性が高く貴重である。
上記以外にロードランナーのテクニック紹介や、詰めロードランナー、
難解オリジナルステージなどが掲載されている。
著者は福田史裕氏。
現在は福岡で算法研究所というゲーム開発の下請け会社をやっているようだ。
以下はウィキペディアにも書かれていないロードランナー誕生の歴史。
01.
最初の『ロードランナー』は
Prime Computer 550というコンピューターにパスカルを使って書かれていた。
02.
グラフィックキャラクタではなく$やHといったアスキーキャラで表現されていた。
03.
黄金はなく、一直線のレンガのフロアが5層あり、ところどころにハシゴ。
番兵をかわしながら上に登るゲームだった。
04.
穴に落ちた番兵は兵士(主人公)と同じように下のフロアまで落ちる仕様だった。
05.
VAX11/780というコンピューターに移植した。黄金を取る要素を追加した。
06.
黄金はステージ中に5つで、ボーナスポイントとしての扱い。
取らなくてもクリアできた。
07.
穴に落ちた番兵はそこにとどまってピヨンピョン跳びながらもがくようにした。
08.
この頃のゲームタイトルは『ロードランナー』ではなく『コング』。
09.
クリアした面はとばせるNEXT機能はこの頃からあった。
(最初はデバッグのためだった)
10.
甥っ子から自分に家でも遊びたいとの要求がありアップルに移植した。
11.
これまでは兵士がやられても黄金がリセットされなかったが、
初めから取らなきゃいけないようにした。
12.
アップル版ではじめてキャラクタがグラフィクスになった。
13.
最初は7×8ドットで作ったが、10×11ドットに落ち着いた。
14.
エディット機能もデバッグ機能として搭載したが、
プレイヤーに好評だったので誰でも使えるように改良した。
15.
画面が丸く出てくる演出は
コンピュータサービスライブラリの中で見つけた公式を使っている。
ちなみに現在バンゲリング帝国三部作の一つとして扱われている
『ロードランナー』だけど、
この本では“バンガリン帝国”という名称になっているね。
(おそらく翻訳の差異だと思うけど)
ダグ・E・スミス氏がインタビューの最後に
「リアルタイムなアドベンチャーゲームみたいなものを考えているよ」と語っている。
これは商品化されたのだろうか?気になるところだ。
【追記】
ロードランナーを日本のPCに移植した人達の座談会も掲載されている。
これにより誰がどの移植を行ったのかある程度判明しているので記載しておく。
高橋さん(偽名)
PC-100版、PC-98版を担当。
PC-100版の移植期間は1ヵ月ぐらい。
青木さん
PC-6001版、PC-6001mkⅡ版、PC-6601版を担当。
当初は山口慎二(たいにゃん)さんが担当する予定だったが、
同時に請け負っていた「チョップリフター」が押していたので
青木さんに「ロードランナー」がまわってきた。
樋口さん
PC-6000系を青木さんと分業で担当。
加藤さん
PC-8001mkⅡ版を担当。
担当不明な方達
増田さん、宮迫さん、豊瀬さん、八木さん。